法政大学中学校 入試対策
2020年度「法政大学中学校の算数」
攻略のための学習方法
基本重視を貫く問題傾向
学校の難易度(偏差値など)に比べて、テスト問題が易しい入試を行う学校がある。その代表が法政大学中で、まだ男子校だった法政第一中のころからの傾向なので、学校の方針が「基本重視」と決まっていると言って良いだろう。
とはいえ、その問題レベルは「教科書レベル」「入試基礎レベル」というわけではなく、【大問2】から【大問6】まで入試の標準レベル問題が徹底して出題されている。決して難しくはないがやはり基本的な力がついていないと解けない問題であることは間違いない。
そして、この問題で120点(150点満点中)、難易度のやや高いときでも110点程度の得点が合格には必須となるので、そういう意味では決して易しいテストとは言えない。
多少のミスはあっても難題にじっくり取り組む力のある生徒よりは、標準的な問題を的確に正解していく生徒の方が向いていることも確かである。しかも他科目も全般に合格点が高い(算数と同じように問題が基本的なレベルでそろえられている)ので、配点が150点と高い算数において大きく失点することは許されない。
前半をノーミスで通過しよう
合格点を超えるためには、まず【大問1】の計算問題と【大問2】の小問集は1問も外せない。ここ2年間の問題を見ても、【大問1】【大問2】とも難度の高い問題は1問も出題されていない。どの問題もやったことがある、と思わせるような典型的な問題で占められているので、苦手な分野を作らず、基本的な問題を集めた教材(「4科のまとめ」など)を使ってそれぞれの解き方をしっかりと身につけることが大切だ。
捨て問の存在にも注意
【大問3】からは独立した大問形式となるが、設問も(2)までで、条件もそう細かい問題はなく、問題のレベルで言うと【大問2】とあまり変わらない、標準的な問題である。他校の問題に比べて大変解きやすいと感じることだろうが、これは他の受験生にとっても同じで、みな解きやすいと思ってテストにあたっている以上、算数の実力を知らしめると言うよりはできるだけミスをしないという姿勢で臨みたい。
【大問3】には「場合の数」が出題されることが多いが、ここは要注意でそれぞれの問題に対して「良い解き方」を引き出せるよう普段から心がけよう。「席の法則」など計算が使える問題では計算を使い、全部調べ上げる問題では順序よく樹形図にまとめて書いていけるという姿勢だ。日常の勉強では余裕があるせいかいい解き方で解いていても、テストになると焦ってなんでもかんでも全部書いてしまうという、「4年生以前」の知力に戻ってしまう生徒が「場合の数」という分野では目立つ。
【大問4】以降は平面図形・立体図形・速さなど手強い内容が目白押しとなる。中には標準レベルを超えた設問(2018年度にはないが、2017年度では【大問4】(2)、【大問5】、【大問6】(2)など)も現れる。解き進めてきて、これは難しい、と感じた設問は「捨て問」と判断して深追いしないという手がある。やったことがある、という既視感があるものならチャレンジしてみても良いが、はじめて見るような問題の場合時間をかけてもたいてい解けないというのが現実だ。その問題は捨てて、最後まで手をつけたら前に戻って見直しを徹底した方が良い。ただ、捨て問かどうかの判断は難しいのは確かなので、やってみて2・3分かけてもらちがあかない場合はそれ以上解かないというのが良いだろう。
まずは、基本的問題の解き方を定着させること。これで合格点までの問題には対応できる。その上で効率よく、ミスすることなく最後までテストを乗り切る。これが法政大学中の算数を突破するシンプルだが攻略法のすべてである。
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2020年度「法政大学中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
テスト時間は50分、設問数は20程度しかも問題の質は「易」~「標準」クラスのものがほとんどなので、時間に余裕を持って取り組むことが出来る。前半の計算・一行問題はもとより、後半の大問に至っても解いた経験がある問題が並ぶので、解くスピードではなく、高いレベルでの正確さが要求される。出来れば90%以上正解するくらいの基本力が欲しい。
【大問1】計算問題
- 難度:易
- 時間配分:6分
- ★必答問題
どれも入試問題の計算としては平易な部類だし必ず正解したいところ。(3)では、小かっこ内の分数にそれぞれ12をかけてから計算をした方がよい。また、逆算には注意したい。
【大問2】小問集
- 難度:易
- 時間配分:16分
- ★必答問題
全部で8問からなるが、おおよその難度で分けると以下の通り。
易しい問題…(1)(2)(3)(4)(5)(7)
標準的な問題…(6)(8)
ここも全問正解で進みたいところだ。(8)はやや難度が高い。
(1)では60で割って、さらにその商とあまりを加えたものを24でわっていく。
