桐朋中学校 入試対策
2020年度「桐朋中学校の理科」
攻略のための学習方法
桐朋中理科の出題は、塾のテキストや問題集でしっかり学習していれば十分対応可能な問題も多く並んでいるが、実験や観察の結果を示したグラフや表の読み取りなど考察力・思考力を必要とする問題も見られることが特徴である。攻略のポイントとしては、各分野の知識を確実に身につけることがあげられる。まずは、基本知識を早い段階で固めたい。その上で、グラフや表を読み取らないと解けないタイプの問題など出題傾向に合った問題の演習に時間をかけたい。演習に使う問題の選択については、家庭教師に相談して欲しい。
<分野毎の学習法>
生物分野
本年は8の字ダンスなどミツバチの生態についての出題であった。近年では、植物のつくりと働き、森林の形成、人のからだの働きなどについて出題されている。植物に関する出題がやや多い。今後も、植物、昆虫、動物など生物各分野に関しての出題が予想される。この分野の学習法として、植物については、双子葉と単子葉の違いや光合成の働きなど基本的な知識を身につけておきたい。食物連鎖なども出題される可能性が考えられる。また、実験や観察を通して考えさせる問題の演習をしっかりおこなって欲しい。
地学分野
本年度は世界の気候に関する出題で、やや細かい知識が必要な問題も見られた。近年では、川の流れの働き、天体、気象についての出題が見られた。今後は、季節の星座や星の動き・太陽の動き・月の満ち欠けなど天体に関しての出題も十分予想される。この分野の学習法としては、気象(気温の変化、台風、フェーン現象など)・地層・岩石・天体など各分野の基本知識を確実に身につけて欲しい。特定の単元だけに的を絞るのではなく、基本をまんべんなく身につけることが大切である。
物理分野
本年はてこのつり合いに関する出題であった。近年では、電気回路、手回し発電機、物体の運動などに関する出題が見られた。電気回路に関する出題がやや多い。今後も電気回路、力のつり合いを中心とした出題が予想される。この分野の学習法としては、力のつり合いに関しては基本知識を固めるとともに、てこや滑車のつり合い等の計算問題の練習をしっかり行って欲しい。電気回路については、豆電球の明るさを中心に、手回し発電機、電磁石、方位磁針の振れ、電熱線の発熱等について、基本的な問題は確実に解けるように練習して欲しい。
化学分野
本年度は水にものが溶けた時の濃さと温度変化に関する出題であった。近年では、気体の性質、中和反応、金属と水溶液の反応、溶解度、水の三態変化などに関する出題が見られた。この分野の学習法としては、まずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本的な知識を確実に身につけて欲しい。さらに、中和・水溶液と金属の反応・金属やろうそくの燃焼・溶解度に関する問題演習をしっかり行って頂きたい。特に、計算問題の練習は十分に行いたい。
桐朋中入試で合格点を取れる力を身につけるためには、まずは夏休み中を目途に各分野の基本の学習を終えておきたい。そのうえで、9月以降は過去問や苦手単元のさらなる学習、グラフや表の読み取りを含む総合的な問題演習にも時間をかけて欲しい。模試や総合的な演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。苦手分野の確認や克服に関しては、家庭教師を有効的に利用して頂きたい。
また、日頃からニュースや天気予報などを通じて、自然や科学に興味の眼を向けて頂きたい。
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2020年度「桐朋中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は25題程度で60点満点。試験時間は30分で例年通りであった。適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心で記述問題もあった。標準レベルの問題が中心だが、レベルが高く思考力を必要とする問題も見られた。テスト時間が30分と長くはないので、できる問題から確実に解答欄を埋めていくことが求められる。
【大問1】物理 ニクロム線の抵抗と電流
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
問1・問2 支点からの距離×重さ(以降、「回転力」と呼ぶ)が左右で等しくなるようにすればよい。
問3 横にしておいた棒は、その中心(重心)に棒の重さがあると考え、回転力の計算を行うこと。
