明治大学付属明治中学校 入試対策
2018年度「明治大学付属明治中学校の社会」
攻略のための学習方法
[スライド式学習]
「明明の社会」では、先ず、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野と「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先。「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「知識」や「深い理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも押さえること。
完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、残念なことに人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。
基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる５年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、６年生の夏休み前には終える。
その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。６年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか？ 実質的に１年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」の出題比率が高い明明ではなおさらだ。
そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある５年生の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。
さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を内緒で続けておくことで、ライバルに差をつけておくことができる。
[いもづる式学習]
全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で（要は単なる「一問一答方式」）定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、明明特有の「難問」など絶対に無理だ。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。
「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。 １つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。
もし「言葉」として覚えてはいても、「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく（ここでも「復習」できる）。
また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(＝「面」)をも理解するようにする。
このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。さらに、単元もまたいでいるので、明明必出の「深知り時事問題」にも対応できる。
無論、「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。
[手作り式学習]
特に、「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。しかし、明明に限らず上位校ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく、様々な時間軸で出題される。
それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」～「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。
さらに、その「年表」には「西暦」だけではなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」や「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が明明には多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。
[細部へのこだわり式学習]
「問題解説」でも指摘したが、「明明攻略」で重要なひとつが「細部へのこだわり」だ。「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。
過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。
こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。
[意識継続式学習]
どのような状況であっても、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漠然と机に向っていても時間の無駄だ。その時々、何を目的としてどのような学習（たとえば、上記の「○○式学習」）をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。
そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。明明の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。
だからこそ、「設問」を正しく理解しているか？ 「要素」は全て確認したか？ 「細部へのこだわり」や「他の設問」との関連は大丈夫か？ 「条件」を満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。
入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2018年度「明治大学付属明治中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問Ⅰは｢地理｣。
｢47都道府県を示した日本地図｣とさまざまな｢都道府県ランキング｣(上位５位まで)､｢都市｣に関する統計資料、｢地形図｣などからの出題｡小問は全６問(解答数27）、｢選択肢｣(｢位置特定｣｢空所補充｣｢複数完全解答｣あり)､｢説明記述｣(｢字数指定なし｣１問)。
大問Ⅱは｢歴史｣。
さまざまな｢旗｣に関する８つの資料(｢絵図｣｢写真｣など)と、それぞれの説明文からの出題。小問は全10問(解答数18)、｢選択肢｣(｢不適切｣｢年代整序｣｢複数完全解答｣あり)､｢事項記述｣､｢説明記述｣(｢字数指定なし｣１問)。
大問Ⅲは｢公民｣｢時事｣｢思考｣。
｢日本国憲法に関するリード文｣からの出題。小問は全11問(解答数21)、｢選択肢｣(｢不適切｣あり)､｢事項記述｣(｢空所補充｣｢字数指定｣あり)、｢説明記述｣｢自由論述｣(｢字数指定なし｣各１問)。時間配分は、｢説明記述｣に各１分半ほど、他は１問当たり約30秒強という超ハイペース。無論、メリハリのある｢戦術｣が求められる。
【大問Ⅰ】｢地理｣(｢経度･緯度での位置特定｣あり)
- 難度：やや難
- 時間配分：15分
- ★必答問題
｢47都道府県を数字で示した日本地図｣とさまざまな｢都道府県ランキング｣(上位５位まで｡５種類)､｢都市｣に関する統計資料(２種類)、｢利尻山｣の｢等高線｣､｢北海道と青森県･岩手県の一部｣を示した｢地形図｣からの出題｡
本校おなじみの｢自然地名選択｣とその｢位置特定｣､｢グラフの空所補充｣､｢地形図読み取り｣などの｢地理｣単元の多種多様な問題が並んでいる。本年度は、｢経度･緯度｣と｢自然地名｣｢都市｣との位置関係を問う問題が多くなっている。
以下、いくつかの｢設問｣を確認してみる。
[１] ｢『自然地名』どうしの『経線との位置関係』および『位置特定』の選択肢設問｣(全７問/各４択/複数完全解答)。(１)～(７)で示されている｢自然地名｣(各４つ)の中で、｢指定された特定の経線から最も離れたもの｣を選び、その｢自然地名｣が位置する｢都道府県｣の｢地図上の位置｣を特定して答える。
