明治大学付属中野高等学校 入試対策
2021年度「明治大学付属中野高等学校の国語」
攻略のための学習方法
合格のための答案力、国語力について何が必要なのか。出題傾向を見てみると、「読解力」と「記述力」である。読解力と記述力とは、一見相異なるもののように思っている受験生も少なくないかもしれないが、実はこの2つの「力」は根っこの部分では繋がっているのである。言葉を換えれば、車の両輪のごとく、互いに互いを補完し合いながら、車が勢いよく前進するように国語の合格力が飛躍的に向上するのである。それでは、以下にその仕組みについて確認してみよう。
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①記述力は何によって養成されるか
国語力を向上させるための対策として、大概は「読解力」の養成を第一番目に挙げるのではないだろうか。確かにそのような考え方にも、合理的な根拠はあるであろう。しかし、ここで考えて欲しいのは「高校入試における合格のための国語読解力」である。「合格のための国語読解力」とは具体的には何を意味するのであろうか。一言でいうならば、「客観的な思考力で設問の問題を読み込めるかどうか」であり、この「客観的思考」の確実な養成には、自身の考え方をいかに説得力を持って外部発信できるかどうかである。そして、「外部発信」のツールはいうまでもないが「自身の考え方の吐露」であり、より自分の考え方や主張を他者に理解してもらおうとすれば、その内実は文字通り「記述力」である。ある人曰く「自分の頭の中にある思想が全部で100だとすれば、文章化できるのはそのうちの10(1割)である」。これは極めて興味深い話である。したがって、一見全く関係性がないように思える「読解力」と「記述力」とは、無関係なものではなく、密接不可分な関係にあるのである。読解力を高めたければ、記述力をしっかり習得することである。自分の考えを自分の言葉でまとめきれないのであれば、真の意味での「説得力ある文章」を書くこともできないであろう。論理的な文章を書けるということは、それだけ自身の中で思考が組み立てられていることであり、そのような「組み立て」は論理を追いかける「力」、「読解力」がベースになっているからである。つまり、記述力を安定し明確に文章を書けるようになれば、必ずそれに伴ってより実効性の高い読解力は身に付くのである。したがって、入試に対応した読解力を高めるためには、自身がしっかりとした「記述力」に裏付けられた自己表現力の向上ができれば、「読解力」は確実に上昇する。「読解力」を飛躍的に高める「記述力」をより効率的に深める一つの具体的方法としては、一日10分程度で構わないので「文章を書く」ということである。内容は何でもよい。その日に自分の身の回りで起きたこと、社会の出来事などに対する感想を100~150字でまとめる練習を積めば、3ヶ月後には自身の「読解力」と「記述力」は間違いなく向上する。
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2021年度「明治大学付属中野高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、自然に関する論説文の読解問題である。<35分>
内容把握、記述(30字)、要旨選択などあらゆる角度からの設問である。特に、記述問題対策はしっかり行っておくこと。
大問2は、四字熟語に関する問題である。<5分>
聞き覚えのある四文字熟語も正確に覚えておくこと。
大問3は、語句に関する問題である。<5分>
表現にあう適切な熟語を選択群の漢字を組み合わせて答える。
大問4は、漢字の書き取り・読み取り問題である。<5分>
出題数は10題であるが、標準的問題であるので完答を目指したい。
【大問1】 自然科学的分野(自然)に関する論説文の長文読解問題
- 時間配分:35分
出典は、『植物の形には意味がある』(園池公毅著)。生物の環境対応類型には「専門家タイプ」と「万能タイプ」があり、サボテンは前者、雑草は後者の例として挙げている。そして、生物の進化の過程で様々な環境要因に適応してきた結果、現在のような「多様性」が生まれたのであり、この多様性こそが地球環境を保全する要因なのである。
問一は、内容把握抜出し問題<1分>。本問段落の最後に、「光合成ができなければ、普通の植物は子孫を残せませんが、逆にいくら光合成ができても、子孫をつくれなければ1代でおしまい」との記述がある。
問二は、内容把握選択問題<1分>。本問は、植物に対する「評価」に言及している箇所なので、「最終的」に「評価される」となる。
