立教新座中学校 入試対策
2021年度「立教新座中学校の算数」
攻略のための学習方法
1月下旬に実施される立教新座の入試は、1月男子校最後の1校として、2月の受験合否を占うという意味でも非常に大きな意味を持ち、第一志望とする生徒にも、2月校への力試しという位置づけの生徒にとっても失敗したくない・負けられないテストであることは間違いない。
受験生は多いものの合格者を多数出し(補欠も多く出す)、倍率は2倍前後と安定しているにもかかわらず合格するのは容易ではない。
それは受験生自体の水準が高いからである。中でも、算数は受験生にとって受験生活最後に屹立する大いなる壁と言っても過言ではない。
立教新座中学が開校したころの問題に比べるといくぶん内容も薄味になり、条件の複雑さも山を越えた感はあるが、それでも受験生にとって解きやすい問題とはとても言えない。それは例年の合格点の低さからよく分る。新座合格を勝ち得るためには、基本レベルを超え、応用力にまで踏み込んだ力がどうしても必要になる。
そのためには、早い時期に「解き方のベース」となるテキストに出題されている「例題・典型的問題」の解法に用いられる公式や解き方はすべてマスターしてしまうこと。
中堅校までの算数はこの段階でもはや完了していると言ってもよいが、新座の難問突破にはまだ入口に過ぎない。
その上で、頻出度は高くないが、さらに水準の高い公式・解き方などをひとつでも多く身につけておきたい。
「円の面積の求め方」=「半径×半径×円周率」が出てこない生徒はいないだろう。では、「円の面積=半径×弧の長さ÷2」はどうか?
また、「整数aと整数bの積は、(a・bの最小公倍数)×(a・bの最大公約数)と等しい」は?
他にもいくつもあるだろう。ただ一通りの解き方を手に入れただけでは学力としてはまだ十分とは言えないので、新しく登場した公式・解き方はどん欲に覚えておこう。
[応用・発展問題]
さらなる難題は、難問が解けるようになる、と言うことである。
「基本的な問題なら解けるのだが、少し応用が入ると解けなくなってしまう」という悩みは多くの受験生が抱えていることと思われる。
新座の難問というのは突然新しい考え方を生み出さなければ解けない、というものではなく、以前より知っているはずの解き方・公式を使って解けるのだが、それが条件の複雑さなどによって発見しにくくなっているものが多い。
なんとか解き終るなり模範解答を見ると「なんだそういうことか」と分るけれどもなかなかそこに行き着かない場合である。これは同程度の問題を分量こなしていくことによって慣れてくるところがあるので、問題演習量によって克服したい。
[分野別の対策]
次は分野別に対策を施したい。
この6年間で特に採り上げられているのは「図形」分野である。本年度もテスト問題の半分が図形の問題であった。難易度はそれほど高くない(ただし【大問1 】(5)②・【大問3】(3)は難問と言っても差し支えない)ものの、図形の出来いかんで合否が決まったことは間違いない。この傾向は固まったとみて良いので、図形における典型的問題はもちろんのこと、難易度のやや高い問題にも手が出るように仕上げておきたい。
また、本年度は影を潜めたものの「速さの問題」にも復活の兆しが見られる。複雑な条件を与えられ考えさせられる問題ではないものの、こちらも標準的なものを中心に十分に力をつけておきたい。
ただし、この2分野以外のいずれの分野も大切な内容であることは当然なので、どこから出されても対応できるような学力は必要である。
[まとめ]
合格するための学習法をまとめると
・「図形」全般など、出やすい分野に関しては徹底的に時間をかけ、得意とは言わずとも恐れることなく問題にあたれるようにしっかりとした準備をしておくこと。
・合格点の低いテストである。どれもこれも手をつけ、難易度の高い設問を深追いせずに自分の力にあった問題を見つけ、それで合格ラインを超えられるような確実性を身につけよう。
・基本的な力だけで満足することなく、少なくとも年内は難問にチャレンジする意欲を見せよう。決して無理な注文ではないはず!
2月校の併願として同校を受験する生徒が多数と思われるが、2月校と同じ程度の対策時間を作っておこう。2月校への訓練にも十分になる。
過去問に取りかかるのは秋からでよい。合格点を見据えて大いに奮闘してもらいたい。
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2021年度「立教新座中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問数5は5年連続で変わらず,設問数は24と昨年度より1問減っただけで、分量的には非常に安定している。
受験者平均点(41.9点)から予測される本年度の合格確実ラインは50点くらいなのでそれほどの高いハードルとは感じられず、標準レベルの設問をそつなくこなせた受験生は合格を勝ち得たことだろう。
後半の大問(3)以降の設問は難易度が高い場合が多いので、力に合わせて取捨選択し、そつなく点数をかせいでいこう。
【大問1】計算・植木算・分配算・回転体・平面図形の面積
- 難度:標準
- 時間配分:18分
- ★必答問題
(1)は小数・分数・整数混合の四則計算で、「小数を分数に直す・計算の順番に注意する」ことに気をつけて取りかかろう。
(2)は問題文を読んで分かるとおり「植木算」だが、解き方としては「差集め算」「逆比」の2種類がある。6年生ならば「逆比」を用いた方が時間を短縮できる。植える間隔の逆比が間の数の比になるのでそこに22本をあてはめて木の本数を求める。そこからが「植木算」である。
(3)①は連比を作って比1あたりを求めれば解答につながっていく。
②では、食べた日数を①とおいて、比例式を使った倍数算が一般的だろう。若干難易度は上がるもののぜひ正解しておきたい。
(4)は左右非対称な図形を回転させてできた回転体の体積を求める問題でやや難度が高い。回転体は円柱と円すいを組み合わせた形となるので、円周率の計算はまとめてできるように工夫して求めよう。
(5)は正方形・おうぎ形を組み合わせた図形から工夫して面積を求める問題。
