立教女学院中学校 入試対策
2020年度「立教女学院中学校の社会」
攻略のための学習方法
分析
設問数については、ここ数年で53問→38問→54問と増減を繰り返している。年度により多少のばらつきも考えられるので、今後も同程度の問題数を想定し、スピードを意識した過去問演習にも取り組んでいただきたい。
記号選択や用語記入形式での出題で、いわゆる記述問題は見られない。
地理・歴史・政治経済の分野から必ず出題があり、3分野の融合問題・総合問題となっている年度もある。
また、女子校の社会入試ではあまり出されない「世界地理」の問題も多く含まれる。
地図やグラフ、歴史資料も毎年用いられている。
地理分野
地理については、まず日本地理全般について広く学ぶ。
各地の地名・地勢・産業の基本事項をざっと覚えたら、さらに地図や白地図でその位置や関連する地域の情報もまとめて理解を深める。
さらに、世界地理についても基本的な知識は身につけておきたい。ヨーロッパ・アジアにある日本と関係の深い国々や、世界的に話題となった地域について、その国の位置や地域のつながりを地図で確認しておくと良い。
歴史分野
歴史は、テキストの基本事項をしっかり頭に入れる。
その後、断片的な知識を歴史の大きな流れに沿って整理しておくようにする。本校の試験では、歴史の大まかな流れを問われる問題が多いからである。
過去の試験でも、各時代の宗教や建築様式についての問題、時代の並べ替えの問題などがみられた。
時代ごとに、また政治史・文化史・宗教史といった分野ごとに、年表にまとめるなどして、つながりを覚えておくことで対処しやすくなる。
政治分野
政治経済の分野では、日本国憲法・三権の仕組みとはたらき・国際関係が頻出となっている。
さらに、これらをテーマにした時事問題で、憲法改正についてのアンケートから数値を読み取る〈平成25年度〉といった設問もみられる。
日頃から憲法や国際関係についてのニュースなどは常に注意しておき、最新の情報に触れるようにしたい。
まとめ
全体としては、極端な難問奇問の出題は無く、記述問題も出ないオーソドックスな試験である。
ただ、過去の合格者平均点をみてみると年度によってばらつきがあり、ときどき難度の高い出題の年があるようだ。
もし、そのような年に当たってしまった場合は、全く歯が立たないと感じた問題はとりあえず保留して、わかる問題をどんどん進めるといった判断も必要になるだろう。また、総解答数が50を超える年もあるので、時間配分に注意が必要である。
他の女子校と違って、世界についての問題が多いのも特徴で、過去には世界の国々と国旗に関してかなり詳しく訊く問題も出された。地理以外の分野でも世界の出来事が織り込まれて出題されている。
韓国・中国など身近な国、オーストラリア・中東諸国など経済的に日本と結びつきの強い国々、北米大陸やヨーロッパ諸国など・・・・・・このような国や地域について、国際的に関心の高い政治上・経済上の出来事などをよく調べて、必ず地図で場所を確認しておく。
前年度、話題になった新しい事柄がよく出題されるので、最新の時事問題集などでよく練習しておくこと。
また、幅広い範囲の知識を問われる問題がある一方、上記の国旗に関する問題や2017年度で出された地図の読み取りの問題などのように、一点に絞って少し詳しく知識を問う問題もある。
以上のように、学校や塾で習うことから新聞やニュースでしか見られないもの、狭い範囲から広い範囲まで、様々な視点から知識を問われるのが立教女学院の社会の問題なのである。
● テキストで覚えた知識を地図や資料集でしっかり補強する
● 日本の出来事と合わせて、世界の出来事についても基本的な事柄は理解しておく
● 世の中の情勢・最新の社会的問題などに注意をはらう
このような姿勢で、丁寧な学習を心がけてもらいたい。
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2020年度「立教女学院中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問3つに地理22問・歴史18問・政治経済14問が割り振られ、計54問となっている。記号選択と適語記入で構成される。2020年度ではまた問題数が多くなっている。
リード文もあるが、下線部だけ見れば答えられる問題も多いので、どうしても時間が足りなければ下線部の近辺だけ読んで済ますのも手である。
