出題範囲（分野）

2021年より出題傾向が変わり、文法・語法・語彙などの知識系の問題数は半減し、読解問題重視の出題となりました。もっとも、知識系の問題は、従来のように大学受験としては難単語といえるものが含まれていたり、中文の中で複数の空所を埋めるものもあったりと、難易度は高いです。また設問も含めてすべてが英文となったため、読むべき英文量は大きく増えたといえます。

出題量と時間配分

試験時間は60分です。知識系の問題は（A）・（B）・（C）の3つのブロックに分かれていますが、各自の小問数が決まっているわけではないため、まとめて15分とし、残りを3題ある読解問題に充てたいところです。各大問の小問数はほぼ同じなため、15分×3でもよいですが、最後の1題は長いため、そこにやや長めの時間配分をしたほうがより高得点を望めるでしょう。

出題形式

知識系の問題は、（A）が短文の空所補充、（B）が下線部同義語選択、（C）が中文への空所補充となっており、これまで出題されてきた語句整序や正誤問題は姿を消しました。3題の読解問題は各小問数がほぼ同じですが、長さに違いがあります。内容は標準的といえますが、選択肢の語彙に難易度が高いものがあります。

解答形式

全てマークシート形式となっています。前述のとおり、設問リード文まで含めてすべてが英文で書かれているため、思ったよりも処理に時間がかかります。読解問題の内容一致の英文読み取りを疎かにしないためにも、本文を素早く読み進める力が必要です。

読解問題

読解問題の比重が高まったことにより、これまで以上にその出来が合否を左右する出題となっています。したがって、読解力向上に向けた取り組みに時間をかけたいところです。3題の読解問題にかけられる時間は正味45分しかないため、速読能力の向上も必須です。意味のかたまりごとに前から意味をとっていく事ができなければ、時間内に設問処理まで含めて解答を終わらせることは出来ません。句・節ごとに意味をとらえ、ニュアンスの分かるものは日本語に訳さず読み進める力を身につけましょう。

一定レベル以上の英文解釈能力を身につけたら、句・節ごとにスラッシュを入れながら前から訳読み下すトレーニングをしましょう（スラッシュ・リーディング）。最初のうちはやや多めにスラッシュを入れることになるでしょうが、慣れてくればそれほど入れずに前から読み下していくことができるようになります。併せて行いたいのが音読です。一度解き、しっかり復習した英文を用いて、必ず英文音読の時間を設けるようにしましょう。音読することで、強制的に前から読み下す習慣を身に付けることが出来ますし、日本語を介在させなくとも内容が頭に入ってくるようになる英文が増えてくることになります。その際には必ず意味のかたまりごとに内容を把握する意識を持つようにすること。漫然と読んでいては効果が半減してしまいます。音源付きの長文問題集であれば、それを利用することでさらに効果を高めることが出来ます。

医系テーマを扱った読解問題も出題されることから、普段の長文読解の素材として取り入れましょう。後述の問題集を是非利用してほしいです。背景知識があると読みやすさの点で大きな差がでることがあります。

単語・イディオム

長文で用いられる単語に難易度が高いものがあるため、単語力はしっかり付けておきたいです。医系の単語集をこなす必要はありませんが、後述の「私立医大の英語」のイラスト説明部分に記述されたものがある程度判断できるようにしておくとよいでしょう。それでも未知の単語は出てきますが、単語集をしっかり終えていれば文意を参考にすることで正しい答えを絞れます。

文法

語彙問題よりも文法・語法問題のほうが解きやすいため、これらの対策をしっかりやっておきましょう。読解問題との兼ね合いでかなり短い時間で解き切ることが要求されることになるため、高い精度で完成させましょう。

英文解釈

（１）『基礎英文解釈の技術100』（桐原書店）
英文構造の把握を身につけるための良書です。この1冊を７～8割程度消化したら、あとは速読のトレーニングをすることに注力しましょう。

（２）『ポレポレ英文読解プロセス50』（代々木ライブラリー）
講義仕立てで読みやすく、量も絞ってある分、時間をかけずに終えることが出来ます。（１）をこなす時間がない人はこちらでも良いでしょう。

長文読解

（１）『パラグラフリーディングのストラテジー1・2』（河合出版）
ある程度の英文解釈力が身についたら取りくむべきシリーズで、速読するためのエッセンスが詰まっています。パラグラフリーディングの基本を1で身につけ、2でトレーニングする形です。3もありますが難関国公立向けであるため、こちらについては国公立と併願する生徒向けです。

（２）『全レベル問題集：英語長文5』（旺文社）
（３）『イチから鍛える英語長文500・700』（Gakken）
（４）『英語長文PREMIUM問題集：Advanced』（東進ブックス）
いずれも音源付きであり出版も新しいため、最新のトピックを知る上でも役に立ちます。ある程度の長さと難易度に慣れるため、夏には取り組み始めたいです。

（５）『私立医大の英語（長文読解編）』（教学社）
医療系のテーマに絞った長文問題集です。最新医療の時事問題、医学・生物学など医学部で出題されること多いテーマをバランスよく扱っています。また、イラストを用いて背景知識を説明してくれているページは読み物としても面白い内容です。

（６）『過去問』
新しい傾向となってしまいましたが2020年以前のものも空所補充問題と読解問題はレベル感を知るのには役に立つため、それらに絞ってやっておくとよいでしょう。

文法・語法

（１）『頻出英文法・語法問題1000』（桐原書店）
文法・語法系のインプット教材としてはややボリュームがありますが、比較的説明が厚めなので自分で進めやすいです。

（２）『英文法ファイナル問題集［標準編］』（桐原書店）
全１０回のテスト形式です。範囲指定のない形で問題が作られているため、知識の定着度を図るのに良いでしょう。

単語・イディオム

（１）『速読英単語［必修編・上級編］』（Z会出版）
学校使用の単語帳を用いるのが効率的ではありますが、使いづらかったり相性が悪かったりするのであれば、CD音源付きで速読の練習も兼ねられるこちらを利用すると良いでしょう。上級まで回せれば単語力に不足はありません。

（２）『解体英熟語』（Z会）
ボリュームはありますが、テキストの後ろにある前置詞・副詞の整理ノートがよくまとまっており、効率的に覚えられるだけではなく、未知のイディオムもニュアンスを類推することができるようになります。

（３）『システム英単語Premium（語源編）』(駿台文庫)
語源ごとに編集された単語帳です。単語としてはやや難易度の高いものが多いですが、語源については分かりやくまとまっているため、自分の使っている単語帳では覚えにくい単語があるときに参考程度に利用するとよいでしょう。

テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。