問三は、内容把握選択問題<2分>。環境に対する対応類型における「専門家タイプ」とは、「厳しい環境に特化(=特定の環境条件)」においてしか生育できない植物のことである。
問四は、語句に関する選択問題<1分>。「遺憾なく」とは、「十分に」という意味である。
問五は、内容把握記述問題<3分>。本問の「普通の植物」の代表は、「雑草」として論じられている。そして、「雑草」は「ある程度環境が違っても、そこそこ生きていくことができる」のである。
問六は、四字熟語問題<1分>。「雑多なつまらない者たち」のことを「有象無象」という。読み方は「うぞうむぞう」である。
問七は、接続詞選択問題<1分>。3ヶ所の接続詞を選択する問題であるが、文脈を正確に把握していれば完答できるであろう。
問八は、内容把握抜出し問題<2分>。「特定の環境条件」とは、「コマクサ」が生息する環境のことであり、「高山の厳しい環境」のことである。
問九は、内容把握記述問題<3分>。「面白い現象」として本文では「アカマツ」の生息事例が述べられている。「アカマツ」は「万能タイプ」であるが、「実際にアカマツが生えている場所」は、「他の植物から見るとあまり食指が動かない場所」つまり「条件がよいとはいえない場所」なのである。
問十は、内容把握記述問題<4分>。30字以内の記述問題。本文では「砂漠」では「乾燥耐性」のわずかな差異が植物の生存を左右してしまうのであるから、「砂漠」で生き残れる植物は「乾燥耐性」が優れている植物になるのである。
問十一は、内容把握問題<2分>。直後に「先ほどの学校の例」であり、具体的には「学校の成績を数学のテストだけで決める」ことである。
問十二は、内容把握抜出し問題<2分>。「どの植物が一番有利になるか」は変化するものであり、例えばサボテンは、「乾燥耐性に特化」しているのである。
問十三は、指示語問題<1分>。直前に「見渡す限り平らな地面が広がっている環境」とある。
問十四は、内容把握抜出し問題<1分>。直後に水田におけるイネの具体例が挙げられている。つまり、「害虫や病気の存在は、生態系を多様化する方向にはたらく」のである。
問十五は、本文内容把握記述問題<2分>。具体的な植物の害虫に対する「防御方法」は、1つ目は「植物は…害虫にとって毒になる成分を体に作ること」、2つ目は「葉はケイ酸を含んでいて硬く、外敵に食べられにくく」なっていることである。
問十六は、表現把握問題<2分>。本文に「イネを好む害虫や病原菌にとって、水田は、大きな食糧貯蔵庫のようなものである」とある。
問十七は、内容把握抜出し問題<1分>。「状況を複雑にする」のは、「植物自身の環境への影響」とある。
問十八は、内容把握選択問題<1分>。多様な植物が生育可能であるということは、多様な環境の存在が予測可能である。
問十九は、文脈把握問題<2分>。挿入する文章は【その環境からその種類の植物は消え去るでしょう】である。「その環境」「その種類」「消え去る」とは何かを前後の文脈を考えて適切な個所を考える。結局のところ、子孫をつくれなかった植物が消え去るのである。
問二十は、適切要旨選択問題<2分>筆者の主張は、「環境の多様性に適応するために、多くの植物は万能タイプにならざるを得ない」のであり、「植物の多様性こそが、地球の生態系の安定に役立って」いるのである。
【大問2】四字熟語に関する問題
- 時間配分:5分
四字熟語が10題である。2組の四字熟語の間違いを訂正した際の「語句」によって2字熟語を作る問題である。「疑心暗鬼」「才色兼備」「雲散霧消」「危機一髪」「一朝一夕」「通過儀礼」「故事来歴」「親類縁者」「衆人環視」「公明正大」が正しい四字熟語である。
【大問3】語句問題
- 時間配分:5分
「まじまじ」「まごまご」「かんかん」「いらいら」「ふかふか」を表わす2字熟語を選択群の漢字を組み合わせて答える問題である。例えば、「まごまご」は「当惑」であり、「ふかふか」は「柔軟」である。
【大問4】漢字書取り・読取り問題
- 時間配分:5分
10題の漢字はどれも標準的な漢字である。完答を目指したい。
攻略のポイント
攻略のポイントは、正確で迅速な文章読解力であることはいうまでもない。さらに求められる力は「記述力」である。この記述力に関しては、事前にしっかり演習を行っておくこと。その際には、頭の中で考えてそれで済ませるのではなく、実際に60~80字の記述を行うことが大事である。また、四字熟語や漢字書取り・読取り問題は必ず出題されると考え、手を抜くことなく確実に知識の習得を行って欲しい。その際にも、漢字は実際に手を動かして「書く」ことである。目で眺めているだけでは漢字の定着は決して図れない。