市川高等学校 入試対策
2020年度「市川高等学校の国語」
攻略のための学習方法
記述
「市川の記述対策」は「問題解説」及び上記のとおりだが、その前提としてやるべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。
最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。50~60字程度で書いてみる(市川の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。
「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
解法
「記述」「選択肢」、その他の問題も含め、「市川の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解説」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
大学入試にも匹敵、あるいはそれ以上の問題文を読まなくてはならない。「現代文」全体で7000字以上。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。
やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。市川に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「市川の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。いかなる「攻略法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。
確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。
要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
古典
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」は必須のカリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。
が、「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」するしかない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は理解しておかなくてはならない。
そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。
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2020年度「市川高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一 は「論説文」、出典は郡司ペギオ幸夫「天然知能」(文字数約3500字)。小問は全5問(解答数5)。「選択肢」(「脱文挿入」あり)、「説明記述」(1問。「70字以内」指定)。問題文は4分半ほどで読み切り、設問を13~14分で解きたい。
大問二は「小説」、出典は菊池寛「蘭学事始」 (文字数約3200字)。小問は全6問(解答数7)。「選択肢」(「総合的知識問題」あり)、「説明記述」(1問。「60字以内」指定)。問題文は4分強で読み切り、設問を15~16分で解きたい。
大問三は「古文」、出典は源俊頼「俊頼髄脳」(文字数約1000字)。小問は全4問(解答数5)。「選択肢」のみ(「現代語訳」あり)。10分程度で解きたい。
大問四は「漢字の書きとり」(全3問)と「漢字の同音・同訓判別」(全3問)。3分以内で丁寧に終えたい。
【大問一】
- 時間配分:
「考えるな、感じろ」とブルース・リーは言った。計算を間違い、マニュアルを守れず、ふと何かが降りてくる――すべて知性の賜物である。「人工知能(AI)」と対立するのではなく、想像もつかない「外部」と邂逅(かいこう=「思いがけず出会う」こと)するために、今こそ「天然知能」を解放すべきだと論じている。本文では、「人工知能」に他人の心を理解する仕組みを植えつけるには、「一人称的知性」から「三人称的知性」への転回が必要だが、自分が経験しておらず想定さえしていなかった他者の悲しみは、「一・五人称的知性」によってのみ接近可能だと指摘している。「哲学論」ではあるが、具体例が豊富で内容は理解しやすい。「脱文挿入」、紛らわしい「選択肢設問」、「換言説明記述」といった多彩な小問が並んでいる。以下、いくつか確認してみよう。
