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学習院女子中等科 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「学習院女子中等科の社会」
攻略のための学習方法

学習院女子中等科の社会の入試問題は、例年大問3~4つに総解答数40前後で構成されている。歴史・地理・政治経済がほぼ等分で出題されており、およそ各20点ずつバランスよく配点されているようである。

記号選択と用語記入、そして本校の特徴でもある1行記述が4~5問という解答形式で、全体の文章量は多くないので読むのに時間はかからないが、問題数は多いので30分で解くにはかなりのスピードが要る

設問には大別して、

(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題

(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題

がある。

(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題

まず、(1)については確実に答えられるよう基本を押さえることである。

【地理】は、地勢と各地の産業といった分野がよく出されているので、基本事項に加えて、白地図・資料集で位置やデータの特徴も合わせて覚えてしまう。

【歴史】は、古代から現代まで広い範囲から出題されている。細かい年号までは訊かれないが、全体の流れをつかみ同時期に起こった出来事など関連づけておきたいので、年表などで整理しておく事。ここでも白地図で位置を確認しておきたい。また、歴史的に日本と関係のある地域・国についての質問もあるので、韓国・中国や南蛮とよばれた国々、アメリカやイギリスなどについて、世界地図も合わせて見ておくと良い。

【政治経済】は日本国憲法と政治のしくみを中心として習熟しておく。法律や選挙に関係した時事問題などの出題もあるので、普段から関心を持ってニュース等、見ておきたい。

いずれの分野もいわゆる難問奇問ではないので、基本をがっちり固めるという意識で日々の学習に取り組めばよいだろう。

(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題

(2)については、学習院女子の特長ともいえる問題で、得点に差が付く部分かも知れない。他校では見られないユニークな問いもあり、博物館の照明が暗くなっている理由〈H23年度〉や北海道の特ちょうにあった行政サービスの提案(H30年度)などの出題例がある。

このような問題に答えるためには、学校や塾で学ぶことだけでなく、普段から身の回りの出来事にも好奇心を持ち、「なぜそうなったのか」「そのことが他にどのような影響をおよぼすのか」というように考えを発展させられる思考力を養うことが大切である。

本校の短文記述には字数制限がないが、長文を書くスペースは無い(せいぜい20~30字程度)ので、解答欄に合わせて自分の考えをまとめられるよう練習しておこう。

そして、上記(1)(2)に対しての心構えとして、

「経済・国際・環境などの社会的な出来事に関心を持つ」ことが大事であることを付け加えておく。

学習院女子の問題は選択式にしろ記述式にしろ、上記のようなテーマに沿って出されることが多い。教科書やテキストの「勉強」だけでなく、「社会そのもの」にどれだけ関心を持って接しているかをテストを通じて問われているようである。

前年の出来事についてのやや難しい質問が出されたりするため、普段からニュースや新聞に目を通し、家庭でもわからないことを話し合ったり先生に質問したり・・・・・・そういった環境があれば大きなアドバンテージとなる。

言い換えると、そのような環境で育った女子を学習院は望んでいる。それが、学習院という伝統校の考えなのであろう。

基礎的事項は教材を最大限に活用して確実なものにしておく。その知識をもとに、社会で話題になった出来事について自分なりに少し深く考え、理解を深める。その繰り返しが本校の試験に求められる「思考力」を培うことになるのである。 

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2021年度「学習院女子中等科の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

【大問1】が歴史、【大問2】【大問3】が地理、【大問4】が政治経済・現代社会という構成で、広い範囲から問題が作られている。解答数が47問、短文とはいえ記述問題も5問ある。適語記入で書き込む問題も多く、時間に余裕はない。
記号選択・用語記入の問題はいわゆる難問ではないのでてきぱき解いてミスせずに得点源とし、記述問題は残りの時間でできるだけ答えるような心づもりで臨もう。

【大問1】歴史分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

外国との戦争を題材に、各時代の人物や出来事について訊かれている。
問1 (1)・(2) 百済を支援するため唐・新羅連合軍と戦って敗れた、白村江の戦い。
   (3) 『蒙古襲来絵詞』は、元寇の際の自身の戦いの様子を御家人・竹崎季長(たけざきすえなが)が描かせたものである。作者は不明。
   (4) 名護屋城は豊臣秀吉が肥前国(現在の佐賀県)に建てさせた城である。
   (5) 下関条約では、朝鮮の独立や台湾・遼東半島・澎湖諸島の割譲、2億テールの賠償金などが決められたが、三国干渉により遼東半島は清に返還した。
   (6) 第一世界大戦の講和条約はパリで開かれた会議で締結されたベルサイユ条約。                  (7)・(8) 朝鮮戦争では、日本に駐留していたアメリカ軍を主力部隊としてイギリス・フィリピンなどから成る国連派遣軍が結成された。日本ではGHQの指令により、治安維持という名目で現在の自衛隊の前身となる警察予備隊(のちに保安隊)が作られた。 
問2 エ. 聖徳太子のことである。
問3 大名たちが連れ帰った朝鮮人の陶工たちが始めた焼き物が、現在の有田焼や萩焼などにつながっている。
問4 ウ. 天保の改革は水野忠邦である。松平定信は寛政の改革。
問5 外務大臣・陸奥宗光が日清戦争の直前に領事裁判権(治外法権)の撤廃に成功した。
問6 柳条湖事件(南満州鉄道爆破事件・1931年)→二・二六事件(1936年)→日独伊三国同盟(1940年)→学徒出陣(1943年~)。
問7 ソ連は15の共和国で構成される連邦国家であったが、社会主義経済の行き詰まりや東ヨーロッパでの民主化の動きなどで中央政府と各共和国の間で対立が強まり、バルト三国の独立を皮切りに他の共和国も追随し、ソビエト連邦は解体された。

