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横浜雙葉中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2020年度「横浜雙葉中学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

「横雙の国語」で当然押さえておかなくてはならない「攻略ポイント」のひとつが、「総合的知識問題」。さて、どう対処するか?
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。

先ずは「語彙力」日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等、さらには、「詩」や「俳句・短歌」といった「韻文」の知識までも押さえておきたい(実際に出題されている)。

また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。

これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。一定の字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。

そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。

特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ

速読

大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で5000~6000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。

これらのコツは塾でも教えてくれるはず。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性がほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。

横雙に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい

解法

横雙の多種多様な「問題」に勝利するための基本は、前述したとおり「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。
繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「横雙の記述対策」は前述の通りだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。
そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。

では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。100字程度で書いてみる(横雙の「自由記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際は、マス目のない用紙を使うこと)

意識

どのような場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく漫然と机に向かっていても無駄なだけだ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。

そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。

「設問」を正しく理解しているか? 「条件」に合致しているか? 「細部」は大丈夫か? 「必要な要素」は満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。

50分という時間で解き進めていく横雙では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2020年度「横浜雙葉中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

【大問】は「総合的知識問題」小問は全2問(解答数15)。「漢字の読み書き」(全8問)。「ピアノの先生へのお礼の手紙文」からの出題(「手紙の定型句」「時候の挨拶(あいさつ)」「慣用句」「俳句の季語」「語句の意味」など)。全問を4分程度で終えたい。
【大問】は「小説」、出典は藤岡陽子「海とジイ」(文字数約3500字)。小問は全9問(解答数10)。「選択肢」(「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」、「説明記述」(「字数指定なし」2問)。問題文は4分半ほどで読み、設問を17~18分ほどで解きたい。
【大問】は「論説文」、出典は「図書」(2018年10月号)所収の永幡嘉之「自然の『豊かさ』を描き出す」(文字数約3500字)。小問は全9問(解答数13)。「選択肢」(「空所補充」、「複数解答」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」、「説明記述」(「字数指定なし」2問)。問題文は4分半程度で読み切り、設問を20分弱で解きたい。

[大問一]「総合的知識問題」(「手紙の定型句」「慣用句」など)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:4分

「漢字の読み書き」、「手紙の定型句」、「時候の挨拶」、「慣用句」、「俳句の季語」などが問われている。毎年、出題分野は異なるが、「語彙力」「国語常識」等を含め、あらゆる「高度な総合的知識力」が問われるのが【大問で、本校の最初の関門となっている。本年度の一部を検証したい。

[問一] 「漢字の読み書き」(「書きとり」5問と「読み」3問)。「カタカナ」を「漢字」に、「漢字」を「ひらがな」に直す。「送りがな」が必要な場合は「ひらがな」で記す。「神奈川女子御三家」のひとつである本校ならではの難解さがある。本年度は例年以上に難易度が高い。特に悩ましいものを確認したい。(1)「シュウトクブツを交番に届ける」=「拾得物」⇒「カタカナ」だけでは分かりづらい。「文脈」から特定せよ。(2)「相手のイコウを確かめる」=「意向」⇒「同音異義語」に要注意。「どうするつもりかという考え」という意味も正確に押さえておきたい。(3)「祖父のゾウショを寄付する」=「蔵書」⇒「蔵」の細部に注意、一画一画がつぶれないようにせよ。(5)「美術館に通って目をコヤス」=「肥やす」⇒「送りがな」を正確に。「目を肥やす」(=美しいもの、よいものを見て楽しむ。また、よいものを多く見てよしあしを見分ける力を身につける)という慣用句で押さえておきたい。(7)「ここから見える富士山は圧巻だ」=「あっかん」⇒読めて当然。「故事成語」で「全体の中で、最もすぐれた部分」を表すことも定着させよ。(8)「美しい所作を身につける」=「しょさ」⇒これはなじみが薄いに違いない。「行い。振る舞い」のことだ。本校志望者であれば可能な限り「失点」は避けたい。尚、「送りがな」は本校のお約束なので、確実に定着させること。また、「トメ」「ハネ」にも留意せよ。
<時間配分目安:1分半>

