サレジオ学院中学校 入試対策
2020年度「サレジオ学院中学校の理科」
攻略のための学習方法
[出題分析]
男子校らしい質の高い問題が並ぶ中に、意表を突いたような設問がある。それがサレジオ学院の理科に対するイメージである。
ここ4年間の問題(A試験)を例にとるならば、
2017年度は頻出分野からの出題が多く、どの大問にも計算問題が含まれていてかなりやりがいのある内容となっており、2018年度は【大問1】【大問4】にかなりマイナーな分野を取り上げて受験生たちの肝を冷やし、【大問2】【大問3】は頻出分野でありながらあまり解いたことのない設問が並んだ。また、2019年度【大問1】はほぼほぼ算数のような大問であり、【大問2】ではなかなか難しい記述の設問が2問出された。2020年度は取り立ててユニークなものは見当たらなかったが…
どちらの形式をとっていても全体に難易度は高く、受験生は心してその準備に取りかからなければならないだろう。
[初見の問題に出会ったら]
サレジオ学院の理科を解いていると、たとえば2017年度の【大問3】「血液の流れ」に関する問題、2018年度の【大問2】「塩」に関する問題など、日ごろの受験勉強や模試などでお目にかかったことのない問題に遭遇することがあるだろう。
この二つの大問はそれぞれ良問だと思われるがその理由は、今までに習ってきた理科の勉強における知識・解法などを総動員すればある程度正解が得られるからだ。ただただマイナーな知識を問うとか複雑な計算をさせるという見た目の難しさではなくて、問題文や実験結果を読み考察し、その上で答えを出させるという「応用力」を問うているところが理科の力を見るというテスト本来の目的を果たしている。
このような問題に対応するためには、1つは理科の基本的知識・解法は頭に入れた上で多くの問題演習をじっくりと行っていきたい。典型的な問題ばかり並べたまとめ的な問題集よりは最新の入試問題を集めたものの方が良いかもしれない。サレジオ学院でなくても、入試問題にはいろいろなタイプがあることを知ることができ、その経験が初見の問題に相対したときに力強い味方となって正解を出すアシストをしてくれるはずだ。
[計算問題に強くなろう]
こちらも上記の勉強法と重なるところはあるが、ひとえに問題演習をこなしより多くの問題パターンに触れておきたい。2017年度のように典型的な計算問題に終始する場合もあるかもしれないが、2018年度のように「圧力」や「塩」の計算にはなかなかあたる機会がない。1つの設問でも多く解けることがサレジオ合格につながる。それには「これだけたくさんの問題を解いてきた」という自身が何よりのパワーだ。ひと味違う計算の醍醐味を堪能しよう。
[問題文を読むということ]
さらに課題として残るのは、サレジオ学院の理科における問題文の分量の多さとその新しい内容だ。2017年度【大問3】の血液の流れを取り上げた問題ではその傾向が顕著である。1つ1つの設問に対する問題文が長い上に、(2)の「血液の流れる時間」、(3)の「胎児の血液の流れ」、(4)の「ヘモグロビンの計算」などはそれぞれの内容がはじめて解法するものであり、しっかりと問題文を読めないと正解を出すことが困難になっている。ありきたりの問題を解くだけではなく、サレジオ学院の過去問を通して、国語の長文読解のような深い気持ちで問題文を読んでもらいたい。
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2020年度「サレジオ学院中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
テスト時間40分に対し大問4問・小問は25と特別分量が多い学校ではないが、問題文・設問文自体が長く、または設問に入るまでのリード文が長いので設問数の割には時間に余裕はないと考えるべきだろう。
ただし、本年度の大問では【大問1】【大問4】の計算問題が中心で時間を要する問題が典型的出題にとどまったので時間不足に陥ることはなかったと思われる。ただし年度によっては質の高い計算問題が並ぶ場合も多々あるので十分注意が必要だ。
【大問1】物理…音の伝わり方
- 難度:標準
