｢漢字の書きとり｣(全５問)。示されている各文の二重傍線部(あ)～(お)の｢ひらがな｣を｢漢字｣に直す。

例年になくとても平易だ。無論、｢全問正解｣が必須。それぞれの｢答え｣を確認する。

 

(あ)｢薬をふくよう｣＝｢服用｣、

(い)｢友だちの意見にさんせい｣＝｢賛成｣、

(う)｢お経をとなえる｣＝｢唱(える)｣、

(え)｢合格をほうこく｣＝｢報告｣、

(お)｢自転車でおうふくする｣＝｢往復｣

 

になる。意味内容も含めて、ひとつでも曖昧(あいまい)なものがあった諸君は｢知識対策｣が全く不十分だと自覚せよ。尚、本校では、｢漢字の書きとり｣だけではなく｢四字熟語｣｢故事成語｣｢ことわざ｣｢慣用句｣などもしっかりと定着させておく必要がある。

定年を過ぎても働いていた｢廉太郎(れんたろう)｣は、ある日、妻｢杏子(きょうこ)｣が末期がんで余命１年だと知らされ、会社を退職する。妻が夫に遺す｢最期のしごと｣とは？――別れを前にした夫婦の姿を描く長編小説。

本文では、｢廉太郎｣が、｢杏子｣とのやりとりを通して、自分のあり方や今後の生活に思いを向け、妻の切実な思いに気づかされる様子が描かれている。ストーリーは分かりやすいが、夫婦の機微を理解するのは小学生にはなかなか難しいに違いない。｢総合的知識問題｣以外は全て｢内容説明選択肢設問｣という、本校としては珍しい小問構成だ。以下、いくつかを確認してみたい。

 

 

[問一]　｢慣用表現･語句の意味の選択肢｣(全３問/各４択)。｢総合的知識問題｣｡傍線部(ａ)｢縦の物を横にもしない｣､(ｂ)｢訝(いぶか)しみ｣､(ｃ)｢虚(きょ)を突かれて｣の｢本文における意味｣を答える。

これらの｢原意｣(本来の意味)に忠実に判別すれば何の問題もないはずなのだが、｢本文における意味｣を意識し過ぎると間違ってしまう可能性があるので要注意だ。それぞれの｢答え｣を確認したい。

 

｢縦の物を横にもしない｣＝｢めんどうくさがって、何もしないたとえ｣⇒(ａ)

＝選択肢(エ)｢めんどうくさがって何もしない｣⇒未定着でも類推できるはず。

 

｢訝しむ｣＝｢不審に思う｣⇒(ｂ)

＝(ウ)｢不思議に思って｣⇒これはやや難解か？

 

｢虚を突く｣＝｢相手の無防備な部分を突破口とし、そこから攻め入る｣⇒(ｃ)

＝(イ)｢想定外で動揺して｣⇒この表現は知っているはずだが、｢受身｣の用法なので注意したい。

 

尚、こうした｢語句の意味｣では、｢設問｣に惑わされずに｢原意絶対優位の原則｣(｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)を徹底させること。

＜時間配分目安：１分強＞

 

[問三]　｢内容説明選択肢｣(４択)。傍線部(２)｢最後まで読んで廉太郎は首を傾(かし)げた｣･(３)｢言ってしまってから、失言だったかと冷や汗をかいた｣について、｢これらの表現から『廉太郎』についてどのようなことが読み取れるか｣を答える。

｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意絶対優位の原則｣に基づき｢原意消去｣をしたい｡ここは｢内容読み取り｣なので、｢首を傾げた｣･｢冷や汗をかいた｣の｢原意｣から読み取れない｢廉太郎についての説明｣を｢消去｣する。各選択肢の｢文末｣と照合したい(｢選択肢｣の｢説明｣では｢文末｣が最重要ポイント)。

 

(ア)｢思いやるところがない｣､

(イ)｢反省するところがない｣､

(ウ)｢やりすごそうとしているところがある｣､

(エ)｢軽率(けいそつ)なところがある｣｡

 

さあ、どうだろうか？　傍線部は｢肯定表現｣で、｢○○がない｣というのは不自然、違和感があるはずだ。また、｢冷や汗をかいた｣のだから、｢軽率なところがある｣以外は｢消去｣できるはず。念のために、｢同一場面｣を確認する(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢根拠･手がかり｣がある)｡他の部分の説明も特には誤っていない。したがって、｢答え｣は(エ)になる。結果的に｢一発消去｣だ。設問段階での｢原意消去｣は必ず試みるべし。