[問二] 「手紙文についての出題」(全5問)。「ピアノの先生からクリスマスプレゼントをいただいたお礼状」について、「手紙の定型句」「時候の挨拶(あいさつ)」「慣用句」「俳句の季語」「語句の意味」などが問われている。いくつかチェックしたい。

[1] 「空所補充の語句組み合わせ選択肢」(5択)。ほとんど「一般常識」。手紙の冒頭【 A 】と末尾【 B 】に入る「定型句の組み合わせ」を答える。「ピアノの先生」への「お礼状」なので、目上の人や初めての相手に用いる「拝啓」―「敬具」となっている選択肢(ウ)が「答え」になる。尚、他の選択肢にある「前略」は「草々」で結び、親しい相手などに対して「時候の挨拶」なしで用いる。また、「敬白」は「敬具」のより丁寧な表現だ。知らなかった諸君は覚えておこう。本校ではこうした「一般常識」も出題されると心得よ。<時間配分目安:30秒未満>

[3] 「空所補充の語句選択肢」(5択)。「慣用句」だ。手紙文中の空所【 C 】に「当てはまる語句」を答える。空所前後は「(いただいたマフラーについて)包みを開けたとき、私の大好きな赤色で【 C 】のようでした」となっている。各選択肢は、(ア)「息をのむ」、(イ)「胸がおどる」、(ウ)「頬(ほお)が落ちる」、(エ)「舌を巻く」、(オ)「目もくれない」。であれば、「おそれや驚きなどで一瞬息を止める」ことを表す(ア)の「息をのむ」が「答え」だと分かるはず。尚、他の「慣用句」で未定着のものがある諸君は必ず習得しておくこと。
<時間配分目安:30秒強>

[5] 「空所補充のあいさつ文記述」(「20字程度」指定)。「手紙文の挨拶の定型句」。手紙文中の空所     に入る「結びのあいさつ」を「手紙の型にそって二十字程度」で記す。「手紙文」は、「再会」を望んだ後で「     。よいお年をお迎えください。」と結ばれている。「結びのあいさつ」では「相手の健康を気づかったり、祈ったりする文」も入れるのが一般的なので、たとえば、「お体にお気をつけて毎日をおすごしください」(20字)といった「答え」になる。「手紙文」も含めて「国語常識」を改めて確認しておくことが肝要。
<時間配分目安:1分強>

[大問二]「小説の読解」(「説明記述」2問あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:22分
  • ★必答問題

美しくも、ときに恐ろしい顔を見せる海と島を舞台に、3人のおじいさん「ジイ」の生き抜く姿と、「ジイ」からの思いを受け取る人々の心模様を綴(つづ)った全3編の物語の1編。本文では、いじめが原因で不登校になってしまった小学4年生の「優生(ゆうせい)」が、瀬戸内の島に暮らす曾祖父(そうそふ=ひいおじいさん)である「清次(せいじ)」のもとを見舞いに訪ねた時の様子が描かれている。分かりづらい「語句」があるが、「※注」を活用して内容を理解したい。「選択肢」「抜き出し」「説明記述」「総合的知識問題」など、多種多様な小問が並ぶ大問だ。以下、いくつか検討したい。

