早稲田大学高等学院中学部 入試対策
2021年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」
攻略のための学習方法
[形式・分野]
大問数5~6・小問数50前後というのが、早大高等学院中のほぼ決まった問題構成となっている。
大問の内、3~4問は500~1000字ほどのリード文を読んでから答える設問で、残りは1問1答や長文記述などが割り当てられる。用語記入と記号選択では用語記入の方が多い傾向。年度によって異なるが、1行記述や50~100字ほどの記述問題が2~4問出されるのも通例である。
分野別では地理・歴史にウェイトが置かれ、政治経済分野はやや少なめの出題となっているが、他の分野に紛れて出題されたりするので、この分野も手を抜いてはいけない。
基本事項を問う問題も多いが、小学校の社会では覚えない事柄や、なかにはテキストや資料集などに載っていないデータを考えさせる、いわば「社会科的センス」を問われるような難しい問題も見られる。
問題数も多く、文章量もあるので、迷うことなくてきぱき答えていかないと時間が足りなくなる。内容も濃くスピードも必要なヘビーな試験となっており、高い実力が要求される。
[地理分野]
国土と自然、各地域の農林水産などの産業、人口統計を用いた問題などが過去よく出題されている。また、地域の特色に焦点を当てた問題が多いのも特徴である。「○○が××である都道府県」を選ぶ問題や、例えば2018年度年では「おろし」や「だし」という局地風をもとにした問題が出されている。その県や地域について、断片的でなく総合的に正確にイメージできるくらい、よく理解していないといけないのである。
各地の地形と気候、それに基づく産業の特色など、地図や白地図、統計資料などで体系的に整理して覚えるようにしたい。
[歴史分野]
各時代からまんべんなく出題され、大きな偏りは無い。人物・位置・できごとについてまずは基本事項を押さえる。そして年表などで、「誰が」「どこで」「何をして」「その結果どうなる」というようなつながりをまとめるようにすれば、より実践的な知識が手に入る。
史料をもとに考えるような設問も見られるので、資料集の図版などは見慣れておくようにする。
[政治分野]
他の分野と比べると出題量が少ないが、日本国憲法や三権の仕組みと働きなどの基本駅事項を中心として、国際連合や日本と関連の深い国々についても目を通しておかねばならない。
時事問題もニュースで話題になったことなど、注意して見ておく。
[記述問題]
記述問題は、用語や出来事を説明するものから、統計史料の数値を比べてその意味を問うもの、ある歴史の史料から当時の人々の考えを推測するものなど、いろいろなパターンで出題されている。地理分野の記号選択問題や時事問題にも言えることだが、本校の問題には、与えられたデータの意味を読み取ってそこから考えられる理由や結果を問う、といった少し難度の高いものが見られる。
また、知識があるのは当然として、その自分の持っている知識を利用して、普段はあまり見慣れない資料の意味を考えなければならないといった問題もある。まずは、各分野の基本的・重要な事項の問題を落とすわけにはいかないので、ミスしないようにしっかり定着させておく。その上で、それらの知識を活用して、ニュースや新聞で見たさまざまな出来事の背景や他への影響などを考えてみる。
「自分は中学生である」くらいの意識で社会的な出来事への関心を持っていないと、高得点は望めないテストであろう。ただし、極端な難問・奇問ではないので、あくまで正確なまとまった知識を身につけて少し深く考える習慣をつける、このような訓練を積み重ねて欲しいということである。
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2021年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数41問と2020年度より少なくなった。適語記入の問題が多く、2~3行程度の記述4問と100字程度の記述1問もあり、書く分量が多いので時間的に大きな余裕はない。
選択問題・適語記入は出来るところを速やかに終え、時間がかかりそうな問題は残った時間であきらめずに取り組もう。
【大問1】地理分野
- 難度:やや難
- 時間配分:3分
人口と伝統的工芸品についての問題。
問1 都市圏としての人口から考えて、Aが東京都、Bが大阪府、Cが愛知県とわかる。
大坂府の近隣都市では、神戸市・京都市・姫路市の順で多いので、カが姫路市である。
問2 ① 伝統的工芸品は経済産業省が指定し、伝統証紙の使用が認められる。
② 土佐和紙(高知県)・因州和紙(鳥取県)など→ウ。輪島塗(石川県)・津軽塗(青森県)・会津塗(福島県)など→ア。
【大問2】地理分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
各地の観光地を題材とした問題。
Aは群馬県・富岡製糸場。Bは長崎県・端島炭鉱(軍艦島)。Cは北海道のスキーリゾート。Dは神奈川県・川崎市など。Eは京都府・平等院鳳凰堂。
問1 (1) 観光客が増える予想に対してホテルなどの施設が不足することから、一般家庭でも宿泊を認める「民泊」の制度が作られた。
