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桐光学園高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2020年度「桐光学園高等学校の国語」
攻略のための学習方法

解法

「理由説明」にしても「記述」にしても、「桐光の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「桐光の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提として為すべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。50~60字程度で書いてみる(桐光の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。

その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。

ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際はマス目のない用紙を使うこと)。

速読

「現代文」全体で8000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。

桐光に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「桐光の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。

「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。

今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

古典

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。

が、桐光などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。また、「漢文」でも同様に「基本的事項」は定着させておくこと。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

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2020年度「桐光学園高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問 は「論説文」、出典は郡司ペギオ幸夫「天然知能」(文字数約4500字)。小問は全5問(解答数13)。「選択肢」(「具体例正誤判別」あり)、「説明記述」(「字数指定なし」1問)、「漢字の読み書き」(全5問)。問題文は5分半ほどで読み切り、設問を15~16分で解きたい。

大問 は「小説」、出典は集英社文庫編集部編「短編学校」所収の本多孝好「エースナンバー」(文字数約4900字)。小問は全7問(解答数7)。「選択肢」(「脱文挿入」あり)、「説明記述」(「字数指定なし」1問)。問題文は6分ほどで読み切り、設問を12~13分で解きたい。

大問 は「古典」、出典は「古文」が編者未詳「十訓抄」所収の「忠直を存すべき事」(文字数約260字)、「漢文」は漢の劉向編「説苑」(文字数76字)。小問は全6問(解答数9)。「選択肢」(「漢字判別」「語句の意味」、「本文内容合致正誤判別」あり)、「抜き出し」(空所補充)、「返り点記入」。10分程度で解きたい。  

【大問一】

  • 時間配分:

「考えるな、感じろ」とブルース・リーは言った。計算を間違い、マニュアルを守れず、ふと何かが降りてくる――すべて知性の賜物である。「人工知能(AI)」と対立するのではなく、想像もつかない「外部」と邂逅(かいこう=「思いがけず出会う」こと)するために、今こそ「天然知能」を解放すべきだと論じている。本文では、世界に対する対処の仕方は、「人工知能」、「自然知能」、「天然知能」の3つがあるが、「天然知能」だけが自分にとって外側にあるものを受けいれ、創造を楽しむことができる知能であると指摘している。「科学論」ではあるが、具体例が豊富で内容は理解しやすい。本校としては比較的難易度の低い小問が並んでいる。一気呵成に解き進めたい。以下、いくつか確認する。

[問一] 「漢字の読み書き」(「読み」2問/「書きとり」3問)。昨年度よりは平易だ。当然、「全問正解」といきたい。確認する。
二重傍線部(あ)「緑の葉にわれて」=「おお(われて)」⇒基本だ、(い)「じまんのポーズ」=「自慢」⇒「慢」の「部首」には注意、(う)「対処のてんけい」=「典型」⇒高校入試の定番、(え)「評価じくが定まっておらず」=「軸」⇒「文脈」を捉えること、(お)「世界を刷新する」=「さっしん」⇒「書きとり」でも定着させ、「弊害を除き去って、全く新しいものにすること」という意味も押さえておくこと。
本年度は平易だったが、油断せずに「高度な語彙力」を磨いておくことが重要だ。

<時間配分目安:全問で1分>

[問二(1)] 「内容説明選択肢」(4択)。傍線部(1)「世界に対する対処の仕方は、三つに大別されるでしょう」について、「ここで筆者の言う『人工知能』は、どのような『対処の仕方』をするか」を答える。「選択肢消去」では「原意消去」が基本(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。だが、ここでは傍線部に「人工知能」という言葉すらないので、流石(さすが)に無理だ。そこで、「同一意味段落」に「手がかり」を求める(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。傍線部直後から、「大別される三つ」が「人工知能の対処の仕方」・「自然知能の対処の仕方」・「天然知能の対処の仕方」だと分かる。次に、「人工知能の対処の仕方」が「どのような対処」なのかを、さらに「同一意味段落」から読み取りたい。すると、次段落の冒頭に「第一に、人工知能です」とあり、そこでは「自分にとっての用途、評価が明確に規定され、その上で対処するというのが、人工知能の対処」だと説明されている。ここで各選択肢を判別する。
(ア)「外部からの指令を忠実に実行する」、(イ)「自分にとって価値があるか否かによって行動を決める」、(ウ)「利害の有無にとらわれず柔軟に判断を下す」、(エ)「あらゆるものを受け容れる」。「自分にとって」がポイントなので無論、「答え」は(イ)だと判断できるはず。
本問は変則的だったが、「選択肢消去」では「原意消去」が最優先だと心得よ。

