フェリス女学院中学校 入試対策
2023年度「フェリス女学院中学校の社会」
攻略のための学習方法
スライド式学習
「フェリス対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。「基礎的事項」は無論、細部にわたる「知識」や「深い理解」が求められる問題もあるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックもしておきたい。
だが、悲しいことに人は忘れるものだ。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる５年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、６年の夏休み前には終える。
その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。６年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか？ 実質的に１年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。フェリスでは「地理」の全分野から出題されるのだ。
そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある５年の冬休みやその後の春休みを利用して、徹底的に「地理」の「復習」をしておくことがポイントだ。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をこっそり続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。
いもづる式学習
特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」で「時代別」「時代順」になっている。しかし、フェリスではそうした単純な出題はほとんどない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸になっている。
それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」～「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。
さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。特にフェリスでは「なん世紀」を問う問題が必ず出る。「年表づくり」を楽しみながらやってみたい。
手づくり式学習
ある一つのテーマをもとに、いろいろな時代について総合的に問うパターンが多く見られる。
世界遺産のある土地に関係する歴史（平成24年度）や、各時代の外国との交流（平成25年度）など、話題は多岐にわたる。
この分野では、難しいとされる出来事の並び替えの問題も出されている。
発生した時期が近い出来事の並び替えなどは、年号をはっきり覚えておくか、年表のように一連の流れを思い出せるようにしておかないと正確には答えられない。
人物や出来事について一通り覚えたら、次に年表を使って時間の流れに沿ってまとめていき、地図や白地図で合わせて場所も確認しておく。歴史史料をもとに考えさせる設問もみられるので、資料集の図版などを見分けられるようにしておきたい。
また、用語を書かせる問題が多数あるので、漢字で書けるようにする必要がある。
細部へのこだわり式学習
「リード文」「設問文」「統計資料」等の「要素」と自らの「知識」を多角的に結びつけないと解けない問題がフェリスにはある。考える際の前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということだ。そこから「考えるヒント」を見つけ出すのだから、「細部」にこだわって読み取ることが重要となる。
当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」や「資料の数字」、そして「関連事項」など全てを材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているので活用する。
こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えていけばいい。