(2) 生糸の原料はカイコ蛾が作る「繭」の繊維。
(5) 農村漁村などに滞在して農漁業体験をし、地域の人々との交流を図る「グリーンツーリズム」。
(6) 地域特有の産業に関わるものや産業遺構などをめぐる「産業観光」。
問2 「インバウンド」は本来「内向きに入ってくる・本国行の」といった意味だが、主に日本の観光業界で「訪日外国人観光客」の意味で用いられる。
問3 エ. 九寨溝の渓谷・黄龍の景観・四川ジャイアントパンダ保護区など、中国の自然遺産の数は第1位となっている。世界遺産総数で並ぶイタリアは文化遺産で第1位である。
問4 2020年に4000万人、2030年に6000万人の目標となっている。
問5 オーストラリアと日本は季節が逆であり、オーストラリアで夏の時期に北海道の雪を求めてスキー客が多く訪れる。さらさらしたパウダースノーが人気を呼んでいる。
問6 京都の宇治茶は玉露という高級品種が有名であるが、近年は三重県での生産も増えている。
問7 兵庫県に関する記述はない。
【大問3】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
境界のある都市や施設を題材とした問題。
問1 大宰府は左右両郭があり、南北に22条・東西20坊(24坊とする説もある)からなる条坊制の都市であったと考えられている。
問3 ア. 松前氏が幕府から認められてアイヌ人と交易する権利を得たので、逆である。
問4 出島ではポルトガル人が、唐人屋敷では中国人が交易を行った。
問5 Aの文章の最後に「目に見える明確な境界によって、人々を隔離した」とある。恐ろしい伝染病と考えられていたハンセン病の患者を収容する施設を、一般社会から見えないようにして切り離すためだったと考えられる。
【大問4】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
内閣と各時代の出来事を題材とした問題。
問1 (あ) 「桂園時代」のヒントから、西園寺公望(さいおんじ きんもち)が思い浮かぶ。
(い) サンフランシスコ平和条約の締結によりGHQによる占領が終わって、日本は主権を回復した。
問2 アは大久保利通、ウは板垣退助の説明。イは反乱の時期が合わない。
問4 ウ. 日露戦争ではロシアから賠償金は支払われなかった。
問5 ア. 第一次世界大戦のきっかけは、オーストリアの皇太子がサラエボで殺害された「サラエボ事件」である。
問6 事件が起こった日付から「五・一五事件」と呼ばれる。
問7 憲法改正の手続きは、衆参両議院の「総議員」の「3分の2以上」の賛成で「発議」され、「国民投票」によって「過半数」の賛成で成立となる。
問8 朝鮮戦争の特に最初の1年間には、在朝鮮・在日本アメリカ軍から大量の物資やサービスを日本が受注し、好景気となった。
【大問5】政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:6分
- ★必答問題
社会保障について訊かれている。
問1 (1) 日本の社会保障は、社会保険・社会福祉・公的扶助(生活保護)・公衆衛生の四つの分野からなり、この順番で費用が多く使われている。
(2) ウ. 設問の2つの意見の合計よりも、「専門の人や関係者にまかせたほうがよい」「自分にとって負担になる気がする」の合計のほうが多いので、合わない。
問2 (1) 「以上と同じように」という条件が示されている。ベンチで寝ることに対する「格安の簡易宿泊所を作る」という三郎の意見と同様に考え、飲酒運転については「格安のタクシーに乗れる」などとすればよい。
(2) 四郎の意見は「物理的にベンチに寝られないようにする」というものだった。飲酒運転についても「物理的に」たとえば「アルコール検知器が反応したらエンジンがかからない仕組みにする」などとするのが合う。
【大問6】現代社会分野
- 難度:やや難
- 時間配分:6分
「みんなの意見をどのように把握するか」について論じる問題。
問1 Xは「一人ひとりの意見を聞く」であるから、②アンケート調査が合う。Yについては「意見を強く持っている人」なら積極的に①目安箱に投書するであろうことが予想される。Zは「目的や意義まで踏まえて」であるから、③信頼できる代表が考えるがよい。
問2 まずはアンケートで広く意見を募る(②)。その中から特に強い要望を抜き出して(①)、皆にとって有意義な行き先に決める(③)、という進め方が全体的に納得が得られる手順であろう。
攻略のポイント
地図を使った問題がよく出されている。統計や表を読み取って考える問題も多い。類似問題を多くこなしてよく練習しておこう。
問題数の多さや知識だけでは答えられない記述問題など、時間がかかる部分も多いのでスピードが必要とされる。基本事項のマスターは当然として、記述問題への対応なども高いレベルで求められる。出来事の原因を考え結果を推測する思考力を養おう。
社会科のすべての範囲で高い実力が求められる試験なので、十分な準備をして臨むべきである。
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