全国のダムで配布されているカード形式のパンフレット｢ダムカード｣をめぐっての｢会話文｣からの出題｡｢統計資料｣などで｢地理｣の基本的知識が問われている。ただ、中には判別しづらい｢選択肢問題｣もあるので注意したい。以下、いくつかの｢設問｣を確認する｡

[問１]　｢下線部に関しての不適切選択肢設問｣(４択)。｢会話文｣中の下線部①｢川が運んだ土砂でせき止められてできた湖｣に関して、｢潟湖(せきこ)｣として｢適切でないもの｣を答える。

湖の成因についての問題。やや難解か。傍線部は｢堰止湖(せきとめこ)｣のことだ。で、｢潟湖｣だが、仮に定着していなくても｢潟｣⇒｢干潟｣から｢海岸近く｣と類推したい。各選択肢は、(ア)｢猪苗代湖｣･(イ)｢サロマ湖｣･(ウ)｢宍道湖｣･(エ)｢八郎潟｣｡無論、｢答え｣は(ア)になる。｢猪苗代湖｣は｢断層湖｣だ。自らが未習の事項であっても、何らかの｢手がかり｣から類推できると心得よ。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問４]　｢下線部に関しての不適切選択肢設問｣(４択)。｢会話文｣中の下線部④｢農業｣に関して、｢日本における農業の開拓についての説明｣として｢適切でないもの｣を答える。

各選択肢の｢キーワード｣で正誤判別をする。(ア)｢乾燥地｣｢スプリンクラーによる配水設備｣⇒何ら問題がないはず＝適切。(イ)｢泥炭地｣｢土地の水分だけを抜く干拓｣⇒土地改良のための｢客土｣が必要なことは知っているはず＝不適切。(ウ)｢海岸地域｣｢土や砂での埋め立て｣⇒当然だ＝適切。(エ)｢石狩平野｣｢客土｣⇒(イ)で確認した。｢石狩平野｣はその典型＝適切｡ということで、｢答え｣は(イ)だ。本問は平易だったが、｢正誤判別｣は細部まで慎重に確認することが肝要。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問６]　｢下線部に関しての条件付き理由説明記述設問｣(｢字数指定｣なし、｢60字ほど｣の解答欄)。｢会話文｣中の下線部⑥｢発電｣に関して､｢風力発電｣の発電量は都道府県別で｢青森県｣が最も多いが、｢その理由｣を説明する。

｢条件｣は｢『季節風』と『山脈』という語句を用いる｣こと。なぜ｢青森県｣なのか？ 当然ながら、｢風力発電｣では｢風｣が必要だ。ここで、指定語句の｢季節風｣が｢手がかり｣になる。日本では夏は｢南東｣、冬は｢北西｣からの｢季節風｣が吹くのは知ってのとおり。そして、もうひとつの指定語句は｢山脈｣、｢青森県｣の地形を考えると｢南北｣に走る｢山脈｣がないことは明白。つまり、夏も冬も｢季節風｣が遮(さえぎ)られることがないわけだ。要は、一年中風が吹いていることになる。こうした内容を的確にまとめていきたい。たとえば、｢日本では夏は南東、冬は北西からの季節風が吹くが、青森県には南北に走る山脈がないので、一年中風を受けることができるから｡｣(59字)といった｢答え｣だ。｢条件｣＝｢手がかり･ヒント｣だと心得よ。

＜時間配分目安：１分半＞

｢黒部湖｣の｢２万５千分の１の地形図｣からの出題。本校に限らず｢地理単元｣での定番である｢地形図読み取り｣の大問。小問は３つだけで、難易度も高くない。１問だけ検討する。尚、｢地形図読み取り｣では、｢地図記号｣｢等高線｣｢方位｣｢縮尺｣等の｢地形図｣に関連する基礎的事項を完全に定着させておくことが肝要だ。

[問１]　｢地形図についての数字記述設問｣。｢地形図中の『立山ロープウェイ』の大観峰駅から黒部平駅までの距離は6.5㎝だが、実際の距離は何ｍか｣を答える。

基礎的な｢縮尺計算｣だ｡6.5㎝×25000＝162500㎝。メートル換算して、｢答え｣は｢1625(ｍ)｣になる。尚、｢距離｣だけではなく｢面積｣等についても、しっかりと｢縮尺計算｣の練習をしておくこと｡くれぐれも｢単位｣には注意せよ。

＜時間配分目安：１分弱＞

※[問２]は｢２点間の断面図｣の｢作図(記入)問題｣になっている。｢等高線｣を正確に読み取って、丁寧に作図することが求められている。同様の出題が今後も考えられるので、｢作図｣の練習は不可欠だ。

｢およそ１万年余り前の地球環境変化に合わせ、新たな生活技術を身につけた縄文時代、そして、それに続く弥生時代についてのリード文｣と、それに関連する｢史料(中国の歴史書)｣からの出題。｢古代史｣に関する小問が並ぶが、｢深知り知識｣が求められるものが多く、厄介な大問だ。いくつかの｢設問｣を検証してみる。