[問二] 「空所補充の語句抜き出し」(全2問/「6字」と「5字」指定)。傍線部②「そのほとんどが幼い頃の毅(つよし)の話だった」について、示されている「その『話』の内容についてまとめた文章」の空所〔 A 〕・〔 B 〕に「あてはまる語句」を「指定の字数」で抜き出して答える。「抜き出し」では、「抜き出し内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいくのが鉄則だ。「その『話』」は「清次」が語っていることを確認した上で、それぞれの空所前後から、「内容」を把握したい。「毅の父親は、〔 A 六字 〕ので、父親・清次の仕事である漁師を継がず、……」⇒「毅の父親」が「漁師を継がなかった」ことの「理由」だ。「ある台風の日、彼(=毅の父親)は暴風雨から船を守る作業に駆り出されたが、〔 B 五字 〕男だったため、言われた通りに……ロープを離すことなく……」⇒「言われた通り」にした「毅の父親」の「性格」になる。「範囲」は「同一場面」だ(「小説では同一場面の直前直後に、根拠・手がかり・ヒントあり」が大原則)。ここでは、本文冒頭から傍線部③の3行後までだと判断できるはずだ。丁寧に探していくと、傍線部②の5行後で「(毅の父親は)もともと体が弱かったので家業の漁師は継がさずに、……」という「清次」の「話」が紹介されている。前者の「理由」に間違いない。字数もOKだ。また、その16行後、「暴風雨から船を守る作業」の経緯の説明の中に「毅の父親は生真面目な男だった」という記述がある。後者の「性格」だ。「同一場面」の他の部分にこれら以外の候補はないと分かる。したがって、「答え」は〔 A 六字 〕=「体が弱かった」、〔 B 五字 〕=「生真面目な」となる。尚、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、必ず「範囲」全てをしっかりと確認することが肝要。
<時間配分目安:全問で2分>

[問四] 「心情説明記述」(「字数指定」なし、「50字ほど」の解答欄)。傍線部④「黒いランドセルが太陽の光を集めながら山を上っていく」について、「ここには毅のどのような気持ちが表れているか」を説明する。傍線部の「山を上っていく」という「表現」の「原意」から「心情」を読み取りたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。何かの「山」を必死に「乗り越えよう」という「心情」だと分かるはずだ。では、「毅」にとって「乗り越えよう」と思っている「山」は何か? どうして「乗り越えたい」のか? そうしたことを「状況」から捉(とら)えていく。「同一場面」で確認すると、「毅」は「山」にある「大天狗神社」に毎日お詣りに行っていることが分かる。そして、「天狗様」に「強い心」を探してもらっていると説明され、「島一番のおとっちゃま(「※注」に「おくびょう者」のこととある)」が、「なににも負けん強い心を探してもらおう」としていることが読み解ける。こうした「状況」から、「毅」が「おくびょうな心」を「乗り越え」て、「なににも負けない強い心」を望んでいることが分かる。あとは、「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「島一番おくびょう者である自分の弱い気持ちを乗り越えて、何にも負けない強い心を強く望んでいる気持ち。」(49字)という「答え」になる。「小説」では、「セリフ」⇔「ト書き」⇔「動作」⇔「情景」などから多面的に「心情」を読み取る必要があると心得よ。
<時間配分目安:3分半>

[問六] 「様子説明の選択肢」(5択)。傍線部⑥「優生が足を止め、空に続く石段を仰いだ。雨の一滴を待つような顔をしている」について、「優生のどのような様子を表しているか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(原意絶対優位の原則)。ここは「様子の説明」なので、「待つような顔」の「原意」と、各選択肢の「文末」(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)を照合して、直接結びつかない「様子」を「消去」したい。確認する。(ア)「がまんしている様子」、(イ)「逃げ出したい気持ちになっている様子」、(ウ)「見出したいと思っている様子」、(エ)「感じている様子」、(オ)「とらわれている様子」。さあ、どうだろうか? 「待つ」のだから、「見出したいと思っている」以外は「消去」できなくてはいけない。「同一場面」を確認して、他の部分の説明も特に誤っていないことが分かる。したがって、「答え」は(ウ)となる。「一発消去」だ。畏るべき「原意消去」、大いに活用すべし!
<時間配分目安:1分>

[問七] 「心情表現の語句選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。「語句の意味」だ。傍線部⑦「優生が虚をつかれたようにその場で棒立ちになる」について、「この時の優生の気持ちを漢字二字の熟語で表したもの」を答える。本問では、傍線部の「虚をつかれた」の「原意」が大きなポイントになる。「虚をつかれる」=「まるで予想しなかった事が起こる様子」のことだと知っているはずだ。各選択肢は、(ア)「歓喜」、(イ)「恐怖」、(ウ)「困惑」、(エ)「失望」、(オ)「驚嘆」。当然、「答え」は(オ)だ。仮に「虚をつかれる」の意味が定着していなくても、前後の「文脈」から判別可能なのだが、時間を要する。やはり、本校では「語彙力」が大きなアドバンテージ(優位性)になると心得よ。
<時間配分目安:1分弱>

