武蔵中学校 入試対策
2022年度「武蔵中学校の社会」
攻略のための学習方法
問題構成
2000字ほどのリード文を読み、数問の選択式問題と記述問題に答えていく形式。資料や統計がよく用いられている。リード文のテーマは年度によりさまざまで、政治経済中心の年もあれば大部分が地理の年度もある。問題もリード文の分野に従って出されるので、まんべんなく出題されるわけではない点、注意が必要である。
記述問題は1行のものから50字程度のもの、300~400字ほど書けるものと数パターン出題されている。いずれも字数の指定はない。特に最後の論説型の記述は、かなりの経験を積んでおかないとうまくまとめられずに時間を失うことにもなりかねない。
記述問題
記述に特化した試験なので書く分量は多くなる。しかし、特別に高度なテクニックやテキストに出てこない難解な知識が求められているわけではない。記述問題といえども、書く土台となるのは基本的な社会科の実力である。まずはテキストをマスターし、補助教材で知識にしっかりと厚みを持たせよう。
その上で、類似の記述問題を多くこなし、設問で求められていることに適度な字数で的確に答えられるように練習を積む。訊かれるのは単なる知識や用語の説明ではなく、多くは事件・出来事の背景や理由である。勉強の際には、なぜそのような出来事が起こったのか、当事者の考え・意図はどうだったのかなど、考えながら覚えていこう。統計や資料の数値から、それまでの経緯や今後の動向などを類推する練習をしよう。記述問題が多いのは、社会的な物事についてよく考える習慣がついているかどうかを見たいのであろう。
それが最もよく表れているのが、論説型の大型記述である。与えられたテーマについて見たことも聞いたこともない状態では書くのにも困ってしまうので、知識量も必要とされる。社会を取り巻くいろいろな問題について考えた経験がないと、十分な字数も埋まらないであろう。深く考えられる生徒が求められている。
ただし、リード文には考える手がかりとなりそうなキーワードが示されている場合が多い。2017年度を例に取れば、「里海」や「エコパーク」などの語である。出題者の想定した解答の方向性がなんとなくわかるであろう。このような文中の手がかりもうまく使って、設問で訊かれているポイントから外れずに、文章に破綻がないようにまとめられるよう、過去問や傾向の似た学校の試験でこつをつかんでおこう。
統計・資料
毎年、統計や図版などの資料が必ず用いられている。数字の持つ意味や、画像の特徴などに気づけるように、統計資料や資料集など最新のものに目を通し、見方に慣れておくことが重要である。
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2022年度「武蔵中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
本年度は日本における学校制度の移り変わりについてリード文が示され、他国の制度や大学進学率などの資料も用いて、そこから読み取れることや教育における格差の是正などについて考えさせる問題が出された。
選択肢問題は2問だけで、問題数自体は少ない。本文を参考に出来る問題から手際よくまとめ、自分で考える大型記述に時間を多く回したい。過去問でそうした時間配分のこつをつかんでおこう。
記述・その他
- 難度:難
- 時間配分:40分
- ★必答問題
日本における学校制度の変遷というテーマで、知識問題では歴史分野からの問題が多めに出されている。
問1 寺子屋は江戸時代に庶民の子供に読み・書き・そろばんなどを教えた私設の教育機関である。寺子屋という名称は主に上方で使われた。
問2 (あ) 米沢は山形県の地名。熊本県は九州中央部に位置する県である。
(い) 吉田松陰は長州藩出身の思想家・教育者で、萩にある松下村塾で高杉晋作や伊藤博文ら維新の指導者を育成した。
問3 兵士に必要とされるのは、健全な肉体や軍の規律を守り統制の取れた集団行動ができる能力、国家・国民のために働ける愛国心といった資質であろう。初等教育での集団生活を通して、学力とともに体力や協調性、国に奉仕する精神などを育む目的があったと考えられる。
問4 文中で女性の進路が大きく制限されていたことが述べられている。原則として女子のための専門学校か高等師範学校にしか進めず、期間も短く設定され、内容も法律や経済などの科目はなく、代わりに家事や裁縫などが設置されていた、とある。女性は社会に出て男性と同じ仕事をするのではなく、家庭で夫を支え子供を育てるという役割を期待されていたことがうかがえる。
問5 (あ) 大学に進むためには中学・高等学校、先生になるには師範学校、医師になるには医学専門学校など、小学校から上級の学校に進む時点で進路を考える必要があった点、ドイツの学校制度と共通する。
(い) 単線型は大学までは一般的な共通した内容を学習するが、複線型では初等教育後は明確に学習する内容が分かれ、将来の職業に直結しているため早い段階で進路について決めなければならない。
問6 縦軸と横軸の数値を足したものが総合の進学率となる。まず男女差については全般的に男の方が進学率が高いことや女性のほうが都内・県内での進学率が高いことがわかる。女性は自宅から近くの大学に通う傾向が強いのであろう。地域差では、東京がその他の県よりも進学率が高いこと、東京は都内進学率が高いのに対し他の県は県外への進学が多いこと、などが見て取れる。県内はそもそも大学の数が少なく、数もたくさんあってより選択の幅が広い都内の大学へ通う人が多いのである。
問7 まず頭に浮かぶのは収入による格差であろう。経済的な理由で高校・大学へ進学できず就職する若者もいる。この問題に対してはよく知られる奨学金制に加えて、授業料分を国が家庭に支給する高校無償化の制度(高等学校等就学支援金制度・保護者の所得差制限あり)が2010年から実施されている。また、生活保護受給世帯には塾に通う費用なども支給されている。あるいは、塾に通えない生徒には放課後に学校で学習支援する放課後学級のような取り組みをしている自治体もある。
また、重度障碍者で常に介助が必要になる生徒には看護師が常駐して支援するといった例もある。
自分が正確に説明できる事例を答えればよいだろう。
攻略のポイント
記述問題が大半を占める試験ではあるが、背景として必要とされるのは基本的な社会科の実力である。そこにプラスして、新聞やニュースなどで社会のできごとについてよく考え、そうして培った社会に対する考察力といったものが答案を書く推進力になる。
勉強に限らず、身の回りで起きた事件や世界の情勢など、様々な出来事の原因や結果・その後の影響などをよく考え、考察力を養おう。
海城中学など、傾向の似た試験も利用して、十分な経験を積んでおきたい。
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