<時間配分目安:1分半>

[問二(2)] 「具体例判別選択肢」(全4問/各2択)。示されている(A)~(D)の「具体例」について、[問二(1)]で確認した「自然知能」の例にあたるものには「1」、「天然知能」の例にあたるものには「2」を答える。傍線部(1)の「同一意味段落」の2つ目で「自然知能」、3つ目で「天然知能」が説明されていることにすぐに気づくはず。前者は「自然科学が規定する知能」で「昆虫採集をして虫の名前をおぼえたり標本を作ったりする」こと、後者は「ただ世界を受けいれる」だけで、「場当たり的に知覚したり知覚しなかったりする知能」だと分かる。それぞれの「具体例」を判別していく。
(A)「虫の名前を覚え、昆虫を採り、標本を作る」⇒まさに本文にあるとおり⇒「答え」=「1」、(B)「自作の動物図鑑を作る」⇒「自然科学」そのもの⇒「答え」=「1」、(C)「道端の茂みから突如現れたマメコガネに興奮する」⇒「突如現れた」のは「場当たり的」で、それを「知覚」して「興奮」するわけだ⇒「答え」=「2」、(D)「岩や石を拾い集め、鉱物の種類ごとに分ける」⇒「分類」は「自然科学」の基本⇒「答え」=「1」。
本文内容を的確に捉え、「具体例」にあてはめるという設問は本校に限らずひとつのトレンドなので、しっかりと練習しておくことが肝要だ。

<時間配分目安:全問で2分強>

[問四] 「換言説明記述」(「字数指定」なし。「50字ほど」の解答欄)。傍線部(3)「出初式もその一つです」について、「その」の「指す内容」を説明する。典型的な「指示語換言説明」だ。「指示語」なので当然、前の「文脈」を確認する。そこから、「その(一つ)」=「自分の知らないところからやってきて、知らないことを担いできたことに興奮するものの(一つ)」だと読み取れる。また、傍線部の直後には「自分の知らない向こう側から、何かがやってくることを感じる」とも述べられている。あとは、こうした内容を整理して「過不足なく」まとめていけばいい。その際、「その」の部分に「代入」できることを考慮すること。たとえば、「自分が知らないところからやってきて、知らない何かをもたらすことを感じて興奮するもの。」(42字)といった「答え」だ。「指示語換言説明記述」では、必ず「指示語部分」に「代入可能」な形式でまとめること。また、「説明記述」では「字数調整」もとても重要なので、しっかりと練習しておくこと。

<時間配分目安:2分半>

【大問二】

  • 時間配分:

個性あふれる作家陣が、大人への階段を上がろうとする人生の一瞬を鋭くとらえた、「学校」がテーマの珠玉の短編10作品を集めたアンソロジー(異なる作者による詩文などの作品を集めた作品集)の一篇。部活動での濃密な時間を一緒に過ごした、忘れがたいそれぞれの熱い思いを綴(つづ)っている。本文では、社会人になった「私(=森野)」が高校時代のソフトボール部監督と偶然出会い、一番思い出に残っている試合について語り合う様子が描かれている。分かりづらい言葉が散見されるが、「※注」を活用すれば内容は理解できる。「脱文挿入」と「心情説明」「状況説明」の大問構成だ。以下、いくつかの小問を検証する。

[問一] 「脱文挿入選択肢」(4択)。示されている「文」は、本文中の  ア    エ  の「どこに入るか」を答える。「脱文挿入」では当然ながら、「脱文冒頭」の「接続詞」「指示語」などに着目して、「入る箇所」との繋がりを捉えることが最優先だ。だが、「脱文」は「ギアが一つ、上がった。」というもので、「接続詞」も「指示語」もない。「内容」で判断する他はない。候補の「箇所」は全て「ソフトボールの試合中の場面」なので、「ギア」は無論、「比喩表現」だ。「ギアを上げる」=「自身のもつ技術・能力をさらに出す」ということは知っているはず。そこで、「脱文」の直前で、「ギアが上がった」状況が読み取れる「候補」を確認する。  イ  の直前に「『勝つよ』アネゴの言葉に、おう、とみんなが応じた」とある。士気が上がったと分かる。他の「候補」ではそうした「状況」が読み取れない。したがって、「答え」は「  イ  」になる。尚、「選択肢」ではない「脱文挿入」では、「形式段落の最後」に「挿入」されることがほとんどだと心得ておきたい。 

