帝京大学 物理
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
本学の最大の特徴は必須の英語(外国語)以外、数学、物理、化学、生物、国語から2科目選択する部分です。物理は近年では原子物理も含めてどの単元からも満遍なく出題されます。どの問題も難易度に大きな差はなく、1、2行から3、4行でゴールする基本から標準レベルのセットです。また、本学は例年2月1日から3日の3連続の受験日からの自由選択ですが、分野ごとに出題の素材はシャッフルされ難易度も微妙に変化するので、本学第一志望者の3連続受験が望ましいと言えるでしょう。本学は東海大のように各科目を標準点化(偏差値化)しないので、3回のうち1回のクリーンヒットを狙う連続受験がよけいに望ましいでしょう。
出題量と時間配分
英語以外の2科目で120分です。各大問(近年では大問3題)に小問が6問前後で計20問です。選択に迷っている時間的余裕はありませんので、あらかじめ想定した順に決断よく進めることになります。ただ、その順路に「一部のやや面倒な問題がある」場合の対処も考えておくべきです(NGのときのルール)。そこで動揺してしまえば、その日の試験は厳しくなります。ライバルも多かれ少なかれ同じはずです。予定の1題を飛ばして、残りの1題も対応できる粘り腰の、バランスよく弱点を持たない学力を心がけましょう。
出題形式
上記のように大問3題に小問が6問前後で設定のイメージ図もついています。誘導形式で、前問がヒントになりますが、後方の問題もヒントになりえます。全体にサッと目を通してから解き始めるのがよいでしょう。最初の基本問題をミスると雪崩式に大きな失点になるので、大問ごとに沈着冷静にスタートしましょう。
解答形式
穴埋め形式、または小問ごとに答えだけ書く、または選択肢から正解を選ぶ形式です。論述や描図は出されていません。数値計算は大問5に有効数字2桁で出されることが多いです。文字式の問題も前半の答えを用いて、後半に数行の計算をするパターンがよく見られます。
攻略のポイント
まずは基礎を固めることである
そのためには、まずは定義や公式を理解した上で、しっかりと覚えることです。これがなかなか難しいです。理解するというのは、「自分の言葉で説明する」、「図で表す」、「他の公式同士のつながりを考える」など、様々な方法で公式を「考える」ということです。公式を覚えて、問題をただただ解きまくるといった学習ではなかなか物理の点数を上げることは難しいでしょう。一見、面倒だと思う作業を地道にやっておくことが、物理攻略の重要な出発点となります。
次に問題演習
物理で登場する公式や概念はそれほど膨大ではありません。それらを、完全に理解したら、次は、問題演習に入ります。問題をやることで、基礎が理解できているかが確認できるからです。基礎の新たな面の発見につながることもあります。そういった意味で、問題演習も重要な作業となります。問題演習はただただ多くの問題を解くのではなく、1冊の問題に絞り、1つの問題を解いたら、他の方法で解いてみる、問題の現れる現象を深く調べてみるなど、多角的に検討すると良いでしょう。その作業が、新たな問題を解くためのカギになっていきます。問題を見たときに、どのようなプロセスで解いていくか、いわゆる問題解決能力を身につけないと、いつまでたっても新たな問題が解けるようになりません。何度も強調するが、ともかく1冊の問題集に絞ること。それを徹底的にやりこむことが物理の得点力を伸ばすのに非常に重要となります。
計算力がないと時間制限内に自分で正解にたどり着けない
立式だけを行い、やり方がわかったら細かな計算を最後までやらないといった受験生を多く見かけます。必ず最後まで答えを出しましょう。そうしないと、あっという間に算力が落ち、試験になったとき一向に点数がとれなくなります。どのように工夫すれば、より効率よく計算できるかを自分なりに研究することも大切です。しかし、自分ではなかなか効率よい計算にたどりつかないこともあるでしょう。そのときは、いつも習っている先生に、自分の解き方を客観的に見てもらい、アドバイスをもらうのが一番の方法です。
過去問演習
ある程度標準的な問題が解けるようになってきたら、次は過去問演習に進みましょう。確かに、過去問は出題されないのですが、この大学がどのようなレベルを要求しているのかを知ることは有効な対策となるからです。計算量や、求められる知識など大学によって変わってきます。特に第一志望の過去問は、念入りに研究する必要があります。
推奨テキスト
(1)『教科書』(各出版社)
教科書はなければ合格できないというものでもなく、これさえマスターすれば合格というものでもありません。しかし、教科書が入試の出典の原点であることは強調し過ぎということもありません。入試の基準としての教科書は、手の届くところにキープしましょう。各種公式・法則の導出過程やさまざまなカラーの図式・写真などだけでも相当の価値があるでしょう。
(2)『セミナー物理基礎・物理』(第一学習社)
(3)『リードα物理基礎・物理』(数研出版)
(4)『実戦 物理重要問題集2016-物理基礎・物理』(数研出版)
『セミナー物理』は、定番の教科書傍用の問題集です。教科書の例題とともにこの基本問題をマスターするのが一つの段階です。とても良い問題集ですが、市販されていないのが難点です。インターネットなどで「解答付き〇〇円」など法外な値段で売られているに飛びつくよりは、『リードα』でも十分です。
『重問』も大定番の市販問題集です。セミナーやリードの基本問題が大丈夫なら、こちらを始めてもよいでしょう。少しずつ入試問題も更新されていて、しっかりとした内容です。
(5)『物理のエッセンス(力学・波動および熱・電磁気・原子)』(河合出版)
(6)『良問の風』(河合出版)
(7)『漆原の物理(物理基礎・物理)明快開放講座』(旺文社)
教科書と上記の二つの問題集を理解するために必要な「物理の思考回路」を磨くための参考書兼問題集が『物理のエッセンス』です。文字通り、一言一句、エッセンスというべき内容が凝縮しています。名著と言えますが、エッセンスだけに行間を埋めてくれるチューターがいた方が良いかもしれません。医学部の物理を攻略するために必要な、物理的なものの見方、思考回路を開いてくれるでしょう。『エッセンス』と並行しながら、『良問の風』を解くとよいでしょう。『漆原の物理』は原則的に本質に迫るというよりは、解法をわかりやすくパターン化してくれるタイプです。『エッセンス』と『漆原の物理』は受験物理への異なるアプローチです。どちらが向いているか、実際に手に取って確かめましょう。
(8)『物理基礎問題精講』(旺文社)
(9)『物理入門問題精講』(旺文社)
誰しもが過去問演習を解きながら、苦手な単元や問題にぶつかることでしょう。そんな時は、類題を5題探して、解いてみると良いです。その中でも、典型的な良問がセレクトされ、丁寧で的確な解説があるのが、これらの本です。本学は『標準』まで欲張らずに『入門』、『基礎』を類題の素材にするほうが効果的です。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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