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法政大学第二高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2022年度「法政大学第二高等学校の国語」
攻略のための学習方法

記述

「法二の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。100字程度で書いてみる(法二の「長文記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。

ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく

解法

「空所補充」「脱文挿入」「選択肢」「記述」、その他の問題も含め「法二の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。

そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

速読

本年度こそ減少したが(来年度以降の「共学化」で再び増加することも予想される)、これまでは大学入試にも匹敵する(否、それ以上の)ボリュームの問題文を読まなくてはならなかった。全体で9000字程度。解答時間は50分。

当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める

「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。法二に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

前述のとおり「直接出題」も多いが、「本文読解」等でも必然的に問われることになる法二の「総合的知識問題」。

いかなる「攻略法」があるのか?

「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。

先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されているし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

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2022年度「法政大学第二高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問?は「総合的知識問題」、小問は全3問(解答数10)。「『対義語』記述」、「『単語の意味・用法』判別」(文法)、「漢字の読み」。4分ほどで終わらせたい。大問?は「論説文」、出典は榎本博明「<自分らしさ>って何だろう? 自分と向き合う心理学」所収の「なぜ、こんなに人の目が気になるんだろう?」(文字数約3600字)。小問は全8問(解答数9)。「選択肢」(「空所補充」、「考察問題」あり)、「抜き出し」(2問)、「考察論述」(「100~150字以内」指定1問)。問題文は4分強で読み切り、設問を20分程度で解きたい。大問?は「小説」、出典は木内昇「茗荷谷の猫」所収の「てのひら」(文字数約5300字)。小問は全9問(解答数11)。「選択肢」(「空所補充」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」(2問)、「説明記述」(「30~40字以内」指定1問)。問題文は6分強で読み切り、設問を15分ほどで解きたい。

【大問一】

  • 時間配分:

「対義語の記述」・「単語の意味・用法判別」(口語文法)は4年連続、そして、3年続いていた「慣用句」が、本年度は「漢字の読み」になった。難易度は昨年度以上に高くなっている。だが、本校志望者であれば何としても失点を防ぎたい。

[問一] 「対義語の記述」(全4問/「漢字2字」指定)。①「強固」・②「斬新」・③「服従」・④「大胆」の「対義語」をそれぞれ答える。①と③は平易で、それぞれの「答え」は=「軟弱」と「反抗」。しかし、②と④は意外に曲者かも。「斬新」=「趣向や発想などがきわだって新しいさま」なので、「対義」は「古くさいこと。ありふれていて、つまらないこと」=「陳腐」が「答え」、また、「大胆」=「度胸がすわっていること。思い切りよくやってのけること」で、「対義」は「気が小さくて臆病なこと」=「小心」が「答え」だ。ひとつでも曖昧(あいまい)なものがあった諸君は確認しておくこと。
<時間配分目安:1分半>

[問二] 「単語の意味・用法判別の選択肢」(全3問/各3択)。「口語文法」だ。示されている「①~③の組の傍線部の語の中から、一つだけ意味・用法が異なるもの」を答える。それぞれチェックしていく。①の(ア)「相手も腹を立てるだろう」・(イ)「完成するまで待とう」・(ウ)「おなかもすこうが、できるだけやり抜きなさい」⇒助動詞の定番「う」だ。「う・よう」には「推量・意志」の「意味・用法」があることは常識。(ア)と(ウ)は「推量」で、(イ)が「意志」だということは即判別できなくてはいけない。よって、「答え」は(イ)。②の(ア)「都会らしい近代的なビル」・(イ)「犯人らしい男の姿」・(ウ)「春らしい穏やかな日和」⇒「~らしい」の判別。「推定」の「助動詞」・形容詞をつくる「接尾語」・「形容詞の一部」の3つだ。無論、(ア)と(ウ)は「接尾語」で、(イ)が「推定の助動詞」なので、「答え」は(イ)。③の(ア)「あの人の名前さえ知らない」・(イ)「子どもでさえ理解できる」・(ウ)「少しの水さえあれば、生きながらえる」⇒助詞の「さえ」の「意味・用法」。(ア)と(イ)は「他類推」、(ウ)は「最低条件」だと判別できるはず、「答え」は(ウ)だ。本校では「口語文法」の習得が必須だ。
<時間配分目安:1分>