問4 横にしておいた2本目の棒についても、その中心に重さがあると考えること。
左2本の回転力の合計が右2本の回転力の合計と等しくなればよい。
問5 同様に回転力の計算を行うこと。
てこのつり合いに関する出題。難問ではないが、おもり(棒)の長さ分数であるために、計算がかなり複雑になる。落ち着いて取り組んで欲しい。力学の計算問題は次年度以降の入試でも出題が十分に想定される。苦手な方は、十分に練習をした上で入試に臨んで欲しい。
【大問2】化学 物質を水に溶かした時の濃さと温度変化
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
問1 濃度の計算問題。硝酸アンモニウム10gを水に溶かすので、水溶液の重さは110g。10÷110×100 の計算結果を四捨五入。
問2 硝酸アンモニウムの重さは合計15g、水溶液の重さは合計315gになるので、問1同様に濃さの計算を行い、四捨五入をすること。
問3 グラフ作成問題。10gの硝酸アンモニウムを100gの水に溶かした時と比較すると、硝酸アンモニウムの量は4倍あるが、水の体積は10倍ある。従って、温度変化は4÷10の2/5倍。問題文より、3分後には温度が一定になる。
問4 問題文より、はじめの水温は室温と同じなので、グラフを読み取ると、24℃。
問5 溶かす硝酸アンモニウムが多いほど温度の低下は大きく、水の量が多いほど温度の低下は小さい。
問6 実験結果より、塩化水素25Lの重さが3.7gと考えられる。
物質を水に溶かしたときの濃さと温度変化に関する問い。際立った難問ではないので、四捨五入等の計算を正確に行えるかがポイント。
【大問3】生物 ミツバチの生態
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
問1 ブロッコリーはアブラナ科の植物
問2 働きバチは8の字ダンスによって太陽の方向に対するエサ場の位置を示している。問題文中の説明や図で、その示し方が解説してあるので、それを読み取り理解することが最大のポイント。
問3 ミツバチの分蜂に関する問い。新しい巣の候補地へ向けて飛んでいくハチの数の変化から、正しい説明を選択する。
問4 矢印が示す方向は南東。
問5 グラフを読み取り考察する問題。巣箱の容積を変化した時のハチの数の変化と、出入り口の面積を変化した時のハチの数の変化から読み取る。容積は15Lより40Lの方を好み、出入り口の面積が60㎠になると1匹もいなくなってしまう。
問6 CCDの大きな原因の1つとして、農薬の散布が考えられる。
ミツバチの8の字ダンスなどの生態に関する問い。知識も必要だが、実験結果を読み取り、考察する力が必要である。8の字ダンスは各校の中学入試で頻繁に取り上げらえる内容である。ここで得点できなかった時は、問題集等の類題で練習して欲しい。
【大問4】地学 世界の気候
- 難度:標準
- 時間配分:6分
問1 8月の東京の気候の特徴を漢字2字で2つあげよという内容で、やや迷う可能性あり。「高温」「多湿」の2つ。
問2 リオデジャネイロは南半球にあるので、夏のオリンピックの時期に暑さの心配はなかった。
問3 高潮に関する記述問題。大潮の日、満潮の時間帯には高潮による水位の上昇が起こりやすい。
問4 北極・南極に比べて赤道上では遠心力が大きく働き、その結果、重力の大きさはわずかに小さくなる。
問5 赤道上で標高の高い場所では、重力がやや小さいため、走り高跳びなどの競技で好記録が出やすい。
世界各地での気候や重力の大きさに関する出題。幅広い知識・やや細かい知識を問う問題も見られる。
攻略のポイント
今年度の出題は大問4題であった。知識で解ける問題も見られるが、思考力・計算力が必要な問題も多い。問題文や図・グラフを読み取った上で解答するタイプの問題が中心になっている。
問題のレベル・量を考えると、試験時間の30分は短い。30分の使い方として、自分の得意な分野や比較的に簡単に回答できそうな問題から解答欄を埋めるといった工夫も必要であろう。
本校の理科を攻略するためには、まずは各分野の基本知識を確実に固めることが必要不可欠である。できれば夏休みまでを目途に、各分野の基本をしっかり固めたい。その上で、グラフや表の読み取りなど、考察力や計算を必要とする問題の練習を厚めに行って欲しい。また、簡単な記述問題の練習も行って頂きたい。
時事問題の出題も十分考えられるので、日頃から自然や科学に興味を持って欲しい。
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