関西学院大学 共通問題 国語共通問題④
入試対策と勉強法
関西学院大学 共通問題 国語共通問題④
ここでは、関西学院大学の社会学部・法学部(2月7日)を目指す方に対して、国語の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。
※本稿は基本的に2022年度入試に準拠しています(但し、一部は21年度以前の入試内容にも言及し、参考にしている)。
本大学の「一般入試」の「文系」は「全学部日程」(2回)・「学部個別日程」(学部によって1~2回)・「共通テスト併用日程」(2方式)・「英語・数学型日程」、理系では「全学部日程」(2回)・「共通テスト併用日程」(数学型)・「英語・数学型日程」があります。「学部個別日程」には「3科目」(「英語」・「国語」+「地理」「歴史」「数学」のいずれか1科目選択)と「英語・国語型」(「人間福祉学部」のみ)があります。日程・受験科目ともに多様な入試パターンが用意されています(最大受験回数は4~5回)。受験生にとっては有難い限りですが、複雑でもありますので、しっかりと情報を確認しましょう。本稿では、「社会学部」「法学部」の「学部個別日程[2/7]」の「3科目型」試験問題について主に説明しています。尚、「法学部」には「学部個別日程[2/3]」もあるので注意しましょう。
関西学院大学社会学部・法学部(2月7日) 国語試験の出題傾向とは
出題範囲(分野)
試験教科・科目は「国語総合」・「現代文B」・「古典B」です(いずれも「漢文」を除く)。
「現代文」は原則的に論説文(評論文)が1題です(但し、随筆の年度もある。直近では2019年度)。10年度以降出題された文章内容は、哲学論、記号論、社会学論、文学論、建築論、報技術論などで実に多彩です。年度によっては、やや難解で読みにくい文章もあります。22年度は哲学論で木村覚「笑いの哲学」でした。
知識は小問扱いです。
漢字の読み書きは必出で、他に四字熟語、慣用句、慣用表現、語句の意味や文学史等の総合的知識問題も出題されます。22年度は漢字の読み、漢字の同音異字判別と熟語(四字および二字)の空所補充記述でした。
「古文」も1題です。主に古代~近世の物語(歴史物語、擬古物語、軍記物語など含む)、日記、説話、随筆、歴史書、仮名草子等の題材(和歌も含まれる)が出題されます。22年度は室町時代成立の軍記物語で作者未詳の「太平記」でした。内容解釈、本文内容合致や現代語訳、内容説明、人物特定、敬語判別、語句の意味、文語文法、古典常識、文学史などが問われます。
出題量と時間配分
問題文の文章量は、「現代文」が3000弱~3500字程度で他の私大上位校と比較して少なめです(22年度は約2900字)。「古文」は1200~1500字程度で、他校と比べてやや多めです(22年度は約1300字)。
試験時間は75分です。私大上位校の中では長い部類で、比較的余裕があるはずです。短文の説明記述などがある「現代文」を40分程度で解いて、オーソドックスな小問が多い「古文」は35分ほどでこなしましょう。
出題形式
2010年度以降、以下の形式で定着しています。
大問は2題です。
大問一は基本的に論説文(評論文)です(随筆の年度もある)。小問が10~15問ほどで、解答数は17~20程度です(22年度は12問で19)。
大問二は「古文」です。小問は12~15問ほどで、解答数は15~20程度です(22年度は13問で18)。
解答形式
2010年度以降、以下の形式で定着しています(22年度も同様)。
「マーク方式」と「記述方式」の併用型です。
本学部の「学部個別日程[2/7]」の特徴としては、「古文」における文語文法の間違いやすい付属語判別の頻出が挙げられます。たとえば22年度では、反実仮想の助動詞「まし」、添加の副助詞「さへ」、類推の副助詞「だに」などです。間違いやすいことは分かっているので習得しているはずですが、それでも混乱、混同してしまう恐れがあります。徹底した練習が不可欠になります。
「現代文」のマーク方式では、内容説明判別、理由説明判別、換言説明判別、本文内容合致判別、具体例判別、空所補充語句判別などと、漢字の同音(訓)異字判別、語句の意味判別、四字熟語、故事成語、慣用句、慣用表現等の漢字・意味判別、文学史などといった総合的知識問題等です。