[問三] 「漢字の読み」(全3問/「ひらがな」指定)。示されている①~③の「漢字の読み」を「ひらがな」で答える。なかなかの難問ぞろいだ。確認したい。①「寡聞にして知らない」⇒「答え」は「かぶん」⇒「寡聞にして知らない」=「見聞が狭いこと」として定着しているかがポイント。②「拙い表現」⇒「答え」は「つたな(い)」⇒これは高校入試の十八番、知っていて当然。③「凡庸で退屈な作品」⇒「答え」は「ぼんよう」⇒これは頻出。尚、本校志望者は、「漢字の読み・書き」だけではなく、「慣用句」「故事成語」「ことわざ」「四字熟語」なども確実に習得しておくこと。
<時間配分目安:1分半>

【大問二】

  • 時間配分:

青年期に誰しもがぶつかる「自分らしさ」の問題――答えを見出しにくい現代において、どうすれば自分らしく生きていけるのかを「自己物語」という視点から論じている。本文では、日本人は「個としての自己」ではなく「関係性としての自己」を生きており、それは日本文化に「人=人間関係」という見方が根づいていたからだと指摘している。「哲学論」ではあるがさほど難解な語句はなく、内容は理解できるはず。本校としては例年にないユニークな設問形式や、新趣向の設問内容の小問が並んでいる。そして、定番の「長文説明記述(考察論述)」が最後に控えている。以下、いくつかの「設問」を検討してみたい。

[問一] 「空所補充の語句の用法判別選択肢」(4択)。本文中の二重空所二重四角のa ~ 二重四角のdにはそれぞれ「接続詞」が入るが、「一つだけ役割の異なる空所」を答える。本校に限らず頻出の「空所補充の接続詞判別選択肢」の新たなバージョンだ。ただし、「接続詞」の用法である「順接」・「逆接」・「添加」・「並立」・「説明」・「対比」・「転換」等を、空所前後の「文脈」から読み取っていくことには変わりない。冷静に「つながり」を読み解いていきたい。丁寧に確認していくと、二重四角のcには「しかし」などの「逆接」があてはまるが、それ以外には「だから」といった「順接」がふさわしいと判別できるはずだ。よって、「答え」は「c」になる。一瞬戸惑うような出題形式であっても、冷静に類似形式があるかどうかを判断することが肝要だ。
<時間配分目安:1分強>

[問三] 「換言説明選択肢」(4択)。傍線部②の「自分の中に息づいている誰かのために頑張る」とは「どういうことか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「換言説明」なので、「誰かのために頑張る」の「原意」と結びつかない「換言」を「消去」したい。各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。(ア)「他者のあり方に影響を受けていること」、(イ)「社会的地位を勝ち取ろうとすること」、(ウ)「他者の意向を優先すること」、(エ)「他者からの期待に応えるような行動をすること」。さあ、どうだろうか? 瞬時、(ウ)か(エ)で悩む可能性はあるが、「誰かのために頑張る」のだから、「優先する」ではなく「期待に応える」がふさわしいと判別できるはずだ。「同一意味段落」で他の部分を確認しても特に誤っていない(「論説文」「説明文」「随筆」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある。したがって、「答え」は(エ)だ。見事、「一発消去」だ。畏るべし「原意消去」、しっかりと使えるようにして大いに活用すべし。
<時間配分目安:1分強>

