学習院大学 法学部 国語
入試対策と勉強法
学習院大学 法学部 国語
ここでは、学習院大学の法学部を目指す方に対して、国語の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。
※本大学では2021年度に入学者選抜改革が実施されました。それに伴い一般の選抜は、大学入学共通テスト利用入学者選抜・コア試験(一般選抜のメインの試験で、全学部・学科で実施し、各学部独自の試験問題で選抜)・プラス試験(一部の学部・学科を除き、他学部のコア試験日にその試験と同じ問題で選抜)という3つの選抜方法となっています。
本稿では、コア試験での法学部の説明となっています(対象学科は上記のとおりです)。本コア試験と同日に国際社会科学部(国際社会科学科)のプラス試験が実施されていて、両学部・学科の国語の問題は同じです。
尚、コア試験とプラス試験は18年度から実施されており、21年度に大幅な内容変更がなされたということはありません。
以下、準拠しているのは基本的に21年度のコア試験の問題です(但し、一部は22年度や20年度以前の問題にも言及しています)。
※法学部(法学科・政治学科)では21・22年度にはプラス試験が実施されていませんでしたが、23年度以降復活すると発表されています(21.7.16付)。
学習院大学法学部 国語試験の出題傾向とは
出題範囲(分野)
試験教科・科目は国語総合+古典Bです(漢文は含まない)。2020年度以前も同じです。
近年、「現代文」は1題が基本です(2014年度までは2題でした)。論説文(評論文)が中心ですが、随筆が出題されることもあります。これまでの文章内容は社会論、身体論、哲学論、国際化論、経済論、政治論、宗教論、歴史論、芸術論、民俗論、学問論等と多種多様で、硬質な文章が多くやや読みづらいでしょう。21年度は政治論の森本あんり「異端の時代――正統のかたちを求めて」でした。知識では、19~21年度は漢字の書きとりが大問扱いされています(但し、22年度は小問扱いで、以前も小問の年度がありました)。その他は小問として出題され、四字熟語(頻出)、語句の意味、慣用句、口語文法等の幅広い分野が問われます。21年度は漢字の書きとりと空所補充の語句の意味判別、そして、四字熟語・慣用表現の空所補充記述でした。
「古文」は1題で、主に古代~中世の物語(歴史物語含む)、説話、日記、随筆、歌論といった題材(和歌も含まれます)が多いです。21年度は平安時代末期成立の説話集「今昔物語集」でした。文語文法(特に助動詞の活用記述は頻出)から内容解釈までの総合的読解力、そして、歴史的背景を含めた古典常識も問われます。また、文学史はほぼ必出です。21年度は空所補充の副詞判別も出題されています。
出題量と時間配分
問題文の文章量は、「現代文」が3000字前後で他の私大上位校と比較してやや少ないです。2021年度は約3000字弱でした。「古文」は800~1300字程度でやや多めです。21年度は約1300字でした。
試験時間は60分です。解答数が圧倒的に多いので(21年度は41)、全く余裕はないでしょう。したがって、正確さとスピードが必須条件になります。先に「古文」を20分弱で手際よくこなし、「現代文」は40分強をかけて確実に解いていきましょう。
出題形式
近年、出題形式が安定していないので要注意です。2014年度以前は「現代文」2題と「古文」1題の大問3題が定着していましたが、その後コア試験実施開始を挟んで、漢字の書きとりが大問で「現代文」1題+「古文」1題の大問3題(15・16・19・20・21年度)と、「現代文」1題(漢字の書きとりは小問)+「古文」1題の大問2題(17・18・22年度)とが交錯しています。大問一が漢字の書きとりの場合は、小問なしで解答数5が基本です。大問二は論説文(評論文、あるいは随筆)で、小問は6~8問程度です(解答数は13~20ほど)。大問三は「古文」で、小問は6~10問ほどです(解答数は15~25程度)。大問一が論説文(評論文、あるいは随筆)の場合は、小問は9問ほどです(解答数は20強)。大問二は「古文」で、小問は7~9問程度です(解答数は15前後)。
21年度の大問一は漢字の書きとりで小問なし解答数5、大問二は小問8問で解答数17、大問三が小問6問で解答数19となっています。
解答形式