本校で例年出題されている｢自然地名の位置特定｣なのだが、｢経線との位置関係｣という特殊な問題で、戸惑った受験生が多かったに違いない。そう、たとえば(１)の｢東経142度の経線｣にしても、それがどこを通っているかなど、誰も正確に知っているはずがない。だが、心配御無用。あることに気づきさえすれば容易く｢答え｣が出せるのだ。つまり、｢特定の経線から最も離れたもの｣を答えるということは、その経線がどこに位置しているにせよ、４つの｢自然地名｣の中でひとつだけ東西どちらかに離れているものがあるわけなので、示されている｢地図｣を参考にしながらそのひとつを判別すればいい。
(１)であれば、(ア)｢択捉島｣､(イ)｢天塩山地｣､(ウ)｢石狩川｣､(エ)｢三陸海岸｣なので、(イ)と(ウ)は北海道西部､(エ)は岩手県沿岸､そして、(ア)は北方領土､したがって、(ア)だけが東に離れていることは一目瞭然だ。よって、｢答え｣は(ア)､｢都道府県｣の｢地図上の位置｣は｢北海道｣で｢１｣となる。他の問題も同じように特定していけばいい。ちなみに他の｢答え｣は以下のとおり。
(２)＝(イ)｢北上山地｣⇒｢岩手県｣で｢３｣､
(３)＝(エ)｢足摺岬｣⇒｢高知県｣で｢39｣､
(４)＝(ウ)｢伊豆諸島｣⇒｢東京都｣で｢13｣､
(５)＝(ア)｢丹後半島｣⇒｢京都府｣で｢26｣､
(６)＝(エ)｢尖閣諸島｣⇒｢沖縄県｣で｢47｣､
(７)＝(イ)｢宮崎平野｣⇒｢宮崎県｣で｢45｣｡
尚、本校志望者は､さまざまな｢自然地名｣についてその位置も含めて詳細に習得しておくことが必須だ。
＜時間配分目安：７分弱＞
[５] ｢地図に関する選択肢設問｣(４択)。示されている｢地図｣についての説明で｢適当なもの｣を答える。
｢地図｣の｢中央｣には｢北海道｣の｢渡島半島｣から｢襟裳岬｣の｢東側｣までが｢右→左｣へと横たわり、｢右上｣には｢青森県の一部｣から｢岩手県北部｣が見て取れる。では、各選択肢の｢説明｣を正誤判別していく。
(ア)｢北海道と青森県･岩手県の一部が示されている｣⇒適切､
(イ)｢地図輪郭線Ａ～Ｄのうち､Ａの方向が北を指している｣⇒｢Ａ｣は｢上辺｣だが、｢地図｣はほぼ｢南北｣が逆転している＝不適切､
(ウ)｢国土地理院1/50,000地形図の図式で示されている｣⇒｢地形図｣とは｢地図記号｣などが記されていることは知っているはずで、この｢地図｣にそれらは記されていない＝不適切､
(エ)｢地図に示されている範囲は全て日本の領土と領海である｣⇒｢領土｣はともかく、｢領海｣は｢沿岸から12海里＝約22ｋｍ｣､どう見てもこの｢地図｣には｢排他的経済水域｣(沿岸から200海里＝約370ｋｍ)も含まれていることが分かるはず＝不適切｡
したがって、｢答え｣は(ア)だ。
尚、本校に限らず｢地形図｣は頻出なので、｢地図記号｣｢等高線｣などはしっかりと定着させておくことが肝要。
＜時間配分目安：１分弱＞
[６] ｢『都道府県庁所在地』どうしの『位置関係』についての選択肢および説明記述設問｣(全３問/５択と７択/｢字数指定なし｣で30字ほどの解答欄)。
全ての｢都道府県庁所在地｣の｢位置｣を｢経度･緯度｣で特定し、｢◆｣で示した｢図２｣に関する設問だ。｢◆｣の連なりで何となく｢日本列島｣が形作られている｢図｣になっている。
(１)では、都市名が示されている｢千葉｣｢金沢｣｢和歌山｣｢山口｣のうち､｢実際の位置より緯度１度分(約111ｋｍ)だけ高緯度側に表示されているもの｣を答える。
４都市だけが都市名が表示されているが、よく確認すると、｢金沢｣が｢福島｣(北緯38度のやや南)とほぼ同位置になっている。｢金沢｣は｢石川県｣で｢能登半島｣の付け根にあるのだから、さすがにおかしいと気づくはずだ。よって、｢答え｣は｢金沢｣の(ウ)だ。
(２)では｢都道府県庁間の距離が最も短い10.5ｋｍにあてはまるもの｣を答える。
各選択肢は、(ア)｢東京－さいたま｣､(イ)｢東京－横浜｣､(ウ)｢名古屋－岐阜｣､(エ)｢京都－大津｣､(オ)｢京都－奈良｣､(カ)｢大阪－奈良｣､(キ)｢大阪－神戸｣｡｢図２｣から、｢和歌山｣の｢北東｣側に２つの｢◆｣がほぼ重なっている部分があることが分かる。選択肢を絞り込んでいくと、｢答え｣は(エ)の｢京都－大津｣になる。
尚、｢都道府県庁間の距離｣は本校以外でもよく出題されるので、｢最長｣の｢札幌－那覇｣(約2243.8ｋｍ)とともに覚えておきたい。
(３)は、｢図２中の斜線で示された範囲に県庁所在地が存在しない理由を簡潔に説明する｣(｢30字ほど｣の解答欄)というもの｡