①で、CP=1cmだと、正方形の面積を2等分する、点対称な図形ができあがるから、アの面積を反対側に移し、ア+イ+ウの面積の和を「台形MPCD-おうぎ形DHG」で求めればよい。この問いは標準レベルである。
②は難問の部類に入る。言葉のみで解説するのも難問部類に入るが、イ+ウ=アであることから、おうぎ形AEH+おうぎ形CFG+おうぎ形BFE=台形ABPMとなることが分かればそれが答えにつながる。しかしここでの失点はやむを得ない。ただし、良問なので解き方は覚えておきたい。
【大問2】平面図形
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
相似形を利用する平面図形の問題で、意外なほど「普通の」問題である。(2)(3)は補助線を引かないと求められないのでやや難度は上がるもののこの大問は全問正解しておきたい。
(1)AE:ED:DB=2:2:4、AF:FG:GC=2:3:3と比を置けばそれだけで求められる。
(2)の補助線は、Gから辺BCに向かって垂直な線を引く、またはDGを延ばした線とCから辺ABに平行な線を引いてその交点を結ぶ、などが考えられる。自分で相似な関係にある三角形を作らなければならない分だけ細かい作業が必要になる。しかしそういった勉強は積んできているはずだから素直な問題に感じられるはずだ。(3)は(2)の延長線上に答えが浮かび上がってくる。
【大問3】立体図形
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
大問全体の難易度としては「やや難」としたものの、設問によって難易度はかなり異なる。(1)は「易」、(2)は「標準」、(3)は「やや難」というところで、(2)までは正解しておきたい。
(1)では、側面積の求め方に工夫しよう。
(2)では、実際に切断する線を引いてみて、立体の形を把握してから問題に取りかかること。(1)で求めた表面積を使えば意外と簡単に求まるはずだ。
(3)は立体図形をななめに切断する問題なので、立体の切断が苦手な生徒はあとに回し、得意な生徒はチャレンジしてみよう。切断して求めることになった点Aをふくむ方の立体と同じ形の立体を反対側からくっつけて全体を再度直方体にもどすところがコツである。
【大問4】場合の数(倍数)
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
この大問も設問ごとの難度は大きく異なり、(1)「易」、(2)「標準」、(3)(4)「やや難」である。
問われていることはシンプルなので解き方で困ることはないだろうが、(3)からは手数がかかる=時間がかかる問題なのでいざというときは見送るというのも現実的な解決策である。
(1)はア、イ、ウを守って百の位が「1」のときから考えていく、とすぐに答えは出るだろう。
(2)では、0と4の位置によって場合分けして求めればよい。それほど多くに場合分けではないのでここは正解しておきたい。
(3)では、結局すべて求められることになる…4を用いた上に、3の倍数のなので、3つの数の和が6から調べていき、最後は和が21までを(2)と同じように場合分けして求めていけばよい。決して難しくはない、が骨を折れる問題である。
(4)のほうが解きやすいかもしれない。百の位が9のときと8のときを調べていけば10個見つかる。あとはそれらを加えればよい。やはり手間はかかる。
【大問5】速さと比
- 難度:標準
- 時間配分:10分
最後の大問は問題文が長い上に設問も(4)まであり、しかも速さの問題と言うことで一瞬たじろいでしまうが、問題文をしっかりと読み「時間床」と「設定」の意味を理解さえすれば問われていることはそんなに難しくない。要するに、途中から速さを変えると、かかる時間も変わるというだけの問題なのだ。初見のあやしげな設定にひっかかってはいけない。つるかめ算として作業が複雑になる(4)は仕方ないにしても(3)までは解けるようがんばろう。
(1)では600mのところが時間が2分の1になり、残りの400mは普通にかかる時間なのでその和を求めればよい。
(2)では、普通に移動すれば1000÷4=250秒かかるところを実際には(3分20秒=)200秒ですんでいるので、(250-200=)50秒だけ時間が短縮されている。これがもとの時間の2分の1にあたるので、100秒が「時間床」に費やした時間であることが分かる。
(3)は(2)をもう少し複雑にした問題である。(500-440=)60mにかかった時間を求めればよいことになる。
(4)では、最初の400mと設定を3分の1で移動した距離・時間は分かるので、残った設定を3分の5のところと最後の普通に移動するところで速さのつるかめ算を行えばよい。時間が十分に与えられれば解ける問題だろうがなければ無理して深追いしなくてもよい。
攻略のポイント
テスト時間は50分で100点満点。
これで6年連続「図形」分野重視の問題構成となった。また、こちらも4年連続、問題は全体に標準的であり、【大問1】(5)②・【大問3】【大問4】【大問5】の後半に難度が感じられた程度だった。
その割には受験者平均点は41.9点と昨年度を下回り、苦言を呈すると少し残念な気がする。受験生はおおいに奮闘してもらいたい。
それとは別に合格と言うことを一義に考えると、この学校の倍率は2倍強なので,平均点をやや上回れば合格ラインに乗る。これは例年通り50点くらいというところ。
しかし本年度クラスのテストなら最低でも60点台は取れる力をつけて本番に臨みたい。
立教新座の算数を解けるようになるためには,
・塾の教材や市販の問題集などで,中~高程度の難易度を持つ問題に多く触れ,ねばり強く問題を解くこと。
・分野的には「平面・立体図形」を特に強化しておこう。
ここ数年間は標準的な問題を中心とした構成となっていて、来年度もこの傾向は続くだろう。しかし、オーソドックスな問題だけでなく、まさかの時のためにも「難問対策」も平行して行っておきたい。
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