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出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「立教新座高等学校の数学」
攻略のための学習方法

全体的に見てみると標準問題が圧倒的に多い。

2次関数、平面図形、立体図形は要注意であり、徹底した演習が必要である。
2次関数に関しては、直線(1次関数)との関連の問題は必須である。同じ概念でも使われているジャンルによって意味合いと扱い方が異なってくる、ということに気を付ける。

例えば、「変化の割合(=グラフの傾き)」は直線と放物線とでは概念的内容については、当然ながら同じであっても、実際の問題になると設問へのあてはめ方及び処理の仕方が異なってくる。

1次関数においては直線のグラフとなり、当然ながら、変化の割合(グラフの傾き)は一定である。これに反して、2次関数の放物線においては、放物線上のどの2点を選択したかで変化の割合(グラフの傾き)はプラス(右上がり)になったり、マイナス(右下がり)になったりする。

特に、放物線上の異なる2点を結んでできる変化の割合は、その2点の間隔を限りなく「ゼロ(0)」に近づけてゆくと、高校数学で学習する「微分」の世界へと入ってゆく。放物線に関しては必ず出題されると考えた方が良いし、高校数学への導入としての役割も担うと認識したうえで、しっかりと概念的な理解を深めてゆきたい。

確率の問題も近年、上位高を中心に頻出傾向にある。しかも、出題傾向は年々難易度を上げているようである。標準的問題集にあるような、場合分けのパターンが単純なもの(複雑といってもせいぜい「~の場合が2回以上ある場合」)ではなく、他の数学の分野との融合問題である場合が予想される。

例えば、確率と図形の融合問題である。
サイコロを振って偶数の目が出たらⅹの方向に目の数だけ進み、奇数が出たらyの方向に目の数だけ進むという条件で進んだ場合に、座標面上にあるグラフ(直線の場合もあれば放物線の場合もある)との関係で設問の条件を満足する場合の確率を求めよといった問題である。

このような場合に、ひたすら「場合と確率」だけを演習すればよいというわけでは決してない(勿論、しっかりした「場合と確率」の知識と演習量が求められるのは大前提ではあるが)。座標平面の特性やそこに存在するグラフ(直線又は放物線)の特徴を踏まえて問題を解けるかどうかが合否のポイントであろう。

さらには、そのようなサイコロの出た目の数字の分だけ立体図形の辺の上を移動させるなどの条件設定で作問も可能である。
しかも、サイコロの目の数だけ動く点(動点)はどのような動きをするか、また設問にある一定の条件の下で、指定された点を結んだ場合にどのような平面図形ができるか、そしてその平面で立体図形を切り取った場合における、切り口の形状や面積など、さらには切り取り後における指定された点を含む立体の体積を求める問題にも慣れておいて欲しい。

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2021年度「立教新座高等学校の数学」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

【大問1】独立小問問題<13分>。2次方程式、資料の活用、平面図形、関数から出題されている。

【大問2】確率に関する問題<10分>。サイコロの目の出方に関する確率の問題である。昨年も同様の問題が出題された。

【大問3】円に関する平面図形の問題<12分>。円と三角形の図形から相似や三平方の定理を用いて辺の長さを求める問題である。

【大問4】空間図形(円錐と球)に関する問題<12分>。円錐に内接する複数の球に関する問題である。

【大問5】関数に関する問題<13分>。放物線と直線の融合問題である。昨年も同様な問題が出題された。

【大問1】独立小問問題

  • 時間配分:13分

(1)2次方程式応用問題<3分>。
2つの2次方程式が共通の解をただ1つだけ持つことの意味を数学的に考えて式を立てることが重要である。

(2)資料の活用問題<3分>。
資料の整理に関する問題は受験生には馴染みのない分野かもしれない。この分野における独特な用語(中央値、ヒストグラム、階級、階級値など)の定義と設問中での活用などを正確に理解し解法の際に使えこなせるように事前準備を行っておくこと。

(3)平面図形に関する問題<3分>。
正方形に頂点1つを共有し内接する正三角形についての問題である。正方形と正三角形の特性をいかしながら△ABPにおいて三平方の定理をあてはめる。

(4)1次関数に関する問題<4分>。
設問で提示されたS、Tに相当する図形がどこなのかを考える過程で、様々な平面図形の定理を活用する。最終的には、S、Tの重なりの面積が 27/4 になるために直線を用いた解法を導きだして解答を求めることがポイントである。

【大問2】確率に関する問題

  • 時間配分:10分

1個のさいころを3回投げて1回目、2回目、3回目に出た数をそれぞれ百、十、一の位として各確率を求める問題である。
(1)できた数字が450以上になる確率<2分>。
位取りの数字を丁寧に考えて求められた確率を導き出す。基本問題であるので落とさないようにする。