[問七] 「本文内容非合致選択肢」(4択)。「この文章で筆者は結論として『日本文化のもとで自己形成をした僕たちの自己は人とのつながりの中にある』ということを導き出している」が、その一方、「ここまでの論では十分に説明されていない点がある」。「それは何か」を答える。一体、何が問われているのか? 「ここまでの論では十分に説明されていない」のであれば、本文では述べられていないことになる。「述べられていないこと」など、どうやって分かるのか? 「?」だらけだろうが、ここで視点を変換してみたい。「本文では述べられていない」⇒「本文内容」ではない⇒「本文内容非合致」ということになるはずだ。つまり、本問は新趣向の「本文内容非合致設問」になるわけだ。本文は「論説文」なので「論旨非合致」ということになる。「論旨」が簡潔にまとめられているのはどこか? 「論説文」の類型によって、「頭括型」は「序論部分」、「尾括型」は「結論部分」、「双括型」は「序論部分」+「結論部分」となる。念のために、「序論部分」と「結論部分」双方の要点と各選択肢の説明とを照合し正誤判別したい。(ア)「自分の意見を通すことが欧米で重要」⇒「前提として欧米の社会はどのような相互関係を結んでいるのか」ということは「序論」からも「結論」からも読み取れない=非合致。(イ)「相手を考慮し続けるという日本人の価値観は、どのような評価を受けてきたのか」⇒「欧米の価値観の影響を受けた人びとに批判されてきた」ことが読み取れる=合致。(ウ)「なぜ日本には視線恐怖を感じる人が多いのか」⇒「相手との関係性によって自分の出方を変えなければならないから」と説明されている=合致。(エ)「なぜ日本人は『人間』という言葉を『よのなか』『世間』ではなく『人』の意味にとらえ直したのか」⇒「日本文化に『人=人間関係』というような見方が根づいていたから」と述べられている=合致。結果として「非合致」なのは(ア)であり、「答え」となる。本問のように、未知の「新趣向の設問」であっても決して動転することなく、既知の「類似設問」に置換して考察していくようにすること。
<時間配分目安:3分>

[問八] 「条件付き考察換言論述」(「100~150字以内」指定)。傍線部④の「相手との関係にふさわしい自分がその都度生成する」とは「どういうことか」を「一〇〇字以上一五〇字以内」で論述する。「条件」は、本文中の波線部「僕たちの自己は、相手にとっての『あなた』の要素を取り込む必要がある」を踏まえて考察し、「身近な具体例を少なくとも一つは挙げた上で論述する」こと。何やら七面倒臭い(しちめんどうくさい)「条件」が課されているが、実はラッキーだ。それに従って考察していけばいいのだ。波線部の内容を踏まえると、「日本人の自己は『相手から独立したものではなく、相手との相互依存に基づくものであり、間柄によって形を変える』」ことになる。つまり、日本人の「自分」は、関わる相手から見た「自分」の要素を取り込んで、初めて成立する。したがって、「環境や関わる相手が変われば、『自分』が変化する」という「具体的な場面」を例として挙げて、適切にまとめていけばいい。まとめ方としては、「~<具体例>~のように、日本人の自己は相手から独立したものではなく、相手との相互依存に基づくものであり、間柄によって形を変えるので、私たちの『自分』は関わる相手から見た『自分』の要素を取り込んで初めて成立するということ。」といった論述になる。このように、「条件」は「手がかり・ヒント」でもあると捉えることが肝要だ。
<時間配分目安:4分半>

【大問三】

  • 時間配分:

江戸時代の幕末から昭和、戦後の高度経済成長期の頃までの約100年を、市井の人々のささやかな縁でつなぐ9つの短編からなる連作小説。決して報われず、かといって不幸に打ちひしがれるだけでもなく、俯いたり前を見たりしながら東京で生きる普通の人々の姿が沁みる物語。本文では、東京にいる娘「佳代子」を訪ねて上京してきた「母」、2人のやりとりから母と娘との切ない葛藤が描かれている。高度経済成長期前半の東京が舞台となっており、馴染みの薄い語句もあろうが、[※注]を用いれば内容は理解できる。「セリフ」のやりとりからの「心情」や「状況」などの読み取りにやや厄介さがある大問だ。以下、いくつかを検証する。

