出題範囲（分野）

2021年度以降は大問5問構成で、うち４問が長文読解問題です。全問マークシート方式です。読解問題が極めて多いことに加えて、文法・語彙問題でもハイレベルな知識を問う出題がされています。英文の難易度は標準レベルから難問レベルまで多様です。読解問題のテーマも文系・理系のジャンルを問わず非常に幅広いです。

出題量と時間配分

試験時間は2021年度以降短縮され、従来の80分から70分となっています。長文の量はかなり多いです。
大問１は文法・語句整序問題です。大問2はグラフ付き長文とそれに基づく会話文が出題されています。大問3〜５は内容一致問題中心の長文で、設問は8〜10問となっています。文系の極みとも言える文学論・心理学論文から理系最先端の宇宙論や医学論に至るまで、実に幅広いです。これは米国留学生向けのテストTOEFLのジャンルの広さを思わせます。しかもこれら3題のうち大問4は例年かなりのボキャブラリーレベルであり、難問と言い得ます。

70分という時間制限内でと考えると、ほとんどの受験生にとって、タイムプレッシャーは相当なものだと思われます。とはいえ、文法問題より長文問題の方が、設問一題ごとの配点は、「倍はある」のが常識です。そこでより高得点を目指す工夫としては、ラスト10分に大問1を解くことにしておくようおすすめします。理由は、最後の数分を考えたとき、文法の小問集合なら反射でも何とか取り組めますが、長文一題が残ってしまっては、パニックのうちに終わってしまうのがオチだからです。試験開始直後2〜３分ほどで冷静に長文問題の出だし一文ずつを読み比べ、自分に馴染みのあるものから解答すると良いでしょう。

出題形式

全てマーク式です。総小問数は2021年度では46問でした。大問数は5問であり、最初の1問が語彙・文法・語句整序、残りの4問が長文読解問題です。長文問題では会話や計算・推理が必要なことがあります。各長文大問の平均設問数は8問前後です。

解答形式

すべてマーク式です。

[総説]

埼玉医科大学医学部における前期試験の全科目総合の合格最低点は直近2019年―2021年で順に286点/500点満点・329点/500点満点・238点/400点満点でした。それぞれ、57.2%・65.8%・59.5%という得点率です。よって、70%以上の得点を目指しましょう。

[大問１　知識系の設問]

2021年度以降、文法の4択小問が8題、語句整序問題です。
上述したように、予想配点としては残りの長文４題と比較した場合、全得点のうち20%以下でしょう。ラスト10分に回すことが望ましいです。どうしても初めにやりたいのであれば、「10分以内」を厳守した上で臨むべきです。

[大問２以降　長文読解問題]

2021年度を例に考えます。まず大問2では棒グラフを長文に沿っての読み取り、それにまつわる会話文を題材に問いが立てられています。第３問は「気分概念による人の行動変化」というテーマの行動心理学の文章です。第４問はかなり専門性の高い文学理論であり、難問でした。第５問は私立医学部らしい医系論文でした。第３問から第５問までの設問数は8〜１０題で、いずれも本文の内容を問うものあります。

こうした問題構成と時間制限を考えると、しっかりとした基礎力養成は当然のことながら、かなり速読力・長文耐性が要求されます。普段から500〜800語前後の長文は毎日必ず一題は取り組む習慣を早期に身につけ、1分で100語近く解釈（イメージ）できる力をつけた上で本試験に臨む必要があります。

前提

過去問演習はあくまで形式と時間配分に慣れるために行うべきものなので、夏休みが終わる前に本格的に取り組むのは、かえって無用な心配を増大させかねません。10月頃からで良いでしょう。

それまではやはり、基礎力の徹底的なトレーニングに集中する方が間違いなく得策だと言い得ます。

長文読解

（１）『やっておきたい英語長文300・500・700』(河合出版)

高校初級〜中級レベルです。比較的新しい理系的な内容のものが多く、予備知識も増えるので、順次進めていくと良いでしょう。

（２）『英語長文問題精講 』(旺文社)
続いて高校上級〜入試ハイレベルの英文に慣れるために適した問題集です。和文英訳問題も入っていますが、埼玉医科大学のマーク式テストであっても、「フィーリング読み」を脱して正確な読解力・解釈力を養成しておくためにも、和訳トレーニングはしておいた方が良いでしょう。

単語・イディオム

*単語帳はすでに学校で使用しているものや手持ちのものなど、定評のある一冊を受験日まで反復し続けることを強くお勧めします。あれこれテキストを替えることは、かえって自ら混乱を招くことにもります。

（１）『システム英単語』（駿台文庫）
頻出単語の頻度順の構成になっており、習熟度に合わせた学習に適しています。訳語の並びまで頻度順になっているのが秀逸です。

（２）『ターゲット英単語1900』（旺文社）
おそらく高校で最も多く採用されている単語帳です。すでに手持ちなら、インプット作業を繰り返し続けると良いでしょう。

（３）『ターゲット英熟語1000』(旺文社)
埼玉医科大学の小問では、イディオムの知識が多く問われています。本書のようなバランスの取れた熟語帳一冊を徹底的にやりこんでおく必要があります。一般に言う「文法問題」も、80％以上はイディオム問題だとも言い得えます。つまり、イディオム暗記はそのまま文法学習でもあります。

英作文

埼玉医科大学の語句整序問題対策としては、下記をお勧めします。

（１）『頻出英語整序問題精選850』 (桐原書店)
語句整序問題（いわゆる「並び替え問題」）に習熟するには、質・量共に定評がある問題集であり、これ一冊で十分です。

テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。