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サレジオ学院中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「サレジオ学院中学校の理科」
攻略のための学習方法

[出題分析]

男子校らしい質の高い問題が並ぶ中に、意表を突いたような設問がある。それがサレジオ学院の理科に対するイメージである。ここ2年間の問題(A試験)を例にとるならば、
2017年度は頻出分野からの出題が多く、どの大問にも計算問題が含まれていてかなりやりがいのある内容となっており、2018年度は【大問1】【大問4にかなりマイナーな分野を取り上げて受験生たちの肝を冷やし、【大問2】【大問3は頻出分野でありながらあまり解いたことのない設問が並んだ。また、2019年度【大問1はほぼほぼ算数のような大問であり、【大問2ではなかなか難しい記述の設問が2問出された。
どちらの形式をとっていても全体に難易度は高く、受験生は心してその準備に取りかからなければならないだろう。

[初見の問題に出会ったら]

サレジオ学院の理科を解いていると、たとえば2017年度の【大問3「血液の流れ」に関する問題、2018年度の【大問2「塩」に関する問題など、日ごろの受験勉強や模試などでお目にかかったことのない問題に遭遇することがあるだろう。
この二つの大問はそれぞれ良問だと思われるがその理由は、今までに習ってきた理科の勉強における知識・解法などを総動員すればある程度正解が得られるからだ。ただただマイナーな知識を問うとか複雑な計算をさせるという見た目の難しさではなくて、問題文や実験結果を読み考察し、その上で答えを出させるという「応用力」を問うているところが理科の力を見るというテスト本来の目的を果たしている。
このような問題に対応するためには、1つは理科の基本的知識・解法は頭に入れた上で多くの問題演習をじっくりと行っていきたい。典型的な問題ばかり並べたまとめ的な問題集よりは最新の入試問題を集めたものの方が良いかもしれない。サレジオ学院でなくても、入試問題にはいろいろなタイプがあることを知ることができ、その経験が初見の問題に相対したときに力強い味方となって正解を出すアシストをしてくれるはずだ。

[計算問題に強くなろう]

こちらも上記の勉強法と重なるところはあるが、ひとえに問題演習をこなしより多くの問題パターンに触れておきたい。2017年度のように典型的な計算問題に終始する場合もあるかもしれないが、2018年度のように「圧力」や「塩」の計算にはなかなかあたる機会がない。1つの設問でも多く解けることがサレジオ合格につながる。それには「これだけたくさんの問題を解いてきた」という自身が何よりのパワーだ。ひと味違う計算の醍醐味を堪能しよう。

[問題文を読むということ]

さらに課題として残るのは、サレジオ学院の理科における問題文の分量の多さとその新しい内容だ。2017年度【大問3】の血液の流れを取り上げた問題ではその傾向が顕著である。1つ1つの設問に対する問題文が長い上に、(2)の「血液の流れる時間」、(3)の「胎児の血液の流れ」、(4)の「ヘモグロビンの計算」などはそれぞれの内容がはじめて解法するものであり、しっかりと問題文を読めないと正解を出すことが困難になっている。ありきたりの問題を解くだけではなく、サレジオ学院の過去問を通して、国語の長文読解のような深い気持ちで問題文を読んでもらいたい

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2019年度「サレジオ学院中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

テスト時間40分に対し大問4問・小問は25と特別分量が多い学校ではないが、問題文・設問文自体が長く、または設問に入るまでのリード文が長いので設問数の割には時間に余裕はないと考えるべきだろう。
また、本年度の大問で言うならば【大問1】【大問2】の計算・考察が中心の問題が合否のカギをにぎり、比較的平易な【大問3】【大問4】できっちり得点できるような知識量が必要となる。
大問1問あたり平均10分という持ちタイムを十分に活用して、この高難度かつユニークな問題群にあたってもらいたい。

【大問1】物理(ボートの運動)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

昨年度の【大問1】「圧力」は受験生のハートに不整脈をもたらしたが本年度の【大問1】もなかなかのものだった。算数の勉強で得た、「流水算」と「相似形」の知識をふんだんに活かして設問にあたっていこう。
とりあえず(1)~(3)は「流水算」そのもの。逆に流水算としては基礎中の基礎レベルなのでほとんどの生徒は解けたことだろう。
問題は(4)からで、ボートはまっすぐに進んでいるつもりでも川の流れによって確かにななめ前に動いていくことになる。ここでは直角三角形の辺の比「3:4:5」を使って移動した距離や速さを求めよう。(5)~(7)は同工異曲の設問である。三角形の辺から最後まで離れられない。(5)までは解けておきたい。
終わったあと、算数の大問を1つ解いたような不思議な感覚をもたらせてくれる問題だった。

【大問2】化学(ろうそくの燃焼と考察)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

この大問でのポイントは(2)(5)の記述問題にある。昨年度に比べると計算問題は大して負担になるものではなかったが、記述問題において採点者を納得させる解答が書けたかどうかはある意味で計算問題よりも大変だ。
(2)では「合理的ではない点」を答えるのだが、国語の記述問題のように、相手を納得させる具体的な説明が必要である。数値をしっかりと挙げて文を書くとよいだろう。
(5)はその他の理由を考えて書かなければならない。原因が酸素の減少だけではなく空気の膨張・収縮にもあるということを示せれば正解。ただし、完答を求めるのは酷かもしれないので他の設問をしっかりと正答しておこう。

【大問3】生物(セキツイ動物の分類)

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

この大問は「易」にランクづけしてもいいような基本的な設問が集まっている。「標準」に格付けされたのはひとえに(6)の存在があるからで、他の設問は全部答えられて当たり前、という水準だ。
(6)は生物分野における計算問題で問題文も長いので一見大変そうに見えるがケタ数を間違えなければそれほどの難問ではない。(あ)(い)は必ず正解すること。(う)は逆算で答えを求めるという、またも多分に算数的な設問になっている。

【大問4】地学(地球や月の動き)

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

人類が月にはじめて降り立った「アポロ11号」ではなく、有人飛行の「8号」から問題文が始まるのでどうなることか、と思った割には設問はいたってスタンダードな内容でいささか興をそがれた。サレジオ学院なら、もっとやれたはずだ。
(1)(2)は既視感ありまくりの設問で受験生たちもホッとして問題に取りかかることが出来ただろう。すこしだけこっている(2)(a)が点数の差がつくところで、東経の差に4分をかけて横浜の日の出時刻に加えられたかどうか。(3)は、月から見た地球の姿からその日の地球から見た月の姿をあてる問題。今日びの受験生にとってはルーティンの設問か?
(4)(3)がわかれば安直に解答できる。
本年度の理科は、総じて昨年度のものより取り組みやすかったと思われる。

攻略のポイント

テスト時間は40分で75点満点。
受検者平均点が「39.9」、合格者平均が「45.6」なので、最低でも40点台、できれば50点台の得点は欲しいところだ。
サレジオ学院の場合、頻出の内容であってもユニークな出題形式をとることがあるので、基本的な知識を身につけておくのはもちろんのことだが、それを新しい形式の問題においても活用できる「応用力」が必要とされる。
過去問をしっかりと解いて内容を吟味・研究し、多少変わった問題が出されても対応できる柔軟性を取得しておこう。誰でもはじめて見るような問題は苦手なものだ。その条件は同じなのだからあせることなく問題に立ち向かう努力を続けてもらいたい。

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