国際基督教大学 教養学部入試対策 人文・社会科学
入試対策と勉強法
国際基督教大学 教養学部入試対策 人文・社会科学
ここでは、国際基督教大学の教養学部を目指す方に対して、人文・社会科学の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。
※2021年度に大学入学共通テストが導入され、多くの大学で入試制度改革が行われましたが、本大学では選抜方法の大きな改革は実施されていません。
一般の選抜は、「A方式」・「B方式(英語外部試験利用)」という2つの選抜方法となっています。 前者は人文・社会科学または自然科学のどちらか1教科・総合教養(リスニング含む)・英語(リスニング含む)の3科目、後者は第一次選考として総合教養(A方式と同一内容)・英語外部試験、第二次選考として個人面接によってそれぞれ選抜されます。
本稿では、教養学部の一般選抜[A方式]の説明となっています(対象学科は上記のとおり)。
尚、本学部・学科の一般選抜[A方式]は15年度以降実施されていますが、21年度に出題形式・内容の大幅な変更がなされたということはありません。
以下、準拠しているのは基本的に21年度の一般選抜[A方式]の「人文・社会科学」の問題です(但し、一部は20年度以前の問題にも言及している)。
ちなみに、総合教養(リスニング含む)は「リベラル・アーツの基礎となる人文科学、社会科学、自然科学を統合した学力を判断する総合問題で、特定のテーマについての講義を聴き、その内容およびそれに関連する論述や資料に関する設問に答える」ものです。
国際基督教大学教養学部 人文・社会科学試験の出題傾向とは
出題範囲(分野)
本大学の「アドミッション・ポリシー」によれば、グローバル化する現代の社会で「行動するリベラルアーツ」という理念を実現してゆくために、学生に求められている資質は「文系・理系にとらわれない広い領域への知的好奇心と創造力。的確な判断力と論理的で批判的な思考力。多様な文化との対話ができるグローバルなコミュニケーション能力。主体的に問題を発見し、果敢に問題を解決してゆく強靭な精神力と実行力」です(本大学HPより)。つまり、「文系・理系にとらわれず幅広く学び、各教科・科目の基礎知識を関連づけて行動する知性へと変革する能力」が問われるということになります。したがって、文理を問わず学際的で多種多様な分野からの出題があります。
人文・社会科学での出題は「人文・社会科学の領域から選ばれたテーマについての資料を熟読し、それに関する設問に解答する。課題として与えられた資料の内容を体系的に理解し把握する力、論理的に推理・思考する力、さらに資料で与えられた知識や原理を応用する力、資料の内容をもとに新しいことを推測する創造力をテストする」と入学試験要項に記されています。具体的には、文学・哲学・芸術・宗教・政治・経済・歴史・社会などの分野から出題されます。
出題量と時間配分
課題として示されている資料(文章量だけで1万字以上になる。図表などが添付されている年度もある。直近では2020年度)を読み解いた上で、設問に答えることになります(40程度)。21年度は文章量が約10200字で、解答数は40でした。
試験時間は80分です。25分程度で資料を読解し、残りの時間で丁寧に設問を解いていきましょう。配点は80点/250点満点です。
出題形式
問題冊子の冒頭には「この試験は、資料を読んで、あなたがその内容をどの程度理解し、分析し、また総合的に判断することができるかを調べるためのもの」と記されています。資料は本大学作成のオリジナルで、前述のような幅広い分野を学際的に横断する学術論文です。当然ながら硬質で難解な文章が多くなっています。したがって、先ずは問題文としての学術論文を正確に読解する国語力が求められます(現代文はもちろん、古典が含まれる場合もある)。そして、学術論文の内容に関する人文・社会科学関連の知識(日本史、世界史、政治・経済、倫理、現代社会、地理等)が具体的に問われるわけです。
2021年度の資料(課題文)は、ピューリタンによるアメリカ入植の歴史において重要な意味合いをもつとされる自由公民の宣誓をめぐるできごとを中心に、政治の役割や寛容に就いて考察した論文です。設問のほとんどは資料(課題文)の内容読解に関するものです(要は「現代文」の読解力が問われている)。但し、「現代文」や「世界史」「公民」などからの知識問題もあります。
解答形式はマークセンス方式です(基本的に4選択肢。21年度も全て4択)。
国際基督教大学教養学部 人文・社会科学試験を攻略するための勉強法
前提
