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開成中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「開成中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

何度も述べているが、平易な問題だけに取りこぼしが許されない。従って、「地理」「歴史」「公民」と「時事問題」の「基礎的知識」を確実に定着させておく必要がある。ただ、人は忘れるものだ。時が経てば経つ程忘れる。ここに実は落とし穴がある。

基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し、定着させたのかの時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。
その後は「復習」となるが、そのメインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。
そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。開成では「地理」単元に含まれる全ての事項が多数出題されるのだ

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して、徹底的に「地理」の「復習」をしておくことが勝利につながる。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用して、ライバルに差をつけておきたい。

いもづる式学習

「暗記事項」はそれぞれ単独に(単なる「一問一答方式」)定着させておいてもあまり意味がない。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられないからだ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」だ。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ
1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても内容があやふやになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ついでにここでも「復習」できる)。
また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)も理解するようにする。

このようにして改めて定着させた「事項」はどのような問われ方をしても「線」で結びつけて答えられることになる。さらに、単元もまたいでいるので、「単元融合問題」にも対応できるようになる

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は普通、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。だが、開成に限らず入試問題ではそうした単純なものは少ない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」を対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

細部へのこだわり式学習

必ず出題される「統計資料読み取り問題」
考えるに当たって最も重要なことは、「統計資料」をいかに正確に読み取るかということ。資料に示されていることだけに基づいて「考えるヒント」を見つけ出す。とにかく「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。

そのためにはトレーニングが欠かせない。過去問等を用いて、資料の細かな「数字」や「項目」を全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する訓練をするのだ。導き出せることについては、「解説」等に示されているので活用すること。

こうした「細部へのこだわり学習」をつづけることで、次第に資料に示された「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えればいいのだ。

意識継続式学習

「社会」に限らないが、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無駄なだけだ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。40分という制限時間の中で、重要な「設問条件」をクリアして答えていく。「設問」を正しく理解しているか? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ

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2021年度「開成中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「歴史」。「東海道の歴史」に関する「リード文」からの出題。

小問は全7問(解答数10)、「選択肢」(「不適切」、「年代整序」あり)、「事項・人名・地名等記述」(「漢字指定」あり)。

 

大問も「歴史」。「近代における大都市の人口推移」に関する「統計資料」からの出題。

小問は全3問(解答数9)、「選択肢」(「不適切」、「複数完全解答」、「空所補充」あり)、「事項等記述」(「漢字指定」、「空所補充」あり)。

 

大問は「総合」(「公民」「時事」「歴史」、「思考問題」)。「議院内閣制と大統領制」に関する「会話文」からの出題。

小問は全9問(解答数16)、「選択肢」(「組み合わせ」、「複数完全解答」、「空所補充」あり)、「人名・数字記述」(「空所補充」あり)、「説明記述」1問(「20字ほど」の解答欄)。

 

大問は「地理」(「時事」、「思考問題」あり)。「さまざまな自然環境」に関する3つの「リード文」からの出題。

小問は全16問(解答数19)、「選択肢」(「組み合わせ」、「不適切」あり)、「事項・地名記述」(「漢字・カナ指定」、「字数指定」あり)、「説明記述」1問(「60字ほど」の解答欄)。時間配分としては、「説明記述」は2問で5分、他は1問を40秒程度というハイペースとなる。

【大問1】「歴史」(「年代整序」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分

「奈良・鎌倉・江戸時代の東海道」についての「リード文」からの出題。「史料」や「絵図」などから多彩な「歴史的事項」が問われている。ただ、「歴史」単元としては標準的な問題が多い大問となっている。失点は最小限にしたい。以下、注意すべき「設問」のみを検証する。

 

[問1①] 「下線部に関する資料読み取り空所補充事項記述設問」(「漢字」指定)。「リード文」中の下線部ⓐ「地方からは租税が都に納められるようになります」に関して、示されている「史料」(荷札として用いられた木簡)の「表書き」の空所にあてはまる「租税の名称」を答える。