意識継続式学習
どのような場合も、常に何かを「意識」しながら学習することが必要だ。無意識に机に向っていても無意味。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのかを具体的に「意識」し続けていることが重要だ。そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。
フェリスの入試では30分という制限の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして45前後もの問題に答えなくてはならない。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか？ 「要素」は全て確認したか？ 「他の設問」との関連は大丈夫か？「条件」を満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
志望校への最短距離を
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2023年度「フェリス女学院中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問１は｢地理｣(｢考察問題｣１問が混在)。｢群馬県と鳥取県の自然や産業など｣についての｢リード文｣からの出題｡小問は全６問(解答数９）、｢選択肢｣(｢組み合わせ｣あり)､｢事項･地名記述｣､｢説明記述｣(３問｡全て｢字数指定｣なし､各｢30字ほど｣の解答欄)。
大問２も｢地理｣(｢時事問題｣１問が混在)。｢主食としての米｣についての｢リード文｣からの出題｡小問は全７問(解答数８）、｢選択肢｣(｢位置特定｣、｢不適切｣、｢組み合わせ｣あり)､｢事項･国名記述｣(｢空所補充｣あり)。
大問３は｢公民｣(｢時事問題｣｢考察問題｣各１問が混在)。｢個人の消費活動と税金｣についての｢リード文｣からの出題｡小問は全５問(解答数７)、｢選択肢｣(｢不適切｣、｢複数解答｣あり)､｢考察論述｣(１問｡｢字数指定｣なし､｢60字ほど｣の解答欄)。
大問４は｢歴史｣。｢各時代に外国へ行った日本人｣に関連する６つの｢説明文｣からの出題｡小問は全６問(解答数21)、｢選択肢｣(｢組み合わせ｣、｢時期特定｣、｢複数解答｣あり)､｢事項･人名記述｣､｢説明記述｣(３問｡全て｢字数指定｣なし､各｢30字ほど｣の解答欄)。時間配分としては、｢説明記述｣と｢考察論述｣に11分ほど、他は１問を30秒程度という超ハイペースになる。
【大問１】｢地理｣(｢考察問題｣１問が混在)
- 難度：標準
- 時間配分：8分
｢群馬県北部にある日本最大の湿地湿原『尾瀬』と鳥取県の『境港』に関する自然や産業など｣についての｢リード文｣からの出題(ちなみに、｢尾瀬｣は(ア)の｢空所補充記述設問｣の｢答え｣)｡｢地理｣単元の標準的な小問が多いが、混在する｢考察問題｣がやや悩ましいかも。いくつかの｢設問｣を検討する。
[ａ①] ｢下線部についての内容説明記述設問｣(｢字数指定｣なし､｢30字ほど｣の解答欄)。
｢リード文｣中の下線部(ａ)｢ダムを建設する計画がありました｣について。｢ダムに期待される役割として、生活･工業用水の確保や発電のほかに、どのようなものがあるか｣を説明する。｢ダムの役割｣には｢利水機能｣と｢治水機能｣があることは知っているはず。｢生活･工業用水の確保や発電｣は前者なので、後者の｢治水機能｣について説明することになる。日本の河川は流れが急で短いため、大雨が降ると一気に海を目指して流れ、大量の水により田畑が浸水して農作物の被害が出たり、家屋の水没、時には尊い人命が失われてしまったりすることがある。そのため、ダムは大雨などにより流入してきた大量の水を一旦貯め、少ない量の水を下流へ流して洪水を防いでいるのだ。こうした内容を｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢大雨のときに川に流れる水の量を調整して洪水を防ぐという役割｡｣(30字)といった｢答え｣になる。尚、｢ダムの役割｣がしっかりと定着していなかった諸君は復習が不可欠だ。
＜時間配分目安：１分半＞
[ｃ] ｢下線部についての理由説明記述設問｣(｢字数指定｣なし､｢30字ほど｣の解答欄)。