何問かは難しめの問題も含まれており、正解できれば他と差をつけられる。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
地図や地球儀などを題材に、日本各地の様子なども訊かれている。
問1. 東経・西経は180°まで、北緯・南緯は90°まで分けられている。
問2. ア. 地球儀では日本とブラジルは真反対に位置するので、同時には見られない。
問3. (1) 日本一の深さを誇る田沢湖があるのは秋田県。山地では地熱発電も行われている。
(2) 信濃川が流れる新潟県。
(3) アメリカ軍の基地が多く、さとうきびの収穫量日本一である沖縄県。
(4) 銚子港・成田国際空港を有する千葉県。
(5) 柑橘類の栽培が盛んで今治タオルというブランドでも有名な愛媛県。
問4 兵庫県・明石市より西にあるのは、沖縄県と愛媛県。
問5 秋田県は県別人口で第38位、人口減少率では第1位(2019年)となっている。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
江戸・築地を中心話題として、特に江戸時代以降の歴史について詳しく訊かれている。
問2. 8代将軍・徳川吉宗による享保の改革の頃。アは老中・松平定信による寛政の改革、ウの足高の制は高い役職についている間だけ禄高を上げて優秀な人材を登用する制度で、大岡越前としてドラマ化もされた大岡忠相などが登用された。エに当てはまる将軍はない。
問3. ア・平安中期→ウ・鎌倉時代→イ・戦国時代→エ・安土桃山時代。
問4. イ・ウ・エは室町時代の文化である。
問5. アは与謝野晶子の詩、イは平塚らいてうらによる雑誌『青鞜』の序文、エは全国水平社の創立宣言の一部である。
問7. 杉田玄白は清書役で、主に翻訳にあたったのは前野良沢であった。
問8. 居留地の設置は1858年の日米修好通商条約で決められた。
問9. 日本の鉄道は新橋――横浜間で始まった。
問10. エ. 卑弥呼が使者を送ったのは魏。親魏倭王の称号と金印などを授かったとの記述があるがその金印は見つかっていない。
カ. 道元は宋に渡ったので、×。
問12. アは旧石器時代、イは弥生時代のこと。ウも弥生時代のことが含まれているので誤り。
問13. 1923年(大正12年)9月1日の正午ごろに発生した。昼時で調理中の家庭が多く、火災による被害が大きくなった。
問15. イ. 安全な地方へと非難した。
ウ. 小学生の学徒動員はなかった。
エ. 国家総動員法は1938年で、少し前である。
問16. マーシャル諸島ビキニ環礁でアメリカが行った水爆実験で、日本の第五福竜丸が被爆して漁獲のマグロからも放射能が検出された。
【大問3】政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:8分
明治時代から現在までの政治や国際情勢、国際連合の活動などについて訊かれている。
問1. ア. 日本国憲法のことである。
イ. 帝国議会が置かれていた。
問2. 第一次世界大戦後、アメリカ大統領ウィルソンの提唱を基に国際連盟が設立されたが、議会の反対により当のアメリカが不参加となってしまった。
問3. 行政府である内閣は国会に対して連帯して責任を負う(議院内閣制)。最高裁判所の長官は内閣が指名し天皇が任命する。最高裁長官が各裁判所の裁判官を指名し内閣が任命する。
問4. ウは1985年の下関条約の取り決めである。
問6. (2) ウ. 法律を作れるのは国会だけである。
問7. SDGs(エスディージーズ)は、「持続可能な開発目標」の略で、2030年までに達成を目指す目標である。その主旨からもCさんの意見が合う。
攻略のポイント
基本的な事項を幅広く答える問題と範囲を絞って少し詳しく答える問題とがある。
前者のミスを最小限に抑えるべく、基本事項の学習を徹底する。その際、必ず地図を手元に置いてイメージできるように覚える。歴史は時代の流れを常に意識し、出来事の順番がすぐ浮かぶようにしておきたい。合格者平均点が高いので、このレベルでの失点は避けたい。
その上で、後者への対策として、覚えたことの周辺事項までまとめて確認し、引き出せるようにしておく。
そして時事問題で戸惑わないように、社会的な出来事・新聞の一面になるような話題について(直近の数年に起こったことは特に)噛み砕いて理解しておく。付け焼き刃の一夜漬けではなく、日常的に新聞・ニュースに目を向けておきたい。
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