桐朋中学校 入試対策
2019年度「桐朋中学校の社会」
攻略のための学習方法
[傾向]
試験時間30分で、大問が3つに総解答数30前後という構成。
ここ数年は大問1・2・3がそれぞれ歴史分野・政治分野・地理分野の問題と、3つの分野が決まった形式でバランス良く出題されている。記号選択と用語記入が大部分で、字数指定の無い4~5行程度の記述問題が2問含まれるという形も毎年変わりない。
基本レベルの知識を問う問題が中心で、オーソドックスな試験と言える。
[地理分野]
日本の国土・地勢・各地の産業に加えて、日本と関わりの深い国々の問題も見られる。
地図や資料を使った問題やグラフの読み取りもよく出されている。
基礎的な知識を問う問題が多いが、この地理分野では、「○○の第2位と第3位の県」というような、1位を覚えているだけでは答えられない質問や、人口100万人以上の都市についての問題(平成25年度)なども出され、細かい知識を訊かれることもある。地図帳・白地図で地名や地形等の基本的な事柄や位置を確認しながら、資料集で産業や経済のデータを億劫がらずに第3位まで暗記するなど、丁寧に取り組みたい。
また、ヨーロッパ・アジア・中東地域など、日本とつながりのある国や地域についてもしばしば出題されるので、こちらも地図や資料集で位置や基本的なデータは頭に入れておくようにする。
[歴史分野]
各時代から幅広く出題されている。
基礎的な知識で答えられる問題がほとんどで、漢字で書きづらい難しい人物名なども出されていない。
政治史・文化史といった一つのテーマに沿った出題が多く見られるので、年表で各分野の流れを整理しておくと良い。資料もよく使われるので、資料集で図版などもよく見ておく。
ここしばらく、2問の記述問題の内、1問がこの分野で出されるパターンが続いている。
歴史上の出来事や重要語句について説明させるような内容で、テーマについて考えを述べるような論述問題ではない。歴史の基礎的な知識が定着していれば、十分解答できるレベルである。
記述と訊くと難しいと思いがちだが、自分の知識をまとめれば答えられる問題であり、字数の細かい指定もないので比較的書きやすい形式でもある。苦手意識を持たず、しっかり答えて欲しい。
[政治分野]
日本国憲法・三権の仕組みなどの基本をしっかり頭に入れておけば特に困らない。
この分野と関連づけて時事問題が出されるので注意する。
そして、2問の記述の内、もう一問がこの分野で出題される。
こちらは歴史分野と少し違っていて、「社会の問題点を、統計などの特徴から読み取らせる」といった内容が多く、少し難しくなっている。
ただし、これもよく話題になる事柄が多く、テキストや副教材にも解説が載っている場合も多いので、初めて聞いたなどということにはならないだろう。記述用の問題集を使っての練習も有効である。
[まとめ]
男子上位校の割に、社会の問題は素直で基本的な出題傾向となっている。
難問集などは必要無いので、テキスト・副教材を丁寧に学習して基本をしっかり身につけるべきである。
地図帳や白地図で名前や位置、地域の特色なども整理しておく。
並べ替えの問題など、一般に難しいとされる形式の出題もあるが、先で述べた記述問題の場合と同じく、基本的には十分な基礎知識があれば答えられるような問題となっている。
とにかく、特別変わった対策は要らないので、基本事項とその周辺知識は弱点を作らずしっかりマスターするということを心がけて欲しい。合格者平均点も高めとなっているので、不用意なミスをしないよう、落ち着いて試験を受けられる精神力も身につけておきたい。
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2019年度「桐朋中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数39問で時間は30分。リード文はさほど長くない。
50字ほどの解答欄でまとめる記述2問に5~7分程度の時間を取って、残りは迷わずてきぱき答えていこう。
記述問題以外は、考え込むような時間を取られる問題はほとんど無いので、テンポよくすすめて、記述問題に時間を残そう。
【大問1】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
各時代の人物を題材に、おもに文化や建造物について訊かれている。
取り上げられている人物は、ア.杉田玄白、イ.フェノロサ、ウ.清少納言、エ.平塚らいてう(雷鳥)、オ.鑑真、カ.近松門左衛門。
問1 オ(奈良時代)→ウ(平安時代)→カ(江戸時代)→ア(江戸時代後半)→イ(明治時代)→エ(大正時代)。
問2 ① 万葉集は奈良時代でエ。
② 書院造は鎌倉時代でキ。
③ 伊能忠敬は江戸時代でア。
④ 浄土教の広まりは平安時代でウ。
⑤ 津田梅子は明治時代でイ。
問3 杉田玄白は前野良沢らとともにターヘル・アナトミア(解体新書)を翻訳した。
問4 大森貝塚を発見したのはアメリカ人の学者・モース。
問6 平塚らいてうらは文芸団体・青鞜者を設立し、女性の権利向上を訴えた。
問7 鑑真は度重なる航海の失敗を乗り越えて来日し、奈良県・唐招提寺を建てた。
【大問2】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
日本を含めた世界の地理や環境問題、貿易などについて訊かれている。
問1 海と陸地の割合はおよそ7:3である。
問3 鉄鉱石の輸入先はオーストラリア・ブラジル・カナダの順で多い。
問4 リオデジャネイロはブラジルの都市で大規模なカーニバルで有名である。首都はブラジリア。
問5 北海道の冷涼な気候から、(う)が札幌。赤道付近の高い気温から、(あ)がブラジル。
問7 現在は格上げされて環境省となっているが、発足当初は環境庁であった。
問8 ウルグアイは日本のちょうど裏側・ブラジルの近くにある。地球の1周は約40000㎞なので、およそその半分程度と計算できる。
問10 ドイツの車保有率を計算すると、およそ58%。インドの人口は約13億人なので、13億×0.58≒7億5000万ほどとなる。
【大問3】政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
労働に関する法律や社会情勢についての問題。
問2 当時、地方から中学・高校の卒業生たちが集団で都市部の企業などに就職する「集団就職」が行われた。列車で上野駅などに降り立つ若者たちは有望な働き手として期待され、「金の卵」と呼ばれた。
問3 男女共同参画社会基本法や男女雇用機会均等法など、覚えづらい法律名こそ、最初にしっかり覚えてしまおう。
問4 ウ. 高校生からアルバイトなどで働いている人も多い。原則は義務教育を終えれば働くことができる。
問5 夫婦共働きが増えてきた現代では、子を持つ母親が働きに出られるよう、子育てを社会的に支援する仕組みが不可欠である。託児所や保育園の充実、各種手当などの優遇、また男性も育児を担えるような環境の整備など、社会全体として女性が仕事と子育てを両立できる仕組みを作ることが求められている。
攻略のポイント
出題形式や難易度など、例年通りのイメージである。
合格者平均点は7割を超えるので安易なミスは命取りである。難問・奇問は出題されないので、テキスト・副教材を丁寧に抜けがないように学習し、基礎の徹底を図りたい。
どちらかと言えば、地理に細かい知識を問う問題が多いので、意識して取り組んでおこう。
2題ある記述問題は、過去問で出題傾向をよく確認しておくと良い。
また、データを読み取ってそこから考えられることを書く記述問題が毎年出されているので、類似問題をこなして経験を積んでおきたい。
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