[問一] 「空所補充の語句選択肢」(全3問/各4択)。「総合的知識問題」。「文脈からの語句の意味判別」だ。本文中の空所四角のX ~ 四角のz に「入る言葉」を答える。空所前後の「文脈」から、それぞれの「答え」を特定していきたい。無論、「同一場面」の「状況」をも踏まえることはもちろんだ(「小説」「随筆」では「同一場面」に「手がかり・ヒント」がある)。「『東京で家を構えられるなんて立派ですよ。佳代ちゃん(=佳代子)は四角のXだ、感謝しないといけないよ』」⇒上京し「佳代子」の家に着いた「母」が、「佳代子」の「夫」の「こんなあばら家で居心地が悪いでしょ」という言葉に対して返した一言で、空所は「佳代子」に向けたものだと、「同一場面」から「状況」が読み取れるはずだ⇒各選択肢の「言葉」は、(ア)「働き者」・(イ)「果報者」・(ウ)「わがまま」・(エ)「孝行者」⇒夫が構えた「立派な家」、そこで「佳代子」が暮らしていることに対しての、「夫」を前にしての「母」の言葉なのだから(イ)の「果報者」だと判別できなくてはいけない。「夫は四角のyになり、それを笑顔に作り替えてから母に向いた」⇒「佳代子」の「夫」に対する「恨みがましい」視線に対し、「夫」が「言い訳」を言い、空所につながっている「状況」だ⇒(ア)「すまし顔」・(イ)「したり顔」・(ウ)「仏頂面」・(エ)「泣きっ面」⇒「夫」は「不機嫌」に決まっているので、「答え」は(ウ)の「仏頂面」だと即決できる。「佳代子はなにも言えず、内心の四角のzを隠すのに必死だった」⇒3人での会話中、「母」が突然、大きなゲップをして、「夫」が場をとりなすように「ビールのせいでしょう」と穏やかに笑った直後の「佳代子」の様子だ⇒(ア)「怒り」・(イ)「笑い」・(ウ)「動揺」・(エ)「興奮」⇒空所直後には「こんな行儀の悪いことをする人(=母)ではなかった」という「佳代子」の思いも述べられている。こうした「状況」であれば、無論、「答え」は(ウ)の「動揺」だと特定できるはずだ。「小説」では、「同一場面」の「文脈」を的確に読み取ることが最も肝要だと心得よ。
<時間配分目安:全問で2分弱>

[問二] 「内容説明抜き出し」(「20~25字以内」指定)。傍線部①「母は、なにひとつ変わっていなかった」について、「佳代子にとってこれまで母はどのような存在であったかがわかる表現」を、「二十字以上二十五字以内」で抜き出して、「はじめとおわりの三字」をそれぞれ答える。「抜き出し問題」では、「抜き出すべき内容」を捉えた上で「抜き出し範囲」を特定し探していく。「内容」は設問文のとおりだ。「範囲」は無論、「同一場面」になる。相当に広い「範囲」となってしまう。さらに、絞り込みたい。傍線部は上京してきた「母」に再会したときの印象で、「なにひとつ変わっていなかった」となっているのだから、「これまで母はどのような存在であったか」が「これより前」で説明されているはずだと類推できなくてはいけない。丁寧に探していくと、傍線部の4つ前の形式段落に「佳代子にとって母はずっと、他の母親たちと比べるのも惜しいほど特別な存在だった」という部分がある。まさに、「母がどのような存在だったのか」の説明になっている。「抜き出し範囲」の他の部分に別の該当箇所はない。よって、「指定字数」から「答え」は「他の母親たちと比べるのも惜しいほど特別な存在」(22字)の「他の母~な存在」となる。尚、「抜き出し問題」では「候補」はひとつとは限らない。「範囲」を網羅的に確認し、全ての「候補」を確認してみることが肝要だ。
<時間配分目安:1分半>

