市川中学校 入試対策
2020年度「市川中学校の理科」
攻略のための学習方法
市川中の理科の満点は、算数や国語と同様に100点。したがって市川中受験者は理科についても怠ることなくしっかり対策をする必要がある。例年問題のレベルは高く、計算問題や思考力を要求する問題も多く出題される。今年度についても、例年通り高いレベルの出題が多くなっていた。近年出題されているテーマは、力のつりあい・電気回路・光の反射・溶解度・水溶液と金属の反応・中和反応・人のからだの働き・昆虫・日食などの天体に関する出題。物理分野と化学分野の比重がやや高くなっている。すべての分野に苦手を作ることなくまんべんなく学習することが基本ではあるが、特に物理・化学分野および天体の学習をしっかり行う必要があろう。基本を早い段階で定着させ、秋以降は計算問題・実験等に関する長めの文章を読んで答える総合問題演習を多く行って欲しい。過去問以外で演習に使う問題の選択については、塾の先生や家庭教師を利用するとよいであろう。
生物分野
本年は動物のからだのつくりに関する出題であった。近年では、市川付近で見られる生物、植物、人の消化のはたらき、生物の進化、昆虫などから出題されている。この分野に関しては、各単元の基本をしっかり理解し覚えることが大切である。植物の光合成や呼吸、だ液の働きなどは、実験に関する問題やデータを読み取って答える問題も出題される可能性が高いので、一問一答形式以外の総合的な問題演習も多く行って欲しい。
地学分野
本年度は天体と気象をテーマにした総合的な内容の出題であった。ここ何年かを見ても、天体に関しての出題頻度が高く、日食や月から見た地球についてなどレベルの高い問題もあった。この分野の学習として、月・星・太陽の動きや日食・月食等に関しては、単なる丸暗記ではなく、理屈もしっかり覚えておきたい。また、地層・地震などが取り上げられる可能性もあるので、怠りなく学習しておきたい。
物理分野
本年はものの運動に関する出題であった。過去の出題を見ても、てこ、ばね、浮力など力のつり合いに関する出題が多い。また、電気・光に関する出題も度々見られる。単なる基本知識だけでは答えられない難易度の高い問題が出題される年もあるので、多少難しめの問題も含めてしっかり問題演習を積んでおきたい。
化学分野
本年は中和反応を中心とした化学変化に関する出題であった。ここ何年かにおいても、中和反応、金属と水溶液の反応、金属の燃焼など化学変化についての出題頻度が高くなっている。この分野に関しても、問題集等を使ってレベルの高い問題も含めて練習を積み重ねておきたい。特に、ものの溶け方、金属と水溶液の反応、中和反応は出題される可能性が非常に高いので、しっかり練習して欲しい。
市川中入試で合格点を取れる力を身につけるためには、レベルの高い問題に対応する必要もあるが、何はさておきまずは各分野の基本をしっかり固めておきたい。基本がしっかりしてない段階で過去問や難度の高い問題に手を出しても、結局はなかなか得点できずに、もう一度基本に戻らざるを得ない状況に陥ってしまうだろう。早い段階で基本をしっかり固め、秋以降に本格的な市川中対策を進めて欲しい。
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2020年度「市川中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は25題程度で100点満点。試験時間は40分で例年通りであった。記号選択問題・適語を答える問題・計算問題が中心で、記述問題も複数題含まれている。問題数が多く、長めのリード文を読んで答える問題や計算問題・記述問題も見られるので、40分の制限時間はかなり短く感じられるであろう。過去問演習を行う中で、時間の使い方の対策を事前に考えておきたい。
【大問1】物理 ものの運動
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
(1) 狭い空間に閉じ込められた空気が膨張しようとする力は、縮んだばねが伸びようとする力と同じ特徴である。
(2) 実験結果の数値から計算すると、60~75%の中に収まっている。
(3) 押し棒を押すにつれて、空気が膨張しようとする力が大きくなり、手ごたえが大きくなる。
(4) 水は空気のように体積を縮めることができない。
(5) レベルの高い考察問題。表や問題文から、4目盛り分の空気が3目盛り分まで押し縮められると前玉が飛び出すと考察考えられる。