「記述方式」では、抜き出しや短文の説明記述(10~20字ほど)が頻出の他、漢字の読み書き(必出)、語句記述、換言記述などの出題があります。
「古文」のマーク方式では、内容解釈判別、本文内容合致判別、主語判別、語句の読み・書き・意味判別、文語文法判別、人物判別、敬語判別、文学史等の古典常識判別などです。
記述方式では、現代語訳が必出、他に語句(漢字)記述、抜き出しなどが出題されます。また、短文の説明記述(10字程度)が稀に出題されます。
関西学院大学社会学部・法学部(2月7日) 国語試験を攻略するための勉強法
知識
本日程の漢字問題や総合的知識問題は解答数が多く(2022年度の「現代文」では解答数の半分以上)、難易度もやや高いです。したがって、完璧な準備が不可欠です。そこで、先ずは「己が実力」を把握することが重要です。「共通テスト(センター試験)」の漢字問題(要は同音異字、同訓異字の判別)が基礎的語彙力のひとつの目安になります。最低10年分以上の過去問をこなしましょう。その結果次第で、具体的な学習を進めていきます。
尚、以下のサイトは漢字問題だけがまとめられていて便利です。
http://www.kanjijiten.net/center/index.html
「現代文」解法①
論説文(評論文)(あるいは随筆)に特有の解法、そして全てに共通する解法を体系的に理解し定着させ、応用するために重要なのは復習の仕方です。「考え方のプロセス」をトレースすることが必須です。特に間違った問題が肝要です。誤ってしまった分岐点をしっかりと確認しておきましょう。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけましょう。それが解法となります。
尚、具体的解法については本HPの別ページ「大学入試”王道現代文”」をご覧ください。
「現代文」解法②
本日程の「現代文」で特に注意したいのが必出の空所補充設問です。文脈からの読み取り、ふさわしい語句の意味の判別などが問われるのは勿論ですが、接続詞、副詞等の用法や、さまざまな国語的知識も求められるので、万全の準備をしておきましょう。また、代入確認を絶対に忘れないように習慣づける練習を重ねることも必須です。
「現代文」解法③
もちろん、選択肢設問対策も必須です。選択肢消去の仕方を習得しておきましょう。換言説明であれば傍線部の原意(要は本来の意味)にこだわった原意消去、理由説明であれば直接的理由として結びつくかどうかによる消去などを常に意識することが肝要です。スピード重視のより高度な選択肢消去のテクニックを習熟するように努めましょう。
「現代文」解法④
短文ではありますが、本日程で頻出の説明記述、その記述方法はしっかりと押さえておく必要があります。説明記述で必要なひとつの要素は通常20~30字程度なので、先ず最も重要な要素を的確に把握し、その他の要素は設問内容から必要度の優先順位を特定できるように徹底的に練習することが肝要です。そして、正否の分かれ目となる最重要な要素を文末として他に必要な要素を積み上げていく「積上げ方式」という手法を、過去問や練習問題などを通じて完璧にマスターしましょう。本学部では10~20字ほどの字数指定が多いので、ひとつの要素を簡潔にまとめることに慣れましょう。また、条件が課される場合もあるので、的確に応じなくてはいけません。
古文
先ずは重要古文単語および文法を徹底的に習得する必要があります。必ず出題される現代語訳をする上での最重要ポイントですし、文法や単語の意味は直接問われます。特に助動詞、助詞の意味・用法・接続は完全に定着させましょう(それらの判別は必出)。そのためにも品詞分解は徹底的に練習することが不可欠です。間違いやすい付属語判別は特に入念に練習を重ねましょう。また、文学史はほぼ必出で和歌修辞法も含めた古典常識も問われます。それらの事項もしっかりと確認しておきましょう。
推奨テキスト
ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。
