栄光学園中学校 入試対策
2021年度「栄光学園中学校の算数」
攻略のための学習方法
本校の入試問題をみると、非常に独創的かつ難しい問題が目につく。したがって、一般的な模試の結果が良くても、本校の問題で高得点が取れるとは限らない。
しかし、模試のような一般的な問題が解けなくてもよいわけではないことに注意したい。塾で学んでいる内容は、本校受験のための土台である。この土台がしっかりしていないと、本校の受験には対応できない。標準的な問題が解けるということは、最低条件だと心得ておきたい。
標準的な問題は解けるという最低条件はクリアしているという前提で、攻略のための学習法を紹介する。
本校で問われているのは、自らの手と頭を使って問題にじっくり取り組む姿勢である。多少難しくても、試行錯誤しながら粘り強く考え続ける力が絶対的に必要である。普段の学習でも、時間をたっぷり使って考え抜くという経験を積んでおきたい。
ただし、ぼんやりと時間を浪費するのではなく、なんとしても自力で解こうとする強い意志と積極性が必要であることは言うまでもない。
思考力の強化
本校の入試のためには、思考力を強化は必須である。
考え続けることで思考力が自然と身につくイメージがあるかもしれないが、それほど単純ではない。そもそも、ある程度の思考力がなければ、考え続けること自体が困難であろう。
やはり、思考力を強化するきっかけが必要である。まずは手軽に思考力を鍛えるところからはじめたい。標準的な問題で構わないので、さまざまな解法で解いてみるとよい。そして、自分なりに解き方を説明できるようにしてみる。
そのような経験の積み重ねによって、柔軟な考え方ができるようになり、結果的に思考力が鍛えられるようになる。この段階までくれば、難問にじっくり取り組むことで本校の入試に対応できるようになるだろう。
理由説明の対策
本校では、理由を説明させる問題がよく出題されている。通常のテキストではほとんど見られない問題だが、過去問を有効に使いたい。
本校の場合、「起こりえない理由」を説明させることが多く、対策は可能である。起こりえない理由を聞かれたときの説明方法は、背理法(背理法については身近な先生に質問するとよい)が鉄則である。慣れてくれば、説明のコツはつかめるであろう。
最後に一言
本校は非常に特殊な問題が多いが、一般的に見かけるようなタイプの問題も出題されている(難易度はさまざま)ので、あらゆる問題に対応できるように学習しなければならないことを最後に付け加えておくことにする。
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2021年度「栄光学園中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
独創的な問題や難易度の高い問題が目立つのが本校の特徴。
今年度も概ね例年通りの傾向になっている。70点満点中、受験者平均点は34.0点、合格者平均点は43.8点であった。試験時間は60分。じっくり考えるタイプの問題だが、全問を解くとなると時間にそれほどの余裕はないだろう。
【大問1】立体図形
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
さいころの目と展開図に関する問題。考え方自体を悩むことはないだろう。慌てず、確実に解くようにしたい。
【大問2】平面図形
- 難度:やや難
- 時間配分:11分
正方形や円の周りを、図形が一周する問題。
(1)は、正方形の周りを円が一周する問題。この問題は易しい。
(2)では、円の周りを正方形が(回転することなく)一周する。正方形が通過する範囲の外周の長さと面積を求める問題で、与えられた図を見ながら解いていけばよい。
(3)は、面積についてのやや変わった問題。正方形の辺の長さを□cmなどとおいて、面積を□を使って表してみるとよい。なお、この問題は正方形の面積を求める問題だが、正方形の一辺の長さを求めることはできない。面積を直接求めることになる。
(4)は、円の周りを正三角形が(回転することなく)一周する問題。まずは、正三角形の通る部分を作図する必要がある。作図をするには、(2)の図を参考にするとよいだろう。
【大問3】条件の整理
- 難度:難
- 時間配分:22分
黒い部分と透明な部分からなる2つのテープを重ねる問題。
(1)は、黒い部分と透明な部分の長さが分かっているので難しくない。
(2)は、条件に合うようなテープBの黒い部分の長さを求める問題で、考えられるものをすべて答えなければならない。黒い部分が1cm未満である可能性はないことには気づきたい。
(3)(4)も(2)と同じようなタイプの問題。細かい作業と注意深さが必要である。
【大問4】数の性質
- 難度:やや難
- 時間配分:18分
2つの異なる素数の積(この問題では素積数と呼ぶ)についての問題。数の性質に加えて、論理的思考力も問われる。問われる内容はもちろん、問題の設定も適切であり、大変良質な問題である。
(1)は、偶数の素積数のうち小さい方から7番目の数を求める。素数のうち偶数である数は2しかないことに注目すればよい。この問題は考えやすい。
(2)では、「連続する4つの整数がすべて素積数」にはならない理由を説明する。4つの整数の中には4の倍数が1つ含まれることがポイントになる。
(3)は、連続する3つの整数がすべて素積数になる組み合わせを見つける問題。力技のみですべて見つけることも可能ではあるが、できれば論理的に考えることで、候補をしぼってから見つけるようにしたい。最大のポイントは、3つの整数のうち、真ん中の数は偶数でなければならないこと。真ん中は偶数の素積数なので、(1)で考えたことが活用できる。
(4)は、連続する7つの整数のうち6つが素積数になる組み合わせを見つける問題。この問題は、候補をしぼっていかないと答えを見つけるのは厳しい。
(1)(2)から、7つの整数のうち、唯一の素積数でない数は真ん中の数で、それは4の倍数であることに気づくことが初めのポイント。そこから、小さい方から2番目の数と大きい方から2番目の数の関係に注目するとよい。これらの2つの数が、2×p,、2×q(p, qは素数で、pとqの差は2)と表されることに気づくとよい。問題文に300以下の素数がすべて書いてあるので、これも有効活用することで、より効率的に探し出すことができる。
攻略のポイント
平均点を考えると、6割の得点(42点)が目標ライン
【大問1】はしっかり得点しておきたい。【大問2】も得点を重ねやすい。(4)は解きにくく感じるかもしれないが、(2)の図をヒントにして考えたい。ここまでの問題については、いわゆる捨て問は存在しない。
【大問3】は、(1)は解きやすいが、(2)以降は注意深さも必要で、正解しているつもりでも実は間違っているということが起こりやすい。また時間もかかるので、ある程度のところで、【大問4】に移ることも検討したい。
【大問4】は、(2)までは順調に進める受験生が多いだろう。(3)以降はある程度調べる作業が必要になる。(3)は完全な力業でも何とかなるので、時間がかかっても得点しておきたいところ。(4)は算数が得意ならぜひともチャレンジしたい。
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