栄東中学校 入試対策
2014年度「栄東中学校の国語」
攻略のための学習方法
[知識]
「栄東の国語」では、「総合知識問題」が最重要攻略ポイントのひとつ。さあどうするか？
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ず「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。指定字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。
そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。栄東では必ず直接出題されるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ減点されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。
[速読]
大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で7000～8000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。「論説文」(説明文)であれば「Ｎの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。こうした手法によって、栄東定番の「紛らわしい選択肢設問」にも的確に対処できるようになる。これらのコツは塾でも教えてくれるはずだ。教えてくれなければ、自分から聞いてみてほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
栄東に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的に分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。
[解法]
前述したよう、栄東特有の「難問」に勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか？ その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
[記述]
「栄東の記述対策」は前述の通りだが、その前に前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。
では、何を「書く」か？ 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。40～50字程度で書いてみる(栄東の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか？ 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20～30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。
「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
[意識]
いついかなる状況でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなくと机に向かっていても無駄だ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。
そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。「設問」を正しく理解しているか？ 「条件」に合致しているか？ 「細部」は大丈夫か？ 「必要な要素」は満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。
50分という時間で解き進めていかなくてはならない栄東では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2014年度「栄東中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問一】は「総合的知識問題」。「空所補充した語句の漢字の書きとり」(10問)、「文法(文節関係)」(３問)、「文法(品詞判別)」(２問)。３分程度で丁寧に終えたい。
【大問二】は「論説文」、出典は大森荘蔵「流れとよどみ－－哲学断章」(文字数約2800字)。筆者は「中学入試」ではあまりなじみがないが、哲学者で東京大学教養学部長、放送大学副学長等を歴任した。小問は全11問(解答数は25)で、出題形式は「選択肢」「空所補充」「正誤判定」「記述」(２問。10～20字と25～30字指定)、「知識問題」(４問)。問題文は４分強で読み切り、設問を20分弱で解きたい。
【大問三】は「小説」、出典は伊集院静「皐月」(文字数約4800字)。作者は「直木賞受賞作家」(1992年「受け月」で受賞)にして、作詞家。「中学入試」でも時おり出題されている。小問は全９問(解答数は14)で、出題形式は「選択肢」「空所補充」「記述」(２問。30～40字と45～60字指定)、「知識問題」(１問)。問題文は７分強で読み切り、設問を16～17分程度で解きたい。
【大問一】総合的知識問題
- 時間配分：3分程度