[問1] 「脱文挿入の選択肢」(5択)。示されている「脱文」を「補うのに最も適当な箇所」を本文中の①~⑤の中から答える。「脱文挿入」では当然ながら、「脱文冒頭」の「接続詞」「指示語」などに着目して、「入る箇所」との繋がりを捉えることが最優先だ。示されている「脱文」の「冒頭」には「つまり」という「換言・まとめ」の「接続詞」があり、「つまり、『極めて悲しい場合、絶句して呆然とする』程度の心のモデルでは……」と続いている。ということは、「脱文」の直前で「極めて悲しい場合、絶句して呆然とする」ことへの論及があるはずだ。候補の「箇所」を確認すると③と④の前に「絶句」「呆然」の具体例が述べられているが、「つまり」は「まとめ」になっているはずなので、④が最有力候補だと判断できる。そして、「脱文」は「(心のモデルでは……)他者の心を理解するなど、全くできないのです。」と結ばれていて、④の直後は「一人称的知性に足りない『心のモデル』を付け加えれば、……他者の心を理解できるだろう、という見込みは大きく外れることになります」となっている。見事に繋がるではないか。念のために他の候補の「箇所」をチェックしても、繋がらない。したがって、「答え」は「④」でOKだ。尚、「選択肢」ではない「脱文挿入」では、「形式段落の最後」に「挿入」されることがほとんどだと心得ておきたい。
<時間配分目安:1分半>
[問3] 「内容説明選択肢」(5択)。傍線部(2)「雀のかあさんの心情を理解しない人工知能」について、「ここで科学者は人工知能にどのような改良を加えようとするのか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」を最優先に考えること)。ここは「内容説明」なので、「心情を理解しない人工知能」の「改良」の「原意」と結びつかない「内容」の選択肢を、「文末」で「消去」したい(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。だが、「文末」は全て「仕組みを人工知能に導入する」となっているので、その直前との照合になる。確認したい。(ア)「相手の立場を理解できる(仕組み)」、(イ)「相手の心情を推定するという(仕組み)」、(ウ)心的反応のリストを作るという(仕組み)」、(エ)「人間と同じ感情があると相手に思わせる(仕組み)」、(オ)「心的反応のリストを作成していくという(仕組み)」。さあ、どうだろうか? 「心情を理解しない」ことを「改良」するのだから当然、「心情を推定する」となっている(イ)以外は「消去」できなくてはいけない。「同一意味段落」で他の部分を確認しても特に誤っていない(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。したがって、「答え」は(イ)でいい。見事、「一発消去」だ。畏るべし「原意消去」、しっかりと使えるようにして大いに活用すべし。
<時間配分目安:1分以内>
[問5] 「換言説明記述」(「70字以内」指定)。傍線部(4)「そのような他者の悲しみは、一・五人称的知性によってのみ、接近可能なのです」について、「それはどういうことか」を、「70字以内」で説明する。「指示語」があるので、先ずは開く(「指示語」が出たら即開くことが鉄則)。直前から、「そのような他者の悲しみ」=「わたしが経験しておらず、想定さえしていなかったような他者の悲しみ」だと読み取れる。次に、「一・五人称的知性」とは何かを捉えていきたい。「同一意味段落」を確認すると、4段落前から「『わたし』の知覚に自信が持てず、『何だろう』と訝(いぶか)しく思う」ことだと読み解ける。あとは、「接近可能」を的確に「換言」して「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「『わたし』が未経験で、想定さえしていなかった他者の悲しみは、自分の知覚に自信が持てず訝しく思う一・五人称的知性でのみ理解できるということ。」(69字)といった「答え」になる。適切な「解法」を用いて、段階的に解き進めることが肝要だ。
<時間配分目安:3分>
【大問二】
- 時間配分:
オランダ語の医学書「ターヘル・アナトミア」を翻訳し、「解体新書」として刊行するまでの苦心談を回想した杉田玄白の「蘭学事始」を小説化したのが本作品だ。本文では、同じく蘭学を志す前野良沢らとともに刑場で解剖を見学した後の場面で、2人の間の葛藤の様子などが描かれている。大正時代の作品で馴染みの薄い言葉があるが、「※注」も参考にして、内容を理解したい。「換言説明」「内容説明」「心情説明」等の「選択肢設問」が中心の大問だ。的確に判別していきたい。以下、いくつかの設問を検証する。
