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開成高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「開成高等学校の数学」
攻略のための学習方法

全体的に全く手が付けられないという問題という訳ではない。
1年間における受験勉強の流れを概観する。

夏までの時期には、標準問題の徹底した演習が不可欠である。夏は、受験生にとって大事な時期であり、翌年の受験の合否を決定すると言っても過言ではない、まさに受験勉強の『天王山』である。この時期(夏)から全国レベルの難関校の数学の入試問題に挑戦して欲しい。夏の時期にしっかりとした基礎力と応用力を身に付けることに専念すること。

そのような『学力』を確実に習得することが、秋以降本番入試までの確かな実戦力を着実にする唯一の方法であることを認識して欲しい。そのためには、何をどうすればよいのかについて、具体的に分野を絞って以下に見てみたいと思う。

(1)数の性質に関する問題には要注意である。

小数点第2位を四捨五入して、というような条件を与えられた場合に、不等式を用いて式を立て、設問が求めている解答を導き出す訳である。

その際にも、闇雲に思考を進めては時間のロスは否めない。適正な方向性をもって論理を組み立てられるかどうかは、どの問題においても必須な要件であり、その部分がぶれていては、自分で『素晴らしいアイデア』だと自画自賛したところで、それは単なる思い付きに過ぎず正解にはたどり着けないだろう。

また、数の性質、特に整数解を求める不定方程式などの問題にも十分慣れておくように。

(2)関数の問題は必ず出題される。

放物線と直線、つまり2次関数と1次関数の融合問題は得意分野となるまで徹底的に演習を重ねて欲しい。この分野の問題は、特定の高校という訳ではなく、高校受験の数学においては必須分野である。何故か。それはこの融合問題によって、中学数学のほぼ全分野の知識とその理解とが確認できるからである。2~3点具体例を挙げてみる。

第一に、放物線と直線の交点の座標に関連した問題である。
その交点のx座標は、放物線と直線との連立方程式(つまりxに関する2次方程式の解)となる。その際、単純に解の公式を用いてxの解除を求めるというのではなく、その後の問題展開を考慮して『解と係数の関係』を用いた方が、端的にかつ確実に正解を求められる場合がある。

第二に、放物線と直線との2交点を用いて特定の図形(三角形の場合が多いが)と面積が同じになる、又は2倍、3倍となる場合における2交点以外の放物線上の第3点目の座標を求める問題も要注意である。

様々な解法はあるが、基本的には『等積変形』の考え方を如何に効率よく設問に当てはめていくか、ここがポイントである。
また、上記2交点と特定の条件を付与された動点Pによって出来上がる図形におけるxとyの関係を基まさせる問題、いわゆる『軌跡』に関しても事前準備はしっかりやっておくこと。

第三に、『格子点(x、y座標の値が整数値)』に関してもその特性を自在に扱えるようにしておかなければならない。
平面座標から格子点の個数を具体的に数えさせたり、文字を使って抽象的に条件を与えられ、格子点の数を所与の文字を使って表現させたりする出題も可能である。

第四に、確率の問題にも拡張できる。
例えば、点Pが原点をスタート地点としてサイコロを振り(振るサイコロは1個とは限らず、複数の場合もあり得る)、5回までは偶数目はx軸方向へ、奇数目はy軸方向へ進み、6回~10回目までは、偶数目はx軸方向と逆へ、奇数目はy軸方向と逆へ進みとして、最終的に点Pが再び原点に戻ってくる確率を求める問題などにも慣れておく必要がある。

以上、概観したように、放物線と直線との融合問題には数量編は当然のこととして、幾何・確率の分野までも出題可能なのである。ここに、この分野が高校入試において必ず出題される理由がある。

(3)立体図形(空間図形)に関する問題も繰り返し演習を行っておくこと。

立体図形の切り口を扱う問題は得意として欲しい。この問題は基本的には立方体を使う場合が多いが、原則的に同一平面に存在する2点を結ぶ作業を行い、次に対面に対し平行に直線を引くという手順で進めてゆくと手際よく切り口の形が見えてくる。その結果得られた『平面図形』において、三平方の定理・合同・相似・点対称移動などの考えたかを用いて解答する問題形式となる。

また、空間という三次元の世界を紙という二次元の思考の中で考えるために、有効な手段を示して置く。『立体を三方向からイメージする』ということである。三方面とは、『真上・真正面・真横』である。これらの方向からのイメージを頭の中で一つの立体として完成させ、できれば回転させたり斜めにしたりできるような想像力を逞しくする訓練を積んで欲しい。