＜時間配分目安：１分半＞

 

[問四]　｢内容説明選択肢｣(４択)。傍線部(４)｢洗濯のしかたを覚えましょうか｣について、｢この時の『杏子』の説明｣を答える。

無論、｢原意消去｣から｡ここも｢内容説明｣なので、傍線部の｢原意｣と結びつかない｢『杏子』の説明｣を｢消去｣したい。各選択肢の｢文末｣を確認する。

 

(ア)｢仕事の代わりにやるべきことがまだあることを伝えようとしている｣､

(イ)｢必要な生活の方法を教えようとしている｣､

(ウ)｢円満に過ごすための方法をすべて伝えようとしている｣､

(エ)｢つらさを軽くしようとしている｣｡

 

｢洗濯のしかた｣＝｢(基本的な)家事｣なので、｢生活の方法｣以外は｢消去｣できなくてはいけない。｢同一場面｣を確認して、他の部分の説明も特に誤っていないと分かる。よって、｢答え｣は(イ)でいい。またしても瞬時の｢一発消去｣。紛らわしい｢選択肢説明｣にひっかからないためにも、｢原意消去｣は絶対に活用すること。

＜時間配分目安：１分＞

 

[問五]　｢内容説明選択肢｣(４択)。傍線部(５)｢結婚してからワイシャツが黄ばみづらくなったと思っていたのは、決して気のせいではなかったようだ｣について、｢この時の『廉太郎』の説明｣を答える。

前問とほぼ同じだ。｢気のせいではなかった｣の｢原意｣と結びつかない｢『廉太郎』の説明｣を｢消去｣すればいい。各選択肢の｢文末｣は、

 

(ア)｢気づかされている｣､

(イ)｢反省している｣､

(ウ)｢気をつかわないでほしいと考えている｣､

(エ)｢残念に思っている｣｡

 

さて、本問では｢気のせい｣の｢原意｣が曖昧(あいまい)だと｢消去｣しづらいかも。｢思い過ごし｣のことだ。つまり、｢『思い過ごし』ではなかった｣と｢分かった｣わけなので、｢気づかされている｣以外は｢消去｣でいい。｢同一場面｣から、他の部分の説明も特に誤っていないと分かる。ということで、｢答え｣は(ア)だ。見事なほどに使える｢原意消去｣、完璧習得必須だと心得よ。

＜時間配分目安：１分以内＞

 

[問六]　｢内容説明選択肢｣(４択)。傍線部(６)｢『いらん！』 反射的に叫んでいた｣について、｢この時の『廉太郎』の説明｣を答える。

先ずは、傍線部そのものので｢原意消去｣していきたい。各選択肢の｢文末｣を確認する。

 

(ア)｢がまんできなくなっている｣､

(イ)｢うんざりしている｣､

(ウ)｢ごまかそうとしている｣､

(エ)｢目をそらそうとしている｣｡

 

｢いらん！｣と｢反射的に叫んでいた｣のだから、｢ごまかそうとしている｣は｢消去｣できるはずだが、他はどうか？ 流石(さすが)にこれ以上は無理だ。

次に、｢同一場面｣に｢手がかり｣を求める。直前から、｢杏子｣が｢(廉太郎が)一人になってからのことを考えて心配していること｣に対して、｢いらん！｣と叫んだことが読み取れる。また、直後には｢(廉太郎は)杏子はまだ生きているのに、……、いなくなった後のことなど考えたくはなかった｣とある｡こうしたことから、｢がまんできなくなっている｣と｢うんざりしている｣も｢消去｣でき、｢目をそらそうとしている｣が残ると判断したい。

他の部分の説明を確認すると、｢杏子がいなくなるという現実を彼女自身から突き付けられ、その現実に直面していくことに耐えきれなくなり｣となっている。間違いない。よって、｢答え｣は(エ)になる。

本問は｢２段階消去｣だったが、｢原意消去｣が最優先事項だということにはいささかも変わりない。

＜時間配分目安：２分半＞

｢平均的な生き物｣なんて存在しない。個性の数は無限大。唯一無二の生命をつなぐために生き物たちがとってきたオンリーワンの生存戦略について説明している。本文は｢大切なものは何か？｣という章で、植物の成長を測るのは｢高さ｣だけが尺度ではないことや、踏まれる所に生えている雑草の生きていくための構造･仕組みなどについて述べている。｢植物学｣に関する文章だが、内容は理解しやすい。【大問二】とは異なり、多様な出題形式の小問が並んでいる。だが、比較的解きやすい問題が多い。以下、いくつかを検討する。