[問1] 「語句の意味の選択肢」(全2問/各5択)。「総合的知識問題」。二重傍線部(a)「彷彿(ほうふつ)として」・(b)「余念もなかった」の「本文中での意味」を答える。「原意」での特定を優先させ、それが困難な場合は前後の「文脈」から判断していく。「答え」を確認する。「彷彿」⇒馴染みがなく難しいか? 「見分けにくいほど、よく似ていること」「ぼんやり見えること」、2つの意味があるが、ここでは「文脈」から後者だと判断したい⇒(a)の「答え」は選択肢(オ)「ぼんやりとして」。「余念がない」⇒これは分かるはず。「ほかのことを考えず、ひとつのことに熱中すること」だ⇒(b)の「答え」は(イ)「没頭していた」。本校では「高度な語彙力」を磨く必要があると心得よ。
<時間配分目安:全問で1分>
[問3] 「心情説明選択肢」(5択)。傍線部(2)「良沢は、その巨(おお)きい目を輝かしながら言った」について、「この時の良沢の心情はどのようなものか」を答える。無論、先ずは「原意消去」をしたい。ここは「心情説明」なので、「目を輝かしながら」の「原意」と結びつかない「心情」を「消去」する。各選択肢の「文末」をチェックする。(ア)「親近感を覚えている」、(イ)「はやる気持ちを抑えられずにいる」、(ウ)「深い感動を覚えている」、(エ)「焦っている」、(オ)「期待と興奮を覚えている」。「目を輝かす」のだから、(イ)(オ)以外は「消去」できるはずだ。2択になった。次なる「消去」は「言った」ことの内容で判別する。「同一場面」の直前から(「小説」では「同一場面」の「直前直後」に「手がかり・ヒント」がある)、「しからば、善はいそげと申す。明日より拙宅へおこしなされい!」と言っていることが分かる。よって、「期待と興奮」ではなく「はやる気持ち」だと判断できる。他の部分の説明も特に誤ってはいないので、「答え」は(イ)だ。「原意消去」からの2段階。こうした「段階的消去」も求められると心得よ。
<時間配分目安:2分>
[問5] 「理由説明記述」(「60字以内」指定)。傍線部(4)「玄白は、常に先を急いでいた」について、「それはなぜか」を、「60字以内」で説明する。直前・直後だけでは「理由」は判然としない。「同一場面」をさらに確認して、「玄白」が何を考え、何を志していたのかを読み解いていきたい。4段落前に「玄白の志は、ターヘルアナトミアを、一日も早く翻訳して、治療の実用に立て、世の医家の発明の種にすることだった」とある。こうした「志」は「常に先を急いでいた」ことの「理由」としてふさわしいと判断できるはずだ。したがって、あとは分かりやすくまとめていけばいい。たとえば、「ターヘルアナトミアを一日でも早く翻訳して、実際の治療に役立て、世の医学の新たな発見の材料にもしてほしいと志していたから。」(60字)といった「答え」だ。「小説」では「同一場面」を丁寧に読み解いていくことが特に肝要だ。
<時間配分目安:3分>
【大問三】
- 時間配分:
平安時代後期成立の歌論書。詞(ことば)より心を重んじ、珍しい趣向の必要を説く作歌心得を述べている。本文では、古代中国の四大美人のひとりである前漢代の「王昭君」を詠んだ二首について論じている。本年度は、「古文単語の意味」といった単純な設問は1問だけで、他は全て「内容解釈」に関連するもの。例年になく難解だ。心して解き進めたい。以下、いくつか検討してみよう。
[問1] 「内容解釈選択肢」(5択)。傍線部(1)「かからざりせばかからましやは」について、「この部分を筆者はどのように解釈している」を答える。傍線部は本文冒頭に記載された、「王昭君」を詠んだ「懐円(くわいえん)」の歌の一部だ。この歌を筆者はどこで「解釈」しているのかといえば、本文の最後の部分なのだ。そこにたどり着くまでが、そもそも大変なはず。難問だ。最後から4行目に「かからざりせば、と詠めるは、悪(わろ)からましかばたのまざらまし、と詠めるなり」とある。現代語訳をしてみる。「かからざりせば(=もし、このようでないならば)、と詠んだのは、(容姿が)もし悪いならば頼みにしないだろうに、と(懐円が)詠んだのである」となる。したがって、「もし王昭君が、醜い容姿であったら、自らの美貌を頼りにすることでつらい目に遭うことなどなかっただろう」と説明されている(ウ)が「答え」だ。ちなみに、「かからざりせば」の「せば」は連語で、「もし…だったら。もし…なら」という意味だ。多くの場合、下に「反実仮想」の助動詞「まし」を伴い、事実と反する事柄や実現しそうもないことを仮定し、その上で推量する意を表す。また、「~ましかば……まし」は「反実仮想」の典型的な構文で、「……ならば、……だろうに」と訳す。これなどは「大学入試レベル」だが、本校ではこうした知識も求められると心得よ。
<時間配分目安:1分半>
