立教池袋中学校 入試対策
2021年度「立教池袋中学校の理科」
攻略のための学習方法
立教池袋の理科においては、身近な理科的な話題を取り上げた大問が多く見られる。いつもの勉強では、あまり触れることがない内容だ。
2021年度の「3億5千万年前の一日の長さ」・「日本刀」・「泡が出る入浴剤」、2020年度の「開花日」に関するいくつかのグラフ・「呼び鈴」、2019年の「もやし」・「暑さ指数」・「実際のエレベータの仕組み」、2018年の「ポップコーン」・「水星の軌道」、2016年の「大地震の周期」・「石油」、2014年の「カレーライス」、2012年の「コケ」、2010年の「ヤマネ」や「LED電球」、2009年の「膨張宇宙」。このうち、「LED電球は塾でも教わったよ」という生徒がいるかもしれないが、それは立教などの学校で出題されたからテキストに取り入れられたのであって、来年にはまた新しい内容が出題されるかもしれない。
もともと小学生の理科の原点は、「身近なものへのなぜ?なに?」であったことを考えると立教池袋の理科の方に正当性があるのだが、中学受験の理科も整理され体系立てまとめられていくと無理・無駄が省かれ、入試に出されやすいものをわかりやすい形で受験生に提供することになる。
それはそれでよいことだし、ほとんどの学校ではその内容の中から出され合格点も取れる仕組みになっている。
立教池袋の場合そのあたり少し異質なところがあるので、過去問を対策する時期になったときには少し注意して問題にあたってみよう。
その点を除くと、大問の文章はていねいでわかりやすく、1つの大問に対して設問も少ないので集中が切れることなく、また苦手な単元が出ても痛手が少ない。どちらかというとやりやすい、解きやすい理科のテストと言えよう。
しかし受験は甘くないのは、だからこそ受験生の多くは取り組みやすく、比較的平均点が高くなっている。簡単でできた、と思うのは誰もが同じこと。問題は、合格点を上回る正答率が出せたかと言うことであり、主観に過ぎない感想ではない。
やりやすい問題であるけれど、70%前後の得点を要求されるとなるとやはり厳しいレベルであることは間違いない。
合格点を取るための秘訣は?
まずは教材などで学ぶ、受験理科の基本的知識は穴のない形で頭に入れてしまおう。男子にありがちだが、計算分野ばかり得意とせず、植物・動物などの暗記物に時間をかけてもらいたい。
聞かれている知識は基本的とはいってもやはり上位校なので細かいことがらまで出来るだけ頭につめ込んで欲しい。柔軟な頭のうちに暗記力を高めておくことは大切で、長い目で見ても役立つ能力となる。
難易度としてはそう高くないレベルの設問が多いものの、典型的質問にとらわれずいろいろな視点で聞かれるので、同校の過去問や併願校のそれを演習しながら、入試問題ならではの出題を楽しむつもりで取り組んでもらいたい。
分野の克服が終ったら次は時間配分に余裕が持てるよう、早く解けるように自らを改革しよう。普段行う教材も、制限時間を定めてそれ以内に解くという練習を積めば、解くのにかかる時間はだんだんと短くなるはずだ。自分のペースでやるのは模試でよい。普段は自覚的にスピードを上げて解き、しかも正解できるように体と頭を改造していくこと。スピードが上がればいわゆるマイペースでも十分に間に合うようになる。
30分という短い間にいろいろな問題に会えるのが立教池袋の理科である。過去問を解いているうちは、その設問のユニークさを感じながら、面白いなと思って問題にあたって欲しい。そのゆとりある気持ちの向こうに合格が待っているはずだ。
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2021年度「立教池袋中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
30分で大問は7,小問は25で,1問2点の50点満点。大問数は3年連続して7題を続けており(それ以前は8題だった)、1つの大問に対する設問数は例年並みで3~5問である。大問は、総合問題的と言うより1つのテーマにそってじっくり考えさせる傾向でありそれも変化はない。
出題内容のユニークで知られ、本年度も【大問1】から3億5千万年前の一日の長さを計算させるなど、一見典型的な出題であっても設問には面白い内容が含まれ、出題に工夫がある。
しかし30分で25題を解くと言うことで時間に余裕はなく、速読即解が求められる。
【大問1】サンゴの生態
- 難度:易
- 時間配分:3分
- ★必答問題
サンゴという動物についての基礎知識があれば(1)(3)は解ける。(2)は岩石の性質に関するものなので限りなく地学分野の問題だが内容は基礎。面白いのは(4)で、「サンゴの化石に刻まれた日輪の数」から、3億5千万年前の一日の長さを求めさせるという設問である。サンゴのように太古から生存していないとできない問いである。グラフ1をみると、多少の凸凹はあるものの過去に行けば行くほど日輪の数が増えている。公転周期は変わっていないと書いてあるので、日輪の数が多いと言うことは1年の日数が多いと言うこと、そして1日の長さは太古の方が短いということだ。3億5千万年のグラフを読むと日輪の数は約400本である。現在を360本とすると、一日の長さは24時間の10分の9であることがわかる。あとは計算して最も近い値を選べば良い。
