学習院女子中等科 入試対策
2022年度「学習院女子中等科の社会」
攻略のための学習方法
学習院女子中等科の社会の入試問題は、例年大問3~4つに総解答数40前後で構成されている。歴史・地理・政治経済がほぼ等分で出題されており、およそ各20点ずつバランスよく配点されているようである。
記号選択と用語記入、そして本校の特徴でもある1行記述が4~5問という解答形式で、全体の文章量は多くないので読むのに時間はかからないが、問題数は多いので30分で解くにはかなりのスピードが要る。
設問には大別して、
(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題
(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題
がある。
(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題
まず、(1)については確実に答えられるよう基本を押さえることである。
【地理】は、地勢と各地の産業といった分野がよく出されているので、基本事項に加えて、白地図・資料集で位置やデータの特徴も合わせて覚えてしまう。
【歴史】は、古代から現代まで広い範囲から出題されている。細かい年号までは訊かれないが、全体の流れをつかみ同時期に起こった出来事など関連づけておきたいので、年表などで整理しておく事。ここでも白地図で位置を確認しておきたい。また、歴史的に日本と関係のある地域・国についての質問もあるので、韓国・中国や南蛮とよばれた国々、アメリカやイギリスなどについて、世界地図も合わせて見ておくと良い。
【政治経済】は日本国憲法と政治のしくみを中心として習熟しておく。法律や選挙に関係した時事問題などの出題もあるので、普段から関心を持ってニュース等、見ておきたい。
いずれの分野もいわゆる難問奇問ではないので、基本をがっちり固めるという意識で日々の学習に取り組めばよいだろう。
(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題
(2)については、学習院女子の特長ともいえる問題で、得点に差が付く部分かも知れない。他校では見られないユニークな問いもあり、博物館の照明が暗くなっている理由〈H23年度〉や北海道の特ちょうにあった行政サービスの提案(H30年度)などの出題例がある。
このような問題に答えるためには、学校や塾で学ぶことだけでなく、普段から身の回りの出来事にも好奇心を持ち、「なぜそうなったのか」「そのことが他にどのような影響をおよぼすのか」というように考えを発展させられる思考力を養うことが大切である。
本校の短文記述には字数制限がないが、長文を書くスペースは無い(せいぜい20~30字程度)ので、解答欄に合わせて自分の考えをまとめられるよう練習しておこう。
そして、上記(1)(2)に対しての心構えとして、
「経済・国際・環境などの社会的な出来事に関心を持つ」ことが大事であることを付け加えておく。
学習院女子の問題は選択式にしろ記述式にしろ、上記のようなテーマに沿って出されることが多い。教科書やテキストの「勉強」だけでなく、「社会そのもの」にどれだけ関心を持って接しているかをテストを通じて問われているようである。
前年の出来事についてのやや難しい質問が出されたりするため、普段からニュースや新聞に目を通し、家庭でもわからないことを話し合ったり先生に質問したり・・・・・・そういった環境があれば大きなアドバンテージとなる。
言い換えると、そのような環境で育った女子を学習院は望んでいる。それが、学習院という伝統校の考えなのであろう。
基礎的事項は教材を最大限に活用して確実なものにしておく。その知識をもとに、社会で話題になった出来事について自分なりに少し深く考え、理解を深める。その繰り返しが本校の試験に求められる「思考力」を培うことになるのである。
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2022年度「学習院女子中等科の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1が政治経済分野、大問2が地理分野、大問3が歴史分野という構成で、広い範囲から問題が作られている。解答数は47問、短文とはいえ記述問題も5問ある。適語記入で書き込む問題も多く、時間に余裕はない。
記号選択・用語記入の問題はいわゆる難問ではないので、てきぱき解いてミスせずに得点源とし、記述問題は残りの時間でできるだけ答えるような心づもりで臨もう。
【大問1】政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:9分
