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慶應義塾女子高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2020年度「慶應義塾女子高等学校の数学」
攻略のための学習方法

全体としては、いわゆる「難問・奇問」の類は出題されていない。受験生にとっても、初見の問題も少ないだろう。それゆえ、解答にあたっては確実にかつ迅速に問題を解く必要がある。しかも、解答は記述式である。

そのような入試問題の対策について、以下に何点か対策としての学習法について述べてみたい。

出題傾向のある分野の問題を何度も繰り返し演習を行うこと

よく出る分野としては、計算問題展開・因数分解の応用、式の値、平方根に関する計算、指数法則を用いた計算)、関数直線(1次関数)と放物線(2次関数)の融合問題)、方程式の応用問題方程式を用いた文章問題)、場合の数と確率平面図形円に関する各種定理、三平方の定理)、空間図形立体の切口の形状・面積)。
これらは、繰り返し演習をしておく必要がある。

特に、放物線に関する問題は関数に関する設問はいうまでもないが、y軸に関して対象移動した場合のグラフの式回転させて出来上がる立体の体積を求める問題には十分慣れておく必要がある。さらには、xy座標面において、ある図形(三角形である場合が多い)と面積が等しい図形を考えるような問題(等積変形や相似・合同の考え方を駆使する)にも対応できるようにしておきたい。

図形問題(幾何問題)については、参考書に掲載されているような定理や原理などを暗記するのではなく、根底から理解しておくこと。確かに、公式などは道具としてそのまま使い正解を求めるためには非常に便利である。しかし、暗記した公式は時間がたてば記憶も薄くなり、やがて忘れてしまうものである。

そのような状況を回避するためには、定理・公式を暗記するのではなく、そのような定理などがどの様なプロセスを経て導き出されるかを自分の手を使って確かめることである。その中で大事なことは、定理・公式という「結果」がどのようにして得られたのかを理解することである。

その理解こそが、あらゆる問題に適応可能な発想力を生み出すのであり、確実で柔軟なヒラメキを約束するものである。

解答における記述の内容とボリューム感が適正になるように十分な練習を積むこと

慶應女子の入試問題は記述式問題である。
答えは分かるが、それをどの様にして(ボリュームと論理展開)解答用紙に表現していくかが合否を分けるといっても過言ではない。

答案は、他人(採点者)に読んでもらう、ある意味では受験生からのメッセージである。であるならば、自分の考えが相手に正確に伝わらなくては意味がない。つまり、まとまった答案でないと自分の考えが伝わらないのである。そのような事態を回避するために、普段の学習においてしっかりと解法の手順を書くことである。また、解法のボリュームの点でも留意が必要である。

基本的には、スタートの発想(立式)を明確に書き、結論(解答)に至る論理展開を全て書くのではなく、途中の考え方は重要なターニングポイントの式だけ書き、最後に結論となる式を書くというのが原則である。いずれにしても、適度な記述式の解答を書くには十分な練習を積む必要があり、必要最低限の内容にする判断基準を確実に身につけたい。

数学的発想力を確実に習得すること(新傾向問題に対する対策として)

数学的発想とは何か。いろいろと考え方・捉え方はあろうかと思うが、一口で言うならば「客観的な根拠に基づく判断」を下せることが数学的発想であるといえよう。

特に、図形(幾何)の問題においては顕著に表れてくる。
解答にたどり着くために障壁となっている三角形が、特に設問上の設定条件は全くないにも関わらず「なんとなく正三角形っぽいな~」という憶測に基づいて問題を解いてはいけないということである。この三角形が、どうして正三角形なのであるかを根拠づけなければならない。三辺がすべて等しいか角度がすべて等しいという事実が証明できない限り、この三角形は正三角形とは言えないのである。
図形を見かけだけで判断するのではなく、しっかり根拠に基づく判断ができるようにしよう

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2020年度「慶應義塾女子高等学校の数学」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問1は<10分>、小問題(平方根・数の性質・2次方程式応用)であるが、基本問題であるので確実に得点したい。
大問2は<15分>、新傾向問題である。
大問3は<13分>、円に関連した問題である。
大問4は<10分>、1次関数と2次関数の融合問題である。
大問5は<12分>、正四角錐を用いた空間図形に関する問題である。