- 時間配分:12分
例年【大問1】では物理分野の面白い出題が続いたが、本年度は「音の伝わり方」。問題の難易度としてはまずまずではあるものの内容に関しては典型題であって、受験生にとっては組しやすい問題となった。
ポイントは(2)にあって、反射板ではねかえった音を聞くまでの時間などが問われているので、順番に沿って設問に答えていけば良い。こうした「音の反射」の問題を算数の「旅人算」で解いている生徒にはまどろっこしい感じを与えたかもしれない。「小数第○位まで答えを書きなさい」という指示には注意したい。
(3)は普通に計算だけすれば求まってしまうので迷うところはあるまい。
(4)は「ドップラー効果」についての設問。選択肢問題なのでこれも迷うことはなかっただろう。
【大問2】化学…砂鉄について
- 難度:標準
- 時間配分:10分
前半は鉄または砂鉄に関する知識を問われてる。(2)では、与えられた道具を使って砂鉄の集め方を図示しさらに説明しなくてはならない。この設問はユニークで良かった。
Ⅱの実験結果を使っての計算問題が本年度の問題では最も難易度が高かった。といっても(5)だけであるが…
表1を目で追っていくと、⑧以降は「加えた炭素の重さ」分しか「加熱後の粉全体の重さ」が増えていないことがわかる。つまり、この実験から得られた砂鉄は5.11gであり、そこからあとは炭素の反応が終わっていると言うことだ。炭素7.0gから砂鉄5.11gを得られるので、これを砂鉄1.4kg(=1400g)にあてはめて考えれば良い。
【大問3】生物…昆虫・植物の特徴
- 難度:易
- 時間配分:8分
- ★必答問題
この大問を「易」にしたのは、前半の知識問題は絶対に正解して欲しいという願いに基づくもので、後半の実験結果を記述する設問やグラフの問題は決して平易ではない。
(1)(2)のようなシンプルに知識を問う問題を軽く扱わないでおきたい。
(3)の設問はあまり見かけないものでユニーク。
(4)については、およそ予想がつくもののその内容を文章にして、しかも読む相手に納得させる形に仕上げるのは容易ではない。国語の記述と同じ気持ちで取り組もう。
(5)のグラフも面白いが取り組み方としては「溶解度のグラフ」と同じように横軸の目盛りをもとに綿密な気配りが必要だ。
【大問4】地学…地震波の伝わり方
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
最後の大問「地震波」に関する問題が最も典型題に終わったのは意外だった。サレジオ学院なら、もっとやれたはずだ。
確かにP-S時間という言葉やそれを用いた公式には新しさを感じるものの、設問はそれらを単純に使えば解けるものばかりだった。これではユニークかつ難易度の高い過去問に取り組んできた受験生がかわいそうである。
(5)では、それぞれの観測点から震源までの距離を半径とする円を描き、それらが交わったところを震源と決定すれば良い。
本年度の理科は、総じて昨年度のものより取り組みやすかったと思われる…と書いたものは2019年度の問題に対する感想で、2020年度はさらに「普通」の問題度が高まった。受験生にとってはありがたい話なのかもしれない。
攻略のポイント
テスト時間は40分で75点満点。
受験者平均点が「43.5」なので、50点台の得点は欲しいところだ。
本年度は昨年度に比べると全体に問題の水準が低くなったように感じた。また、計算問題が中心である【大問1】【大問4】がそれぞれ典型的な問題だったので取り組みやすかったのではないか。
ただし、サレジオ学院の場合、頻出の内容であってもユニークな出題形式をとることがあるので、基本的な知識を身につけておくのはもちろんのことだが、それを新しい形式の問題においても活用できる「応用力」が必要とされる。
過去問をしっかりと解いて内容を吟味・研究し、多少変わった問題が出されても対応できる柔軟性を取得しておこう。誰でもはじめて見るような問題は苦手なものだ。その条件は同じなのだからあせることなく問題に立ち向かう努力を続けてもらいたい。
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