お茶の水女子大附属高等学校 入試対策
2018年度「お茶の水女子大附属高等学校の数学」
攻略のための学習方法
極めて標準的な問題である。特別なアイデアや方法論は必要ない。ただし、標準的な問題演習をどれぐらい自分の頭で考え抜いたかが大事になってくる。少し解いてみて考えがまとまらず、その後の方針が立てられないときに、安易に解答を見るのではなく最後までとことん考え抜くこと(仮に正解が出なくとも構わない)が大事である。
数量編では、因数分解(標準以上のレベル)はしっかり行っておくこと。因数分解は、単に「因数分解」のジャンルにとどまらず、あらゆる分野(図形編も含め)に有用な考え方であるからである。つまり、平面図形の求積において、放物線と直線の連立方程式から交点の座標を求め、与えられた図形の面積を求める際に、因数分解を用いると手際よく短時間で正確に正解が求められる。高校数学において、全ての分野での計算の演習速度を高めるためにも因数分解は基礎力となるので、しっかり押さえておいて欲しい。
また、1次関数と2次関数は必ず出題されると考えて、あらゆる出題パターンを演習するように。
新傾向としては、平面座標と2つの円の共通接線や今年度も出題されたが、放物線が直線できられた場合の線分比なども十分練習をしておくように。
平面図形・空間図形共に、三平方の定理や円に関する定理(接弦定理、方べきの定理、円周角と中心角等)をしっかり図形の問題に的確にあてはめることができるかが大切である。
また、場合の数と確率は必ず標準以上からハイレベルの問題を演習するように。確率の問題も単純に「サイコロを転がして出た目に関する場合の数や確率」などの基本問題ではなく、サイコロの出た目の数だけ図形上の点が動く、という条件を考慮した問題。
その他には、新傾向の問題にも注目である。整数に関する問題。これは、整数の特性を考えさせる問題である。その際に、2つの整数mとnが「互いに素である」ことの概念をしっかり理解し、正解へ向けどのようにその考え方と原理をあてはめるかを考えられるようにしておくこと。さらに、「互いに素」であることを前提として、最大公約数・最小公倍数の求め方の仕組みをキチンと理解するように。
お茶の水女子大附属高校が入学して欲しい生徒の思考過程として、単に公式を暗記して数値を公式にはめ込むだけでよしとする思考ではなく、公式や原理・定理をその成り立ちを自分で理解するスタンスで問題の解法に取り組んでもらいたい。そのような作業を繰り返すことによって「論理的思考に根差した学力」を養成する知性が要請される。
また、「動く図形」も押さえておきたい。例えば、立体の表面上をすべらずに一定の速さで決まった方向に移動する2つの立体のある時間(=T)における3つの立体の表面上の各1点を結んでできる新たな立体の体積を求める問題なども事前にチェックしておきたい。参考までに、その様な「新傾向問題」を演習してみようと思っている受験生は、『高校への数学「新作問題ベスト演習」』(東京出版)で「論理的思考力」を養って欲しい。
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2018年度「お茶の水女子大附属高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は独立小問題である<6分>。正確で迅速な計算力を培うこと。
大問2は2次関数と1関数の融合問題<8分>。辺の長さの比に関する応用問題である。
大問3は連立方程式に関する応用問題である<9分>。
大問4は平面図形(正三角形)に関する問題である<15分>。
大問5は空間図形(正八面体)に関する問題である<12分>。
【大問1】小問集合問題
- 時間配分:
正確で迅速な計算力が求められる。基本問題であるので完答したい。
(1)2次方程式の問題である<1分>。1分もかからずに正解を導くこと。
(2)式の値の問題である<2分>。分母の有理化を手際よく行うこと。
(3)図形の角度の問題である<2分>。円周角に関する問題である。基本問題ではあるのでしっかり得点したい。
(4)確立に関する問題である<1分>。基本問題であり、教科書レベルの問題である。落とせない問題である。
【大問2】2次関数(放物線)と1次関数(直線)に関する融合問題
- 時間配分:
出題傾向としては、必ず出題されると考えて事前準備は十分に行うこと。
(1)x座標を求める問題である<1分>。どんな問題集にも掲載されているような問題である。
(2)三角形の面積を問題である<2分>。△OABの面積について辺ABを底辺と考えて面積を求める。
(3)x座標を求める問題である<5分>。等積変形の考え方を持ち込み、平行線と放物線の交点を考えて条件に合う点の座標を全て求める。
【大問3】連立方程式に関する応用問題
- 時間配分:
今日の妹の年齢をx、父の年齢をyとして、条件にある連立方程式を考えること。
日本文を熟読し、正確かつ迅速に式を立てること。<9分>
【大問4】平面図形(正三角形)に関する問題
- 時間配分:
(1)動点が動いた長さに関する問題である<6分>。
正三角形が与えられた直線の上を滑らずに回転した場合、指定された点が動いた長さを求める問題であるが、正三角形がどのような動きをするかをしっかりイメージすること。
(2)辺の中点が移動した距離を求める問題<9分>。
指定された点Mの動きを確実に捉えること。回転するときの点の移動の仕方をイメージしながら、求める長さを計算すること。
【大問5】空間図形(正八面体)に関する空間図形の問題
- 時間配分:
方針を正確かつ迅速に立てないと時間切れになってしまう。
(1)作図の問題<2分>。
正三角形の中心を求める問題であり、作図の問題である。正三角形の中心とは、正三角形の五心のうちのどれに該当するのかを考えること。内心・外心・重心は、正三角形であるのですべて一致。
(2)正八面体に関する応用問題である<4分>。
①辺の長さと立体の体積を求める問題である。正八面体の各面の中心を頂点とする立体に着目して体積を求める<4分>。
②四面体ABCDはどの立体からどの立体をひいた立体であるかを考えること。その発想が確実に理解できれば、正解への道のりはそれほど難しくはない。
攻略のポイント
全く歯が立たない問題だけという訳ではない。つまり、難問・奇問の類は出題されない。基本的事項を応用問題にどのように適用するかがポイント。その際に、求められる力は「計算力」と「着眼力」である。
計算力は全ての問題で求められる力。着眼力とは、問題を解くうえでの見通し、方針の立て方である。問題を見た瞬間に、正解を導くための道筋が見えなければならない。この方針の立て方を見誤ることに起因する時間のロスは、本番入試では修復不能になる。その着眼点を養うためには、「良問を大量に解く」ということに尽きる。