【大問1】小問集合問題

  • 時間配分:10分

(1)<2分>
平方根の計算問題である。平方根の中の平方数の指数2を取り除いて外へ出し、分母の有理化を図り計算を手際よく行うこと。

(2)<2分>
数の性質に関する問題である。具体的な平方数の約数(25⇒1、5、25)における規則性を発見しよう

(3)<6分>
2次方程式の応用問題である。与えられた条件をまとめるのだが、図を使って考えると本質が見えてくる。

【大問2】新傾向問題

  • 時間配分:15分

数字が書いてあるカードが入っている箱から、一度に1枚以上のカードを取り出す。提示された<規則>に従った場合に、規則性に素早く気が付くことが重要である。数字の増え方に注目しよう。
本問のような新傾向の問題の場合、必ず提示される条件があるので、その条件の原理をしっかり理解することと、そこから規則性を導き出すことが重要である。柔軟な発想と着眼点がポイントになる。

【大問3】円に関する平面図形の問題

  • 時間配分:13分

(1)<2分>
接弦定理より∠DTE=∠TADであり、弧TDに関する円周角より∠TAD=∠TCD=45°となる。また、∠BAD=30°(∠TAB-∠DAT=30°)であり、この角度は仮定(条件)より∠ATDを3等分した角度の2つ分に相当するので、3等分した1つの角度は15°となる。したがって、∠ATD=15°×3=45°となる。

(2)<4分>
△TADは∠TDA=90°の直角三角形であるので、TAは円の直径となる。また、∠ACT=90°、∠ATC=30°、∠TAC=60°となり、△TACは3辺の長さの比が2:1:√3の直角三角形となる

(3)<4分>
角の二等分線の性質を使うと、AF:FC=AT:CTであることを利用してFCの長さを求める。

(4)<3分>
△ATCは直角三角形であり、辺の長さの比は(2)より2:1:√3となる。よって、AT:AC=2:1となり、2r=ATであるので、r= ×AT=ACとなる。

【大問4】関数(1次関数・2次関数)に関する問題

  • 時間配分:10分

(1)<2分>
A、Bよりy軸に垂線を引いて、その垂線が互いに平行となることから、その垂線を含む2つの三角形が相似の関係にあることを利用して要求されている辺の比を求める。

(2)<4分>
(1)で考えた2本の垂線を含む三角形より、垂線の長さが求められ、与えられた条件を順次当てはめてゆくと求めたいk、a、bの値を求めることができる。

(3)<4分>
直線DEの直線の式を求める問題である。直線ABの傾きは直線DEの傾きと同じである。また、与えられた条件(AB:DE=5:7)を活用して、導き出せる方程式から順次必要な数値を出してゆくこと。

【大問5】立体図形(正四角錐)に関する問題

  • 時間配分:12分

(1)<2分>
△OAC≡△BACであるので、∠AOC=∠ABC=90°となる。このことを利用して、△OPRの面積を求めよう。

(2)<4分>
問題の正四角錐の点O、A、Cを通る平面で切断したときの切り口の図形を参考に問題を考えること。

(3)<3分>
(1)および(2)で考えた過程で利用した結果を用いると答えは瞬時に求めることができる。

(4)<3分>
正四角錐において、△OAEは直角二等辺三角形であるので、OEの長さは容易に求めることができるだろう。また、△OFHも直角二等辺三角形であることより導き出せる事項を考えて、正解を求めること。

攻略のポイント

解答は、途中の計算式を書かせる方式である。記述式の解法において何をどの程度まで書くかが重要なポイントである。あまり詳しすぎても答案用紙のスペースの関係で書ききれなくなってしまうし、短すぎても採点者へ自分の考えを正確に伝えることができなくなってしまう。
その意味でも、日頃から時間を決め記述答案の作成に関する準備をしっかり行っておくべきである。また、図形の問題も出題されるので、作図に関してもさまざまなバリエーションの問題を事前に経験しておくことが大切である。

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