大妻中学校 入試対策
2020年度「大妻中学校の国語」
攻略のための学習方法
読解問題
文学的文章・説明的文章・韻文+鑑賞文という形の三題の出題がほぼ定形となっている。鑑賞文も字数の内である点がなかなかに厄介である。素材文の長さは、合計で8000字~10000字ほどにもなり、読むスピードが必要となる。
設問は、抜き出し・空欄補充・選択肢・並び替えなどと共に30字ほどの記述問題も数問あり、全体としてバランスの取れたオーソドックスな試験となっている。
素材文や選択肢の内容も特別に難しいものではなく、適正な実力があれば答えられる。
文学的文章・説明的文章、それぞれ長文読解の基本に沿って経験を積んでおきたい。
物語であれば場面分け・心情把握・主題の理解、論説文であれば段落分け・要点・要旨と要約といった読解の技術に関して、多くの問題をこなして基本力を高めた上で、文量の多さも考慮してスピードをつける練習も意識して行おう。
問題形式
選択式問題が多い点は意識しておかれたい。四択・五択・正解をいくつか選ぶなどパターンも多彩で、設問の指示を見落とさないように注意が必要である。
内容としては、紛らわしいものや意地悪な選択肢は少ないので、読解力があればさほど迷わず正解を選べるはずである。ともあれ、類似問題で十分慣れておくこと。
記述問題も短いものが数問出されている。本文の手がかりをうまく利用してまとめられるものが多いので、こちらも読解力があれば苦労はしないだろう。類似問題で30字前後にまとめる感覚をつかんでおこう。
韻文
韻文+鑑賞文の形で詩・短歌・俳句などの問題が例年、出題されている点が本校の特色とも言える。小学校では十分に学習しない場合も多いので、意識して練習する必要がある。
鑑賞文の中に手がかりを探せる場合も多いが、韻文読解そのものの実力が問われていることは論を待たない。やはり場数を踏むことが実力をつける近道なので、専用のテキストや問題集をしっかりこなしておきたい。短い言葉から、含まれているイメージを的確に捉えられるように、想像力を養っておくことが重要である。
知識
漢字や言葉の知識関連の問題も、必ず出題されている。
基本レベルの学習で良いので、手を抜かずしっかり覚えておくこと。本校のような高得点の試験では、漢字や言語事項での失点はそのまま合否を分けるので、億劫がらずに日頃の地道な漢字・語句学習を欠かさないようにお願いしたい。語彙の豊富さは、長文の読解だけでなく韻文の鑑賞にも多大なアドバンテージとなることは、国語の学習において常に心に留めておいて欲しい事柄である。
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2020年度「大妻中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
読解問題の三題構成。文章ジャンルは、①物語文・②説明文・③俳句・短歌を題材にした解説文など、である。総解答数は36問。言語事項は、読解問題の中に含まれる。設問は全体的に、基本的なものが中心。各文章ジャンルの基本的な読解方法をおさえることで、十分に合格点がねらえる。ただし、素材文の総字数はおよそ10700字にもなる。スピードを意識した訓練を。
【大問一】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:21分
- ★必答問題
ことばを発することがスムーズにできない主人公が作ったくす玉を、前田がふざけて投げ合ったことで騒ぎが起こってしまう。
問1 くす玉を手でぶらぶらさせたり、声を大きくして独り言を言ってみたりと、くす玉のことを皆に知ってもらいたいという気持ちが垣間見える。
問3 くす玉はまず前田によって取り上げられ飯田にパスされて、飯田の手にある。それを前田が投げ返せと言っている時点が傍線②である。
問4 先生から謝りなさいと言われたが、自分が悪いのではないのだから謝罪はしたくない。謝罪の言葉をひらがな六文字で考える。
問5 事件の推移を説明したいが、言葉がうまく出てこない。泣きそうになっているとところに、「麦わらさん」が助け舟を出してくれたので、ほっとしている。
問6 最後の場面で「麦わらさん」がいなくなって、「見張りの大人がいなかった」となった。この学校では教室に見張り役の父兄が来ることになっているようである。
問7 騒動の直接の原因は武市陽太が飯田麻耶に突進したことである。