下線部が「奈良時代」に関するものだとすぐに判別できる。当時、「地方から都に納められた租税」といえば、「調」と「庸」だということは知っているはず。そして、「表書き」には「荒堅魚(かつお)」と記されているので、「答え」は地方の「特産物」を納めた「調」になる。「庸」は労役の代わりに納める「布」だ。「史料(資料)」そのものに「手がかり」があると心得よ。

<時間配分目安:1分弱>

 

[問4①] 「下線部に関する資料読み取り事項記述設問」。「リード文」中の下線部ⓓ「東西の政治的交流をうながす大動脈の役割を果たすようになりました」に関して示されている「史料」(執権北条泰時が京都にいた弟の重時にあてた手紙)について、「弟の重時が長官をつとめていた鎌倉幕府の機関」を答える。

鎌倉幕府2代執権「北条泰時」は無論知っているはずだが、「重時」など誰も知らないに違いない。どうする? 諦めるか? 否(いな)! ここは冷静に解いていきたい。

「問題文」に「京都にいた」とある⇒「京都にあった鎌倉幕府の機関」=「答え」は「六波羅探題」だ。

「私が知らない」⇒「誰も知らない」⇒「知らなくても解ける」と考えること。本校ではこうした問題がよくある。

<時間配分目安:1分以内>

 

[問5] 「下線部に関する不適切選択肢設問」(4択)。「リード文」中の下線部ⓔ「参勤交代が制度として定められる」に関して、「参勤交代について述べた文」として、「誤っているもの」を答える。

「不適切」だということをしっかり意識して、各選択肢の正誤判別をしていきたい。

 

(ア)「徳川家光は武家諸法度を改め、参勤交代を定めた」

  ⇒何の問題もなく「適切」だと判別できるはず。

 

(イ)「親藩や譜代の大名は、参勤交代の負担を免除された」

  ⇒そんなことはないはずだが、確実ではない?=「保留」。

 

(ウ)「行列の人数などは、大名ごとに定められていた」

  ⇒当然、「石高」により異なった=「適切」。

 

(エ)「大名は弓・槍(やり)・鉄砲などの武器を持参した」

  ⇒「参勤交代」の絵図などで多くの武器が運ばれていたのは知っているはず=「適切」。

 

したがって、結果として「答え」は(イ)になる。「参勤交代」は原則として全ての大名に義務づけられた。ただし、親藩の「水戸藩」や一部の「譜代大名」には「江戸定住」が求められていた。「正誤判別」では、細部にこだわることが肝要だ。

<時間配分目安:1分強> 

 

[問7②] 「下線部に関する資料読み取り地名記述設問」(「漢字」指定)。「リード文」中の下線部ⓖ「東海道の名所風景は浮世絵にも描かれました」に関して示されている「史料」(『東海道五十三次』のうち日米修好通商条約で開港が定められた宿場町を描いた作品)について、「描かれている宿場町」を答える。

「東海道」+「日米修好通商条約で開港」=「横浜」ではないので要注意。確かに開港地は「横浜」だが、「宿場町」を問われているので「答え」は「神奈川」になる。「神奈川」の対岸の寒村に横浜港を開いたのだ。

早とちりが致命的になる典型的な問題だ。とにもかくにも正確に設問を理解して的確に答えることが肝要。無論、その前提として細部にわたる「知識」が求められていることは言うまでもない。

<時間配分目安:1分弱>

 

【大問2】「歴史」(「事項等記述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分

「1889~1945年までの、東京市と大阪市の人口の変化」を示した「表」と、そこからの「疑問点」についての(A)~(D)の「説明文」からの出題。近代における大都市の人口が社会や経済の動向などを反映して変化してきたことを読み解く問題だ。

本校らしいユニークな視点だが、難易度は決して高くない。未知の「統計資料」に惑わされることなく解いていきたい。以下、やや悩みそうな2問だけをチェックする。

 