選挙制度や内閣など、政治の仕組みについて訊かれている。
問1 【A】 比例代表 【B】 安倍 【C】 国民投票
問2 (1)・(2) 民主党政権は2009~2012年までの間に鳩山由紀夫→菅直人→野田佳彦と三人の総理大臣を生んだ。それまでの官僚主導の政治から内閣主導の政治へと転換を図った。
(3)・(4) 民主党政権ののち、安倍晋三が再び内閣総理大臣に返り咲いた。安全保障の関連で日本も協力できるように、集団的自衛権の行使を可能にする法案を成立させた。
(5)・(6) 安倍政権で官房長官を務めた菅義偉が政権を継いだ。日本学術会議に政権に批判的な学者が任命されなかったため、学問の自由の侵害だとして問題になった。
問3 全国を289のブロックに分け、各1名が当選となる。比例代表の176名と合わせて、465名が衆議院定数となっている。
問4 前大統領のトランプ氏は共和党員、現大統領のバイデン氏は民主党員の政治家である。
問5 落選した候補者に投票した国民は、自分の意見が政治に反映されないということになってしまう。
問6 これまでは各省庁や自治体でデータの共有ができなかったり、同じ組織でも部署によって書類の書式がバラバラだったりなど、効率が悪かった。デジタル化により、システムを統合して標準化し、各種手続きもスマートフォンなどからオンラインでできるようにすることが考えられている。
【大問2】地理分野
- 難度:やや難
- 時間配分:11分
- ★必答問題
中部地方・九州地方の地理を中心とした問題。
問1 (1)~(5) 長野県・滋賀県・石川県に接していることから、(1)は岐阜県。北の富
山県から時計回りに長野県・愛知県・三重県・滋賀県・福井県・石川県と接している。
(6) 福井県には原子力発電所が多く造られている。
(7) 愛知・岐阜の県境近くでは瀬戸・多治見などで陶磁器の生産が盛んである。
(8) 北アルプスとも呼ばれる飛騨山脈。
(9) 両白山地を中心とした地域は白山国立公園となっている。
(10)~(13) 肥後国は現在の熊本県。接している県を農業産出額順に並べると、鹿児島県・宮崎県・福岡県・大分県となる。
(14) 火山が多いことから地熱発電が行われている。
(15) 鹿児島・宮崎県境には火山灰が堆積してできたシラス台地が広がる。
(16) 明治初期の産業革命遺産として登録されている。
問2 雪の多い地域であるため重みで家屋が壊れないよう、屋根の勾配を急にして雪が積もらないように工夫されている。
【大問3】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
いろいろな時代の女性の活躍を題材として、人物や出来事について訊かれている。
問1 (1) 卑弥呼 (2) 推古 (3) 藤原 (4) 地頭
(5) 日野富子は足利義政の妻で、子の善尚を将軍にしようと画策し、応仁の乱の一因ともなった。 (6) 生糸
問2 須恵器は古墳時代後半から作られるようになり、高温で焼成するため固くなり液体などを入れるのに適していた。
問3 それまで土地は国のものとされていたが、開墾した者が三代にわたって私有できることになった。
問4 勅撰和歌集として最も古いのは古今和歌集。
問5 承久の乱(1221年)→御成敗式目(1232年)→文永の役(1274年)→永仁の徳政令(1297年)の順。
問6 幕府は各地の大名の家族を江戸に住まわせていたが、これら妻子は大名の反乱を防ぐためのある意味人質であり、江戸から出ることを制限されていたのである。
問7 親族関係ができるということは、その間で争いを起こさないといういわば同盟関係ともなったのである。
問8 日比谷焼き討ち事件が起こったのは1905年で明治時代である。
問9 当時の日本では、女性は外に出て働くようなことはせず、家長である男性を支えて家庭で家事・育児に専念することが当然と思われていた。
問10 義務教育の開始と地租改正は明治時代の初期である。
問11 女性の管理職や国会議員の少なさなど、経済や政治などの分野における女性進出が世界と比べてまだまだ少ないというジェンダーギャップが指摘されている。
攻略のポイント
30分という時間に対して、書き込みが多い47問の問題数はやはり多い。幸い、問題の難易度自体は難問というほどではない。通常、漢字指定されるような問題もひらがなでもよいとされる問題もある。まずは記述以外の問題をてきぱき解き進めて点を稼ごう。
60点という配点から考えても記述問題の配点は低めである。とはいえ記述問題は5問あるため、記述問題もひととおり手をつけられるよう、知識だけで答えられる問題を素早く終えられるようスピードは十分につけておきたい。
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