<時間配分目安:1分強>

[問二] 「心情説明選択肢」(4択)。傍線部(2)「試合の事情が変わっても、アネゴの事情は変わりません」について、「この時の『私』の心情」を答える。先ずは「原意消去」をしたい。ここでは「アネゴの事情」という「原意」と結びつかないものを「消去」していきたい。各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。
(ア)「ピッチャーを交代させてほしい」、(イ)「アネゴにこれ以上無理をさせないでほしい」、(ウ)「大事を取って交代させてほしい」、(エ)「予定どおり交代させてほしい」。「私」は「アネゴ」自身の「事情」を強調しているので、「ピッチャーという役割」を「交代させてほしい」という(ア)・(ウ)・(エ)は「消去」できなくてはいけない。それらに対して、(イ)は「アネゴ」自身を心配しているのだ。念のために、「同一場面」で他の部分の説明を確認する(「小説」では「同一場面」に「ヒント・手がかり」がある)。特に誤ってはいない。よって、「答え」は(イ)でいい。
「一発消去」ではないか。「原意消去」、必ず使いこなせるようなしておくこと。

<時間配分目安:1分>

[問五] 「心情説明選択肢」(4択)。傍線部(4)「うちのエースにして、うちのキャプテン。ああいう、いい女になりなさい」について、「この言葉に込められた『監督』の思い」を答える。「指示語」があるのでそれを開いた上での「原意消去」からだ(「指示語」が出たら即開くことが肝要)。直前から、「ああいう」=「打席に入って相手ピッチャーに凛(りん)とした視線を向けるのとは裏腹に、その頬(ほお)が少し緩んでいるアネゴのような」だと読み取れる。したがって、「凛としながらも頬が緩んでいる表情」の「原意」と結びつかない「心情」を「消去」する。各選択肢の「文末」を確認する。
(ア)「精神力の強さも兼ね備えた人間になってほしい」、(イ)「平常心を持っている人間になってほしい」、(ウ)「思いやりのある人間になってほしい」、(エ)「器の大きな人間になってほしい」。さあ、どうか? 「凛」とした後に「頬が緩む」⇒「不敵・大胆・余裕」といった「心情」が結びつくはずなので、(ア)と(エ)以外は「消去」だと判別できる。2択になった。次に、「エース」で「キャプテン」の「原意」で「消去」したい。残りの選択肢説明の他の部分をチェックする。(ア)「非凡な才能を持っているだけでなく、……みんなを励ます」、(エ)「勝利に導く力量があるだけでなく、……責任を引き受けることができる」。それぞれ、前半が「エース」、後半が「キャプテン」の説明になっている。当然、(ア)は「消去」だ。よって、「答え」は(エ)になる。
「2段階消去」が求められ、しかも、判別がなかなか厄介だった。本校では、こうした一筋縄ではいかない「選択肢設問」もあると心得よ。

<時間配分目安:2分半>

【大問三】

  • 時間配分:

「問題文〈甲〉」(古文)は鎌倉時代中期の教訓説話集。全三巻で約280話を収録。「十訓」こと「十ケ条の教戒」を掲げ、その後の「教訓書」の先駆となった。本文は、第六「忠直を存すべき事」の一。「問題文〈乙〉」(漢文)は中国前漢故事説話集。本文は「不顧後患」の一節。「問題文〈甲〉」は「問題文〈乙〉」を原典としている。本校の「古典」は近年、難化傾向にある。本年度は「古文」「漢文」ともに、本文全体の内容解釈が求められる厄介な問題があるので、心してかかること。いくつか検討してみよう。