[問1②] 「疑問点についての空所補充の文選択肢設問」(全2問。5択)。(A)と(C)の「疑問点」について、それぞれの時期がどのような時期かを確認しまとめた「表」の中の、「日本経済の特徴」の項目の空所にあてはまるそれぞれの「文」を答える。

(A)の「疑問点」は「1889~1918年までの期間、大阪の方が東京より人口が急増しているのはなぜか?」、

(C)は「1930~1940年までの期間、東京の方が大阪より人口が急増しているのはなぜか?」

というものだ。

各選択肢は「工業」に関する説明になっている。それぞれの時期の流れや出来事を確認したい。

 

(A)は「明治時代末~大正時代初期」で、その頃の「工業」の中心は「製糸業や紡績業」だということは常識

  ⇒空所( X )の「答え」は(ア)「工業の中心は繊維産業だった」。

 

(C)は「昭和時代初期」で、「満州事変」や「日中戦争」が起きているということは「軍需産業」が盛んになったはず

  ⇒空所( Y )の「答え」は(ウ)「産業構造が軽工業中心から重化学工業中心へと変化した」

⇒1930年代に生産額で「繊維産業」を上回っている。

 

「歴史」の「選択肢設問」では、「西暦」や「世紀」とそれぞれの「時代」を結びつけて出来事などを捉(とら)えることが肝要だ。

<時間配分目安:全問で2分弱>

 

[問3] 「疑問点についての空所補充の事項記述設問」(全3問)。(D)の「疑問点」について、その「解答」を「3つの要因に整理したメモ」の空所にあてはまるそれぞれの「語句」を答える。

(D)は「1940~1945年までの期間、東京・大阪ともに人口が急減したのはなぜか?」というもので、「メモ」は「男性で( X )される人が増えた。( Y )を避けるため、( Z )する人が増えた。( Y )で死亡する人が増えた。」となっている。

太平洋戦争の開戦から終戦までが含まれているこの期間での「東京・大阪の人口急減」の理由なのだから、( Y )=「空襲」、( Z )=「疎開」が「答え」としてあてはまることは容易に分かるはず。では、( X )は何か? 「男性」とあり兵士として出征したと考えられるので、あてはまる「答え」は「徴兵」だと特定できなくてはいけない。

「空所補充」では、内容的に「答え」がつかめたとしても、前後の「文脈」に合致しなくてはいけないので要注意だ。

<時間配分目安:全問で2分>

【大問3】「総合」(「公民」「歴史」「時事」「思考問題」)

  • 難度:
  • 時間配分:12分

「2020年9月、日本の内閣総理大臣が交代し新内閣誕生」という「時事ネタ」を切り口とした、「議院内閣制と大統領制の国々」に関する「会話文」からの出題。

日米独英仏、各国の政治制度の仕組みや現状などが、「公民」「時事」「歴史」の各単元から問われている「総合問題」。中には「思考問題」としての「説明記述」もあって、相当に手強い大問だ。特に、諸外国の状況に関しての問題は難問。誰もが同じ条件なので、「考える力=思考力」を駆使して食らいついてほしい。以下、いくつかの「設問」を検証する。

 

[問1] 「会話文中の空所補充の人名記述設問」(全4問)。「時事」単元。「会話文」中の空所〔 A 〕~〔 D 〕にあてはまる「人名」を答える。ただし、「日本人の場合はフルネーム」で答えること。

各空所をチェックして「答え」を確認していく。

 

「2020年9月、日本の内閣総理大臣が〔 A 〕から〔 B 〕に交代」

⇒典型的な「時事問題」⇒「答え」は〔 A 〕=「安倍晋三(あべしんぞう)」、

 〔 B 〕=「菅義偉(すがよしひで)」⇒「フルネーム」というのはキツイか?

