｢2024年、新紙幣発行｣という意味｢時事ネタ｣を絡(から)めつつ、｢飛鳥時代から現在｣までの｢日本の貨幣の歴史｣についての｢会話文｣からの出題だ｡｢一般常識｣の問題で悩ましいものがある。それも含めて、いくつかの設問を確認する。
[問４]　｢下線部についての時期特定選択肢設問｣(４択)。｢歴史｣単元。｢会話文｣中の下線部②｢(江戸時代)５代将軍徳川綱吉のとき｣について、｢このころに起きた出来事｣を答える。各選択肢の｢キーワード｣で時期特定していきたい。(１)｢赤穂事件｣⇒知ってはいるが｢時期｣はよく覚えていないかも＝｢保留｣。(２)｢日光東照宮｣⇒｢３代将軍家光｣と結びつくはず＝｢不適切｣。(３)｢大塩平八郎の乱｣⇒｢天保の改革｣(19世紀前半、｢11代将軍家斉｣のとき)と結びつくはず＝｢不適切｣。(４)｢目安箱｣⇒｢享保の改革｣(18世紀前半、｢８代将軍吉宗｣のとき)と結びつくはず＝｢不適切｣。よって、結果的に｢答え｣は(１)になる。｢1702年｣のできごとだ。｢選択肢設問｣では十二分に｢消去法｣を活用すべし。
＜時間配分目安：30秒以内＞
[問５(２)]　｢空所補充の語句組み合わせ選択肢設問｣(４択)。｢一般常識｣。｢会話文｣中の下線部③｢今のお金のデザイン｣について示されている、＜表２＞(現在の硬貨のデザイン)の空所Ⓔ～Ⓗに入る｢植物｣の｢正しい組み合わせ｣を答える。空所は｢表面｣の項目で、それぞれ順に｢一円｣｢五十円｣｢百円｣｢五百円｣についてのものだ。そして、組み合わされている｢植物｣は、｢菊｣｢桜｣｢桐｣｢若木｣だ。確かに｢一般常識｣ではあるが、大人でさえ｢硬貨のデザイン｣など意識して見ていないはずで、なかなかの難問だ。どれでもいいので、何か思い出す硬貨で特定したい。一番馴染んでいると思われる｢百円硬貨｣、確か｢桜｣が描かれていたと思い出したい。ということで、Ⓖ｢百円｣が｢桜｣となっている｢組み合わせ｣である選択肢(４)が｢答え｣となる。ちなみに、｢一円｣＝｢若木｣、｢五十円｣＝｢菊｣、｢五百円｣＝｢桐｣だ。本校では本問のように、大人でもあやふやな｢一般常識｣が問われることがある。無論、｢捨て問｣でも構わない。ただ、常にあらゆることにアンテナを張っておくことは忘れずに。
＜時間配分目安：30秒強＞
[問６(２)]　｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢時事｣単元。｢会話文｣中の下線部④｢新紙幣｣について、｢新千円札の裏面で使われるデザイン｣を答える。典型的な｢時事問題｣だ。だが、なかなかディープだ。新紙幣の肖像画の人物が、一万円札＝｢渋沢栄一｣、五千円札＝｢津田梅子｣、千円札＝｢北里柴三郎｣だということは誰もが押さえているはずだが、｢裏面｣はどうか？ 一万円札＝｢東京駅(丸の内駅舎)｣、五千円札＝｢フジ(藤)｣、千円札＝｢(葛飾北斎の)神奈川沖浪裏(なみうら)｣となっている。よって、｢答え｣は(３)｢富嶽三十六景｣だ。本校では、相当に細かな｢時事ネタ｣まで求められるということだ。
＜時間配分目安：15秒＞

｢福沢諭吉｣の｢生誕から37歳までの半生についての年表｣からの出題｡お約束の｢福沢諭吉ネタ｣だ。｢幕末｣～｢明治初期｣の激動の｢歴史｣が、福沢諭吉の人生に合わせ問われている大問。通常のテキストでは対応できないマニアックな問題や｢思考問題｣がある。いくつかをチェックしたい。
[問１]　｢空所補充の地名選択肢設問｣(全５問/６択)。｢年表｣中の５つの空所に入る｢当てはまる地名｣をそれぞれ答える。なかなか通なものもある。｢答え｣を確認する。｢1835年 ( ア )藩の下級武士の子として、( イ )で誕生｣⇒( ア )＝(５)｢中津(藩)｣、( イ )＝(２)｢大阪｣⇒これらは本校志望者の必須定着事項。｢1854年 ( ウ )に出て『オランダ(語)』(＝[問１]の｢答え｣)を学習｣⇒(ウ)＝(４)｢長崎｣⇒｢蘭学｣といえば｢長崎｣は｢基礎的事項｣。｢1858年 ( エ )の築地鉄砲洲で学塾を開設｣⇒(エ)＝(１)｢江戸｣⇒この｢蘭学塾｣が後の｢慶應義塾｣、覚えておきたい。｢1859年 ( オ )に行くもオランダ語が役に立たず、独学で英語習得｣⇒(オ)＝(６)｢横浜｣⇒｢英語｣が必要となれば、選択肢の中では開港場となった｢横浜｣しかない。本校を志望する以上、｢福沢諭吉マニア｣になることは必須だと心得よ。