[問五] 「心情説明選択肢」(5択)。傍線部④「ちびた下駄の音がからからと空疎だった」について、「佳代子はこの時、下駄の音をどのような気持ちで聞いていたのか」を答える。無論、先ずは「原意消去」から。ここは「心情説明」なので、「空疎」の「原意」と結びつかない「心情」を「消去」することになる。各選択肢の「文末」と照合する。(ア)「疎ましい気持ち」、(イ)「やるせない気持ち」、(ウ)「買い替えたい気持ち」、(エ)「悲しく思う気持ち」、(オ)「絶望する気持ち」。まさか、「空疎」だから「疎ましい」で決定などと短絡的に考えてしまう諸君はいまい。「空疎」は「形だけで内容が乏しい」ことであり、「疎ましい」は「いやだ」ということだ。では、「空疎」と結びつくのは? 本校志望者であれば、「やるせない」以外は「消去」だと判別したい。「思いを晴らすすべがない。せつない」ということだ。念のために「同一場面」で他の部分の説明も確認する。特には誤っていないと判断できる。よって、「答え」は(イ)になる。無論、前後の「文脈」や「同一場面」の「状況」から特定することも可能だが、時間がかかる。「原意消去」であれば即、「一発消去」できるのだ。こうしたことからも、「語彙力」が重要だと分かるはずだ。
<時間配分目安:1分強>

[問八] 「心情説明記述」(「30~40字以内」指定)。傍線部⑦「得意顔で包みを解いた」について、「ここには母のどのような気持ちが反映していると読み取れるか」を、「三十字以上四十字以内」で説明する。「得意顔」なのだから「得意な気持ち」⇒「誇らしい気持ち」だと特定でき、それは「包み」の中身に対してだと分かるはずだ。「中身」は何か? それがどうして「誇らしいのか」などを、「同一場面」から読み解いていく。直前の「お昼は精養軒を予約してあるから……」という「佳代子」の言葉に続いて「母」は「包み」を解いている。「中身」は「塩むすびが4つ」と「日水のソーセージ二本」、直後で「お母さんのためにそんなにお金を使うことはないよ、佳代ちゃん、食べるものなんてなんでもいいんだから」と言っていると分かる。ちなみに、[注]に「精養軒」=「上野にある高級洋食店」、「日水」=「魚肉ソーセージで知られる食品会社」とある。以上の「状況」を、「誇らしい気持ち」につながるように「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「娘に無駄遣いをさせないために質素な昼食を自分で用意したことを誇らしく思う気持ち。」(40字)といった「答え」だ。「心情説明記述」では、本問のように傍線部等の設問そのものに「心情」が記されている(隠されている)場合がある。決して見落とすことなく、尚且つ、そのままの表現ではなく「換言」することを忘れてはいけない。
<時間配分目安:3分>

攻略のポイント

●「共学化」によって「国語」は問題が難化したにもかかわらず、「受験者平均得点率」がアップしている(2016年度61.8%→22年度66.9%)。「共学化」以降の3科目合計の「合格最低得点率」は、本年度までの6年間の平均で64.1%(本年度は下がって59.5%)。多少の上下はあるとしても、来年度以降も合格ラインの高止まり傾向は続くと思われるので、とにかく「高得点」を目指し「得点力」を安定させるように万全の準備が不可欠だ。
●多彩で複雑な「選択肢設問」に代表される多様な「設問」はどう「攻略」するか? それは、いかに「解法」を的確に用いるかがポイントになる。「設問内容」に応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが必要だ。そのためにも、基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくこと(特に「原意消去」は必須アイテム)。
●「説明記述」の対策も不可欠だ。実直に「説明記述」の「練習」を続ける他はない。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先順位を特定し、高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習すること。また、「100字前後の長文説明記述(考察論述)」にも慣れておきたい。何としても「減点」は最小限に抑えたい。
●「高度な語彙力」が問われる多種多様な「総合的知識問題」も侮れない。「漢字」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「語句の意味」、そして、「口語文法」までをも確実に定着させること。
●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意が必要。問題文は7000字程度(ただし、9000字以上の年度もあった)。本年度は昨年度の約5200字から一気に増加して約8900字。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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