｢斜線｣は｢北緯36度｣をはさんでおり、｢千葉｣とほぼ同緯度で｢金沢｣の｢南南東辺り｣の範囲になっている。さあ、ここで、[１]の｢日本地図｣を利用したい。そこから、｢斜線部｣が｢岐阜県中部｣と｢長野県中部｣の県境付近だということが分かる。｢飛騨山脈｣や｢木曽山脈｣が連なっている地域だ。つまり、山岳地帯だ。であれば、もう分かったはずだ。たとえば、｢山岳地帯であり、大都市をつくるのに適した平野がないから｡｣といった｢答え｣になる。
本問の｢図｣は誰にとっても初見のはず。こうした問題に当たっては、決して焦ることなく、自らの知識に結びつけて考えていくことが肝要だ。
尚、他の小問であっても、参考になるものがあれば積極的に活用していくといった貪欲さを持つ必要がある。
＜時間配分目安：３問で２分半＞
【大問Ⅱ】｢歴史｣(｢年代整序｣｢説明記述｣あり)
- 難度：標準
- 時間配分：11分
弥生時代から昭和時代までのさまざまな｢旗｣に関するＡ～Ｈの資料(｢絵図｣｢写真｣など)と、それぞれの説明文あ～くからの出題。｢歴史｣の｢基礎的事項｣を問うものが多いが、｢時代特定｣や｢旧国名｣でやや難解な問題もある。それらを検証してみよう。
[１] ｢資料についての年代整序設問｣(複数完全解答)。｢資料のＡ～Ｄと最も関連する＜説明文＞をあ～くの中から選び、それを時代の古い順に並べ｣､あ～くの記号で答える。
先ずは、｢資料｣と｢説明文｣とを組み合わせ､｢時代｣を特定していきたい。
Ａの｢絵図｣には｢十字架｣と｢天使｣が描かれている⇒｢キリスト教｣に関連＝あ｢キリスト教信者の農民たちが一揆を起こした……｣⇒｢島原･天草一揆｣＝｢1637年｣で｢江戸時代｣｡
Ｂの｢絵図｣では子どもたちが｢日本｣｢ナチス･ドイツ｣｢イタリア｣の｢旗｣を振っている⇒き｢日本･ドイツ･イタリアが仲良し……｣⇒｢日独伊三国同盟｣＝｢1940年｣で｢昭和時代｣｡
Ｃの｢絵図｣は｢よろい･かぶと姿｣の武将たちが描かれており、陣に掲げられている｢旗｣には｢厭離穢土｣(えんりえど)の文字が見える⇒う｢東軍総大将の陣中の旗に『苦悩多い穢れたこの世界を厭い離れたい』という願いが書かれており……｣⇒｢東軍｣ということは｢東西両軍｣の｢天下分け目の戦い｣⇒｢関ヶ原の戦い｣＝｢1600年｣で｢江戸時代直前｣｡
Ｄの｢絵図｣では､山の上に組んだやぐらの上で男性が大きな旗を振っている⇒く｢旗を振ることにより､大阪堂島の米相場は、見通しの良い山から山へと伝わり……｣⇒｢大阪堂島｣の｢米市場｣＝｢江戸時代｣｡
｢江戸時代｣が２つあるが、｢島原･天草一揆｣は｢前期｣であり、｢米市場｣は｢米将軍｣の８代｢徳川吉宗｣と結びつくはず。
したがって、｢答え｣は｢う→あ→く→き｣になる。尚、｢年代整序｣では覚えているであろう｢年代｣の｢数字｣だけで｢整序｣をしないこと。ちょっとした｢数字の取り違い｣で間違ってしまうからだ。
尚、｢年代整序｣では覚えているであろう｢年代｣の｢数字｣だけで｢整序｣をしないこと。ちょっとした｢数字の取り違い｣で間違ってしまうからだ。
＜時間配分目安：１分＞
[２] ｢説明文に関連する不適切選択肢設問｣(４択)。＜説明文＞の Ｗ ～ Ｚ に関連する場所の｢旧国名として適切でないもの｣を答える。
各選択肢の正誤判別をしていく。
(ア)｢Ｗが豊前国｣⇒ Ｗ は＜説明文あ＞の｢一揆｣で､前問で｢島原･天草一揆｣と判明している＝｢島原｣(長崎県)･｢天草｣(熊本県)は｢肥前国｣･｢肥後国｣⇒不適切､｢豊前国｣は｢福岡県東部および大分県北部｣｡
(イ)｢Ｘが美濃国｣⇒＜説明文う＞の Ｘ は｢ある戦い｣で､前問から｢関ヶ原の戦い｣だと分かる＝｢関ヶ原｣は｢岐阜県｣にあり、｢美濃国｣⇒適切､
(ウ)｢Ｙが長門国｣⇒ Ｙ は＜説明文え＞の｢この戦い｣で､｢平氏が滅びました｣とあるので、｢壇ノ浦の戦い｣だと判断可能＝｢壇ノ浦｣(山口県)は｢長門国｣⇒適切､
(エ)｢Ｚが相模国｣⇒ Ｚ は＜説明文か＞の｢浦賀｣なので｢神奈川県｣＝｢相模国｣⇒適切｡
｢豊前国｣｢長門国｣などはやや特定が難しいかも知れないが、本校では｢旧国名｣が頻出なので、しっかりと定着させておかなければならない。
＜時間配分目安：30秒＞
[９] ｢下線部に関する選択肢設問｣(４択)。＜説明文く＞の下線部(５)｢神戸まで７分、岡山まで15分、広島まで40分足らずで伝わりました｣に関して、そのあまりの速さに｢幕府はある仕事を守るため旗振り通信禁止令を出した｣が、｢幕府が守ろうとした仕事｣を答える。
