中央大学附属横浜中学校 入試対策
2021年度「中央大学附属横浜中学校の理科」
攻略のための学習方法
[独特の問題形式]
近年とみに話題を集めている中央大学附属横浜中学。その入試科目-理科においても、注目すべき点をいくつか持っている。
分野別の対策も必要ではあるものの、まずはその形式上の特徴をとらえた上で細かな対策も並行して行っておくことが大切であろう。
テスト時間は35分で100点満点、問題数は30問台と数値だけを並べてみると標準的な分量に感じるわけだが実際に問題にあたってみるとその予測ははずれていることがわかる。
1つは、問題文(リード文)・設問文が長いことが挙げられる。はじめに設問に入るまでに時間がかかるのである。また、途中から条件が付与される場合は、これもまた長い文章を読んでからの問答となっている。
2021年度第2回【大問1】、2020年度第2回【大問3】【大問4】、2019年度2回【大問3】などの大長文問題や、2018年度1回【大問1】は、長い問題文などを読んだ上に「実験結果」・「コンデンサー」を理解した上で前に進まないといけない。ただし、もししっかりと理解して問題を進めたとしても時間制限ギリギリの8分~10分はかかってしまうのではないか。
さらに設問が選択肢だとすると、選択肢の数が多いのも特徴である。ふつうは4択・5択がせいぜいではあるものの、その倍くらいの中から選び出すことも珍しくない。複数の解答が含まれる選択肢もあるのでこれも時間がかかる要因となる。
これらの特徴は、俯瞰的な数字だけでは把握することが難しい。
一言で言えば、問題量が多いというよりは問題文が長い、といえよう。
[テスト形式から戦術を決めよう]
また、テスト形式における特徴としては
前半が「物理・化学」分野の大問、後半が「生物・地学」分野の大問と固定されている事実である。「前半→物理化学・後半→生物地学」型のテストを行う学校においては、後半の「生物・地学」の大問から手をつけた方が時間を有効に使えることが多い。そこで生物・地学から、という手法が後半の難化によって使いにくくなっていることは事実だ。ただし、問題文の長さに比して平易な設問も散見するのでそれを見つけて解いていくのも作戦として取れる。
[難問対策]
先にも述べたように、中央大学附属横浜中学は今伸び盛りの学校であり、それにつれて理科の問題の水準も高くなってきている。例えば2020年度の問題は基本的な知識だけでは合格点に届かないくらいのものになっている。受験する生徒の水準が上がるにつれて、あきらかに問題が難化している証拠であるし、実際に解いてみればすぐわかるほどの差がそこにはある。
したがって、今後さらに難問が増えるという可能性を秘めている。特に前半の「物理・化学分野」の大問には注意が必要で、過去問対策として中央大学附属横浜の問題をやることは当然として、もう少しレベルの高い問題を出す学校(付属上位校など)の問題に触れておくことも大切になるだろう。
しかし何よりも大切なことは、基本的な知識で後れをとらないことだ。理科が苦手という生徒は何も覚えもしないでそんなことを口にすることが多い。知識が不十分では持っている学力を発揮することも難しい。知識は問題を解くための大事な鍵になるのでいやがることなく暗記に努めよう。それを果たした上でも点数が伸びなければ「理科は苦手だ」と言う資格はあると思うがおそらくそういった事態にはなっていないはずである。
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2021年度「中央大学附属横浜中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
テスト時間35分で大問は4、小問は30台と標準的な分量の域を出ないが、テスト形式・問題形式に特徴があるためそのポイントをつかんだ上でテストに臨まないと思わぬ時間不足・得点不足に陥る可能性がある。形式については後述する。
本年度は昨年度に比べると平易な問題が多く、大問の中に1つか2つレベルアップした問いが見られるにとどまった。また、大長文問題としては【大問1】がそれに相当するものの問題の設定と設問のレベルは取り組みやすいものだった。しかしながら来年度、再難化の可能性は十分にある。
【大問1】物理分野…電球と回路
- 難度:標準
- 時間配分:10分
本年度の大長文問題は【大問1】と最初からお出ましだ。例年は中盤の【大問3】・生物分野であることが多いのだが、本年度は【大問1】しかも電流の問題であることは一目瞭然なのでさぞ受験生たちを震撼せしめたことであろう…。
しかし安心されたい。今回の【大問1】は、冒頭に出てくるスイッチⅠとⅡの仕組みさえ間違わなければ最後に登場する階段の上下スイッチ問題以外は基本的なレベルで解決できる設問・回路であった。くれぐれも不必要に恐れることはなかったわけだ。
