早稲田大学高等学院中学部 入試対策
2021年度「早稲田大学高等学院中学部の国語」
攻略のための学習方法
例年、説明的文章1題・文学的文章1題の計2問で構成されている。
文章量は7000~9000字ほどで総解答数は30問弱。漢字の書き取りが6~7問とその他の知識問題が数問見られる以外は、長文読解が大半を占める読解中心の試験となっている。
設問形式は記号選択が11~12問、記述問題が2~3問、残りが書き抜き問題といった割合で、年度により整序問題なども出題されている。
[長文読解]
素材文は、説明的文章が2500~3000字程度、文学的文章が5000~6000字程度と、文学的文章の方が文量が多くなっているが、設定やストーリーが受験生にもわかりやすい話が多い。一方、論説文は難しい用語や概念も登場し、難易度がやや高い印象を受ける。
選択肢問題は、字数も少ないシンプルな選択肢が多く、内容も無理に迷わせるような複雑なものではないので、得点源としたいところである。
それと比べて書き抜き問題と記述問題はやや難しいものが多い。字数指定はあるが、答えを探す範囲の指定は無く、「本文全体をふまえて」といった条件がつく場合もある。傍線部の近くに答えが無いことも多いので、要領が悪いと時間切れの危険がある。本文のどこに何が書いてあるかを素早く的確に把握する必要がある。
・説明的文章
形式段落と意味段落の整理。意味段落の内容を小見出しのようにつけておくと後でわかりやすい。2016年度ではまさにそのような問題が出されている。
要点と要旨。各段落の最初と最後に注意しながら、傍線などで要点を目立つようにしておき、細部と区別する。要点をまとめて全体の要旨を読み取る。書き抜き問題や記述問題の答えは要点や要旨から見つかることが多い。
・文学的文章
場面の整理。時間・場所・登場人物の移動などから、場面の変わり目を見つけて印をつけておく。解答をどこから探すかの大きな目安になる。
人物の心情を考える。言動や情景などから、特に気持ちが変化した場面に注目して心情を把握する。自分ならばこう考える・・・といった予断は禁物である。あくまで、文中に書かれていること・暗示されていることを手がかりに考える。
以上のような、長文読解の基本的な手順を素早くこなし、解答する際に無駄に答えを探し回らないように練習しておくことが重要である。
[漢字・その他]
毎年、6~7問出題される漢字の書き取りは本校の偏差値からすると易しい問題が多く、標準レベルである。塾などの漢字教材を一冊しっかりこなしておけば心配ないだろう。
言語事項や文法では、品詞・三字四字熟語・慣用句などが数問出されている。本校を受験するレベルの生徒であれば難しくはないだろうが、漢字と合わせて知識問題も油断なく勉強しておきたい。
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2021年度「早稲田大学高等学院中学部の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文2題合わせて9600字ほどと、例年よりやや多かった。総解答数は31問。漢字と数問の知識問題は3~4分で終え、残りは長文読解に充てることになる。
記述問題は45字のものが2問、書き抜き問題が5問。その他は選択肢問題という割合であった。記号選択問題は比較的易しい問題が多いので、できるところからさっさと進め、難しい書き抜き問題と記述問題に少しでも多くの余力を残したい。
【大問一】論説文の読解
- 難度:難
- 時間配分:27分
- ★必答問題
討論・話し合いを通して実験する授業のたのしさを説き、そうした授業が広まってこれから訪れる新しい時代にたのしい社会ができることを願っている。
問一 c. 発揮――能力や才能を十分に働かせること。
d. 築(く)――地位・財産などをしっかりつくる。主語は「新しい時代、みなさんの時代」である。
問二 A. 小学校低学年では自分の予想が当たるかどうかばかり気にする。「しかし」少し大きくなるといい意見を言いたいと思うようになる。
B. これからの時代は外国をまねするだけではだめである。「だから」自由に意見を出しあえるようになってほしい。
C. 話題が「仮説授業の楽しさ」から「いい問題を考えつくことの大切さ」に移っているので、「ところで」。
問三 針「小」棒大・大義名「分」
問四 イ. 本当の楽しさがわかる前の状態として「小学校低学年では自分の予想が正しいかどうかばかり気にする」という事例が挙げられている。