ここではテキストを知識対策編、現代文対策編、古文対策編に分けてご紹介します。
知識対策編
(1)『入試漢字マスター1800+(四訂版) (河合塾シリーズ)』(河合出版)
(2)『現代文最重要語句(暗記いらずの)らくらく練習帳―熟語・慣用句・評論語句・外来語』(学研プラス)
(3)『新版完全征服 頻出現代文重要語700 三訂版』(ピアソン桐原)
(4)『現代文キーワード読解[改訂版]』(Z会出版)
前項の「共通テスト(センター試験)の漢字問題」チェックで、5割未満の場合は(1)から、6割は(2)から、7割は(3)から、8割は(4)のみが目安です。反復練習して完全習得させましょう。特に(4)では、「キーワード編」のみならず「頻出テーマ編」も熟読し、完全に理解しましょう。
尚、文学史対策としては、『SPEED攻略10日間 国語 文学史』(Z会出版)が時系列も理解でき、コンパクトにまとめられているので覚えやすいでしょう。
現代文対策篇
(1)『システム現代文 バイブル編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。「解法」って何? といった皆さんにお薦めの入門書です。根本を徹底的に解説しており、マスターすれば解法は一通り理解できます。
(2)『マーク式基礎問題集 現代文(河合塾シリーズ)〈六訂版〉』(河合出版)
初~中級レベルです。正解の根拠を明確にした詳細な解説に定評があり、「入試現代文」のマーク方式問題への突破口を開く一冊です。
(3)『現代文 解法の新技術(大学受験スーパーゼミ徹底攻略)』(桐原書店)
中級レベルです。あらゆる問題形式に対応した解法を明示しています。中堅から関関同立へのステップアップ段階の一冊です。
(4)『入試現代文へのアクセス 完成編(河合塾シリーズ)』(河合出版)
中~上級レベルです。読解へのアクセスで問題点を喚起し、選択肢設問の消去の根拠も明記されており、解法理解度を自己確認できます。自らの実力を把握することで、関学合格に自信が持てる一冊です。
(5)『現代文読解力の開発講座(駿台受験シリーズ)(新装版)』(駿台文庫)
上級レベルです。読解力と解答の論理力を講義形式の解説で養成します。文章を客観的に捉える術が習得でき、本日程の合格を確実にする一冊です。
(6)『[記述編]現代文のトレーニング[改訂版]』(Z会出版)
説明記述対策です。頻出テーマに沿った問題構成で完成度を自己採点で把握可能です。関学本日程で出題される説明記述をクリアする一冊です。
(7)『関西学院大学本日程の過去問』
実戦レベルです。10年分以上確実にこなし、解法をトレースしましょう。
古文対策編
(1)『重要古文単語315(三訂版)』
(2)『標準古文単語650(三訂版)』(ともに桐原書店)
前者を反復して完全定着させた上で、後者を数回丁寧に通読しましょう。それで古文の「語彙」はほぼ心配ないでしょう。
(3)『ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル(三訂版)』(河合出版)
文法の基本が分かりやすくまとめられています。例文は品詞分解し現代語訳も必ずこなしましょう。
(4)『大学入試 全レベル問題集 古文 4 私大上位・私大最難関・国公立大レベル 新装版』(旺文社)
最難関私大などの良問14題を収録し、分かりやすく解説しています。古文の5つのジャンル別対策が掴める古文ジャンル解説、重要な文法と語句を併記した現代語訳、全ての問題に通じる最強の読解ルール等で、「古文」の読解に自信が持てる一冊です。
(5)『速読古文常識』(Z会出版)
古典常識習得用です。必修300語を収録しており、実戦的トレーニング文章の文脈で効率的に定着可能です。共通テストから難関私大まで対応しています。
尚、和歌修辞法等に就いては、学校配布の『国語便覧』も活用しましょう。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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