[大問三]「論説文の読解」(「説明記述」「段落関係」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:24分

東北の自然に魅せられ、生きものたちを撮り続けてきた写真家である筆者が、「自然の『豊かさ』」とは何かについて論じている。本文では、「クリ林」と「ブナ林」の例から、「里山での動植物の絶滅」が進んでいると指摘し、絶滅の原因をつくっている私たち人間は、傍観せずに行動すべきだと論じている。分かりづらい語句が多少あるが、内容は理解できるはずだ。「段落相互関係」「抜き出し」「長文説明記述」「総合的知識問題」等、【大問二】同様に実に多彩な小問が並んでいる。以下、いくつか確認する。

[問一] 「空所補充の語句選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。「四字熟語」だ。本文中の空所  B  に「あてはまる言葉」を答える。空所前後は「(カタクリが)  B  と咲く姿は随所(ずいしょ)に見られるが、ときには……一面に咲く光景が現れる」となっている。ということは、「一面に(咲く)」と対比される表現になるはずだ。各選択肢は、(ア)「四六時中」、(イ)「一日千秋」、(ウ)「四苦八苦」、(エ)「三々五々」、(オ)「百発百中」。さあ、どうか? 特定できるか? やや馴染みの薄いものもあるかも知れない。「答え」は「ばらばらに、あちこちから」といった意味である(エ)の「三々五々」だ。他の選択肢も含め、知らなかった「四字熟語」があった諸君は確実に復習しておくこと。本校では、「故事成語」「ことわざ」「慣用句」なども頻出なのでしっかりと習得しておきたい。
<時間配分目安:1分弱>

[問二] 「語句の意味の選択肢」(全2問/各5択)。「総合的知識問題」。波線部(あ)「こぞって」・(い)「褪(あ)せることがない」の「本文中での意味」をそれぞれ答える。どうだろうか? それぞれの語句の「原意」を知っていれば問題ない。前者は「一人も残らず。全員で」ということなので、「答え」は選択肢(ア)の「だれもかれも」だ⇒尚、漢字では「挙って」と書く。後者は、「褪せる」が「元の色やつやが薄くなる。元の勢いが失せる」という意味なので、「答え」は(オ)の「変わることはない」になる。無論、それぞれの「語句」を知らなくても、「文脈」から判別するというチャレンジはしてみるべきだが、その際注意すべきは「本文」に引きずられ過ぎて「原意」を無視してはならないということだ。
<時間配分目安:全問で1分>

[問六] 「様子説明の抜き出し」(「20字以内」指定)。傍線部③「『あがりこ』」について、「その様子を説明している部分」を「二十字以内」で抜き出して答える。傍線部だけでは「抜き出し内容」は不明だ。「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という「重要解法」)で確認すると、「あがりこ」=「奇妙な姿をしたブナの巨木」だと分かるので、「内容」は「奇妙な姿をしたブナの巨木の様子を説明している部分」になる。「抜き出し範囲」は「同一意味段落」(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「手がかり・ヒント」がある)。丁寧に探していく。すると、傍線部の2行後に「(ブナは)巨大化した幹の上に多くの枝が張り出す姿へと生長」という「部分」がある。まさに、「ブナの巨木の奇妙な姿」だ。「同一意味段落」には他に相応しい「部分」はない。よって、「答え」は「巨大化した幹の上に多くの枝が張り出す姿」になる。「抜き出し」では当然ながら、「抜き出し内容」を的確に捉えることが肝要だ。
<時間配分目安:1分弱>

