巣鴨中学校 入試対策
2022年度「巣鴨中学校の算数」
攻略のための学習方法
2019年2月、巣鴨の算数は大きく変わった。テストの構成は刷新され、【大問4】には平面図形、【大問5】には立体図形という固定編成もなくなった。
はじめに計算問題を含む一行問題が並び、そのあとに大問が4問という、印象としては以前よりも質・量ともに軽くなったという感じである。今まで受けてきた模試などの延長線上にある問題構成なので、巣鴨特有であった過去問対策に気をとられることなく、オーソドックスに学力をつけていけば十分に対応できる。
ただし、出題されている分野は前年度とあまり変化はなく、頻出分野は「規則性」「数の性質」「場合の数」「速さ」「特殊算(割合と比をふくむ)」「平面図形」「立体図形」などである。
新スタイルになってまだ4年目なので問題の質は安定しない。2019年度だと、【大問2】が「場合の数」、【大問3】が「平面図形」、【大問4】が「速さ」で、【大問4】(1)まではいたって標準的なレベルであり、受験生たちも取り組みやすかっただろう。しかし2020年度は【大問2】や【大問3】【大問4】の後半の設問などに難度の上昇が見られ、2021年度は【大問4】に本格的な立体図形の切断問題にも出て、2022年度【大問3】【大問4】の後半の設問など往年の「巣鴨の算数」にわずかながら近づいた感がある。
そのような難度変更も頭に置いて、出題されやすい分野をしぼり、攻略法を書いていくことにする。
「平面図形」は、相似形関連のものが中心で、相似の関係にある図形を使って辺や面積を求めるもの、「与えられた特殊な辺比を持つ三角形」を利用して問題にあたるものなどが見られる。本年度は2年続けて相似形は無縁な辺比を使う問題だったが、相似形のすぐ隣に住む問題で対策が無駄になることはなかったと思う。
往年の「立体図形」はラスボスとして【大問5】に君臨したわけだが2年続けて一行問題に顔を出す程度で、ショッカーの戦闘員のように軽く倒されたことだろう。しかし2021年度は最後の大問として立体図形の切断がついに出題され、その難易度も高かった。まだまだ油断できない分野である。
「場合の数」「規則性」などでは、問題自体の難易度というよりは細かい作業を要求されることが多いので、ここは一発公式使って~みたいな態度だけでなく、ひとつひとつ数え上げていくようなていねいなもののあつかいもできるように準備しておこう。
次に、おおよその「時間配分」だが、一行問題集を除くとどの問題も10分はかけられる。まだ路線が変更されたので一概には言えないがこの4年間並みの難易度で推移すると10分は十分な時間である。じっくり腰を据えて解いても時間に余裕は持てるだろう。まさかの難問に遭遇したときには「見切る」時間に気をつけよう。3・4分考えていい解法が浮かばなければ前に戻って見直しをした方がよい。
設問数は15問前後である。このうち、10~12問を目安に正解できる力をつけてテストに臨みたい。スタイルは変わったものの難易度に大きな変動があったわけではないので、普段の勉強の中で同水準の問題にどの程度あたれているかを客観的に判断すれば、ある程度の点数も推察できる。また、2018年度以前の過去問にもしっかりあたり、出やすい分野の問題にはしっかり対応できるように腕を磨いておこう。
以上、「巣鴨」の入試問題対策についてまとめてみた。2月本番、一問目から出せる力を存分に発揮し,合格できることを臨んでやまない。
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2022年度「巣鴨中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2019年度から変更されたテスト形式が4年続けて継続されていて、【大問1】には一行問題が6題、【大問2】~【大問4】は設問数が複数ある大問である。今後もこの形式が続くものと思われる。問題の分量から見て、時間は50分あれば十分に間に合う。前半の【大問1】を20分以内に消化し、後半の大問にそれぞれ10分ずつあてればよい。後半の大問は設問によって難易度の差があるので少なくても前半の設問は正解し得点を積み上げていきたい。
【大問1】一行問題集
- 難度:標準
- 時間配分:18分
- ★必答問題
(1)公倍数の問題の中では、応用編に属するもので、巣鴨受験者であれば解き方を身につけているものと思うが、わかっていても時間がかかるやっかいな一問目である。
「4で割ると2あまり」と「7で割ると5あまる」から「4で割っても7で割っても2不足する整数」を調べていくのが常套手段だろう。最も小さい整数は4と7の最小公倍数28より2小さい26である。そのあとは28ごとに該当する数が現れるので、その中で3で割り切れるもの(54)を見つけ、そこから先は3,4,7の最小公倍数(84)ごとに現れる。2022を84で割っておおよその見当をつけ、84に商をかけて54を加え、2022に近いものを求めていく。
(2)は「場合の数」では有名な問題で、ツリー(樹形図)で解くか前もって覚えていた答えを書くのも良いだろう。
(3)これも解いた経験がある問題だろう。その中ではややレベルが高いものに属する。アを初めに求めるのではなく、ワンクッション置いて、58の左となりに位置する数、さらに38の左となりの数…という順番で求めていけばアにたどりつくだろう。
(4)太郎君が持っている3種類の硬貨の総数を①とおいて解く、という「マルイチ算」と呼ばれる等式をたてて解く問題である。出てくる分数の分母から全体を100と置いても解くことは出来る。易しい問題とは言えないが、男子進学校を受ける生徒にとっては解けなくてはいけないレベルと言えよう。
(5)こちらはいわゆる「3種類のつるかめ算」で、巣鴨では必須の内容である。5枚入りの箱と20枚入りの箱に倍数関係があることから平均をとり、それと1箱10枚入りの箱との間でつるかめ算が成立する。あとは面積図なり自分の知っている解き方を用いて答えを出せばいいだろう。