「問１」は「漢字の書きとり」(10問)。(１)～(10)各文の「空所」に当てはまる「言葉」を「語群」から選び、「漢字」に直す。「文脈」から判断することになるが、難しい「慣用表現」もあり、「高度な語彙力」が求められている。たとえば、(①)「無病ソクサイ」＝「(無病)息災」、(②)「トロウに終わった」＝「徒労(に終わった)」、(③)「ショカンをしたためる」＝「書簡(をしたためる)」、(⑩)「ハチクの勢い」＝「破竹(の勢い)」などは特に注意すること。
「問２」は「文法」(３問)で、「修飾・被修飾の関係」を特定する。
「問３」も「文法」(２問)で、「同じ品詞の単語」を特定する。この後の大問にも「文法問題」がある。
栄東では「文法対策」が不可欠と心得よ。難易度：Ｃ(「難解」。以下同じ)。
【大問二】論説文
- 時間配分：24分
本書は、「物と心」などの根本テーマをめぐって独自の哲学を貫いてきた著者が、日常生活の場に「よどんでいる」哲学的困惑を論じた21の「断章」で構成されている。
本文は、その中の「確率と人生」。「人生に賭ける」とは単に未来を予測するのではなく、「予測された未来に立ち向かうこと」だと論じている。
「語彙」は難しく、「テーマ」もあまりなじみがないはずなので、理解するには相当な「力ワザ」が必要となる。
だが、設問自体は「解法」に則して考えていけば、何とか解けるはずだ。以下、いくつか検討してみたい。
【問三】語句の意味についての選択肢
波線部(ａ)～(ｄ)の「意味」を答える(各５択)。
栄東らしい厄介な「語句」が並んでいるが、「自分の知識」としては分からないものであっても、前後の「文脈」から判断できるものもある。すぐにあきらめずに、果敢に挑むこと。
なお、(ａ)「云々する」(＝「うんぬんする」)＝(ア)「あれこれということ」、(ｄ)「否応なく」(＝「いやおうなく」)＝(ア)「承知しようとしまいと関係なく」については、その「読み」も含めて覚えておきたい。難易度：Ｂ(「標準」。以下同じ)。
＜時間配分目安：2分程度＞
【問四】理由説明の選択肢
傍線部(１)の「もちろんなるまい」と、筆者がいう「理由」を答える(５択)。
傍線部には何ら「手がかり」がないので、「傍線部一文一部の法則」(傍線部が一文の一部分の場合、傍線部以外が重要ということ)を使う。が、傍線部(１)は「一文全部」。そこで、直前を確認する。すると、「コインを一回きり投げて表がでた」ことで「裏表のチャンスは半々だ」といったことが、「当たったことになるのか」という問いの答えが「傍線部(１)」だと分かる。
さらに、直後に「裏のでるチャンスは９/10だと言ったとしても同様」で「なお裏のでるチャンスもあると言っているのだから」とある。「～だから」、要はここが「理由」だ。そこから各選択肢を消去していけばいい(「選択肢設問」は「消去法」が原則)。答えは「(オ)」となる。「解法」を用いて、段階的に考えていくことが重要。難易度：Ｂ(「標準」。以下同じ)。
＜時間配分目安：2分程度＞
【問七】換言の記述
傍線部(４)の「あるまい」を「同じ意味」で言い換える(５字指定)。またしても「文法」だ。
助動詞「まい」の「意味・用法」の問題。当然、「まい」は「う・よう」の打ち消しで「打ち消し意志」と「打ち消し推量」の意味だということは知らなくてはならない。
ここは、「打ち消し推量」だとすぐ分かる。従って、答えは「ないだろう」となる。
「文法」の「知識」があいまいだと、栄東の合格はままならないということだ。難易度：Ｃ。
＜時間配分目安： 1分弱＞
【問十一】空所補充の説明記述
二重傍線部「私が今コインを投げようとする。そのとき裏がでるか表がでるかは半々だ(１/２の確率だ)ということは何を意味しているのだろうか」に対する「答え」について、示された一文の「空所」に当てはまるように説明する(25～30字指定)。
何やら「設問」がややこしい。落ち着いて整理すること。
先ず、二重傍線部は本文の「冒頭」だということに着目したい。「論説文」の「序論部」冒頭での「問いかけ」＝本文全体の「問題提起」(「論説文」の基本的「解法」のひとつ)。では、その「答え」(要は「論旨」となる。これも重要な「解法」)はどこで論じられているのか？ 「序論」か「結論」、あるいは、その両方だ(「論説文」の最重要「解法」である「Ｎの法則」)。
本文では、二重傍線部の後は「具体例」になっているので、結局、「結論」部分(最後の４段落)となる。次に、「空所」の前後から考えて、説明すべき「内容」に当てはまる「箇所」を探す。示された一文は「コインの裏が出るか表が出るかは半々だということは[空所]を意味している」だ。つまり、「空所」は「予測された確率」の「意味」ということ。「結論」部分の最初の段落に、「確率はその構えの姿勢の表現」で「覚悟の程の表現」とある。「その構え」は「単に未来を予測するのではなく、予測された未来に立ち向かう心構え」ということ(「指示語」は必ず開くこと)。ここまでくれば、あとは整理して、字数に合わせてまとめるだけだ。
「序論」→「結論」、2000字以上をジャンピングする問題。「解法」を応用しなければ、いくら時間があっても足りない。
栄東での「解法」の重要性を改めて思い知らされる。難易度：Ｃ。
＜時間配分目安： 4分弱＞
【大問三】物語文
- 時間配分：24分弱
本作品は、少年(惇)と父(正作)との感動的な絆を中国連峰の緑の中にみごとに描出している。
