広尾学園高等学校 入試対策
2018年度「広尾学園高等学校の国語」
攻略のための学習方法
現代文の読解
例年、論説文が2つ出されている。文学的文章の出題はない。字数は総計7000~9000字前後。高校生レベルの文章で受験生にとってはやや難しい。
設問形式は計28問中、言語事項などを除いて、選択式9問・書き抜き4問・記述3問(2018年度)。記述はいずれも70~80字ほどの長文記述になっていて難しい。
記述問題
字数が多いので、かなり練習を積んでおかないと試験本番で混乱し、うまくまとめられない事態が懸念される。本校の長文読解は論説文だけなので、論理的文章を指定された字数で要約する訓練が必要ということになる。
おおよそは20~30字でひとつの事柄がまとまり、50~60で大きなまとまりを形成すると考えれば、使う部分を整理しやすいだろう。20~30字ほどで重要点を抜き出しておき、設問の指定にそって組み合わせて答えとするのである。
まずは長文読解の基本どおりに問題をこなしていこう。形式段落→意味段落の整理(その際、意味段落の内容をタイトルとしてつけてしまうとわかりやすい)・段落ごとのつながり・各段落の最初と最後に特に注意しながら要点と細部の区別・それらをまとめて要旨・要約へといたる。
記述問題はまとめる内容が整理できていないと何回も書き直して時間切れになる恐れがある。素材文を読みながら印・傍線で重要点を目立つようにしておき、関連する事柄は線で結んでおくなどすれば解答の際に役立つだろう。同程度の文量の問題を多くこなし、60字や120字くらいで要約する練習を繰り返して十分に慣れておきたい。
選択肢問題
素材文が難しめなので選択肢の文も難しくなってしまうが、内容自体は迷わせるような微妙なものは少なく、選びやすくはなっている。本文をしっかり理解できていれば得点源にできるだろう。
古文
600~800字ほどの素材文で例年4~5問の出題となっている。配点は2割ほどあるので無視はできない。
現代語訳はつかないが、難しい単語の注はついている。内容も古文の中では比較的やさしい、現代人にもわかりやすい文が使われている場合も多く、難易度は配慮されている。
とはいえ、学校でさっとなぞっただけの古文の学習では足りない。最重要単語や基本文法を頭にいれ、高校生初級レベルの古文の教材で勉強しておこう。古文に頭を慣らしておくだけでも、得点につながるはずである。
漢字
言語事項などの知識問題はあまり出題されない。漢字の読み4問・書き6問という形でほぼ定着している。読み書きともに難しい漢字も出されているので、中級程度の漢字をマスターし、できれば上級レベルまで手を伸ばしておきたい。
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2018年度「広尾学園高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2問の論説文読解で8400字・古文640字の計9000字ほどの文量で、総解答数は28問。
2問の長文記述は難易度も高く計10分ほどは取られそうである。どうしても時間が足りなければ1問は諦めるのも作戦であろう。
漢字10問は3分程度でさっさと済ませ、選択肢の問題を全てこなしてから、記述問題に時間いっぱい取り組む。
【大問1】漢字の読み書き
- 時間配分:3分
問一 ①相伴(しょうばん)――食事などのもてなしを受けること。
③漸減(ざんげん)――徐々に減ること。
④竜頭蛇尾(りゅうとうだび)――初めの勢いを失い、終わりが振るわないこと。
問二 ①縦横無尽――自由自在・思いのままにすること。
②刷新――手直しして、新しくすること。
④絶句――言葉に詰まること。
【大問2】論説文の読解
- 時間配分:18分
スマートホンの普及で人が得たものと脅かされたものとを論じている。
問一 「いつでもどこでも『世界』を自分の前に開くことができる」も間違いではないが、「悦楽」の意味も含
んだ良い部分が少し後にあるので、そちらを抜き出す。筆者自身がそれは「悦楽」だと言っている。
問二 同じ段落内の、「一定の手続き」「姿勢の変更」「意識の変更」などが必要なくなったことを指してい
る。
問三 「では、どうなれば~」で始まる段落に書いてある。「特に驚くべきことでもない」「魅了されることで
もない」「あたりまえ」だという意識をもつことが必要だと述べている。魅力に酔ったような状態から抜
け出して冷静になろう、ということであろう。
問四 「具体的に」と指定があるので、「ゲームの仮想的な空間や現実に浸食され」の部分をポケモンGOで遊
ぶことと、具体的に言い換えればよいだろう。
問五 真偽の判断もできないくらいの圧倒的な質と量の情報がなだれ込んでくる様を「底知れない」と表現して
いる。
問七 鈴木氏の見解に賛同したうえで、さらに筆者の意見を付け加えているので、アが適当である。
【大問3】論説的随筆文の読解
- 時間配分:20分
芥川龍之介作『蜜柑』について、「語り手」と「作中人物・私」と「作家」の関係について説明している。
問一 「語ること」は「情報提供者が大」な状態で、「示すこと」は「情報が大」である状態である。あとは公
式に当てはめればよい。
問二 イ・ウは表現は違うが同じことを言っており、文中で述べられている。アも直喩を使っていることで説明
されている。ウはどこにも書かれていないので×。
問五 比喩とは「現実はそうではない」という意味でもある。「まるで別人のように」ということは「現実には
別人ではない」ことをも表しているのである。
問六 小説には読者にストーリーを伝える「語り手」が必ず存在する。それは作者が創造したものである。1人
称小説では「語り手」=「主人公・私」となるが、「作者」=「私」は誤解である。間に必ず「語り手」
が存在するのが小説の必須構造だからである。
問七 「降って来た」は蜜柑を受け取った子供たちの視点であり、もともと「私」の外にいた「語り手」ではあ
るが、さすがに子供に同化してしまうのは行き過ぎである。
【大問4】古文の読解
- 時間配分:9分
盗人の取った意外な行動が、家の主人を感心させる。
問一 「一両日食物絶えて」も良さそうだが、もっとはっきりした「飢ゑに堪えずして」があるので、こちらが
いい。
問二 「すべては盗らなかった」→もともと儲けるための盗みではなかった。
問三 「何とか思ひたりけん」はその直後の「つかみ食ひて後、~置きて帰りけり」にかかっている。「何を
思ったのか、灰をつかんで食った後、盗んだものを元通りに置いて帰ってしまった」。なぜ盗まずに帰っ
たのか? 空腹に耐えかねて盗みに入ったが「灰を食べても易くなほり候ひけり(たとえ灰でも食べれば
飢えが治まり、悪い考えもおきなくなった)」のである。
問四 空腹に耐えかねて盗みに入ったが、灰を食べて一応は飢えが治まると、ものを盗む必要が無いことに気づ
き、何も盗らずに帰ろうとした。その悪気の無さにあるじは感心したのだと思われる。
攻略のポイント
長文読解と記述対策が焦点であろう。
論説文の読解なので、論理の流れを把握して要約する力をつけることが目標となる。
記述は100字超の問題も出されるので、同程度の字数の問題を多くこなし、字数の感覚を得ておく。自然科学・人文科学などの論理的文章を読みながら要点に印をつけるなど、普段の読書も練習に組み込むことをお薦めする。
古文はやはり頭を慣らしておくことが大事なので、中学の教科書だけでなく、高校の教材を使って少しでも多くの古典に触れておくと良いだろう。