桜蔭中学校 入試対策
2020年度「桜蔭中学校の理科」
攻略のための学習方法
桜蔭中の満点は60点、際立った難問はないものの、標準レベル以上の問題が並んでいる。問題の形式としては、リード文・実験や観察の結果をもとに答える問題が中心であり、各分野で計算問題も含まれる。また、知識についてもやや細かい事柄まで問われることがある。知識を確実に固めることは当然のこととして、問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の問題演習や、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。また、年度によっては、時事問題・実験器具の使い方について出題されている。日頃からニュース等に幅広く関心を持って頂きたい。
<分野毎の学習法>
生物分野
本年度は樹木の分布および生態系における気体の移動に関する出題であった。
ここ数年を見ると、植物のつくりと働き、昆虫、鳥の渡り、動物の体温など各単元から幅広く出題されている。
この分野の学習法としては、ヒトのからだの働き、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物のからだのつくりや分類など基本知識を確実に覚えることが第一である。
光合成を調べるための実験方法、顕微鏡の使い方などについても覚えておきたい。さらに、環境問題などのニュースにも気を配って欲しい。
地学分野
本年度はこの分野からの出題はなかった。
ここ数年では、気象・天体・地層・川の水の働きなどについての出題が見られる。
この分野の学習方法としてまずは、風・雲・四季の天気の特徴、星の名前と動き、月の動き、岩石の分類、地層のでき方などテキストに書かれている基本事項は確実に理解し覚えて頂きたい。
さらに、エルニーニョ・ラニーニャ・フェーン現象などニュースや天気予報でよく使われる用語については、その内容を理解しておきたい。地震・火山などについても、テキストの内容だけでなく、近年の地震・火山の噴火についても学習しておきたい。
物理分野
本年はてこのつり合いについての出題であった。
ここ数年では、てこのつりあい、ばね、手回し発電機、LED、光についてなどの出題があった。力のつりあいと電気に関する出題が多い。
この分野の学習方法としては、ばね・てこ・滑車・振り子・浮力などの基本知識を身につけた上で、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。
電気については、豆電球の明るさ、方位磁針の振れなど基本的なものだけでなく、LED回路での電気の流れ方、手回し発電機の使い方についても学習して欲しい。また、光や音の基本性質もしっかり押させておきたい。
化学分野
今年度は熱の伝わり方等に関する出題であった。
ここ数年では、ものの溶け方・中和・燃焼・熱の伝わり方・水の三態変化などに関する出題があり、水溶液についての出題頻度が最も高い。
この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。実験器具の使い方、実験の進め方も確認して頂きたい。
過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。
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2020年度「桜蔭中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は5題、小問数は30題程度で60点満点。試験時間は30分で例年通りであった。
適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心で、簡単な記述問題もあった。際立った難問はないが、計算問題や思考力を必要とする問題が多く含まれており、問題数も少なくないので、時間内で処理するためには、過去問等を使っての問題演習をしっかり積んでおくことが不可欠である。
【大問1】二酸化炭素濃度・地球温暖化
- 難度:やや難
- 時間配分:6分
- ★必答問題
問1 適語を答える問題。南半球より陸地が多い北半球の二酸化炭素濃度は高い。夏は植物の光合成が盛んになるために、二酸化炭素濃度は減少する。
問2 植物・動物・菌類の間での炭素の移動に関する問い。植物は光合成の材料として大気から二酸化炭素を吸収する。また、菌類・細菌類の分解活動により、二酸化炭素が発生する。
問3 赤道に近い地域では、年間を通じて植物が茂っており、光合成が盛んに行われている。また、南半球は海が多く、動植物の数が少ない。
問4 二酸化炭素濃度の変化を表した3つグラフについて、それぞれの地点を考える問題。問3で考えた内容、北半球と南半球の違いと緯度の違いから考察できる。
問5 二酸化炭素濃度が上昇に転じている直後のaが9月と考えられる。