【大問2】地理分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:3分
  • ★必答問題

東北地方の農産物や伝統工芸品などについて。
問1 福島県は東から順に浜通り・中通り・会津の3つの地域で区分けされている。
問2 (1) 山形県・天童市は将棋の駒の生産で9割以上を占める。
   (2) 秋田県・大館市の伝統工芸品。木材を曲げて作る器で弁当箱などによく用いられ、食品が傷みにくいなど実用品としてもすぐれている。
問3 (1) 青森県・青森市のねぶた祭り。弘前市ではねぷた祭りと言い、山車の形状などに違いがみられる。
   (2) 宮城県・仙台市の七夕祭り。青森のねぶた祭り・秋田の竿灯まつりと合わせて、東北三大祭りと言われる。
問4 (1) 岩手県はわかめの生産で全国の3分の1を占めている。おうとうは山形県が圧倒的に多い。
問5 白神山地は青森県・秋田県の境に広がるブナの原生林で、世界最大級の規模であると評価され世界遺産に登録された。

【大問3】地理分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

呼び名が変わる川を話題とした問題。
問1 (1) 紀ノ川は奈良県から和歌山県へ流れ紀伊水道に注いでいる。奈良県では吉野川と呼ばれるが、水系としては紀の川水系と呼ばれる。
   (2) 淀川の源流は琵琶湖。
   (3)・(4) 日本最長の信濃川のことである。甲斐国は現在の山梨県。
問2 木曽川は岐阜県と愛知県の境界となっている。
問3 ア. 石狩川が流れるのは石狩平野である。
問4 (1) 九州・四国・中国地方は台風の進路にあたり、雨が多く降る。
   (2) 北陸地方は雪が多く、春には雪解け水で水量が増える。

【大問4】現代社会分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

消費税を題材とした問題。

問1 (1) 軽減税率で生活必需品などは8%に据え置かれた。
   (2)・(3) 引き上げ前は駆け込み需要、引き上げ後は消費の冷え込みが起きやすい。
   (4) キャッシュレス決済では値引きではなく、後で一定のポイントが付与される形で割引が行われた。
   (5) 国民全員、未成年や幼児にも定額給付金が支給された。
   (6) 年度の途中でも必要な場合には補正予算が組まれる。
   (7) 将来、税金を増やして借金分を補うことが考えられる。
   (8) 付加価値税(物品サービス税)は物やサービスの購入時に課せられる税で、日本では消費税がこれに当たる。
   (9) 消費税が下がって買い物が増えれば景気は良くなる。
問2 各省庁の要求を財務省がとりまとめ、閣議決定を経て国会で審議され、可決されれば執行される。国の歳出では社会保障関係費が3割強を占めている。
問3 所得税・相続税・固定資産税などは直接税、消費税・酒税などは間接税である。
問4 飲食料品や新聞代など、家計への影響が大きい生活必需品や社会生活に欠かせない情報媒体などは8%のまま据え置かれた。
問5 現金を用いない決済方法としては、キャッシュカードやバーコードを利用したスマートフォンでの支払いなどがある。
問6 問2を参照。
問7 公債の内、国が発行するものが国債である。
問8 所得税の累進課税と異なり、誰でも税率が同じという点では公平である。しかし、所得の多い人も少ない人も同じ金額を払わなければならないので、生活必需品などでは家計に対する負担の重さが異なり、不公平でもある。

攻略のポイント

30分という時間に対して、書き込みが多い47問の問題数はやはり多い。幸い、問題の難易度自体は難問というほどではない。通常、漢字指定されるような問題もひらがなでもよいとされる問題もある。まずは記述以外の問題をてきぱき解き進めて点を稼ごう。
60点という配点から考えても記述問題の配点は低めである。とはいえ記述問題は5問あるし、記述問題もひととおり手をつけられるよう、知識だけで答えられる問題を素早く終えられるようスピードは十分につけておきたい。

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