 

 「2020年、(アメリカの)大統領候補として勝利した〔 C 〕

⇒ここは平易⇒「答え」は「バイデン」。

 

「2005年にドイツで始まった〔 D 〕政権」

⇒「答え」は「メルケル」⇒「時事問題」としては古くて抜け落ちていないか?

 

日本の総理大臣は無論、少なくとも「G7」については各国首脳の名前は正確に押さえておくこと。首相の「漢字」「フルネーム」は言うまでもない。

<時間配分目安:全問で2分弱>

 

[問3②] 「下線部に関する空所補充の語句組み合わせ選択肢設問」(4択)。「公民」単元。「会話文」中の下線部ⓑ「1964年11月から1972年7月」に関して示されている「説明文」中の空所〔 X 〕・〔 Y 〕にあてはまる「言葉の組み合わせ」を答える。

各空所前後を確認する。「1971年8月にドル・ショック(ニクソン・ショック)が起きるまで、円とドルは〔 X 〕相場制で、二つの通貨の交換比率は現在よりも〔 Y 〕でした」。

さあ、「ドル・ショック(ニクソン・ショック)」を押さえているかが問題だ。大学入試レベルの「深知り知識」が求められる。当時のニクソン米大統領が貿易赤字の解消を目的として「ドルと金との交換停止」を発表したことによる、世界経済の枠組みの大変革のことだ。知らなくても不思議はないが、前述のように解くことはできるはずだ。

各選択肢を確認すると、〔 X 〕は「固定」か「変動」かのどちらかだ。「為替相場制」のことで、現在は「変動相場制」だということは誰もが知っていで当然。「固定」があてはまると特定できる。

〔 Y 〕の選択肢は「円安」か「円高」、「固定相場制」の当時は「1ドル=360円」だったことは周知であって、現在は「110円前後」ということも「時事ネタ」として定着しているはずだ。

よって、〔 X 〕=「固定」・〔 Y 〕=「円安」となっている(イ)が「答え」になる。

尚、「組み合わせ設問」では、分かりやすい事項で一気に選択肢を絞り込むことが肝要だ。

<時間配分目安:1分>

 

[問8] 「会話文の空所補充の文の選択肢設問」(複数完全解答。3択)。「思考問題」(「時事」的要素あり)。「会話文」中の空所〔    ⓖ    〕について、「前後の会話の流れ」からあてはまる「文」を「すべて」答える(一つもない場合は「なし」と答える)。

空所前後では、議院内閣制のイギリスでは日本同様の「解散」や「内閣不信任決議」の制度があったが、2011年にルールが変更され、「(いつでも解散をすることができなくなり)任期満了前の解散には、内閣不信任決議案の可決か、総議員の3分の2以上の賛成が必要になった」とあり、その後に「じゃあ、〔    ⓖ    〕」、さらに「二大政党が強いイギリスでも、片方の政党だけで3分の2を確保するのは難しい」と続いている。ということは、空所には「解散が難しくなった」といった内容があてはまるはずだ。

各選択肢の後半は全て「変更前よりも減りそうですね」となっていて、(ア)は「解散」、(イ)では「議員が任期満了にいたること」、(ウ)では「内閣不信任決議が可決される回数」が、それぞれ主語になっている。「解散」についての「変更」なのだから、「任期満了」と「内閣不信任決議の可決」とは直接関連しないと判断できるはずだ。

したがって、「答え」は(ア)になる。何やら複雑な問題のようだが、順序立てて考えていけば正答できるのだ。与えられたさまざまな条件を適切に読み解いていくことが肝要だ。

<時間配分目安:2分弱>

 

[問9] 「下線部に関する空所補充の内容説明記述設問」(字数指定なし。「20字ほど」の解答欄)。「思考問題」。「会話文」中の下線部ⓗ「イギリスの下院の選挙制度は完全小選挙区制だから二大政党が強い」に関して示されている「表」(3回の下院選挙の結果)について、「3回の選挙とも、得票率では自由民主党を下回るスコットランド国民党が議席数は3位で、自由民主党を上回っているが、なぜこのような逆転現象が起きるのかを説明した【解説】の空所〔    X    〕にあてはまる内容」を記述する。

