「自給」をキーワードにして、「外国から安く輸入できる農産物は輸入し、農業以外の産業を発展させるという考え方が、農家と国家の食料自給率衰退につながった」と述べている。「社会」の「知識」も活用でき、内容は分かりやすいはずだ。「以下、いくつかの「設問」を検証してみたい。

[問1]  「理由説明記述」
傍線部①について、どうして「無用のもの」になったかを答える問題。「理由説明」で重要なことは、「直接的理由」(傍線部の「結果」に直結する「理由」)を「重要ポイント」(得点に結びつくもの)を「文末」にしてまとめ(「重要ポイント」は「文末」とすること)、その他の「間接的理由」を積み上げていく(「記述」は「積上げ方式」が大原則)ということだ。ここでは、「Ａ」だから⇒「無用」と直接的に結びつくことが必要。「Ａ」の内容を考える。傍線部直後に「輸入された竹籠」が「驚くぐらい安い価格で売られているので」とある。これだ！ とすぐに飛びついてはいけない。「直接的理由」として成立するかを確認する。「安い」から⇒「無用」となるか？ 無論ならない。次に進むと「今さら竹細工でもあるまいとみんなが思っています」となっている。ここはどうか。「今さら竹細工でもあるまい」＝「今さら竹細工は必要ないだろう」ということだ。「必要ない」から⇒「無用」、直結する。まさに「直接的理由」だ。これを「文末」として、「安い」ことは「間接的理由」なので積み上げてまとめていく。「字数制限なし」なので「過不足なく」を心がけること。難易度：Ｂ(「標準」。以下同じ)。
＜時間配分目安:4分＞
 
[問3] 「条件付き内容説明記述」
傍線部③について、「同じようなこと」の内容を答える問題。「条件」は「直前の段落中の表現」を使うこと。先ずは傍線部の「原意」に着目する(「原意絶対優位の原則」＝「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。「同じ」⇒何と何が？傍線部③は段落冒頭なので、前段落と傍線部段落が「同じ」となる。「条件」は「ヒント」でもあったのだ。次に、両段落に共通する内容を考える。「自給する(弁当をつくる)時間」より「働きに出た(生産する)時間」の方が「収入(おカネ)になる」となる。あとは、「直前の段落中の表現」(＝「自給」「収入」)を使ってまとめればいい。「字数制限なし」なので「過不足なく」を心がけること。難易度：Ｂ。
＜時間配分目安： 5分＞

[問4] 「条件付き内容説明抜き出し」
傍線部④について、「日本の農業政策の目的」を答える問題。「条件」は「～という目的。」に続くようにすること(十五字以上二十字以内)。「抜き出し問題」では、先ず「抜き出す内容」を確定する。明白だ。「日本の農業政策の目的」の「内容」だ。次に、「抜き出しの可能性」のある範囲を絞り込む(「抜き出し問題」では「範囲の絞り込み」がとても重要)。「論説文」(説明文)での原則は「段落相互関係」からの絞り込み」となる。傍線部以前の段落は「具体例」なので外す。以降も「具体例」が続き、３段落目が「つまり」で始まる「一般論」の「まとめ」となっているので(「段落相互関係」の確認では「段落冒頭」に着目する)、ここからが候補となる範囲だ。次の段落は「これは」と指示語で始まっているので、ここも候補。本文最後の２つの段落という狭い範囲なので、すぐ分かるはずだ。最終段落の初めに「農業以外の産業に労働力を供給するための日本政府の政策」とある。「～するため」は「目的」なので、この部分が答えとなる。難易度：Ｂ。
＜時間配分目安： 4分＞

「両親を亡くした少年オリヴィエが初めて父母の故郷ソーグに行き、ひと夏を過ごす」物語。本文は「夏休みの終わりの頃」から始まっている。「外国作品」は「登場人物」「情景」等、読みづらく分かりづらいものが多いので、注意したい。「前説」(「本文」の前にある説明)や最後の「注」をしっかりと確認してほしい。以下、いくつかの「設問」を検討してみる。

[問3] 「心情説明記述」
傍線部③(「別れの場面」)でのオリヴィエの気持ちを答える。先ずは、傍線部の「原意」に着目(「原意絶対優位の原則」)して、「心情」を読み取る。「笑顔をつくりながら、土地言葉で『またね！』と言った」とある。誰に対してか？ 直前から「祖母」だと分かる。なぜ「笑顔をつくりながら」なのか？ 「祖母」の「青い瞳から」「涙が」「流れ落ちた」からだ。つまり、この「笑顔」は「悲しんでいる祖母」を「安心させたい」という「心情」だ。「土地言葉」はどのような「心情」とつながるのか？ ちょいと難しい。その土地(祖母そして父母の故郷)に対する「愛着」だと結びつけたい。そして、「またね！」、無論「また来たい」ということだ。以上をまとめればいい。当然、「祖母を安心させたい」という要素が最も「重要なポイント」となるので、「文末」にすること。「字数制限なし」なので「過不足なく」を心がけること。難易度：Ｃ(「難解」。以下同じ)。
＜時間配分目安： 7分＞
 
[問4] 「指示語の説明記述」
傍線部④「あのおばあちゃんが……。」について、「あの」とは「祖母のどのような様子」なのかを答える問題。設問を正確に理解しないと考えられない。確かに「指示語問題」ではあるが、そう単純ではない。傍線部は「……」で終わっている。何が続くのか？ 直前のセリフ「泣いてみせたね」から分かるはずだ。「あのおばあちゃんが『泣いた』」ということだ。そうなると、傍線部の表現からは「泣いたおばあちゃん」は「意外」であり「いつもとは違う」といったことを読み取るべきだとなる。大丈夫だろうか？ 丁寧に読み取る必要がある。つまり、ここでの「あの」という「連体詞」は、特定の部分を指し示している単なる「指示語」ではないということだ。「あの」は、「泣いた」ことが「意外」に思えるような「いつもの」といった内容を指し示しているのだ。ここまで分かれば、あとは祖母の「いつもの様子」を、直前を手がかり(「小説は直前直後に根拠あり」が原則)にしてまとめるだけだ。「初めて」「自分から」「歩み寄った」、「不器用なキス」、「いつもは」「硬く光っている」「青い瞳」等が根拠となる。そこから「感情をあまり直接的に表現しない」「冷静な」といった「様子」につながるはずだ。「20字制限」なので簡潔にまとめること。難易度：Ｃ。
  ＜時間配分目安： 8分＞

さほど難しくはない。栄光志望者にはこの程度は習得しておいてもらいたいものばかりだ。よく出題され、間違いやすいものを強いて挙げれば、①「ハイシャク」(＝「拝借」)、⑤「チュウセイ」(＝「忠誠」)、⑥「サイゲン」(＝「際限」)、⑮「ソらす」(＝「反(らす)」)等だ。しっかりと覚えておくこと。難易度：Ｂ。