(6)ぴったりとくっついている3つの円の中心を結ぶと1辺が4cmの正三角形が出来る。この面積は文中にある1辺の長さが1cmの正三角形の(4×4=)16倍である。あとはそこから半径2cm、中心角(60×3=)180度のおうぎ形の面積をひけば斜線部分の面積が求められる。
本年度も昨年同様特別に真新しい問題は見られなかったが問題の質自体は平均的に上がっている。全問正解が望ましいが1問ミスまでは許される範囲だ。
【大問2】食塩水
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
本年度のテストで合否に大きく関わったのがこの【大問2】だ。とりたてて難問と言うことはないので出来て当たり前と言えるが(1)が解けないと先に進めない分だけ後半の大問よりもやっかいなところがある。特に<その2>のヒントから使っていくところに気づけないとアウトだ。逆に(1)ができれば(2)(3)はまず解けるはず。全か無か、その差はかなり大きい。
ヒントになる項目が3つ並べてあって、<その1>から使っていくのが人情というもの。しかしここでは<その1>を使って(1)を解く、という図式になっている。
(1)Aの食塩水12%を200gとCの食塩水100gと水100gを混ぜて食塩水Eを作り、その食塩水Eの半分をBに入れてかき混ぜると濃度が11.5%の食塩水が出来る。このことから、最後に出来た11.5%の食塩水は200gできたこととなり、これは食塩水Bの濃度を決めてしまう。つまり、(200+200)×.0115が最後に出来た食塩水の重さであり、そのうち0.12×200+0.08×100を2で割ったものはAとCのもの、残りはBからきたものでこれでBの濃度が決まることになる。
(2) (1)ができると<その1>からCの濃度が分かり、<その3>からは(3)の答えが単純明快に求まることになる。どちらも食塩の重さを求めていけば良い、という基本的なものである。ここも全問正解できれば合格点まであと少し、というところ。
【大問3】円すい
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
(1)から(3)につれ難しくなっていく問題なので受験者の算数力が分かる問題になっている。(1)はもちろんできるとして、(2)(3)はどうか?
(1)では3等分された母線を短い方から1,2,3として同じく半径も1,2,3とすると、円すいの母線の面積は「母線×半径」から、Aから(1×1)、Bは(2×2-1×1)、Cは(3×3-2×2)と求められる。
(2)では円すい(B,Cは円すい台)の表面積と言うことで、Aでは底面積が、B・Cでは上底と下底に面積が生じるのでそれらを比べていかねばならない。
Aの側面積を①、底面積をとするなら、Bの側面積・底面積はそれぞれ③、であり、またCの側面積・底面積は⑤、である。ここで与えられた数値から③+=39、
⑤+=79となる。ここから両式を何倍かして①またはを求めていく。これによりAの底面積・側面積を求めることが出来る。ここまで解ければ上出来だ。
(3)は(2)で求めた数値から、6つの立体の表面積ともとの円すいの表面積の比を具体的な数値を持って求めることが出来る。
立体図形の問題としては切断の問題ほど難易度は高くないが、(2)から消去算に切り替えて式を立てていけるかがポイント。(2)までできればポイントは高い。
【大問4】約束記号
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
出題されている約束記号は小問などでもよく出されている「整数Aを2で割った商とあまりを求め…」結果として2で何回割れるかを問われるもの。だから最後の大問ではあるものの(1)(2)はその記号を理解していれば難しくない。
(1)はこのテストの中で最もやさしい問いである。
(2)では【A】=3となる最小の数8と、【A】=4となる最小の数を16を考えれば良い。答えは8から16の一歩手前の数までである。
(3)では、問題をすっと読んでA=4,B=3,C=2,D=1と考えてしまうと頭を掬われる。Aは出来るだけ大きく6,Cは2,DとEは1である。Aだけを極端に大きくすることでその和が最大になることを利用する。【6】=2×2×2×2×2×2×2-1で127である。【2】は2×2×2-1=7であり、【1】は3と2である。
(4)は難問であり、また正解が5つあるということから、ここは無理強いせずに【大問1】からの見直しに走った方が現実的。【大問4】の(3)まで正解したことがキミを守ってくれるだろう。
攻略のポイント
新テスト形式4年目ともなるともはや「新」とはいえないかもしれない。しかし形式を換えたらかえたで毎年まったく同じ形式で来るあたり巣鴨らしいと言える。
【大問1】は典型題の集合とはいえ本年度はレベルが上がって1問に割く時間が少し増えたと思う。【大問2】以降の難易度は標準的かそれ以上のレベルである。本年度で言えば【大問3】(3)、【大問4】(3)(4)は難易度が高くあまり深追いしない方が良かっただろう。
4科目の合格最低点から見て、算数では60~70点を目指して勉強を進めれば良い。上記の【大問1】【大問2】は全問正解、【大問3】は(1)・(2)、【大問4】も(1)(2)は正解しておきたい。そのためには、やはり基本~やや難易度の高い問題を確実に解ける学力が必要だ。そのための勉強法を下に記す。
・塾の教材や市販の問題集などでは標準問題を中心に勉強し,典型題の解き方を定着させるとともに,やや難しめの問題にもチャレンジして難問への耐性も身につけておく。
・問題を解くための技術(式・作図・グラフの作成など)を書かされる学校なので、答えを出すだけのような速読即解の練習だけでなく、少し時間がかかってもいいから記述式の解答になれておくこと。
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