＜時間配分目安：全問で２分＞
[問３]　｢下線部についての人名選択肢設問｣(４択)。｢年表｣中の下線部①｢適塾｣について、｢この塾を開いた人物｣を答える。｢消去法｣でも解けるが、｢適塾｣に関しては知っておきたい事項だ。｢答え｣は(１)｢緒方洪庵｣。｢備中国｣(現在の岡山県西部)出身の蘭学者･医学者で、福沢を始め｢橋本左内｣｢大村益次郎｣などの人材を育てた。本校としては｢標準レベル｣の難易度だ。
＜時間配分目安：30秒弱＞
[問６]　｢空所補充の語句記述設問｣(｢漢字２字｣指定)。｢思考問題｣。｢年表｣に関連して、｢福沢は、1901(明治34)年の元旦に、世界が新しい時代を迎えたことへの感慨｣を表し、｢独立自尊 迎新 　Ｂ　 ｣という書を記したが、空所に｢入る言葉｣を｢漢字２字｣で答える。どれほどの｢福沢諭吉マニア｣でも流石(さすが)に知らないだろう(知っている必要もない)。どうする？ 諦めるか？ いや、｢思考｣するのだ。｢手がかり｣を探す。｢1901年｣｢新しい時代｣とある｡｢1901年｣は｢20世紀最初の年｣。よって、｢答え｣は｢世紀｣となる。ちなみに、｢独立自尊｣は｢自他の尊厳を守り、何事も自分の判断･責任のもとに行うこと｣を意味する｢慶應義塾の基本精神｣だということは知っていて当然。尚、｢私は知らない｣⇒｢誰も知らない｣⇒｢知らなくても解ける｣と考えよ。
＜時間配分目安：30秒以内＞

｢日光南部｣｢男体山｣の、｢２万５千分１地形図｣３種類からの出題。｢地理｣の定番である｢地形図問題｣。全３問。[問１]で｢２地点間の断面図｣(選択肢設問)、[問２]では｢地形図全体の読み取り｣(不適切選択肢設問)、[問３]で｢地形図中の２地点についての説明｣(選択肢設問)が問われている。基本的な問題なので失点しないようにしたい。尚、｢地形図読み取り｣は本校に限らず｢地理単元｣での定番なので、｢地図記号｣｢等高線｣｢方位｣｢縮尺｣等の｢地形図｣に関連する基礎的事項を完全に定着させておくことが肝要だ。
＜時間配分目安：全問で１分半＞

｢世界の感染症の歴史｣をまとめた｢年表｣からの出題｡｢歴史｣(｢世界史｣あり)が主体の大問だが、他にも｢世界地理｣｢公民｣｢一般常識｣｢思考問題｣など、実に多種多様な小問が並んでいる。ただ、決して難易度は高くないので(１問だけ厄介だが)、一気呵成に得点を重ねていきたい。いくつかの設問を検討する。
[問１]　｢下線部についての人物説明選択肢設問｣(４択)。｢年表｣中の下線部①｢ツタンカーメン｣についての説明として｢正しいもの｣を答える。｢世界史｣ではあるが、｢一般常識｣でもあるので知っていてほしい。｢答え｣は(２)｢古代エジプトの王｣。紀元前14世紀に在位した古代エジプト王で、ミイラを含む｢黄金のマスク｣がよく知られている。知らなかった諸君は押さえておくこと。
＜時間配分目安：20秒＞
[問４]　｢下線部についての人物説明不適切選択肢設問｣(４択)。｢年表｣中の下線部④｢仏教｣について、｢仏教を厚く信仰した聖徳太子の説明｣の説明として｢正しくないもの｣を答える。｢聖徳太子｣は基礎中の基礎だ。各選択肢説明の｢キーワード｣で正誤判別していく。(１)｢家がらにとらわれず能力のある豪族を役人に｣⇒｢冠位十二階｣は知っていて当然＝｢適切｣。
(２)｢天皇中心の国づくり｣⇒これまた周知の｢十七条の憲法｣で目指した方針だ＝｢適切｣。(３)｢唐と対等のつきあいを求め｣⇒｢小野妹子｣に持たせた国書(手紙)は知っているはず＝｢適切｣、ではない。｢小野妹子｣は｢遣隋使｣なので｢唐｣ではない＝｢不適切｣。(４)｢法隆寺や四天王寺を建立｣⇒これも知っていなくてはいけない基本的事項＝｢適切｣⇒ちなみに、｢四天王寺｣は｢大阪｣なので要注意。したがって、｢答え｣は(３)になる。｢正誤判別｣では細部にこだわることが肝要。
＜時間配分目安：30秒＞