[問２]　｢空所補充の人名記述設問｣｡｢リード文｣中の空所部(  Ｂ  )に｢あてはまる人物の名｣を答える。

空所前後は｢(卑弥呼の死後)国中で戦争が起こり、……13歳であった(  Ｂ  )を女王としたところ、ようやく国中が安定した｣となっている。中学入試ではほとんど問われない人物だ。｢大学入試レベル｣なので、知らなくても当然だ。｢答え｣は｢臺與＝台与(とよ･いよ)。｢捨て問｣で構わない。本校ではこうした難問もあるということだ。

＜時間配分目安：30秒＞

[問５]　｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢史料｣中の下線部①｢卑弥呼が死んだとき、直径が100歩余りもある大きな墓を造った｣について、近年の研究成果により、｢卑弥呼の墓｣である可能性が主張されている｢古墳の名称｣を答える。

ニュース等で報道されたことがあるので知っている諸君がいるかも知れないが、これまた難問だ。しかし、各選択肢は(ア)｢稲荷山古墳｣･(イ)｢大仙古墳｣･(ウ)｢石舞台古墳｣･(エ)｢箸墓古墳｣｡｢消去法｣でもう分かったはずだ。｢稲荷山古墳｣⇒｢ワカタケル大王｣、｢大仙古墳｣⇒｢仁徳天皇？｣、｢石舞台古墳｣⇒｢蘇我馬子｣と結びつくことは誰もが知っている。よって、残りの(エ)が｢答え｣になる。｢箸墓古墳｣は奈良県桜井市にあり、現在は｢倭迹迹日百襲姫尊命(やまとととひももそひめのみこと)｣の墓として宮内庁が管理している。尚、｢選択肢設問｣では｢消去法｣を有効に活用することが肝要。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問７]　｢空所補充の会話文記述設問｣(｢字数指定｣なし、｢30字ほど｣の解答欄)。示されている、｢リード文｣に関して話し合っている｢江戸川君｣と｢取手さん｣の｢会話文｣中の空所(   Ｄ   )に、｢江戸川君の質問に対する取手さんの答え｣を記述する。

｢質問｣は｢稲作が広まったことで、社会はどのように変化したのかな｣というものだが、もう少し｢手がかり｣がほしい。｢質問｣の直前で｢取手さん｣は｢稲作が始まっても、良いことばかりではなかったみたいよ。吉野ケ里遺跡には、矢じりがささったままの人の骨が発見されているわ｣と話している。こうした｢流れ｣を踏まえて、記述をしていきたい。｢矢じり｣⇒｢争い｣⇒｢なぜ？｣と考えていく。たとえば、｢稲作に必要な土地や水をめぐって争いが起こるようになったわ｡｣(29字)といった｢答え｣になる。｢社会｣の｢説明記述｣であっても、｢国語｣同様に｢文脈｣をたどることが肝要だと心得よ。

＜時間配分目安：１分半＞

｢第二次世界大戦直後から高度経済成長期までの日本と国際社会の歴史についてのリード文｣からの出題。｢戦後史｣の基礎的な事項を問う小問だけだ。手際よくこなして得点を重ねたい大問だ。以下、２問だけ考えてみよう。

[問３]　｢下線部についての条件付き内容説明記述設問｣(｢字数指定｣なし、｢60字ほど｣の解答欄)。｢リード文｣中の下線部①｢朝鮮戦争｣について､｢朝鮮戦争が日本に及ぼした影響｣を説明する。

｢条件｣は｢『アメリカ軍』･『景気』･『自衛隊』という語句を一度は用いる｣こと。もちろん、｢条件｣を｢手がかり･ヒント｣として考えていく。｢アメリカ軍が軍需物資を日本で調達｣⇒｢特需景気｣、｢占領下の日本の治安を守っていたアメリカ軍が朝鮮半島で参戦｣⇒｢日本国内でアメリカ軍に代わって治安維持のために警察予備隊創設｣⇒後に｢自衛隊｣となる。このように結びつくことが分かるはずだ。あとは、｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢アメリカ軍の軍需物資の特需で景気がよくなり、参戦した米軍に代わって治安維持のために警察予備隊ができ、後に自衛隊となった｡｣(60字)といった｢答え｣になる。｢条件｣と｢自らの知識｣を的確に結びつけていくことが肝要。

＜時間配分目安：２分＞

[問５]　｢下線部についての人名記述設問｣(｢漢字｣指定)。｢リード文｣中の下線部③の｢所得倍増計画｣を｢発表した総理大臣の名前｣を｢漢字｣で答える。

容易い。瞬時に｢イケダハヤト｣という｢名前｣を思いつくはず。そう正しい。が、｢漢字｣はどうか？ ｢答え｣は｢池田勇人｣だ。正しく書けなかった諸君は猛省せよ。尚、｢所得倍増計画｣は正式名称が｢国民所得倍増計画｣で、｢池田勇人｣が総理大臣に就任した翌年の1961年からの10年間で国民総生産(ＧＮＰ)を倍増させることを目標に掲げた。実際には約７年で達成した。｢人名｣や｢事項｣などは｢漢字｣で定着させることが必須だ。