マーク方式と記述方式の併用型です(2018年度のコア試験開始以降全て同じ)。
「現代文」のマーク方式ではこれまで、空所補充語句判別(接続詞、副詞が頻出)、本文内容合致判別(複数完全解答あり)、内容・理由説明判別、換言説明判別、修辞法判別、そして、多様な知識問題などが問われています。21年度は空所補充の語句の意味判別がありました。記述方式では抜き出し記述(空所補充、換言説明等)や、四字熟語等の空所補充記述(頻出)、漢字書きとり(5問が基本)、慣用句(慣用表現)の空所補充記述等の知識問題などがあります。21年度も同様でした。
「古文」ではこれまで、文語文法(特に活用形判別・記述)、現代語訳、文学史がほぼ必出の他、内容解釈、換言説明、主語特定、本文合致、和歌修辞法などが、マーク方式と記述方式で出題されています。また、古典常識も頻出です。21年度は空所補充の副詞判別、さらに、漢字の書きとりまでもが出題されています。
「現代文」「古文」ともに、いわゆる説明記述の出題はありません。
学習院大学法学部 国語試験を攻略するための勉強法
知識
本大学の漢字の書きとり等の知識問題は、GMARCHの中でも比較的難易度が高く、特に本学部は一筋縄ではいかないものも多いので注意が必要です(たとえば、21年度の「都会のケンソウ」、「□□無碍な性格」。ともに記述。正答は本稿末に記載)。したがって、高度な語彙力を培う必要があります。そこで、先ずは「己が実力」を把握することが重要です。共通テスト(センター試験)の漢字問題(要は「同音異字」「同訓異字」の判別)が基礎的語彙力のひとつのバロメーターになります。最低10年分以上の過去問をこなしましょう。その結果次第で、具体的な学習を進めていきましょう。
尚、以下のサイトは「漢字問題」だけがまとめられていて便利です。
http://www.kanjijiten.net/center/index.html
「現代文」解法①
論説文(評論文)や随筆特有の解法、そして全てに共通する解法を体系的に理解し定着させ、応用するために重要なのは復習の仕方です。「考え方のプロセス」をトレースすることが必須です。特に間違った問題が肝要です。誤ってしまった「分岐点」をしっかりと確認しておきましょう。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけましょう。それが「解法」となります。
尚、「具体的解法」に就いては本HPの別サイト「大学入試”王道現代文”」を御覧ください。
「現代文」解法②
本学部で注意を要するのは、判別しづらい本文内容合致問題です(誤答の場合、失点ではなく減点の場合もある。21年度は複数解答)。問題文は基本的に論説文(評論文)なので、論旨合致と捉える必要があります。そこで、頭括型・尾括型・双括型のいずれにしても、基本的に序論部と結論部の趣旨と照合させて選択肢消去していく練習を重ねることが最重要となります。スピード重視のより高度な選択肢消去のテクニックを習熟するように努めましょう。また、一般的な選択肢設問対策としても、選択肢消去の仕方を習得しておきましょう。換言説明であれば傍線部の原意(要は本来の意味)にこだわった原意消去、理由説明であれば直接的理由として結びつくかどうかによる消去などを常に意識することが肝要です。さらに、空所補充では代入確認を絶対に忘れないように練習を重ねましょう。
「現代文」解法③
必出の抜き出し問題の対策もしておきましょう。基本練習を徹底させることが重要です。最初に抜き出すべき内容を的確に把握した上で、抜き出し範囲を絞り込みます(論説文では原則的に同一意味段落)。そして、条件に合致する抜き出し候補を探します(候補はひとつとは限らないので要注意)。空所補充では代入確認を忘れないようにしましょう(内容だけではなく文脈等も適合させる)。こうした練習を積み重ねることが肝要です。
古文
先ずは重要古文単語および文法を徹底的に習得する必要があります。現代語訳をする上での最重要ポイントですし、文法や単語の意味は直接問われます(必出)。特に助動詞、助詞の意味・用法・接続は完全に定着させましょう。尚、助動詞の活用は、記述式も含め頻出なので要注意です。また、敬語も頻出なので習得が必要です。さらに、文学史、古典常識や和歌修辞法も出題されます。しっかりと確認しておくことが肝要です。