｢リード文｣中の下線部(ｃ)｢シカに食べられてしまうという被害(食害)に悩まされています｣について。｢近年、日本各地でシカによる農作物への食害が多発している｣が、｢シカがこのような高地の湿地地帯までエサを取りに現れるようになった主な理由｣を説明する。｢食害｣については学習していなくてはいけない。シカ肉などの利用が減少⇒捕獲数が減少⇒個体数が増加となるわけだ。また、地球温暖化により生息域が広がったことも要因となっている。あとは、内容を整理してまとめていきたい。たとえば、｢シカの数が増えたことや、温暖化で生息域が広がったという理由｡｣(30字)といった｢答え｣になる。尚、｢農作物への食害｣だけではなく、｢野生鳥獣による森林被害｣も近年問題になっている。確認しておこう。
＜時間配分目安：１分半＞
[ｆ] ｢下線部に関連しての統計資料読み取り選択肢設問｣(３択)。｢考察問題｣。
｢リード文｣中の下線部(ｆ)｢大きな製紙工場｣に関連して示されている｢表｣(日本における紙の種類別生産量を表している)について、｢表｣中の(ア)～(ウ)は、本などに用いる｢印刷用紙｣、コピー機やプリンターなどで用いられる｢情報用紙｣、｢段ボール用紙｣のいずれかの生産量(単位は｢千トン｣)だが、｢印刷用紙｣のものを答える。何やらよく知らないことを問われているようだ。誰にとっても同じこと。だからこそ、｢考察｣する。｢表｣では、｢2000年｣･｢2010年｣･｢2021年｣のそれぞれの生産量が示されている。特徴的な項目に着目したい。
(イ)は｢1737｣→｢1160｣と減少、(ウ)が｢9676｣→｢10131｣と微増なのに対して、(ア)は｢10004｣→｢515４｣とほぼ半減で極端に減少していることが分かる。近年の人口減少や少子化、｢ペーパレス化｣などを考えれば、(ア)が｢答え｣だと特定できるはず。
ちなみに、(イ)は｢情報用紙｣で、(ウ)が｢段ボール用紙｣だ。尚、｢私が知らない｣⇒｢誰も知らない｣⇒｢知らなくても解ける｣と考えよ。
＜時間配分目安：30秒＞
【大問２】｢地理｣(｢時事問題｣１問が混在)
- 難度：標準
- 時間配分：4分
｢主食としての米の生産量や生産者に関する問題点など｣についての｢リード文｣からの出題｡｢地理｣単元の｢基礎的事項｣が問われているが(｢時事問題｣１問が混在)、若干紛らわしいものがある。２問だけ検証してみる。
[ｃ] ｢下線部についての位置判別選択肢設問｣(４択)。｢時事問題｣。
｢リード文｣中の下線部(ｃ)｢パン｣について、｢日本は、原料である小麦の多くを輸入に頼っている｣が、｢小麦の世界的な生産国であるウクライナを2022年２月にロシアが侵攻したことにより、小麦の国際価格は上昇｣した。示されている｢地図｣(｢ヨーロッパ東部｣を表している)の(ア)～(エ)の中で｢ウクライナの位置｣を答える。典型的な｢時事ネタ｣だ。誰もが即座に｢黒海｣の北側に面した(イ)が｢答え｣だと判別できなくてはいけない。尚、｢ヨーロッパ諸国｣の｢位置判別｣は本校に限らず頻出なので、確実に｢国名｣と｢位置｣を結びつけておくこと。
＜時間配分目安：30秒弱＞
[ｅ] ｢下線部についての統計資料読み取り組み合わせ選択肢設問｣(４択)。
｢リード文｣中の下線部(ｅ)｢農業に従事する人が減り｣について示されている｢表｣(｢産業別就業者数｣を表している)について、｢表｣中の(Ａ)～(Ｄ)は｢医療･福祉｣、｢製造業｣、｢情報通信業｣、｢教育･学習支援業｣のいずれかだが、｢『製造業』―『医療･福祉』｣の正しい｢組み合わせ｣を答える。｢表｣では、｢2005年｣･｢2010年｣･｢2015年｣･｢2020年｣のそれぞれの｢就業者数｣(単位は｢万人｣)が示されている。さて、困った。｢製造業｣はともかく他の｢産業｣の｢就業者数｣など知るわけがない。ともかく、先ずは特徴的な項目に着目する。すぐに気づくのは(Ａ)の人数が他と比較してけた違いに多いことだ。であれば、(Ａ)＝｢製造業｣だと特定できる。この段階で、選択肢は(ア)か(イ)の２択になった。次に、最近の｢高齢化｣の進行を考えれば、｢就業者数｣が大きく増加している(Ｃ)が｢医療･福祉｣だと判別できなくてはいけない。よって、その｢組み合わせ｣になっている(ア)が｢答え｣となる。｢組み合わせ選択肢｣では、自分が知っている｢項目｣で一気に絞り込むことが肝要だ。
＜時間配分目安：30秒強＞
【大問３】｢公民｣(｢時事問題｣｢考察問題｣各１問が混在)
- 難度：標準
- 時間配分：5分