[問3] 「語句の意味の選択肢」(全2問/各5択)。傍線部(3)「いとしもなからむ」・(4)「心ざし」の「本文中での意味」を答える。それぞれの「答え」を確認する。「いとしもなからむ」⇒「大変。非常に」を表す副詞の「いと」+「強意」の副助詞「しも」+形容詞「なし」の未然形「なから」+「推量」の助動詞「む」。ここで注意したいのは、「いと」も「しも」も下に「打消し」の語があると、「たいして……ない」となることだ。よって、直訳は「たいしたことはないだろう」、「文脈」から「容姿」のことだと判断できる⇒(3)の「答え」は選択肢(ウ)「たいして美しくない女性」。古文単語の「心ざし(志)」には「意向」や「好意」の他に「お礼の贈り物」という意味がある⇒(4)の「答え」は(ア)「贈りもの」。基本的な「古文単語」は確実に定着させておきたい。
<時間配分目安:全問で1分半>
※尚、[問3]の「経緯説明選択肢」(5択)は、「王昭君」の「数奇な運命」の経緯を本文中の10行分の内容から読み取る必要があり、しかも、各選択肢の説明が「150字以上」もあるという超難問だ。効率を考えれば無論、「捨て問」で構わない。
【大問四】
- 時間配分:
昨年度は「漢字の書きとり」だけだったが、本年度は例年の「書きとり」と「同音異字の判別」に戻った。しかし、難易度は下がっている。本校志望者であれば「全問正解」といきたい。
[問1] 「漢字の書きとり」(全3問)。どうということはないはず。確認する。(1)「生存キョウソウ」=「競争」。(2)「ホウフな資源」=「豊富」。(3)「テッコウ石の採掘」=「鉄鉱」⇒「同音異義語」に注意せよ。本年度は平易だったが、油断は禁物だ。本校では高度な「語彙力」が求められていると心得よ。
<時間配分目安:1分弱>
[問2] 「同音異字判別の選択肢」(全3問/各5択)。示されている(1)~(5)の各文の傍線部と「同じ漢字を使うもの」を答える。大学入試センター試験と同形式の「漢字問題」。3問だが結局、計18の「漢字」が判別できなくてはいけない。確認していく。
(1)「科学技術のヒヤク的な進歩」=「(飛)躍」⇒選択肢(ア)「ゲンエキの野球選手」=「(現)役」/(イ)「費用のウチワケ」=「(内)訳」/(ウ)「再会をヤクソク」=「約(束)」/(エ)「クスリが効いた」=「薬」/(オ)「心がオドる」=「躍(る)」⇒「答え」は(オ)。
(2)「チョチクが趣味」=「(貯)蓄」⇒(ア)「タケウマで遊ぶ」=「竹(馬)」/(イ)「堤防をキズく」=「築(く)」/(ウ)「チクサン農家」=「畜(産)」/(エ)「チクイチ報告する」=「逐(一)」/(オ)「脂肪をタクワえる」=「蓄(える)」⇒「答え」は(オ)。
(3)「使命をオびている」=「帯(びて)」⇒(ア)「ネッタイの動物」=「(熱)帯」/(イ)「タイダな人間」=「怠(惰)」/(ウ)「タイネツ素材」=「耐(熱)」/(エ)「ダイジュウタイに巻き込まれた」=「(大渋)滞」/(オ)「出番までタイキする」=「待(機)」⇒「答え」は(ア)。「漢字対策」では「最高難度レベル」まで定着させておくこと。
<時間配分目安:2分>
攻略のポイント
●「説明文が長くて紛らわしい選択肢設問」はどう対処するか? 無論、できるだけ単純な方法で、「選択肢」を少しでも「消去」しておきたい。その為にこそ「原意消去」だ。絞り込めば、誤答の可能性が減少するのは自明の理。その上で、さまざまな「解法」を用いて、さらに判別すればいい。したがって、基本的「解法」を完全に習得し的確に応用できるようにしておくことが重要だ。それによって「得点力」を安定させたい。
●「説明記述」は「問題文」と「条件」がとても複雑だ(本年度は単純だったが、安心してはいけない)。「攻略」できるか? それぞれを正確に理解することは当然として、後は実直に「練習」するだけだ。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げるという手法を完璧にマスターすること。「内容」から重要度を特定し、優先順位の高いものから積み上げる。各「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「50~80字程度」の「字数指定」が多いので、2~3つ程度の「要素」でまとめることに慣れること。「合格ライン」は6割台半ば(過去7年間の「男女合計受験者平均得点率」は60.5%。本年度は一気に上がって67.5%)。配点が大きい「説明記述」での失点や減点は致命的になると肝銘せよ。
●「総合的知識問題」も決して侮れない。「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。学校や塾での学習だけでは、全く不十分だ。
●「古文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容解釈」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。
●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は7000字ほどにもなる(本年度は約7700字)。したがって、速く正確に読み取ることが不可欠。分速750字以上を目標に「読む練習」をしたい。