そんなことは分かるわけがないし、そもそも、｢旗振り通信禁止令｣なんて知る由もない。もちろんだ。そういうときは､何も考えずに先ずは選択肢を確認すること。
(ア)｢呉服商｣､(イ)｢飛脚｣､(ウ)｢火消｣､(エ)｢両替商｣となっている。どうだろうか？
＜説明文く＞は｢江戸時代｣だと[１]で判明しており、｢通信｣､つまりは｢情報伝達｣だと考えれば、｢飛脚｣以外にはならないはず。したがって、｢答え｣は(イ)｡
｢選択肢設問｣では選択肢そのものが大きな｢手がかり･ヒント｣だと心得よ。
＜時間配分目安：30秒＞
【大問Ⅲ】｢公民｣｢時事｣｢思考｣(｢自由論述｣あり)
- 難度：やや難
- 時間配分：14分
｢2017年は日本国憲法の施行から70年｣という｢時事ネタ｣を切り口とした､｢日本国憲法制定過程や現状のさまざまな動きに関するリード文｣からの出題。｢公民｣と｢時事｣が一体となっている出題構成は例年どおりだが、難易度は格段に下がっている。本年度こそ｢公民｣｢時事｣での得点を重ねていきたい。ただし、最後に初出の｢自由論述設問｣が待ち構えている。いくつかを検討する。
[１] ｢空所補充事項記述設問｣(全４問/｢数字｣および｢語句｣各２問/｢語句｣は｢８字｣と｢２字｣指定)。｢公民｣｢時事｣単元。｢リード文｣中の空所 あ ･ う に｢入る数｣と い (八字指定)･ え (二字指定)に｢入る語句｣をそれぞれ答える。
あ ･ う は誰もが即答できなくてはいけない。確認する。
｢2017年５月日本国憲法は施行から あ 年｣＝｢答え｣は｢70｣､
｢現行では、憲法改正のためには衆参両院で う 以上の賛成がなければ発議できない｣＝｢答え｣は｢２/３｣｡
そして、残りだ｡｢第９条で戦争を放棄し､……一般の国民に政治の決定権を持たせる……｡ い という､柱となる大きな目的を達成するために、上記の２つの柱があると言われています｣⇒｢上記の２つの柱｣であれば、｢戦争を放棄｣＝｢戦争放棄｣､｢国民に政治の決定権を持たせる｣＝｢国民主権｣だと判断できる。となれば、｢日本国憲法三大原則｣の｢もうひとつの柱｣が い になるはずだ。｢８字｣という｢字数指定｣にも合致するので、｢答え｣は｢基本的人権の尊重｣だ。
最後は、｢(日本国)憲法13条には え を追求する権利が明記されており｣⇒やや悩むか？ だが、｢追求｣とあるのだから、｢幸福追求権｣に結び付けたい。よって、｢答え｣は｢幸福｣だ。
これらを含め、｢日本国憲法｣の代表的な条文は確実に覚えておかなくてはならない。
＜時間配分目安：４問で１分半＞
[２(２)] ｢下線部に関連する選択肢設問｣(４択)。｢時事｣単元。｢リード文｣中の下線部①｢総選挙で選ばれた議員｣に関連して、｢2017年10月に実施された総選挙における、衆議院議員定数｣の｢説明｣で｢正しいもの｣を答える。
典型的な｢時事問題｣だ。｢公職選挙法｣は近年度々改正されており、各選択肢の｢数字｣も紛らわしいが、当然、｢細心の数字｣を知っていなくてはいけない。｢2017年10月｣の時点では無論、｢小選挙区289人､比例代表176人｣(合計465人)なので、｢答え｣は(エ)だ。
｢議員定数｣に関してはどこの学校でも定番だ。必ず、｢最新の定数｣を定着しておくこと。
尚、来年2019年には｢参議院議員選挙｣が実施される。2018年７月に｢定数改正｣がなされており、｢６増｣となったので要注意だ。
＜時間配分目安：30秒＞
[５] ｢下線部についての事項記述設問｣(｢４字｣指定)。｢公民｣単元。｢リード文｣中の下線部④｢(憲法とは)人々の人権を守るために、国王や国家といった強大な権力をコントロールするという考え｣について、｢このような考え方を何というか｣を｢四字｣で答える。
ここ数年来､｢時事問題｣としてさまざまな学校で出題されている事項なので、完全に｢公民単元｣のひとつとなっている。｢答え｣は｢立憲主義｣｡
｢立憲主義｣とは、｢国家権力を憲法によって規制しようという政治原則｣で、｢日本国憲法｣では第11条と第97条で、｢基本的人権｣を｢侵すことのできない永久の権利｣(＝永久不可侵)と定め、権力にしばりをかけている｡そうしたことを的確に理解しておきたい。
＜時間配分目安：30秒＞
[７] ｢下線部についての内容説明記述設問｣(｢字数指定｣なし、｢30字ほど｣の解答欄)。｢公民｣単元。｢リード文｣中の下線部⑥｢(憲法改正のためには)衆参両院で２/３以上の賛成がなければ発議できない｣について、｢発議｣の要件が｢特別多数決｣になっていることで｢どのような改正案になることが期待されていると考えられるか｣を説明する。