＜時間配分目安：30秒以内＞

｢『法の支配』という原理に基づく日本国憲法の規定に関するリード文｣からの出題。｢公民｣の｢政治分野｣が問われている(１問だけ｢時事問題｣あり)。知っていることなのだが、深く考察しないと答えられない問題が多い。本年度の｢社会｣で最も難解な大問だ。心してかかること｡いくつかの｢設問｣をチェックしたい。

[問２]　｢下線部についてのグループ分けおよび基準説明記述設問｣(全２問。｢グループ分け｣は４択、｢基準説明記述｣は｢字数指定｣なしで｢30字ほど｣の解答欄)。｢リード文｣中の下線部②｢基本的人権｣について､示されている｢日本国憲法における『国民の権利』｣を｢２つのグループに分類｣した上で、｢グループ分けの基準｣を説明する。

｢問題文｣そのものが複雑だ。先ずは正確に読み取りたい。要は、①示されている｢基本的人権｣を何らかの｢基準｣で２つに｢分類｣、②その｢基準｣を説明する。｢基本的人権｣の｢分類｣であれば、｢自由権｣｢平等権｣｢社会権｣｢参政権｣｢請求権｣、そして｢新しい人権｣が基本だ。それに即して各選択肢を判別したい。(ア)｢住む場所を選んでそこに住み続けたり、別の場所に住み替えたりする権利｣⇒｢居住移転の自由｣(第22条)＝｢自由権｣。(イ)｢共通の目的を持って、多くの人がある場所に集まったり、グループを作ったりする権利｣⇒｢集会結社の自由｣(第21条)＝｢自由権｣。(ウ)｢自らの意に反するような行為･行動を強制されない権利｣⇒｢身体の自由｣(第18条)＝｢自由権｣。(エ)｢人間らしい生活を営むために、政府に対して社会福祉を高める政策の実施を求める権利｣⇒｢生存権｣(第25条)＝｢社会権｣。ということで、｢答え｣を確認する。先ずは｢２つのグループに分類｣＝｢(ア)(イ)(ウ)｣と｢(エ)｣。次に｢グループ分けの基準｣＝たとえば、｢日本国憲法の基本的人権の中での、自由権か社会権かという基準｡｣(30字)となる。複雑で難解ではあったが、上記のように丁寧に解き進めていけば道は開ける。

＜時間配分目安：全問で３分＞

[問３]　｢空所補充の語句記述設問｣｡｢リード文｣中の空所部(  １  )に｢あてはまる語句｣を答える。

｢日本国憲法第97条｣の一部だ。空所前後は｢(基本的人権は)現在及び将来の国民に対し、(  １  )永久の権利として信託されたものである｣となっている。もちろん｢日本国憲法｣の条文のいくつかは暗記しているはずだ。ただ、｢第97条｣となるとどうか？ なかなか難しい。｢答え｣は｢侵すことのできない｣だ。ちなみに、｢第11条｣にも｢基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる｣という部分があるので注意したい。尚、｢基本的人権｣は｢侵すことのできない永久の権利｣を簡潔に｢永久不可侵の権利｣とも表現するので覚えておきたい。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問６]　｢下線部についての人名記述設問｣(｢漢字｣指定)。｢時事｣単元。｢リード文｣中の下線部④｢国務大臣｣について、｢2019年９月の第４次安倍第２次改造内閣発足時に環境大臣に任命された人物の氏名｣を｢漢字｣で答える。

典型的な｢時事問題｣だ。知っていて当然。｢答え｣は｢小泉進次郎｣。ちなみに、父親は北朝鮮の平壌(ピョンヤン)で金正日(キム･ジョンイル)朝鮮民主主義人民共和国国防委員長と会談し、｢日朝平壌宣言｣を発表した｢小泉純一郎｣元首相だ。尚、｢時事問題｣に関しては、受験前年だけではなく過去数年間の｢時事ネタ｣を確認しておくことが肝要。

＜時間配分目安：30秒以内＞

[問９]　｢下線部についての条件付き語句記述設問｣。｢リード文｣中の下線部⑦に｢憲法は誰を支配し、誰が守らなくてはならないもの｣とあるが、それは｢『誰』だと考えられるか｣を答える。

｢条件｣は｢文章の内容を踏まえた上で、適当な語句を答える｣こと。｢憲法｣だって｢法律｣⇒｢法律｣は｢国民｣が守らなければいけないもの……、などと安易に考えてはいけない。｢文章の内容を踏まえた上｣で考える必要がある。傍線部の３行前に、｢日本国憲法第81条｣(最高裁判所の違憲立法審査権についての規定)に関して｢政府機関が憲法の規定を無視して活動し、憲法の最高法規性を否定するようなことがないように保証している｣とあり、続けて｢ここに『法の支配』、すなわち『憲法の支配』が制度的に完成した｣とも述べている。ということは、｢憲法の支配｣は｢政府機関｣に対して｢憲法を守らせるもの｣だと読み取れるはずだ。したがって、｢答え｣は｢政府機関(政府･国など)｣となる。本校では、安易に発想するのではなく、問題に即して深く思考することが求められている。

＜時間配分目安：２分＞