【解説】は「小選挙区制においては、国内全体の得票率が二大政党から大きく引きはなされている政党であっても、〔    X    〕政党であれば一定の議席を獲得できる可能性があります。スコットランド国民党も、そのような政党であると推測することができます」となっている。未知の「資料」であり、何やらややこしい問題だが、前問同様に与えられている「キーワード」を手がかりに解き進めていきたい。

「完全小選挙区制」⇒ひとつの選挙区で一票でも得票数が多い一人だけが当選⇒特定の地域での強い支持があれば当選可能。

「スコットランド」⇒イギリスの一地域だと知っている⇒「スコットランド国民党」は地域政党としてスコットランドで強い支持があるに違いない。

ということで、「答え」はたとえば、「特定の地域にとても多くの支持者がいる(政党)」(18字)となる。

自らの「知識」と与えられた「情報」とを多角的に組み合わせて思考することが肝要だ。

ちなみに、イギリスの正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」で、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの連合体だ。

<時間配分目安:2分弱>

※尚、[問6]の「米大統領選挙制度」についての「正誤判別選択肢設問」(複数完全解答)は難易度が高すぎるので「捨て問」で構わない。

 

【大問4】「地理」(「時事」「思考問題」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:16分
  • ★必答問題

「さまざまな自然環境」についての[A]~[C]の「リード文」からの出題。「自然災害」「離島と自然環境」「農業と自然環境」といった視点で、「地図」「地形図」「統計資料」「図版」などに関連して、「地理」単元を中心にした小問が並んでいる。

本校としては標準レベルの内容だが、中には意地悪なものもあるので要注意だ。以下、いくつかの「設問」をチェックする。

 

[問5] 「下線部についての地形図読み取り選択肢設問」(4択)。「時事」的要素あり。「自然災害」に関する「リード文[A]」中の下線部ⓔ「自然災害伝承碑という新しい地図記号」について示されている「図2」(九州南部の地図)の中にある「★」周辺の「地形図」(図3)にある「自然災害伝承碑」は、「どのような災害に対して置かれたものか」を答える。「自然災害伝承碑」の地図記号は下記のとおり。

2021開成中社会挿入画像

「地形図」(図3)を読み取ると、この記号は「山の急斜面のすそ野の地域」にあると分かる。各選択肢を確認する。

 

(ア)「地震によって発生した津波が到達」⇒海岸線からは600m以上離れているし、この地域での「津波」の発生はなかったはず。

(イ)「大雨による土砂崩れの被害があった」⇒「山の急斜面のすそ野」なので当然あり得る。

(ウ)「やませによる不作で飢饉(ききん)が起こった」⇒「やませ」は東北地方北東部だ。

(エ)「洪水による浸水被害が大きかった」⇒近くに「河川」はない。

 

よって、「答え」は(イ)だ。尚、「地形図読み取り」は本校に限らず「地理単元」での定番だ。「地図記号」「等高線」「方位」等の「地形図」に関連する基礎的事項を完全に定着させた上で、設問に即して的確かつ正確に読み取っていくことが肝要になる。

<時間配分目安:1分弱>

 

[問9] 「下線部についての事項記述設問」(「カタカナ」指定)。「時事」単元。「離島と自然環境」に関する「リード文[B]」中の下線部ⓖ「観光」について、示されている「説明文」のような「観光の形態」を何というかを答える。

「説明文」には「農山漁村地域に宿泊して、農業・林業・漁業体験やその地域の自然・文化に触れ、地元の人々との交流を楽しむ旅」とある。典型的な「時事ネタ」だ。「答え」は無論、「グリーンツーリズム」だと定着しているはず。