｢憲法は最高法規｣なので、容易くは変えられないようになっているということは誰でも知っているはず。が、｢どのような改正案になることが期待されているか｣と問われても､ピンとこないかも知れない。何か｢手がかり｣がほしい。そこで、改めて｢設問｣に着目する｡｢衆参両院で２/３以上の賛成｣ということは､｢改正案を提案する政党が与党であっても簡単には改正できないことを意味する｣と説明されている。｢与党｣(過半数の議席がある)でも｢簡単には改正できない｣ということは、｢野党｣の｢賛成｣も必要となってくる……と考えていきたい。
したがって、たとえば、｢考え方の違いを超えて、多くの人たちが受け入れられる改正案｡｣といった｢答え｣になる。
｢手がかり･ヒント｣はあらゆるところに潜んでいると心得、貪欲に探すことが肝要だ。
＜時間配分目安：１分半＞
[11] ｢下線部についての自由論述設問｣(｢字数指定｣なし、｢30字ほど｣の解答欄)。｢思考｣問題。｢リード文｣中の下線部⑩｢憲法を時代に合ったものに変えていくべきなのか、今の社会を憲法が目指すかたちに近づけるのか｣について、(Ａ)｢憲法を時代に合ったものに変えていくか｣､(Ｂ)｢今の社会を憲法が目指してきたかたちに近づけるか｣､｢あなたの考えはどちらにより近いか｣を答えた上で、｢その理由｣を説明する。
｢自由論述｣なので無論、(Ａ)(Ｂ)どちらの立場でも構わない。しっかりと｢思考｣し、｢判断｣して､｢自らの考え｣を｢表現｣することが肝要だ。その際、それぞれの立場でいかに｢説得力｣のある｢理由説明｣ができるかがポイントとなる。
たとえば､(Ａ)であれば｢時代の変化によって、新たな状況に対応できなくなることもあるから｡｣､(Ｂ)であれば｢最高法規である憲法が目指す社会の実現を先ずは優先すべきだから｡｣などといった｢答え｣となる。
2020年度に向けて、来年度以降もこうした出題が当然予想されるので、さまざまな｢出来事｣や｢事柄｣に関して、常に｢自分の考え｣をまとめておくことが必要になる。
＜時間配分目安：２分半＞
攻略のポイント
●｢誰も知るはずがない｣といったものが出題される。どう対処するか？ あきらめるのではなく、視点変換して｢自分の土俵｣に持ち込むことが重要な攻略ポイントだ。そうした問題には、必ずどこかに｢手がかり｣｢ヒント｣が隠されている。｢リード文｣｢設問文｣や｢設問条件｣、｢設問どうしの関連｣等々、それらと｢自らの知識｣を多角的に結びつけて考察することで絶対に解くことができる。｢多角的思考｣ができるよう、十分に訓練しておきたい。
●｢時事問題の攻略｣も重要。入試前年の９月くらいから過去１年間程度の｢時事ネタ｣は、細大漏らさず確実に整理して覚えておく必要がある。さらに、それらに関連する｢あらゆる事項(知識)｣も全て復習すること。日々の｢新聞｣の確認は不可欠だ。毎日全て読めなくても、｢見出し｣｢リード｣は必ずチェックして、知らない｢ネタ｣は｢スクラップ｣しておくこと。
●｢合格ライン｣は６割弱(過去６年間平均の｢合格者平均得点率｣は59.4%、本年度は昨年度に引き続き下降して56.4%)、当然、｢戦術｣は必要だ。基本は｢取れる問題を確実に押さえる｣ことだ。逆にいえば｢取れそうにない問題は潔く捨てる｣という覚悟も求められる。もちろん｢単純ミス｣は絶対にしてはいけない。
●｢地理｣では｢自然地名｣､｢地図｣｢地形図｣｢統計資料｣、｢歴史｣では｢歴史史料(｢図版｣含む)｣｢写真｣、｢時事｣では｢図版｣｢人物写真｣などがよく出題されるので、確実に覚え、繰り返し確認しておくこと。もちろん、｢統計資料｣は必ず最新版を使いたい。テキストとしては｢日本のすがた｣(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。
●本年度初出の｢自由論述設問｣への対策も不可欠だ。前述のように、常日頃から色々な｢ニュース｣にアンテナを張り、自ら｢思考｣し｢判断｣して｢表現｣する練習を積み重ねておきたい。そして、実際に｢論述｣したものを｢持ちネタ｣としてストックしておくこと。
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リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。