(4)も含めてぜひ正解しておきたい問題である。
【大問2】満月の観察
- 難度:標準
- 時間配分:4分
満月の問題は山ほどあるが、どの設問もあまり答えた経験がないものばかりで出題に工夫が見られる。
(1)昇ってくる満月の方角は「東」である。そこから西・南・北の方角を調べれば答えられる。
(2)算数における、単位換算の問題。
(3)与えられた図2の中心角は0.5度だが、これだと三角形の比が使えないので、これを60度に広げて正三角形の1辺の長さ(飛行機が進んだ距離)を求める。この設問は少し難しい。
【大問3】日本刀
- 難度:標準
- 時間配分:4分
日本刀を例に出して「鉄」の性質などについて答える問題になっている。(2)は「酸化」の逆の現象で「還元」についての問いになっている。(3)(4)もその続きになっていて、選択肢だけで成り立っている問題だが意外と手強い。
【大問4】アルコール消毒
- 難度:易
- 時間配分:5分
- ★必答問題
時事問題風に新型コロナウィルス感染症予防策として「アルコール消毒」に関する問いになっている。すべての設問に対し数値で答える問題だが、このように単純な計算によって答えが求められるほうが生徒はやりやすく感じると思い「易」とした。
すこしでも悩むとすれば、(3)の(⑥)だろうか。アルコールの重さ70gを、アルコール1gの重さ0.8gでわって体積を求めれば良い。ここはぜひ全問正解を。
【大問5】泡の出る入浴剤
- 難度:易
- 時間配分:5分
- ★必答問題
クエン酸と重そうの中和反応から、泡を発生させ入浴剤を自作しようとする問題で、ユニークだがレベルは平易なものである。
(1)発生する泡が二酸化炭素と分かればすぐ選べよう。また、その二酸化炭素の性質にも基礎知識があれば(2)も答えられるだろう。
(3)は「重そうを加える前の値」+「加えた重そうの重さ」-「重そうを加えたあとの値」を調べれば良いが、条件⑤まですべて計算しないと答えの見当がつけられないので時間がかかる設問になっている。
【大問6】太陽の大きさの計算
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
主として図3を中心とした、三角形の相似を使って太陽の大きさ(直径)を求める計算問題になっている。(2)で対応する辺などを整理したあとは(3)の計算をていねいにするだけである。(4)は月の大きさについての問いで、地球上では肉眼では太陽と月の大きさがほぼ同じに見える、ということを知っていれば迷うことはないだろう。
【大問7】ふりこと球の運動
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
最後に待ち受けていた「ものの運動」の問題は仕掛けも豊富で難易度も最も高くなっている。
(1)では表1の「25cm」のところを参照すると、1分間で60往復するので1秒間に1往復することになる。1つ目の鐘、2つ目の鐘、3つ目の鐘…は1秒ごとになるので、動いた距離はそれまで進んだ距離の差となる。
(2)では(1)のように表1の「50cm」のところを参照するのだが、1往復する時間が割りきれない。そこで「100cm」のふりこが動いた表3を参考にすると、「50cm」の距離は「25cm」と「100cm」の間になるだろうから選択肢アとエは削られる。イとウのうち、「25cm」の約2倍の長さで進んでいくイを選ぼう。
(3)実はふりこの長さが何cmであろうと、(3)で問われている値は変わらないことが表2と表3から推察できる。表2の値を延長していくと25、,36となるので36÷4で9倍になることが分かる。「75cm」の場合も同じ値をとる。
(4)では、速さから1つ、距離から1つ正しいものを選ぼう。
攻略のポイント
テスト時間は30分で50点満点。
受験者平均点は22.7点と大幅に下がっていて(昨年度26.5点。例年は平均25点前後),計算問題や【大問7】で苦戦したあとがしのばれるが、それでも合格するには30点以上はとりたい。
本年度は1つの大問の中に少し難しい設問が含まれたことや、ユニークな出題も散見されたことが特徴だった。しかし、設問の半分以上は基本的な知識に帰するレベルなのでそこでしっかりと点数をとることだ。
こうした個性的な問題に対応するためには、立教池袋中の過去問対策に時間をかけることが必要で、,特に古めの年度の問題を解くことによってこういった問題への耐性がつくものと思われる。また、計算問題は頻出だが難易度は標準的なものが多いので普段の勉強から積極的に取り組むこと。
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