文部科学省の規定によれば、「人文科学」は日本文学、外国文学、言語学、日本史学、世界史学、地理学、哲学、心理学、文化人類学等、「社会科学」は法律学、政治学、行政学、商学、経済学、経営学、社会学、コミュニケーション学、人間科学などといった学科です。こうした学科を網羅した学術論文を読解することになるので、当然、事前に馴染んでおいた方がいいでしょう。
最適なのが、いわゆる新書と呼ばれる書籍です。岩波新書・中公新書・新潮新書できるだけ多く読んでおくことをお勧めすします・朝日新書・角川新書・講談社現代新書・ちくま新書・文春新書等々、様々な出版社から刊行されています。(興味があるもので構わない)。
語彙
資料としての硬質な文章を理解し咀嚼するためには、難解な語句やキーワードを読み解く語彙力が必要です。もちろん、直接設問で問われることもあります。たとえば、2021年度の「ひとかどの人物」の漢字・意味判別などです(「正答」は本稿末に記載)。当然ながら、高度な語彙力を培う必要があります。そこで、先ずは「己が実力」を把握することが重要です。共通テスト(センター試験)の漢字問題(要は「同音異字」「同訓異字」の判別)が「基礎的語彙力」のひとつの目安になります。最低10年分以上の過去問をこなしましょう。その結果次第で、具体的な学習を進めていきます。
尚、以下のサイトは「漢字問題」だけがまとめられていて便利です。
http://www.kanjijiten.net/center/index.html
現代文
資料としての学術論文、要は論説文(評論文)を読解することになります。しかも、設問には換言説明判別、内容・理由説明判別、論旨把握判別、空所補充判別、本文内容合致判別といった通常の「現代文」同様の出題もあります。したがって、現代文の解法習得は不可欠です。
論説文(評論文)特有の「解法」、そして全てに共通する「解法」を体系的に理解し定着させ、応用するために重要なのは「復習」の仕方です。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須です。特に「間違った問題」が肝要です。誤ってしまった「分岐点」をしっかりと確認しておきましょう。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけましょう。それが「解法」となります。
尚、「具体的解法」に就いては本HPの別サイト「大学入試”王道現代文”」を御覧ください。
古典
「古文」、「漢文」が資料の中で題材として扱われる場合があります。よって、最低限教科書レベルの知識や読解力は必要になります。
「古文」では、重要古文単語および文語文法を徹底的に習得しましょう。また、文学史、古典常識や和歌修辞法などもしっかりと確認しておきましょう。
「漢文」では、文の構造、句法、語の読み・意味、書き下し、訓点等の基礎知識を復習しておく必要があります。
社会
「地歴」、「公民」がどれほど定着しているかが最大の鍵となります。共通テストで8割以上が目処です。過去問で確認し(センター試験も含め)、未定着の科目は確実に復習しておきましょう。特に、「倫理」、「現代社会」は頻出、「世界史」、「政治・経済」も外せません。教科書レベルの知識を的確に把握しておきましょう。21年度には「世界史」の他、日本国憲法条文の空所補充の語句判別も出題されました。
資料・時事等
統計資料も題材となるので資料集なども押さえましょう。そして、時事問題が直接問われることや、時事的要素が含まれる設問も散見されます。よって、新聞は日々通読する必要があります。21年度には18年に施行された司法取引制度に就いての出題がありました。
※尚、公務員試験の一般知能分野に「現代文」「古文」、一般知識分野には「人文科学」「社会科学」の試験科目があります。高校卒業程度対象の参考書・問題集を使って、全体を概括的に確認するという方法もあります。
推奨テキスト
ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。
ここではテキストを語彙対策篇、現代文対策篇、古典対策篇、社会科対策篇、時事・その他対策篇、過去問対策篇に分けて紹介します。
語彙対策篇
(1)『入試漢字マスター1800+(四訂版) (河合塾シリーズ)』(河合出版)
(2)『現代文最重要語句(暗記いらずの)らくらく練習帳―熟語・慣用句・評論語句・外来語』(学研プラス)
(3)『新版完全征服 頻出現代文重要語700 三訂版』(ピアソン桐原)
(4)『ことばはちからダ! 現代文キーワード―入試現代文最重要キーワード20 (河合塾シリーズ)』(河合出版)
(5)『現代文キーワード読解[改訂版]』(Z会出版)
前項の「共通テスト(センター試験)の漢字問題」チェックで、5割未満の場合は(1)から、6割は(2)から、7割は(3)から、8割は(4)から始め、9割は(5)のみが目安です。反復練習して完全習得しましょう。特に(5)では、「キーワード編」のみならず「頻出テーマ編」も熟読し、完全に理解しましょう。