[問八] 「換言説明の選択肢」(5択)。傍線部⑤の「自然認識とは物事を調べるなかで育まれてゆく」とは「どういうことか」を答える。典型的な「換言選択肢」だ。無論、先ずは「原意消去」から。ここでは「育まれてゆく」の「原意」と、直接結びつかないものを「消去」したい。各選択肢の「文末」を確認する。(ア)「認識することができるということ」、(イ)「対策に役立つということ」、(ウ)「法則が見えてくるということ」、(エ)「知ることができるということ」、(オ)「真実が宿っているということ」。「認識」が「育まれてゆく」のだから、(ア)と(エ)以外は「消去」できるはずだ。「2択」になった。次に、「物事を調べるなかで」の「原意」と照合し、「消去」する。(ア)は「現実に起きていることを調べた先に」、(エ)では「調査に加え過去のいくつもの研究を学ぶことを通して」と説明されている。であれば、(ア)は「消去」で、「答え」は(エ)だと判別可能だ。「同一意味段落」から、他の部分の説明も特に誤っていないことが分かる。したがって、「答え」は(エ)でいい。本問は「2段階消去」だったが、最優先は「原意消去」だ。
<時間配分目安:2分弱>

[問九] 「条件付き理由説明記述」(「字数指定」なし、「90字ほど」の解答欄)。傍線部⑥「好奇心と楽しさと、そして少しの寂(さび)しさと焦(あせ)りを抱(かか)えながら」について、「筆者が『少しの寂しさと焦り』を感じてしまうのはなぜか」を説明する。「条件」は「本文中の言葉を使って述べる」こと。こうした「条件」があるということは、「本文中の言葉」として「寂しさ」と「焦り」の内容が述べられているはずなので、「同一意味段落」から読み解いていきたい。先ずは「寂しさ」、段落冒頭に「(自然の)豊かさを知れば知るほどに、それら(=里山での動植物)が失われゆく寂しさもまた抱えなければならない」とある。次に「焦り」だ。同段落最後で「(里山での動植物の)絶滅の原因を人間がつくっている以上は、ささやかでも行動せねばと思う。わたしが心躍らせてきた自然環境の『豊かさ』を、少しでも次世代に引き継ぎたいのだ」と述べられている。直接的に「焦り」という表現はないが、「行動せねば」や「少しでも次世代に引き継ぎたいのだ」といった言い回しから、筆者の「焦り」が読み取れるはずだ。こうした内容を整理して、「理由」としてまとめていけばいい。たとえば、「豊かさを知っている里山の動植物が失われてゆくことに寂しさを抱えるとともに、心躍らせてきた自然環境の豊かさを少しでも次世代に引き継ぎたいので行動せねばならないと切実に考えているから。」(90字)となる。「条件」は「手がかり・ヒント」でもあると心得よ。
<時間配分目安:3分強>

攻略のポイント

最大の難関は本校定番の「自由論述」だ(本年度は未出だが、備えを怠ってはならない)。どのように「攻略」するか? 毎年「題材」が異なるのだから、予め「テーマ」を定めて「意見」をまとめておくといった準備は不可能だが、常日頃「考える習慣」を身につけることはできるはず。「練習問題」(特に「論説文」)などで、「筆者の考え」に対して「私ならどう考えるのか?」ということを自問自答する。その際、重要なことは「理由」を明確にすることだ。そして、「自分自身の考え」と「理由」を「論述」としてまとめておく。それは通常の「説明記述」の練習にもなる。意識すべきは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくということ。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。「自由論述」は「100字程度」なので、4~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れておくこと。「合格ライン」は7割弱と高い(「合格者平均得点率」の8年間平均は68.1%、本年度は65.0%)。誰もが「対策」をして臨んでくる「自由論述」での「失点」や「減点」は大きな打撃になると心得よ。

●他の「読解問題」の「攻略」にとって最も重要なのが、「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて解き進めていくということだ。様々な基本的「解法」を完全に習得し、適切に応用できるようにしておく必要がある。

●「総合的知識問題」も侮れない。「高度な語彙力」(「大人の語彙」も求められる)だけではなく、「韻文」「文法」などといった「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。

試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は全体で6000~7000字程度(本年度は昨年度並みの約7000字)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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