 

[問二]　｢理由説明選択肢｣(４択)。傍線部(２)｢高さで測れることは、成長を測るたった一つの尺度でしかないと知ることです｣について、｢なぜ知る必要があるのか｣を答える。

無論、｢原意消去｣から｡ここは｢理由説明｣なので、｢測れることは｣｢たった一つの尺度でしかないと知ること｣の｢直接的理由｣として結びつかないものを｢消去｣するのだが、｢主語｣が不明で分かりづらい。確認する。直前から｢大切なことは｣だと読み取れる。つまり、各選択肢の｢文末｣⇒｢だから｣⇒｢(大切なことは)測れることはたった一つの尺度でしかないと知ること｣と結びつくかどうかだ。照合する｡

 

(ア)｢他と比べて価値を判断することができないから｣､

(イ)｢優れている点を見落としてしまうから｣､

(ウ)｢測れない価値に気づかないままになってしまうから｣､

(エ)｢(原因を)解明することかできないから｣｡

 

｢測れることはたった一つの尺度でしかない｣と知ることが｢大切だ｣ということの｢理由｣なので、当然、(ウ)以外は｢消去｣だと判別できるはずだ。念のために｢同一意味段落｣を確認する(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠｣｢手がかり｣がある)｡他の部分の説明も特には誤っていない。したがって、｢答え｣は(ウ)になる。｢理由説明｣であっても｢原意消去｣は活用できると心得よ。

＜時間配分目安：１分強＞

 

[問四]　｢内容説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢50字ほど｣の解答欄)。傍線部(４)｢この競争｣について、｢植物が何のために、どのようにすることか｣を説明する。

｢この｣とあるので、要は｢指示語換言｣だ。｢指示語が出たら前を見よ！｣が鉄則だが、ここは｢段落冒頭｣なので、｢前段落全てを指し示している｣(｢指示語｣の重要解法のひとつ)。確認すると｢植物たちはこうして激しい競争を繰り広げている｣となっている。再び、｢こうして｣という｢指示語｣だ。｢二重指示語｣で、これまた開くことになる(これも重要な｢解法｣)。さらに前の段落内容を読み解いていく。すると、｢この競争｣＝｢植物たちが繰り広げているこうした激しい競争｣＝｢植物の成長に欠かせない光合成を有利に行うために、他の植物よりも少しでも上に葉を広げようと上へ上へと伸びていく激しい競争｣だと読み取れる。あとは、｢何のために、どのようにすることか｣という形式に合わせて、｢過不足なく｣まとめていきたい。たとえば、｢成長に欠かせない光合成を有利に行うために、他の植物よりも少しでも上へ伸びて、葉を広げようとすること｡｣(50字)といった｢答え｣になる。尚、｢指示語換言｣は本校に限らず定番だ。｢解法｣を確実に定着させて応用できるようにしておくことが肝要。

＜時間配分目安：３分＞

 

[問五(２)]　｢内容説明抜き出し｣(｢12字以内｣の｢初めの３文字｣指定)。傍線部(５)｢オオバコがあります｣について、｢オオバコの種子の散布に対する筆者の評価が簡潔(かんけつ)に示されている部分｣を、｢十二字以内｣で抜き出し｢初めの三文字｣を答える。

｢抜き出し｣では、｢抜き出し内容｣を正確に捉(とら)えた上で、｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。｢内容｣は無論、問題文のとおりだ。｢範囲｣は｢同一意味段落｣となる。ここでは、傍線部以降の｢16段落(形式段落)｣だと判断できる。相当に広範囲なので、さらに絞りたい。｢オオバコの種子の散布｣について説明している部分だ。確認すると、｢傍線部の後の８段落目からの６段落｣だと分かる。丁寧に探していくと、４段落目に｢(オオバコは踏まれることを利用して種子を散布しているので)道ばたのオオバコたちは、どれも、みんな踏んでもらいたいと願っているはずです。まさに逆境をプラスに変えているのです｣という部分がある。まさに、｢オオバコの種子の散布｣に対する｢筆者の評価｣だ。｢指定字数｣を考えると｢逆境をプラスに変えている｣(12字)が｢抜き出し部分｣だと特定できる。よって、｢答え｣は｢逆境を｣だ。尚、｢抜き出し｣では｢候補｣は決してひとつとは限らないので、必ず｢範囲｣のすべてを確認する必要がある。

＜時間配分目安：２分半＞