推奨テキスト
*テキストには相性があります。できれば書店で手にとって確かめてから選びましょう。
知識編
(1)『入試漢字マスター1800+(四訂版) (河合塾シリーズ)』(河合出版)
(2)『現代文最重要語句(暗記いらずの)らくらく練習帳―熟語・慣用句・評論語句・外来語』(学研プラス)
(3)『新版完全征服 頻出現代文重要語700 三訂版』(ピアソン桐原)
(4)『ことばはちからダ! 現代文キーワード―入試現代文最重要キーワード20 (河合塾シリーズ)』(河合出版)
(5)『現代文キーワード読解[改訂版]』(Z会出版)
前項の「共通テスト(センター試験)の漢字問題」チェックで、5割未満の場合は(1)から、6割は(2)から、7割は(3)から、8割は(4)から始め、9割は(5)のみが目安です。反復練習して完全習得しましょう。特に(5)では、「キーワード編」のみならず「頻出テーマ編」も熟読し、完全に理解しましょう。
尚、本学部必須の文学史対策としては、『SPEED攻略 10日間 国語 文学史』(Z会出版)が時系列も理解でき、コンパクトにまとめられているので覚えやすいでしょう。
現代文編
(1)『システム現代文 バイブル編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。「解法」って何? といった皆さんにお薦めの入門書です。根本を徹底的に解説しており、マスターすれば解法は一通り理解できます。
(2)『マーク式基礎問題集 現代文(河合塾シリーズ)〈六訂版〉』(河合出版)
初~中級レベルです。正解の根拠を明確にした詳細な解説に定評があり、入試現代文のマーク方式問題への突破口を開く一冊です。
(3)『現代文 解法の新技術(大学受験スーパーゼミ徹底攻略)』(桐原書店)
中級レベルです。あらゆる問題形式に対応した解法を明示しています。中堅からGMARCHへのステップアップ段階の一冊です。
(4)『入試現代文へのアクセス 完成編(河合塾シリーズ)』(河合出版)
中~上級レベルです。読解へのアクセスで問題点を喚起し、選択肢設問の消去の根拠も明記されており、解法理解度を自己確認できます。自らの実力を把握することで、学習院合格に自信が持てる一冊です。
(5)『現代文読解力の開発講座(駿台受験シリーズ)(新装版)』(駿台文庫)
上級レベル①です。読解力と解答の論理力を講義形式の解説で養成します。文章を客観的に捉える術が習得でき、学習院法学部合格を確実にする一冊です。
※尚、上記テキスト中の説明記述問題に就いては無視して構いません。
(6)『学習院大学法学部(コア試験)の過去問』
実戦レベルです。2018年度以降の全てを確実にこなし、解法をトレースしましょう。
古文編
(1)『重要古文単語315(三訂版)』
(2)『標準古文単語650(三訂版)』(ともに桐原書店)
前者を反復して完全定着させた上で、後者を数回丁寧に通読しましょう。それで古文の語彙はほぼ心配ないでしょう。
(3)『ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル(三訂版)』(河合出版)
「文法」の基本が分かりやすくまとめられています。例文は品詞分解し現代語訳も必ずこなしましょう。
(3)『大学入試 全レベル問題集 古文 4 私大上位・私大最難関・国公立大レベル 新装版』(旺文社)
最難関私大などの良問14題を収録し、分かりやすく解説しています。古文の5つのジャンル別対策が掴める古文ジャンル解説、重要な文法と語句を併記した現代語訳、全ての問題に通じる最強の読解ルール等で、「古文」の読解に自信が持てる一冊です。
(4)『首都圏「難関」私大古文演習(河合塾シリーズ)』(河合出版)
本文と本文解釈を上下に併記し、主語特定・品詞分解・背景知識等の説明があり、応用力が確実に涵養できる一冊です。
(5)『速読古文常識』(Z会出版)
古典常識習得用です。必修300語を収録しており、実戦的トレーニング文章の文脈で効率的に定着可能です。共通テストから難関私大まで対応しています。上記の「国語便覧」と併用することで、より確実に習得できるはずです。
※「攻略のための学習法[知識]」での「漢字」の正答
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