(2)はあまりをそれぞれひいた数の最大公約数をとる。あまりに13や11があるので答えはひとつに限定される。
(3)は基礎レベルの還元算。
(4)水を蒸発させても食塩の重さは変わらない点に注目して問題を解く。
(5)は消去算で、みかんとりんごの個数から2つの等式をたてて式全体を倍数にそろえて答えを求めていく。先にみかんを求めようと思うと、どちらの式も何倍かしなくてはいけない。
(6)すぐさま仕入れ値を1とおいて…としないで問題文をよく読むと定価と仕入れ値が具体的に求められることがわかる。つまり仕入れ値を1とおいて割合で処理する問題よりも平易になっており、計算はやや面倒なものの総売り上げから仕入れ値をひけば利益が残る。
(7)2時ちょうどでは長針と短針が60度開いているので、長針が短針に追いついてからさらに61度開くときの時刻を求める。61度とはやっかいな、と思って計算すると整数で答えが出るのでむしろ助かる。
(8)は補助線をひいて三角形を等積移動、おうぎ形から三角形の面積をひいて求めるよう工夫する。工夫しなければならない問題はこれひとつである。
【大問3】場合の数(道順の数)
- 難度:標準
- 時間配分:8分
正方形の辺にそって最短距離の道順を求める問題は頻出の内容であり、(1)を間違えことはおそらくないと思われるが(2)では対角線の道が増えてさらに道順が増えるのか、と思いきや「最短距離の道順」という条件がここで生きてくる。「対角線の道」をできるだけ多く通ってBまで行こうと思うと、「対角線の道」を3本、「横の道」を2本通ればよいことがわかる。その場合、AからBまで5本の道を通れば良いことになり、そのうち2本は「横の道」なので、5×4÷2=10通りと求められる。解説を聞くと簡単そうに思えるが、ここは失点してもおかしくないところだ。
【大問4】辺の比と面積の比
- 難度:標準
- 時間配分:8分
(1)は補助線をひかないとFG:GDは求まらないため初歩的な問題とは言えない。補助線は相似の関係をいかせるように三角形の外または内側にひけば良い。どちらかというと、自分は内側にひく方が好み。
(2)は【大問3】(2)と並び本年度テストでは最も難しいところ。【大問3】(2)が発想の転換にポイントがあったとすればこちらはオーソドックスに難しい。(1)で求める比などを使って平行四辺形の中に出来る三角形の面積を整数でおいていってみよう。良問であり、ここが正解できると合格がぐんと手元に近づいてくる。
【大問5】水の中の体積
- 難度:易
- 時間配分:6分
- ★必答問題
昨年度も後半の大問2つがやさしかったが、本年度も負けていない!特に【大問5】は典型中の定型的問題であり、設問にも工夫はない。
(1)では、容器の1cm分の体積がおもり6cm分の体積と等しいことがわかれば求まる。
(2)は容器の底面積がわかればいかようにも求まる。もう少し難易度を上げても受験生はついてくると思われるが…
【大問6】通過算
- 難度:標準
- 時間配分:6分
最後の大問、しかも通過算にもかかわらず設問はいたって基本的な問いである。【大問6】のポイントはひとえに計算にあると言っても過言ではない。秒速にしたときにわりきれず分数になってしまう電車Aの時速140kmにほんのわずかだが意地が見られる。しかし分数にしさえすれば、あとはAとBの秒速の差をひくだけである。電車Bの時速が整数で求まりホッとする。(2)は2つの電車の長さの和を2つの電車の秒速の差で割るだけである。計算だけだと(2)のほうがはるかにやさしかった。
問題はこれで終わりである。時間は大いに余っていると思われるので、【大問1】にもどってじっくり見直しを始めよう。
攻略のポイント
法政大学中学の場合、テスト攻略の最大のポイントは「標準的な問題を完璧にこなす」であって、時間配分や難問克服はあまり気にならない。
150点満点で、受験者平均点91.2点(前年度106.8点)、合格者平均点が114.4点(前年度130.2点)と本年度はやや問題の質が上がっている。それでも最低110点(73%)はとっておきたい。
本年度ならば、【大問1】【大問2】は完全正解として、それ以降も【大問3】(2)【大問4】(2)以外はすべて正解できるように力を蓄えたい。
算数の場合1問の配点が高いので、得点が100点だとして10点のハンデがつくと他の科目での挽回が大変だ。なぜかというと、他の科目も平均点が高めなので、点差がつかないからだ。
そのための対策としては、ふだんからミスを徹底的に減らすよう集中して問題にあたり、いざとなったらやり直せば良い、という甘えを捨てること。また、苦手分野を作らず、どの分野でも標準的な問題であれば解けるようにしておくことだ。
法政大学中では、以前から高い平均点となるようにテスト問題を構成している。来年度のテストも平均点が高いのは明らかだ。受験生はそれに合わせて「ミスのない自分」を仕上げてもらいたい。
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