(6) 記述問題。水と空気の体積の変化のしやすさから考えて説明すればよい。
水鉄砲を利用したものの運動に関する出題。水と空気の体積変化のしやすさを中心に考えていく問題構成になっている。知識だけでなく、問題文や与えられたデータを読みとって考察する力が必要となる。
【大問2】地学総合問題(天体・気象)
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
-
(1)北極星の見える高さは、その土地の緯度に等しい。
(2)夏は北の地域ほど昼の時間が長くなる。
(3)問題文より、水平線までの距離は建物までの距離より近いと考えられる。
(4)作図問題。地球はまるいが、水平線は直線に見える。
(5)表より、標高1000までは100m高くなるごとに0.6℃気温が下がっている。したがって、20。
(6)b地点は標高1000mで気温17℃、湿度74%。グラフより、17℃での飽和水蒸気量は14.5g/㎥ と読み取れるので、水蒸気の量は、14.5×0.74 より10.73g。
飽和水蒸気量が10.73g/㎥になるのはグラフより約12℃。b地点より上では、100m上がるごとに飽和水蒸気量が1ずつ小さくなるので、飽和水蒸気量が12になるのは、1000+(17-12)×100÷0.6 より約1800mとなる。
天体と気象を含む地学系の総合問題。基本知識と飽和水蒸気量を利用した計算力が問われている。ここで得点が伸びなかった時は、天体に関する基本知識の確認と、飽和水蒸気量・湿度などの計算問題練習に時間をかけて欲しい。
【大問3】生物 動物のからだのつくり
- 難度:標準
- 時間配分:8分
(1)鳥類・ほ乳類は「恒温動物」である。
(2) 寒冷地に住む動物は、からだは大きく、耳や尾などは短くして熱が逃げにくいつくりになっている。
(3) ペンギンは鳥類なので、体は羽でおおわれている。
(4) 赤血球中のヘモグロビンという色素は酸素を運ぶ。また、血しょうは栄養や二酸化炭素などの不要物を運ぶ。
(5) 心臓の4つの部屋とつながっている血管の名称についての知識問題。
(6) 知識問題であり、しかも難問。奇網というつくりでは、動脈と静脈がからみあっていて、動脈を流れる血液が静脈を流れる血液を暖めるようなつくりになっている。
(6)は記述の難問。(2)の選択問題もやや迷う。それ以外は基本知識の問題なので確実に正答したい。
【大問4】化学 中和反応
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
- ★必答問題
-
(1) アルミニウムは水酸化ナトリウム水溶液には溶けるが、食塩水には溶けない。
(2) 石灰水と二酸化炭素の中和反応、銅の表面のさびが化学変化と言える。
(3) 表に示された実験結果から、XとYを2:3で混ぜた時に完全中和すること、Y100㎤の中に水酸化ナトリウムが4g溶けていることがわかる。この2点に基づいて計算すればよい。
(4) 上昇温度は反応の量と溶液の全体積で決まる。20+80=100で全体積は他の実験に等しい。X20㎤はY30㎤と反応するので、上昇温度は5.2×3/4 より3.9℃となる。
(5) 中和反応はX:Y=2:3でおこるので、余ったYから水酸化ナトリウムの固体が生じることに注意。加えた水は生じる固体の重さに影響しない。
また、発生する熱については、液体の全体積が(4)の2倍になったために、上昇温度は1/2になる。
中和反応を中心とした化学変化に関する出題。計算問題が中心で、レベルはやや高い。(1)(2)は基本知識なので落としたくない。中和反応によってできる固体の重さや中和熱の計算については、日頃の練習がしっかりできているかで明暗が分かれるであろう。できなかったかった時は、さらなる練習が必要。
攻略のポイント
4分野からまんべんなく出題されている。計算力が問われる問題、思考力を必要とする問題、簡単な記述問題も見られる。40分という時間に対して問題量も少なくはない。ただし、知識さえあれば正答できる問題もある程度含まれている。攻略のポイントとしては、まずは知識問題での失点をしないこと。その上で、ある程度レベルの高い問題を想定して、日頃の問題演習に時間をかけることが必要である。各分野の計算問題と実験観察を通して考えるタイプの演習をしっかり行って欲しい。特に、化学・物理分野の演習は入念に行おう。
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