問6 時事的な内容。語句(地名)を答える問題。地球温暖化対策についての国際的
な取り決めとして採択されたのは「京都議定書」および「パリ協定」。
二酸化炭素濃度および地球温暖化対策に関する出題。グラフの読み取り問題は知識と思考力を必要とする。時事問題については、日頃から環境問題等のニュースに興味を持っているかどうかを問う内容になっている。
ここでの失点が多かった時は、食物連鎖・生物間での気体のやりとりについての復習に時間をかけよう。また、環境問題や時事問題対策として、日頃のニュースにも是非注意を払って頂きたい。
【大問2】金属・密度
- 難度:標準
- 時間配分:6分
問1 漢字指定で適語を答える問題。大量に廃棄される小型家電は、金・銀などの希少金属を含むことから「都市鉱山」と呼ばれる。
問2 1円玉に使われる金属というヒントで、アルミニウムとわかる。
問3 磁石で取り除ける金属なので、鉄である。
問4 6÷0.05 より120台
問5 550÷10.5 より52.4㎤
問6 52.4㎤の金の重さは、52.4×19.3 より1011g。よって、金だ
けで金メダルを作ると、1011+6 より1017g
オリンピックのメダルを題材にした金属に関する問題。
問1は知らないと答えられないが、問2以降は計算問題も含めて標準的な内容。計算問題は四捨五入などの処理も含めて正確に行って欲しい。
【大問3】樹木の分布
- 難度:やや難
- 時間配分:6分
問1 クヌギやコナラは落葉樹。常緑樹の中で、スギやヒノキはかつて人工的に植えられた。
問2 外来種の植物と胞子植物を選ぶ問題。
問3
① 問題文と表を手掛かりにして考えると、あが外来種種類、外来種の多いところで数を減らしているうが絶滅危惧種となる。
② 記述問題。落葉樹林は冬の間でも光が差し込むので、幅広い種類の植物が生育できる環境にある。
③ 海藻と陸上の植物の違いを考えればよい。
樹木の分布等に関する出題。
知識だけでなく、データを読み取り考察する力も必要。記述問題もややレベルが高い。
【大問4】てこのつり合い(さおばかり)
- 難度:やや難
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 支点の左右で回転力(支点からの距離×重さ)が等しい時に棒はつり合う。棒の中心(左から30cm)に棒の重さである15gあることを忘れないこと。
問2 分銅を10g増やすと、回転力は150増える。150÷100 より、印の間隔は1.5cmになる。
問3 18×1.5+4.5 より31.5cm
問4 0gの位置から右端まで40.5cmある。40.5÷1.5×10より、最大で270gまで量ることができる。
問5 おもりの重さを150gに変えると、支点から0gの位置までが3cm、分銅の重さ10gごとに、1cm間隔で印をつければよい。この数値を用いて問4と同様に計算すると、最大で420gまで量れることがわかる。
問6 記号選択問題。問5の結果を基に考えればよい。
さおばかりをテーマにしたてこのつりあいに関する問題。
棒の重さを考えるなど、つり合いの計算問題としてはやや難度が高いとも言えるが、桜蔭中受験生であれば、ここで確実に得点を稼ぎたい。
ここで得点が伸びなかった時は、多少難度の高いてこの計算問題やさおばかりの計算問題の練習に時間をかけて欲しい。
【大問5】氷のとけ方・熱の伝わり方
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
問1 水は空気よりも熱を伝えやすい。水に覆われている部分の多い氷ほど早くとけると考えられる。
問2 水の高さはペットボトルに穴をあけたものはその穴の位置、穴をあけてないものについて、氷がとけても水の高さは変わらないことに注意。
氷の様子について、ペットボトルに穴をあけたものは、穴の高さまで水があるので、穴より下はよくとけている。ペットボトルに穴をあけていないものは、氷が水面から少し頭を出した状態で浮かぶ。
氷のとけ方に関する出題。
熱の伝わり方、浮力など持っている知識をしっかり使って考えて欲しい。
攻略のポイント
本校理科の入試問題では、知識についてはやや細かい部分も要求される。また、実験や観察の結果、表やグラフをもとに考察させるタイプの問題が多い。さらにやや難度の高い計算問題も出題される。
攻略ポイントとして、まずは基本知識を確実に身につけることが必要となる。その上で、計算問題や実験・観察問題の練習にも時間をかけたい。ここ何年かの出題を見ても力学や化学だけでなく、生物分野など各分野で計算問題はかなりの頻度で出題されている。しっかり練習しよう。
30分という試験時間はかなり短く感じられるであろう。できる問題から解答欄を埋めていくといった作戦をしっかり立てて欲しい。そのためにも、過去問などの実戦的な演習か必要不可欠である。
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