現代文対策篇
(1)『システム現代文 バイブル編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。「解法」って何? といった皆さんにお薦めの入門書です。根本を徹底的に解説しており、マスターすれば解法は一通り理解できるでしょう。
(2)『マーク式基礎問題集 現代文(河合塾シリーズ)〈六訂版〉』(河合出版)
初~中級レベルです。正解の根拠を明確にした詳細な解説に定評があり、入試現代文の「マーク方式問題への突破口を開く一冊です。
(3)『現代文 解法の新技術(大学受験スーパーゼミ徹底攻略)』(桐原書店)
中級レベルです。あらゆる問題形式に対応した解法を明示しています。中堅からICUへのステップアップ段階の一冊です。
(4)『入試現代文へのアクセス 完成編(河合塾シリーズ)』(河合出版)
中~上級レベルです。読解へのアクセスで問題点を喚起し、選択肢設問の消去の根拠も明記されており、解法理解度を自己確認できます。自らの実力を把握することで、ICU合格に自信が持てる一冊です。
古典対策編
(1)『重要古文単語315(三訂版)』
(2)『標準古文単語650(三訂版)』(ともに桐原書店)
前者を反復して完全定着させた上で、後者を数回丁寧に通読しましょう。それで古文の「語彙はほぼ心配ないでしょう。
(3)『ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル(三訂版)』(河合出版)
文法の基本が分かりやすくまとめられています。例文は品詞分解し現代語訳も必ずこなしましょう。
(4)『漢文道場[基礎編]』(Z会出版)
送りがな・返り点といった基本ルールから重要な句法まで、基礎力養成の一冊です。
※尚、まま出題される文学史や古典常識に就いては、学校配布の「国語便覧」を活用し
ましょう。
社会科対策編
(1)『マーク式基礎問題集 倫理(河合塾シリーズ)[五訂版]』(河合出版)
(2)『完全MASTER現社問題集 ◇大学入学共通テスト◇最新第2版』(清水書院)
(3)『30日完成 スピードマスター 世界史問題集 世界史B』(山川出版)
(4)『共通テスト政治・経済集中講義(大学受験SUPER LECTURE)[四訂版]』(旺文社)
以上は重要科目の確認・再定着用の4冊です。「日本史B」、「地理B」に就いては、弱点事項を教科書等で確実に補強しておきましょう。
(5)『新・光速マスター 人文科学[改訂第2版]』(実務教育出版)
(6)『新・光速マスター 社会科学[改訂第2版]』(実務教育出版)
「人文科学」、「社会科学」を概括的に確認する為の2冊です。
尚、公務員試験用なので要注意です。
時事・その他対策編
(1)『文藝春秋オピニオン○○✕✕年の論点100』(文藝春秋/毎年11月発売)
毎年の日本の様々な争点が多角的に提起されており、時事対策に最適です。
(2)『ニューズウィーク 日本版』(CCCメデイアハウス/週刊)
政治・経済・国際情勢などのグローバルな時事対策に便利です。
(3)『興亡の世界史 人類はどこへ行くのか』(講談社)
文明の来し方とこれからを人類史の視座から多角的に論じており、大局的な「世界史」を概観できる一冊です。
※尚、新聞は毎日通読し、未知の内容や気になる記事はスクラップしておきましょう。また、「朝日新聞」から「産経新聞」まで、主張の異なる各紙の論説を必ず確認しましょう。
過去問対策編
(1)『国際基督教大学(一般選抜[A方式])の過去問』
2015年度以降は「人文・社会科学」、それ以前は「人文科学」と「社会科学」双方に就いて、最低10年分以上はこなす必要があります。問題文がICUオリジナル作成の資料(課題文)なので、確実に文章のパターンや問題の傾向を把握しておくことが肝要です。
※「攻略のための学習法[語彙]」での「漢字・意味判別」の正答
「ひとかどの人物」=選択肢(d.)「『一廉』とも書き、ある事柄や分野について優れている人、という意味」。
大学受験を成功に導く過ごし方とは
インタビュー=大学受験、「最後の一年」の賢い過ごし方とは?
リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。
高校生活最後の一年の過ごし方は、合否を分ける重要なポイント。志望校合格を勝ち取るためには、どのように一年を過ごせばいいのか…ぜひ参考にしてください。
国際基督教大学への受験を控えている保護者様へ
国際基督教大学の受験には学校別の対策が必須になります。プロ教師界でトップの実力を持つリーダーズブレインの家庭教師は、様々な大学受験の合格実績と受験ノウハウを有しています。その中でも、お子様に最適な東京大学に強い家庭教師をご紹介します。