そのためには、コンピュータ・グラフィックなどを実際に自分の目で見てみることも大事である。

(4)最後に規則性の問題も重要である。

規則性には様々な出題形式があるが、数列の場合を考えてみると、第n項の値をnを用いて数式化する訓練をしっかりつけること。項数との関係性も重要なファクターである。数列以外にも、規則性の問題は限りなく存在するので様々な問題形式に触れておくように。

総括として一言。参考書や問題集には、特殊な受験テクニカルな公式が掲載されている場合が多いが、大事なことはその公式を丸暗記して目の前の問題の数値を当てはめて答えを出すのではなく、一度自分でその公式がどのようなプロセスで導き出されたのかを検証することである。

公式はあくまで結果であって、大切なことはその結果に至る過程(プロセス)でどのような『考え方』を用いたかであることを忘れないでほしい。

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2018年度「開成高等学校の数学」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

【大問1】(1)数の計算<1分>、(2)因数分解<2分>、(3)連立方程式<3分>。

大問2】関数問題。
(1)座標を求める問題<1分>、(2)直線の式<3分>、(3)線分比<4分>、(4)面積比<4分>。

【大問3】整数に関する問題。
(1)素数の指数問題<2分>、(2)素数の指数応用問題<5分>、(3)素数の指数と自然数<6分>、(4)条件を満足する自然数<6分>。

【大問4】空間図形問題。
(1)体積問題<4分>、(2)長さと角度<6分>、(3)三角形の面積<8分>、(4)長さの問題<7分>。

【大問1】独立小問題

  • 時間配分:

どれも標準問題である。

(1)和の計算問題。まともに計算を行っては時間のロス。共通因子をくくる。<1分>

(2)因数分解。一つの文字に着目すること。<3分>

(3)連立方程式の問題。分母にあるx、yを手際よく払うこと。<3分>

【大問2】関数に関する問題

  • 時間配分:

2次関数(放物線)と1次関数(直線)の融合問題。

(1)直線ABの傾きが1であることがわかっているので、直線ABの式は、y=x+bとおける。A(-2,4)を通ることより、bは容易に判明する。<1分>

(2)直線AD、直線BEの式を求める問題であるが、4点の座標はおのおのわかっているので基本中の基本問題である。計算ミスをしないように。<3分>

(3)線分の長さの比を求める問題であるが、あわてずに線分の比が各点のⅹ座標の差であることを手がかりに、落ち着いて計算すれば完答できる。<4分>

(4)面積比を求める問題。相似比の2乗が面積比になることを利用する。標準問題である。<4分>

【大問3】数と式に関係した整数性質問題

  • 時間配分:

新傾向の問題であるが、問題文を迅速に読み、内容を理解して手際よく答えること。

(1)《n!》がどのような約束事項で計算するかをしっかり把握すること。6!=24×32×5なので、《6!》=4となる。このことを手掛かりに答えを導く。<2分>

(2)《212!》は、1~212の中に、2が何個含まれているかを考える。<5分>

(3)素数2の指数が212になる自然数を考えること。<6分>

(4)条件を満たす自然数を求める問題。規則性を論理的に積み上げて正解を導く。<6分>

【大問4】空間図形(正四角錐)に関する問題

  • 時間配分:

(1)三平方の定理を用いて体積を求める問題。四角錐P-ABCDが正四角錐であることをヒントに、Pから底面ABCDに垂線を下ろす。<4分>

(2)△ABQは正三角形であり、四角形ABCDは正方形であることより、∠AQB=60〇とわかる。<6分>

(3)特別な直角三角形を手掛かりに、斜線部の八角形は8個の合同な三角形に分割される。<8分>

(4)与えられた図形から正解へたどり着ける図形を見つけ出すこと。補助線を活用することが大切である。<7分>

攻略のポイント

標準問題から柔軟な発想とイメージコントロールを要求される設問まで、多種多様な問題設定である。全く手が付けられないという問題はないであろうが、限られた時間の中で手際よく正解を導くためには、相当な演習量をこなし発想力や着眼点を最高に磨かなければならない。

演習問題のレベルは、全国最難関校以上の過去問題である。様々なジャンルの複合問題にも対応できるように、そのような問題演習を万遍なく行っておきたい。

特に、図形問題や整数の性質問題などのような事象の本質的領域に関わるような発想ができるかどうかが正答を導けるか否かのカギである。図形問題では、空間における複眼的な見方の練習をしっかり行うこと。

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