ちなみに、特に農村に宿泊して農業体験などを行うのは「アグリツーリズム」、環境保全や持続可能性について学ぶことを目的とした旅行は「エコツーリズム」と呼ばれる。ともに覚えておきたい。

<時間配分目安:30秒弱>

 

[問11] 「下線部についての近似値選択肢設問」(7択)。「農業と自然環境」に関する「リード文[C]」中の下線部ⓘの「十勝地方の1戸あたりの耕地面積」として、「最も近いもの」を答える。

「十勝地方の耕地面積」といわれても定着しているはずがない。どうする? 「リード文」の下線部以外に「手がかり」を求めたい。直後に「日本の平均のおよそ20倍」とある。「日本の農家1戸あたりの平均耕地面積」は「約3ha」(2019年の全国平均は3.08 ha)という数字は必須定着事項だ。その「20倍」であれば、各選択肢の中では(カ)の「4500a」=「45 ha」が「最も近い」ので「答え」になる。「リード文」や「説明文」では、下線部以外に「手がかり・ヒント」があることが多いと心得よ。

<時間配分目安:30秒強>

 

[問14②] 「下線部についての内容説明記述設問」(字数指定なし。「70字ほど」の解答欄)。「思考問題」。「農業と自然環境」に関する「リード文[C]」中の下線部ⓛの「大豆」は「食用油」として利用される。同様に、「食用油」としての多く利用されている「パーム油」(①の「答え」)をとる「油やし」の栽培には「熱帯林の伐採」という「環境問題」があるので、「別の作物から油をとることも検討されているが、そこにある解決しない問題とは何か」を、示されている「グラフ2」(いくつかの食用油に関する農地1haあたりの収量の棒グラフ)から考えて説明する。

「グラフ2」からは、「ひまわり油」と「大豆油」の1haあたりの収量がおよそ「0.5トン」なのに対して、「パーム油」は「約3.5トン」だということが読み取れる。つまり、同じ耕地面積で約7倍もの収量があるわけだ。ということは、「油やし」の栽培に代わってほかの作物で必要な「食用油」をまかなおうとすれば、約7倍もの広大な耕地が必要となる。もちろん、それは「解決しない問題」だ。

したがって、たとえば「ひまわり油や大豆油は耕地面積あたりの収量がパーム油の約7分の1なので、同じ収量を得るためには7倍もの広大な耕地が必要になってしまうという問題。」(71字)といった「答え」だ。

本年度から導入された新たな大学入試制度で求められている、「思考力」「判断力」「表現力」が問われていたわけだ。

<時間配分目安:3分弱>

攻略のポイント

●「御三家」の本校では難問が多いというイメージがあるだろうが、実はほとんどが基礎的問題で平易だ(無論、「超難問」も紛れてはいるが、それらは「捨て問」で構わない)。したがって、合格ラインは高い。過去13年間の合格者平均得点率は74.4%(70点満点。本年度はやや低く71.3%)。当然ながら本校受験生の多くが、確実に定着させている「基礎的知識」で高得点を出してくる。つまり、小さなミスが致命的になる。3単元全てについて徹底的に「基礎的事項」を習得して、「統計資料読み取り」や「御当地問題」等、本校特有の問題は過去問で練習を積むことが重要だ。

●配点は「選択肢設問」「事項記述設問」が各1~2点、「説明記述設問」は2~5点ほどと推測される。40分という制限時間があるので、先ずは解きやすい設問から攻め、「考える必要のある設問」に時間を傾斜配分するといった「戦術」も求められる。「捨て問」の判別も必須だ。当然、「漢字指定」などの「設問条件」には十分注意すること。

●本年度も、新たな大学入試制度で求められている「思考力」「判断力」「表現力」が問われる設問があった。来年度以降も当然出題が予想されるので、対応できるように練習しておきたい。

「時事問題」についても2つ以上のテキストで、直近年だけではなく過去数年分について細部まで敏感に確認しておくこと。尚、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。テキストとしては「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。

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