本文は、二人が七夕へ向けて笹を取りに「青煙」という峠に来ている場面。正作が谷底に何かを見つけたところから始まっている。
「選択肢」と「記述」も含めて、ほとんどが「心情」を答える問題。つかみづらいものもいくつかあるので、考えてみよう。
なお、この大問にも「文法問題」がある(助詞「や」の「意味・用法」)。
【問三】心情の説明記述
傍線部(２)「すると急に水音が惇を追い立てるようにせわしく音を立てはじめた」について、この「表現」に象徴される惇の「心境」を答える(30～40字指定)。
「情景描写」から「心情」を読み取る問題(「心情をめぐるスクエア」＝「心情」は「セリフ」「ト書き」「動作」「情景」の４つから多角的に読み取ること⇒「小説」の最重要「解法」)。「情景」の「原意」を考える(「原意絶対優位の原則」＝「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。
「急に」「追い立てるように」「せわしく」⇒「焦り」の象徴、と結びつくはずだ。
次に、何に対する「焦り」なのかを傍線部前後から読み取る(「小説」は「直前直後に根拠あり」)。直前に「惇は助ける方法を一生懸命に考えようとした」とある。あとは、「誰を？」という「要素」を加えて、字数に合わせ、「焦り」を「文末」としてまとめればいい(「記述」では「最重要な要素」を「文末」にすること)。ここでも「解法」が合否を分ける。難易度：Ｂ。
＜時間配分目安： 3分弱＞
【問七】理由説明の選択肢
傍線部(６)の「惇はだまっていた」について、その「理由」を答える(５択)。
「理由説明」の「選択肢設問」では、先ずは、「直接的理由」として結びつかないものを「消去」したい。「だまっていた」「理由」だ。
(ア)「心配」、(エ)「反発心」、(オ)「怒り」は、直接結びつかないとすぐに判断できなくてはいけない。残りは(イ)か(ウ)。直前直後を確認する。そこからは、(ウ)の「心身疲れきっていて」は読み取れないので「消去」できるはずだ。「正しいもの」を「選ぶ」のではなく、段階的に「消去」して「残ったもの」(他より「まだましなもの」)を「答え」とすること。難易度：Ｂ。
＜時間配分目安： 2分程度＞
【問九】心情説明の選択肢
傍線部(８)の「惇はやや上った月に手をのばし空に向かって大きくのびをした」について、このときの惇の「心情」を答える(５択)。
上述の「心情をめぐるスクエア」のひとつ「動作」から「心情」を読み取る問題。「空に向かって大きくのびをした」という「動作」につながらない選択肢を「消去」する(「下から消去」が原則)。(ア)「自信を深めている」、(エ)「安心する」、(オ)「むなしい」は、即「消去」できるはず。次に、「やや上った月に手をのばし」という「動作」。「やや上った月」から、(イ)の「年老いていく父や母」は「不適切」だと判断する必要がある。よって、「答え」は「(ウ)」となる。栄東では、様々な「要素」から「心情」を読み取る必要があるので、常に意識しておくこと。
＜時間配分目安： 2分弱＞
攻略ポイント
●「栄東の国語」の特徴のひとつは、前述したように「紛らわしい選択肢設問」だ。どう攻略するか？ 残念ながら「裏ワザ」は存在しない。「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて、段階を踏んで丁寧に考えていく他ない。従って、基本的「解法」を完全に習得して適切に応用できるようにしておくことが重要となる。それによって「失点」を防ぎ、「得点力」も安定する。栄東の４科目合計(科目別は非公表)の合格ラインは６割弱(14年度の「合格基準点」は54.7%)だが、「国語」は「受験者平均」(14年度は58%)から類推すると７割弱で、高い水準での争いとなる。だからこそ、「失点」は許されない。「得点力の安定」はライバルに差をつける大きな「ポイント」となるのだ。
●「総合的知識問題」にはどう対処するか？ 「高度な語彙力」だけではなく「あらゆる知識」が求められる。特に「落とし穴」となり得るのが、栄東特有ともいえる「文法問題」だ。全分野から、しかも、相当「細部」にわたって出題される。ところが、通常の「中学入試用カリキュラム」で「文法」は５年で扱って終了だ。塾によっては、「なぞる」だけというところもある。それでは全く不十分なので、独自に完全習得し、定着させておく必要がある。
●「記述対策」も怠ってはならない。当否の分かれ目となる「最重要な要素」を「文末」として他の「必要な要素」を積み上げていく(積上げ方式)という手法をマスターすること。「内容」から必要度の優先順位を特定し、優先度の高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20～30字程度」でまとめられるように徹底的に練習することが必要だ。栄東では「指定字数」の「範囲の幅」が狭いので、細かな「字数調整」ができるようにしておく必要がある。
●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文のボリュームは全体で7000～8000字程度となっている。いかに速く読み取れるかが勝負だ。分速650字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
栄東中学校の科目別
入試対策一覧
中学受験のために
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