問8 「男が泣くのは恥ずかしいこと」だと「父さん」からよく言われていたことが推測できる。
問9 (1) 眉を上げる――表情で怒りを表す。
問10 前田を「香奈枝」と呼び捨てにしていることから「麦わらさん」は前田の母親であることがわかる。娘が級友の作ったくす玉をぞんざいに扱って形を崩してしまったこと、そそのかす言葉を自分が言ったのではないなどと嘘をついたことが、母親として許せなく悲しかったのである。
問11 ニ. 「麦わらさん」が味方してくれる前までの気持ちなので、×。
問12 「前田の目が真っ赤」になっている。泣くところを皆に見られたくないのである。
問13 腫物にさわる――必要以上に気を使って、恐る恐る接するさま。
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:17分
- ★必答問題
日本庭園を彩るコケと日本人の感じる「わび・さび」の趣との関係を説明している。
問1 万葉時代の日本人がコケに「悠久の時間」を感じていたことが述べられている。ヤマタノオロチもそのような存在だったということである。
問2 イ「墓はコケに覆われた場所に建てられた」
ロ「コケと同じ色の着物を着ていた」
ニ「コケと言えば僧侶のことを指す」などは、本文の記述と合わない。
問3 徒然草は鎌倉時代、雨月物語とおくの細道は江戸時代の作品である。
問4 b. コケが僧侶・隠者のイメージに重なったことと、死後の世界とつながったことを並べて説明しているので「また」。
c. 「現代では使われない」しかし「現代の我々にとってもすんなり納得できる」。
問5 コケ(虚仮)にする――ばかにする。
問6 「そのものを代表する典型的な存在」という意味→ロが合う。
問7 わび・さびの静寂さや質素なもののなかに美しさを見出す美意識を、「小さくて花もないために目立たず、しかし透き通るような美しさをもつ」コケが体現している。また、「吸音効果が極めて高く、雑音を吸収する」ので、静寂に支配された趣のある庭となるのである。
問8 年間を通じて緑色であるコケが、季節ごとに色鮮やかな周囲の木や花を引き立てている。
問10 「成育できる+ない」という否定の助動詞「ない」。ロは「せつない」で一語、ハとニは補助形容詞の「ない」である。
問11 日本庭園は庭のデザインと管理により多様な環境がつくられ、1000種以上のコケが見られる。この点を「コケの豊かさ」と言っている。
問12 「管理」は「雑草や落ち葉によってコケが覆い隠されてしまう」のを防ぐためなので、「光合成」がコケの維持に必要なのだと考えられる。
問13 「コケのじゅうたんを愛でる感性」の例として、この歌が紹介されている。
問14 (2) 分布――分かれて広くあちこちにあること。
【大問三】俳句の鑑賞
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
物語形式の俳句の入門書を使った問題。
問1 年始――支持・至急・始末・志願
問2 他人の家ではあるがよく訪れているので、台所の様子もよくわかっている。
問3 目上の人にお茶を「差し上げる(謙譲語)」。
問4 なぜ亡くなったかを説明している文なので、「病気は」が合う。
問5 奥さんが生きていた時のことを思い出している。
問6 正月に料理の得意な弟子があいさつに来ている。大人であるから、酒を飲みながらおせち料理をつまもうという算段であろう。
問7 「小春」「霜夜」「時雨」はいずれも冬の季語である。
問8 イ. 鐘ひとつ売れぬ日はなし江戸の春(普段売れない鐘でも賑わっている正月は売れる)
ロ. 新年のゆめなき夜をかさねけり(初夢どころか夢そのものを見ない)
ハ. 七草や似つかぬ草も打ちまじり(七草がゆに関係ない草が入っている)
ニ. とかくして松一対のあしたかな(そうこうしているうちに松を立てる正月である)
攻略のポイント
例年、合格者平均点が高めであることを考えても、問題の難易度自体はそれほど高くない。大問3つでかなりの文量になる。スピード重視の練習を積んでおこう。そして本文を何度も読まずに済むように、設問に先に目を通して解答を探しながら読むといった策も必要となろう。
必ず出される韻文への対策も抜かりなく。短い言葉から的確なイメージを浮かべられるように十分に慣れておきたい。言語事項の出題も見られるので、標準レベルの知識は得ておこう。
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