(2)できた数字が4の倍数になる確率<2分>。
4の倍数の数字は下2桁の数字が4の倍数であるときである。実際に、下2桁が4の倍数になる場合を数え上げてみる。作業的には、そんなに大変な作業ではない。

(3)各位の数の和が15になる確率<3分>。
各位の数の和が15になる数字を実際に書き出してみること。

(4)3の倍数になる確率<3分>。
3の倍数の数字とは、各位の数字の和が3の倍数になっている場合である。本問も実際に書き出してみる。

【大問3】平面図形(円と直角三角形)に関する問題

  • 時間配分:12分

(1)線分の長さを求める問題<2分>。
ABはOの直径であるから円周角との関係で∠ACB=90°である。よって、△ACBにおいて三平方の定理をあてはめて解き進める。

(2)線分の長さを求める問題<3分>。
△ACDで(1)同様に三平方の定理を用いてADの長さが求められる。

(3)辺の長さの比を求める問題<3分>。
∠DAB=∠DCEで、かつ∠ADB=∠CDEであるので、△ABD∽△CEDとなる。このことからDB:DEの比は求められる。

(4)辺の長さの比を求める問題<4分>。
与えられた図形より△EHD∽△ACDであるので、EH:AC=DE:DAとなる。ここから線分EHの長さを求める。

【大問4】円錐に内接する球に関する問題

  • 時間配分:12分

(1)内接する球の半径を求める問題<2分>。
球が円錐に接している面で切った場合の平面図をイメージして、合同や三平方の定理を当てはめる。

(2)円錐と内接する球の体積比較問題<3分>。

(3)円錐に内接する球の切り口に関する問題<3分>。
切断された面の形は円になるので、この円において三平方の定理を用いて半径を求める。

(4)辺の長さを求める問題<4分>。
円錐の内部に既に内接している球よりも半径の小さい球を内接させる。このとき、この小さい球の半径を求める問題である。3つの球の中心P、Q、Rと円錐の頂点を通る断面を考え、相似・三平方の定理をあてはめて円Rの半径を求めよう。

【大問5】関数(1次関数と2次関数の融合)に関する問題

  • 時間配分:13分

(1)指定された直線の式を求める問題<1分>。
何度も演習済みの問題である。A、Bがy=2x2の放物線上にあり、かつそれぞれのx座標の数値が与えられているのでA、Bの座標が具体的にわかり、直線ℓの式も判明する。

(2)三角形の面積を求める問題<3分>。
△PABの面積を求める問題である。複数の解法はあると思われるが、基本的には△PAB=△PAQ-△PBQで考える。

(3)tの値、辺の長さの比、四角形の面積を求める問題<9分>。
tの長さを求める問題<2分>。
P、Qがどのようなグラフ上に存在するかを考えてそれぞれの点の座標をtを用いて表わす。そのうえで、PS:SQ=11:3という条件より比例式における内項の積=外構の積の関係式よりtに関する2次方程式を解く。
辺の長さの比を求める問題<3分>。
前問においてtの値が判明したのでP、Qの座標を具体的に求める。そのうえで相似な三角形を見つけ出し求められているOT:TPの比を求める。
四角形PTBSの面積を求める問題<4分>。
相似の考え方や底辺が等しい三角形の面積比は高さの比になることを用いて四角形PTBSの面積を求める。与えられた図の中に必要な三角形や四角形を見つけ出し、さらに辺の比をあてはめて求められた四角形の面積を求める。

攻略のポイント

全体的には標準レベルの問題である。
事前の準備としては標準的な問題を徹底して繰り返し演習することである。特に、2次関数に関しては様々な出題パターンを想定して準備をして欲しい。

放物線(2次関数)に関する問題は、高校入試の数学においてメインテーマの一つである。
直線がからんでくると交点の座標は2次方程式の解を求める考え方が必要であるし、その際に中学校では絶対に学習しない(塾等では当然のように学習する)『解と係数の関係』の考え方を応用すると迅速かつ確実に正解へたどり着ける。

また、図形編では空間図形は必須と考えて欲しい。空間図形に平面図形で使われる各種の定理(中点連結定理、三平方の定理、特定三角形(三角定規)における三辺の比など)をしっかり当てはめられるかどうかが、合否の分かれ目といっても過言ではないであろう。

また、確率の問題にもしっかり対応できるようにしておくこと。確率で大事なのは『発想の豊かさ』である。さらに、将来的には今以上にその重要性が増すと思われる「資料の整理=統計」も用語の定義を含めてしっかり学習しておいてほしい。

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