[問10(１)]　｢下線部についての国の説明選択肢設問｣(４択)。｢地理｣単元(世界地理)。｢年表｣中の下線部⑧｢アメリカ起源のスペイン風邪(かぜ)が世界で大流行｣について、｢現在のスペイン｣の説明として｢正しいもの｣を答える。国名は知っていても意外と未定着があるかも知れない。悩ましい問題だ。各選択肢説明の正誤判別していく。(１)｢北米大陸にある｣⇒無論、知っているはず。｢ヨーロッパ｣の国だ＝｢不適切｣。(２)｢首都はバルセロナ｣⇒スペインの都市だとは知っているが、｢首都｣なのか？＝｢保留｣。(３)｢モン･サン･ミッシェルが有名｣⇒何？ どこ？＝｢保留｣。(４)｢日本と同緯度に位置している｣⇒えっ？ 気にしたことがない＝｢保留｣。といった状況かも知れぬ。｢答え｣は(４)。｢首都｣の｢マドリード｣付近が｢北緯40度｣になっている。そして、世界遺産の｢モン･サン･ミッシェル｣は｢フランス｣だ。本校では｢世界地理｣が出題されると認識すること。
＜時間配分目安：30秒以内＞
[問11]　｢下線部についての略称選択肢設問｣(４択)。｢公民｣単元。｢アルファベット略称｣だ。｢年表｣中の下線部⑨｢世界保健機関｣の｢略称名｣として｢正しいもの｣を答える。誰もが知っていて当然。｢答え｣は(２)の｢ＷＨＯ｣だ。ちなみに、(１)｢ＷＦＰ｣は｢世界食糧計画｣、(３)｢ＷＴＡ｣は｢女子テニス協会｣、(４)｢ＷＴＯ｣は｢世界貿易機関｣の略称。尚、｢国際機関｣(特に国連機関)については、｢日本語の正式名称｣と｢アルファベット略称｣とをセットで定着させておく必要がある。
＜時間配分目安：15秒＞

｢明治時代から現在まで｣の｢日本で発災した地震についての年表｣からの出題｡未知の地震もあろうが、設問自体は｢標準レベル｣。ただ、最後の｢思考問題｣としての｢説明記述｣はなかなか手強い。それを含めて以下、２つの｢設問｣を考察してみたい。
[問４]　｢下線部についての事項説明不適切選択肢設問｣(４択)。｢公民｣単元。｢年表｣中の下線部④｢新潟県中越地震｣について、この地震で多くの被害が発生した｢ライフライン｣に｢あてはまらないもの｣を答える。この言葉、知っていなくてはいけない。｢都市生活の維持に必要不可欠な電気･ガス･水道･通信･輸送など｣のことだ。各選択肢を確認する。(１)｢河川｣、(２)｢電話線｣、(３)｢電線｣、(４)｢鉄道｣。どうだろうか？ 判別できるか？ 基本的には｢社会資本｣(人工物)なので、｢河川｣は含まれないと判断したい。よって、｢答え｣は(１)だ。ここでは｢消去法｣が有効かも。
＜時間配分目安：20秒＞
[問５]　｢理由説明記述設問｣(｢20～50字｣指定)。｢思考問題｣。｢年表｣中の下線部⑤｢東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)｣について、｢都心で多くの帰宅難民を生んだこの地震以降、東京都内の私立小学校･中学校･高校は、震災発生時に、その学校だけではなく他の私立学校の生徒の避難も一時的に受け入れる約束を結んだ｣が、｢この約束を結んだ理由｣を｢20字以上50字以内｣で説明する。先ずは｢帰宅難民｣とはどういうことかを特定する。｢一般常識｣として知っていれば問題ないが、そうでなければ、｢帰宅｣と｢難民｣の｢原意｣から類推したい。要は、｢帰宅することが困難になった人たち｣だと判断できるはずだ。なぜ｢困難｣になったのか？ それは無論、地震によって交通機関がマヒしたからだ。地震の発災時に電車やバスが運転見合わせとなり、そうした交通機関を使っての通学が多い私立学校の生徒も帰宅できなくなり、連絡が取れない場合もある。その際に生徒たちがその時いる場所の近くにある他の学校に避難することで、安否が確認でき、保護者との連絡も可能になる。このようなことが｢理由｣だと考えられるはずだ。したがって、たとえば、｢交通機関のマヒによって帰宅できなくなった他校の生徒たちの安否も学校どうしで共有する必要があったから｡｣(50字)といった｢答え｣になる。｢与えられている情報｣を手がかりにして、自ら｢思考｣する練習を重ねることが肝要だ。
＜時間配分目安：４分＞