医大・医学部受験プロ家庭教師 順天堂大学 物理の入試対策と勉強法
医大・医学部受験専門プロ家庭教師が語る

順天堂大学 物理
入試対策と勉強法

特徴と時間配分

出題範囲(分野)

マークシート方式のⅠと記述式のⅡに分かれます。出題分野、形式とも2012年度からほぼ変わりません。最新年度では、マークシートの第1問は小問集で力学、電磁気、波動、熱力学など幅広く出題されています。小問数は6問です。第2問は力学です。第3問は電磁気、そして、記述式のⅡは熱力学が出題されました。原子物理は出題されていません。

出題量と時間配分

理科2科目で120分です。単純に二等分して物理1科目を60分で、普通に解いていくと確実に時間切れになる出題量です。難易度はおおむね標準レベルです。つまり、
1.高校物理の範囲を大きく超える難問・奇問はなく、基本から標準レベルのセット。典型問題も多い。
2.しかし、時間は足らない。全問しっかり解こうとしても無理だ。
後出の「攻略のための学習法」の時間演習の訓練と精度がカギを握るでしょう。

出題・解答形式の特徴

[Ⅰマークシート方式]
第1問は小問集で1、2行の簡単な計算で終わるものから5、6行の計算が必要なもの、さらには作図によって解くものまで、難易度に差があり、決して侮れません。ハマりそうになったら、もともと時間的に厳しい試験なので、第1問・小問集だから全部取りたい、といったこだわりは捨ててスキップする余裕が必要でしょう。
どの小問が難しいかは解いてみないとわかりません。大問1の小問1にハマり、動揺し、ペースを乱し…となると致命傷となるでしょう。むしろ、下記のように小問1,2は解きやすい第2問か第3問から手を付けるほうが安全と思われます。

第2問は力学で5問の誘導方式です。前半は易しく、後半ほど難しい、あるいは、計算量が多いという標準的な大問になっています。
第3問は電磁気です。誘導形式や難易度は第2問と同様です。

[Ⅱ記述式]
この大問は元々、力学の標準題ですが、最新年度は熱力学です。本学を目指す受験生なら十分に乗っていける誘導方式です(本学の数学のように頭を抱える誘導はない)。記述の量も苦にはならない分量です。

攻略のポイント

1、まずは、教科書の内容の定着が基本かつ重要
教科書にある公式・法則などは、単位・次元を含めてスラスラと出てくることが必要です。
入試の出題の基本枠・原点が教科書である事は、意外に軽視しがちですが、図表や口絵、写真に至るまで必ず目を通しましょう。力のある受験生も思わぬ発見や収穫があるでしょう。

2、教科書の「例題」を見た瞬間、解法が浮かび、すらすらと解けるようにする
それと同等なレベルは、教科書傍用の問題集として定番の『セミナー物理基礎・物理』などの基本例題です。やはり、ストレス無く解ける基準を目指しましょう。

3、次は入試物理の「標準」レベルの問題集を一冊マスターする
本学は標準レベルの問題をマスターすれば、8割から9割程度が守備範囲に入ります。『セミナー物理基礎・物理』の発展問題がこのレベルに相当します。最低でも3周して、本学の大問の中盤くらいまではすらすら解ける基準を目指しましょう。同時に、教科書の公式も、下記のようなものは何度も反復して自力で導出できるようにしましょう。例えば、単振動、万有引力とケプラーの法則、ドップラー効果、特に、光波の干渉、状態方程式とポアソンの公式などの近似計算があるものは何度も繰り返しましょう。公式の導出は標準あるいはそれ以上の問題の攻略に大きな底力となるでしょう。

4、過去問の演習
時間を正確に計って演習し、5割程度確保するまでに何分、7割確保するのに何分かかるか、どの大問から解いていくか、ハマりそうなってスキップしたら、もう一度帰って来て解く時間がありそうか、どの単元が得点源で、どの分野が弱点なのか…など文字通り、本番と思って過去問を研究します。つまり、同じ標準レベルの問題と言っても、3はあくまで「典型的な」標準問題の時間を意識しない訓練です。4は強烈な時間のプレッシャーのもと、「少しひねった」標準問題との闘いです。この3、4の段階の違いをよく認識しましょう。これらを忍耐と闘志を持って乗り越えられるかが、本学のような厳しい競り合いに勝つカギとなるでしょう。

もちろん、本学の問題だけでは傾向がマイナーチェンジしただけでも危ういです。併願する競合校の過去問も出題形式が似たものから同様に演習して、発見した弱点を使い慣れた教科書や問題集の復習で焦らず丁寧につぶし、守備範囲を広げることが、合格への王道となるでしょう。

推奨テキスト

(1)各出版社教科書
教科書はなければ合格できないというものでもなく、これさえマスターすれば合格というものでもありません。しかし、教科書が入試の出典の原点であることはいくら強調しても強調し過ぎということはないでしょう。どんな学者や研究者も、ある思想や人物の研究を極めようとすれば、原典に原語であたるものです。かといってわれわれは、ヤングの実験のレポートの原典にまでさかのぼることはできません。一つの現実的な基準としての教科書は、手の届くところにキープしましょう。各種公式・法則の導出過程やさまざまなカラーの図式・写真などだけでも相当の価値があるでしょう。

(2)『セミナー物理基礎・物理』(第一学習社)
定番の教科書傍用の問題集です。教科書の例題とともにこの基本問題をマスターするのが一つの段階です。とても良い問題集ですが、市販されていないのが難点です。インターネットなどで「解答付き〇〇円」など法外な値段で売られているに飛びつくよりは、『リードα物理基礎・物理』(数研出版)でも十分です。

(3)『物理重要問題集2021-物理基礎・物理』(数研出版)
これも大定番の市販問題集です。セミナーやリードの基本問題が大丈夫なら、こちらを始めてもよいでしょう。少しずつ入試問題も更新されていて、しっかりとした内容です。では、セミナーと重要問題集のどっちなのか…できれば両方、時間がなければどちらかでよいでしょう。セミナーの発展問題だけでもマスターすれば、十分過去問演習にいかせます。

(4)『物理のエッセンス 力学・波動』
(5)『物理のエッセンス 熱・電磁気・原子』(共に河合出版)
もしくは
(6)『漆原の物理 明快解法講座 三訂版』(旺文社)
教科書と上記の二つの問題集を理解するために必要な「物理の思考回路」を磨くための参考書兼問題集です。エッセンスは文字通り、一言一句、エッセンスというべき内容が凝縮しています。名著と言えますが、エッセンスだけに行間を埋めてくれるチューターがいた方が良いかもしれません。後者は「漆原の解法」と言われる、わかりやすくシステム化された解法が特長です。ある意味この両者は、入試物理の頂点を目指すための登り口として対称的位置にあるでしょう。自分にはどちらが向いているか、手に取って選択しましょう。

テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。

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