栄光学園中学校 入試対策
2022年度「栄光学園中学校の理科」
攻略のための学習方法
栄光学園中学の理科の出題は、受験者の知識・計算力・思考力などの総合力を問う問題構成になっており、単なる丸暗記では対応しきれない問題が中心である。夏までには基本知識を固め、それ以降はその知識を運用する学習に入りたい。本校理科攻略のための具体的な学習方法は以下の通りである。
《各分野の学習内容の理解・定着》
各分野の学習は、夏までに完成させるつもりで怠りなく行って欲しい。その際に特に力を入れて欲しい内容は次の通りである。
〈生物分野〉植物・動物についての基本知識は当然身につけること。森林の構成、食物連鎖など生物の成長と置かれた環境や気候との関わり合いの理解にも力を入れたい。植物の働き(光合成、呼吸など)やヒトの働き(だ液の働き)等の実験について力を入れたい。
〈地学分野〉天体については、月の満ち欠け、星の動き、日食や月食のメカニズムについて理解することが最も大切である。地層のボーリング調査や様々な気象現象は今後出題のテーマになる可能性がある。
〈化学分野〉水溶液と金属の反応や燃焼等に関係する計算問題については一通り練習しておくこと。また、実験器具の使い方、実験の進め方についても学習し、実験結果のグラフなどについては資料集等に眼を配ることが大切。
〈物理分野〉もののつり合い、音、光、電気などの基本法則をしっかり理解することが大切。さらに、それを日常生活や自然現象と結びつけて考える習慣が求められる。例えば、虹はなぜ7色に見えるのか、救急車が通過した時の音の変化、てこの原理や滑車を利用したものが身の回りのどこに使われているのか、などいろいろなテーマの出題が想定される。
《実践力を身につける》
本校の理科の入試問題では、計算問題、データ読み取り問題、記述問題が大半を占める。ここにどう対応するかが、本校理科の攻略の大きなポイントになる。
〈計算問題対策〉まず、化学分野では中和、金属と水溶液の反応、金属の燃焼など計算処理に比を用いるものを中心にマスターして欲しい。物理分野では、てこや滑車のつり合い、浮力など力のつり合いに関する計算問題の練習に時間をかけたい。その他では、電熱線による発熱、熱量(カロリー)の計算、音の速さに関わる計算問題、人の呼吸や血液循環に関する計算問題なども想定される。いずれも、問題集やテキストの応用問題レベルまで手を出しておきたい。また、生物分野では植物の補償点、人の呼吸と血液循環に関する計算問題について、地学分野では地震波の伝わり、地層のボーリング調査など計算が絡む問題の演習にも力を入れたい。
〈記述問題対策〉問題集などから記述問題を含む問題を選択し、数多く練習することが大切である。本校の過去問にこだわることはない。問題の選択に際しては、家庭教師に相談するとともに、採点に関しても家庭教師に見てもらい、その都度アドバイスを受けることが記述力向上につながる。
〈データ読み取り問題対策〉与えられた表・グラフ・絵・写真などを手掛かりに解答する問題が例年出題され。また、与えられたデータをグラフ化する問題も見られる。記述問題同様に演習量が大きな決め手になる。これに関しても、家庭教師をうまく利用して、問題の選択・演習を進めて欲しい。
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2022年度「栄光学園中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は1題、小問数は11題で50点満点。試験時間は40分で昨年と同じであった。大問数は1題のみで、知識問題・計算問題・グラフ作成・記述問題と出題形式は多様であるが、特に記述問題が多いのが特徴である。短時間で素早く処理というよりは、与えられた情報を基に作業をし、計算し、考察し、記述するといった能力が求められる。
【大問1】総合問題(豆苗の乾燥と重さの変化)
- 難度:やや難
- 時間配分:40分
- ★必答問題
問1 キュウリはウリ科の植物で、花弁の色は黄色である。
問2 根を食用にしているのは、ニンジン・ダイコン・サツマイモである。レンコンとジャガイモは地下茎を食用にしている。
問3 表の数値を用いた簡単な計算問題。いずれの豆苗も初めの4時間に比べて32時間後からの4時間の方が重さの減少量が小さいことがわかる。
問4 計算問題。あ:0.67÷1.12×100 より60 い:0.28÷1.12×100 より25 小数第一位で四捨五入することを忘れないこと。
問5 表で示された数値および問4で計算した数値を用いてグラフを作成する問題。
問6 実験結果について書かれた文の○×問題。
問7 記述問題。根をアルミ箔で包まなかった場合、包んだものと比べて減少量が大きいことから、乾燥が早く進んでいることがわかる。特に実験開始直後に減少量が大きくなっている。
問8 記述問題。乾燥し細くなったしおれた豆苗ではフラスコ内に立てることが難しい。根の部分を濡れた綿で包む等の工夫で水を吸わせることが必要。
問9 グラフの読み取り問題。乾燥後の重さ÷最初の重さ=約0.23 吸水後の重さ÷乾燥後の重さ=約2.2 より、⑦の豆苗とわかる。
問10 グラフを作成する問題。乾燥後の重さ=吸水後の重さ であれば、縦軸の値×横軸の値=1 となり、反比例の関係になる。
問11 記述問題。問10で描いたグラフは乾燥させたら元に戻った状態を示している。90本の苗について打たれた点を見ると、乾燥後の重さが初めの重さの0.4倍くらいまでは点がグラフに近いところに打たれているが、0.4倍より小さくなると、グラフと点が離れている。このことから、最初の重さの40%以下になると、元に戻りにくいと言える。
実験結果を基にグラフの作成・計算・考察をするという毎年本校で出題されている傾向の出題。今年は豆苗の乾燥と重さの変化を大テーマとして、「どこまで乾燥させると元の重さに戻らなくなるか?」についての実験結果の考察を行い記述するという内容であった。同タイプの出題が続いているので、過去問を中心に、同じ傾向問題(家庭教師に相談して欲しい)の練習を十分に行って欲しい。
攻略のポイント
今年度は大問1題であった。近年は大問1題の総合問題形式での出題が多くなっている。本年は豆苗の乾燥と重さの変化が大きなテーマであった。グラフの読み取り、実験結果の考察、考察した内容の記述など例年と同じ傾向の出題であったと言える。基本知識の問題やデータを使ってのかなり簡単な計算問題、グラフの作成問題など得点しやすい問題も意外と多いので、ここでの失点は禁物である。後半にある複数の記述問題対策が本校受験者には必須となる。本校受験者は単なる知識の丸暗記に終わることなく、それを日常生活や身の回りの現象・自然と結び付けて考える力が必要になる。
具体的には、夏までに基本知識を身につける学習は完了し、それ以降は、計算問題、データの読み取り問題、思考力を必要とする問題、記述問題の演習にたっぷり時間をかけて頂きたい。また、記号選択問題であっても常に、なぜ?を考える習慣を身につけて欲しい。演習する問題の選択に際しては、是非家庭教師に相談して欲しい。
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