問五 間違っているか正しいかに関わらず、「私たちは話し合うと、話し合わなかったときよりもずっとよく考えることができ、知恵の出し方もわかってかしこくなれる」のである。
問六 傍線④は直前の子どもの「こういう(たのしい)問題はどうやって思いつくのだろう」を指している。「そのこと」を書いてこの話を結ぶ、とあるのでここより後にまとまっている部分を探す。次の段落に「いい問題を作るのが一番重要になる」があるが字数が合わない。その次の段落に、子どもたちは「いい問題を考えつくことの大切なこと」を知っているとあり、字数も合うのでここを抜き出す。
問七 ここでいう「たのしい問題」とは、すぐれた科学者の話で紹介されている「やってみればだれでも~予想するような問題」のことである。この内容に合う選択肢として、アを選ぶ。
問八 仮想科学実験は皆で予想をたていろいろな意見を出し合って討論し、さまざまな実験で確かめて考えを深め合う。そうでないのが「ふつうの授業」であるから、討論などはせず実験で確かめることもなく、先生の言うことや教科書に書いてある、だれにとっても同じことを皆で画一的にただ覚えていくだけ、という授業ということになる。
問九 「これからのみなさんの時代(あたらしい時代)は、そういうわけ(外国をまねするだけ=古い時代)にはいきません」とあるので、ここが使える。
問十 ウ. 「実験によって得られた結果」と「新しい時代の仮説」の関係は述べられていない。
オ. 「まわりの人々から常に助けられてきた」という内容は見当たらない。
【大問二】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:23分
音楽一家に生まれ作曲家を目指す主人公は、軽い気持ちでバカにしていた行商人のおじに人間が作る以前に自然にはすでに音楽が存在していることを教えられる。
問一 a. 軽率――物事を深く考えずに軽々しく行うこと。
c. 工面――いろいろ方法を考えて手はずを整えること。特に「金銭の用意」という意味でよく使われる言い方である。
d. 時分――おおよその時期・時刻。
問三 ゴットフリートを実例として考えれば、善良な人は概して穏やかで、バカにされたりしても微笑んでいるだけで反論もしてこない、そんな態度がまともな頭ではないように主人公には思えたということであろう。
問四 その後のおじの歌と合わせて考える。この歌で主人公はおじの心深くに隠されていた本当の気落ちを感じ取るのだが、その心の深層を歌おうとしているおじの様子に普段とは違う雰囲気を感じたのである。
問五 続く部分に主人公が感じ取ったことが並べられていき、そこに「なやましいもの」と「長い年月のなやみ」が挙げられている。具体的で字数も合うので後者を抜き出す。
問六 イ――腹を決める オ――目もくれない
問七 この時はおじの「長い年月のなやみ」が歌となって表出された。その声に主人公は「人の心を打つ誠(まこと)」を感じ、感動のあまり身動きもできなくなっている。
問八 「偉い人になるために歌を作る」という主人公の考えに対して、「自分は偉くないが(ゆえに)自然が奏でる音楽を感じることができる」ので「偉くなること」に価値を見出さない、という肯定的な意味でこの「つまらない人間」という言葉を使っている。
問九 人間が人から褒められるため、金銭を得るため、自分のために音楽を作るまでもなく、自然にはもともと音楽が存在している。おじのおかげで主人公は自然に存在する音楽のすばらしさに目覚めることができた。これからの主人公の音楽活動は、世界のすべてを「胸に抱きしめ」たくなる「神様の音楽」を人々に伝えるためのものとなるのだろうと考えられる。
問十 エ. 「歌や人生の最も大切なものを教えてくれた」が合う。
攻略のポイント
選択肢の問題は、比較的答えやすい問題が多い。書抜き問題も探す範囲が広い点は手間がかかるが、読解がしっかり出来ていれば答えられる。漢字と合わせてこの範囲の問題でしっかり得点を積み上げよう。その上で記述問題でもなるべく高い得点になるよう、過去問・類似問題で記述によく慣れておこう。
高偏差値の学校としては国語の試験は難易度が抑えられている。高得点での戦いが予想されるので、全体をしっかり考えられるスピードと不注意なミスを犯さない慎重さとを身につけておきたい。
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