[問一] [古文]「語句の漢字表記と意味の判別選択肢」(4択)。〈甲〉の傍線部(1)「いさめ」について、「その漢字表記と意味の組み合わせ」を答える。前後の「文脈」に「手がかり」を求めたい。「楚(そ)の襄王(じやうわう)、晋(しん)の国をうたむとす。孫叔傲(そんしゆくがう)、これをいさめ申していはく」となっている。現代語訳に際して分かりづらいのは、「うたむとす」の部分⇒四段活用の動詞「うつ(討つ)」の未然形+助動詞「む」(ここでは「意志」)の終止形+格助詞「と」+サ行変格活用の動詞「す」の終止形=「討とうとする」。ここで、各選択肢を確認してみる。(ア)「勇め(後押しをする)」、(イ)「諫め(意見する)」、(ウ)「諍め(言い合いになる)」、(エ)「諷め(非難する)」。判別できるか? そもそも、(ア)以外は「いさめ」と読めるかどうかすら、分からないはず。困った! 難問だ。何か「手がかり」はないか。「いさめ申していはく」ということは、「孫叔傲」は「晋国を討とうとする襄王」に対して、何かを申し上げたはずで、それを聞いた「襄王」がどうしたのかが分かれば判別できるはずだ。確認する。本文の最後、「孫叔傲」の話を聞いた後の「襄王」について、「王、この時、悟りを聞きて、晋を攻むといふこと、とどまりたまひぬ」とある。要は、「晋を攻めるということを思いとどまった」のだ。であれば、「答え」は(イ)の「諫め(意見する)」だと判別できる。これまでにないユニークな設問だった。しかも、本文全体の解釈が問われたことになる。やはり、「古文」の難易度は確実にアップしていると言わざるを得ない。要注意だ。

<時間配分目安:2分半>

[問三] [古文][漢文]「空所補充の語句抜き出し」。〈甲〉の空所  X  に「入る言葉」を〈乙〉の中から抜き出して答える。連関している[古文]と[漢文]の内容解釈が前提となる。これまた難問だ。空所前後を確認する。「これみな、  X  をのみ思ひて、後害(こうがい)をかへりみざるゆゑなり」となっている。「これ」はこの前で語られている具体例のことだ。内容を解釈すると、要は「目先の利益ばかりを考えて、後から迫ってきている危険に気づいていないこと」だと読み取れるはずだ。つまり、空所には「目先の利益」のような内容の言葉が入るわけだ。〈乙〉で丁寧に探していく。すると、5行目に「皆 務メテント二前利ヲ一」(*「」「」「」が「返り点」)=「皆務めて其の前利を得んと欲し」とある。「目先の利益」なので、「答え」は「前利」になる。的確に内容を解釈して、「古文」と「漢文」との対応関係を捉えることが肝要だ。

<時間配分目安:2分>

[問五]  [漢文]「返り点記入」。〈乙〉の傍線部(4)「不 顧 其 後 之 有 患 也 」に、「その後の患へ有るを顧みざるなり」という訓読を参考にして「返り点」を記入する(「送り仮名」は不要)。訓読から考えて、「其 後 之」→「患」→「有」→「顧」→「不」→「也」の順に読むと分かるはずだ。したがって、「答え」は「不 其 後 之 有一レ 患 也 」(*「」「」「」が「返り点」)となる。「返り点」「書き下し文」は「漢文」の「基本のキ」で、当然ながら「再読文字」や「置き字」などについてもしっかりと習得しておくことが肝要。尚、「書き下し文」では「付属語(助動詞・助詞)」を「平仮名」とし、当然、「歴史的仮名遣い」で表記すること。

<時間配分目安:1分>

攻略のポイント

  • ●「多種多様な設問内容」。どう対処するか?無論、「設問内容」に応じた「解法」の適用だ。基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくことが重要。それによって、「得点力」を安定させたい。本校の「合格ライン」は6割ほど(過去7年間の「SAコース」男女合計の「合格最低得点率」の平均は59.5%。本年度はやや高くて61.8%)。「解法」の応用で、「失点」「減点」を防いでいきたい。
  • ●「字数指定なし」の「説明記述」。いかに「過不足なく」まとめ、「攻略」するか? 「裏ワザ」などないので、愚直に「記述」の「練習」を続ける他ない。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターし、「内容」の優先度が高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「20~100字程度」の「解答欄」と幅があるので、どのような「字数」にも対応できるように練習しておくことが肝要だ。
  • ●「古文」「漢文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着は勿論だが、「内容解釈」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「古典常識」も「日本史」を含めてなじんでおくことが必要になる。「漢文」でも、「返り点」「訓点」「書き下し文」「基礎的句法」などの基本的知識は押さえておくこと。
  • ●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は「現代文」で8000字程度(本年度は一気に増加して約9700字)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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