しかしそれも解いてみて初めて分かることであり、中大横浜理科攻略の初歩的戦術である、後半の生物・地学から解いていったとしてもそれは仕方のないことだ。
スイッチⅠとⅡでは性格が逆なのでそこに注意して選択肢を選んでいきたい。途中から、電球3個、電源1つの直並列が現れるが、これは定番の形なのでむしろ解けない方に非がある。条件や操作をよく読み理解した上で問題にあたろう。最後の階段問題は本年度最も難しい設問の1つだったので解けきれなくても仕方あるまい。
【大問2】化学分野…ホウ酸の解け方
- 難度:標準
- 時間配分:10分
ホウ酸の解け方に関しては、食塩の解け方と対比する問題が多く、ホウ酸は水の温度によってその溶ける重さが大きく変わっていくことで知られている。この問題でも、仕掛けは大仰だが(ア)~(オ)まではテキストや問題集でおなじみの設問であり平易~標準的な難易度である。それぞれの問題に対する説明は要らないと思われる。
(カ)の設問からレベルが上がってくる。ここでは、温度の異なる水溶液の重さに関する知識が問われる。温度が高い方が体積が大きくなるので同じ体積で比べた場合は温度が高い方が水溶液は軽くなることにより、熱の対流による伝わり方を使いたい。(キ)ははじめの方から出てくる言葉なのですぐにわかるだろう。ホウ酸を溶けるだけ溶かした状態の水溶液のことである。結果として(ケ)で問われている20℃の水溶液と同じ濃度となっていく。(コ)に関しては、そのときの溶け残るホウ酸の重さをそれぞれ求めていけば良い。(カ)以降は答えにくい問題であっただろう。
【大問3】生物分野…呼吸の仕組み
- 難度:易
- 時間配分:8分
- ★必答問題
前半、模式図がたくさん出てきて困難を予測させるものの本年度の生物分野の大問は最後まで標準レベルの域を出ることはなかった。また、大長文問題でもなかったので受験生としてはホッと一安心のところ。しかし、解きやすい問題と言うことは他の受験生にとっても同じ安堵をもたらしたことになる。テストの平均点が上がるだろうな、ということを覚悟しながら慎重に問題に取りかかること。
(ア)~(ウ)は、人の呼吸における基本的な知識を問う問題でまようものではない。(エ)は明らかに間違っている文があるのでこれも選びやすい。(オ)もまたすべて読まなくてはならないという必要はあるものの知識の確認レベルにとどまっている。
(カ)と(キ)は、呼吸を行う際に動きがあるろっ骨と横隔膜についての設問で、前半と同じく模式図が細かくて即答はできないものの気をつければ問われている内容は小5並の水準である。
この大問は全問正解を望みたい。
【大問4】地学分野…星座早見の使い方
- 難度:易
- 時間配分:7分
- ★必答問題
『例年だと、最後にある地学分野の問題が最もくみしやすいという傾向があったのだが、本年度はこのテストの中ではやりやすい方と言うだけで決して平易ではなかった』は昨年度の【大問4】に関するコメントで、本年度は2年ぶりにくみしやすい地学分野の大問に戻った。しかし、来年以降の保証をするものではない。ただし、総じて地学分野の大問は解きやすい場合が多いのは確かである。
本年度の星座早見の使い方についても、(ア)~(キ)までは星座早見の基本的な使い方または星座の動き方・見え方に関する設問でどれも説明を受けるほどのものではあるまい。もし誤った設問があったとすればすぐに参考書などに立ち返り、その箇所の知識を正しいものに書き換えなければならない。
やっかいなのは(ク)(ケ)における南半球での星座早見の使い方に関するもので、南半球では東西はそのままながら北と南は逆の役割となり、星は「東から出て北を通り西に沈む」となることを理解していればなんとか選択肢を選べるだろう。
ここでは(ケ)以外全部正解しておきたい。
攻略のポイント
テスト時間は35分で100点満点。
受験者平均点は「62.1点」と、昨年度の「48.9点」に比べると大幅に上がった。受験生の質は変わらないと思われるので、問題のレベルにそって平均点も変わったと考えるのが妥当である。本年度であれば、理科の目標点を70点~75点としておこう。
中大横浜の理科は「前半→物理・化学、後半→生物・地学」という問題設定を行っている。それであれば、【大問1】【大問2】から解くのではなく後半の【大問3】または【大問4】から解くべきである。これがテストの大きな攻略ポイントだ。本年度は特にそれが功を奏した。ただし【大問3】の生物は大長文問題になりがちなので注意したい。
例年並みのテストであれば基礎~標準的な設問が多く散見されるのでそこをしっかりと正解して点数をかせぎたい。
そして中大横浜独自の大長文問題に対応するには過去問を何年分も解いて「耐性」をつけるしかない。「一行問題大好き」受験生は自分の体質を問題に合わせられるよう努力しよう。
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