｢ものやサービスを買う個人の消費活動と、税金の使われ方｣についての｢リード文｣からの出題｡｢公民｣単元の｢基礎的知識｣が主に問われている(｢時事問題｣｢考察問題｣各１問が混在)。ただ、中には悩ましい問題もあるので、２問を検証したい。
[ｂ] ｢下線部についての条件付き考察論述設問｣(｢字数指定｣なし､｢60字ほど｣の解答欄)。｢考察問題｣。｢リード文｣中の下線部(ｂ)｢日本では2011年からとりわけ(エシカル消費)が意識されるようになった｣について、｢この年に起きたできごとが、日本におけるエシカル消費の普及に影響を与えたと言われる｣が、｢何がきっかけで、どのような消費活動が増えるようになったか｣を論述する。｢条件｣は｢具体的に説明する｣こと。｢エシカル消費｣については｢社会的な問題の解決に貢献しようとする消費活動｣だと｢リード文｣にある。｢2011年に起きたできごと｣といえば、無論、｢東日本大震災｣だ。この災害が｢きっかけ｣で、｢どのような消費活動が増えるようになった｣のか？ ｢社会的な問題の解決に貢献しようとするエシカル消費｣という視点で考察していく。｢地震｣と｢津波｣で甚大な被害があった東北地方、そして、｢福島第一原子力発電所｣での｢メルトダウン事故｣による放射能汚染での｢風評被害｣など。こうした｢社会的な問題｣を解決しようとするのであれば、｢福島県産｣等の｢東北地方｣の｢農産物や畜産物｣を購入することで｢復興支援｣をしたいという｢消費活動｣が増えるようになったと考えられるはずだ。以上のような内容を、｢条件｣に即して的確にまとめていきたい。たとえば、｢東日本大震災がきっかけで、福島県など東北地方の農水産物等を購入することで風評被害をなくし復興支援をしようという消費活動｡｣(60字)といった｢答え｣だ。尚、本問でいえば｢○○がきっかけで、××という消費活動｡｣というように、設問に即した｢ひな型｣をつくっておくことが重要だ。
＜時間配分目安：２分強＞
[ｄ] ｢下線部についての内容説明選択肢設問｣(複数解答。５択)。
｢リード文｣中の下線部(ｄ)｢国や地方自治体の議会｣について、｢国会と地方自治体の議会には共通する点と異なる点がある｣が、｢地方自治体の議会のみにあてはまるもの｣を｢二つ｣答える。各選択肢の｢要点｣で正誤判別していく。
(ア)｢首長と議会は別々の選挙で選出｣⇒｢国会｣に｢首長｣は存在しないが、｢地方自治体｣の｢首長｣(知事･市町村長)は直接選挙で選出＝適切。
(イ)｢二つの議会が設置｣⇒｢国会｣には｢衆議院｣と｢参議院｣があるが、｢地方議会｣は｢一院制｣＝不適切。
(ウ)｢住民(国民)の署名で議員は辞職させられる｣⇒｢地方議会｣に｢リコール｣はあるが、｢国会｣にはない＝適切。
(エ)｢議員定数が憲法によって定められている｣⇒｢国会議員｣も｢地方議員｣も憲法で定数は定められていない＝不適切。
(オ)｢議会は首長(首相)の権限で解散させられる｣⇒首相による｢衆議院の解散｣はあるが、｢地方議会では｢住民の直接請求｣が必要＝不適切。
したがって、｢答え｣は(ア)と(ウ)になる。｢複数解答｣では、細部にこだわった正誤判別が必須だと心得よ。
＜時間配分目安：１分弱＞
【大問４】｢歴史｣(｢説明記述｣３問あり)
- 難度：標準
- 時間配分：13分
- ★必答問題
(Ａ)｢奈良時代｣、(Ｂ)｢鎌倉時代｣、(Ｃ)｢安土桃山時代｣、(Ｄ)｢江戸時代｣、(Ｅ)｢明治時代｣、(Ｆ)｢大正時代｣の各時代に｢外国へ行った日本人｣に関連する６つの｢説明文｣からの出題｡｢歴史｣単元の｢基本的事項｣が問われている大問。一気呵成に得点を重ねていきたいが、｢深知り知識｣が求められる設問もある。それらをチェックしてみたい。
[Ａ-ｃ] ｢下線部についての時期判別選択肢設問｣(４択)。
(Ａ)の｢設問文｣中の下線部(ｃ)｢(遣唐使は)菅原道真の意見によって廃止されました｣について、｢このできごとと最も近い時期のことがら｣を答える。下線部は｢894年｣のことだとほぼ100%の諸君が知っているだろう。各選択肢の｢キーワード｣から｢時期｣を特定していきたい。
(ア)｢平等院鳳凰堂｣⇒｢藤原頼道｣と結びつくが、年代までは……＝｢保留｣。
(イ)｢古今和歌集編さん｣⇒｢かな文字｣＝｢国風文化｣だが、年代までは……＝｢保留｣。
(ウ)｢最澄と空海が帰国｣＝｢平安時代初期｣は周知。
(エ)｢大輪田泊｣⇒｢平清盛｣＝｢平安時代末期｣と結びつく。
(ア)か(イ)かどちら？ ｢藤原頼道｣は｢摂関政治｣の終末期だと判断したい。であれば、｢11世紀｣に違いない。よって、｢答え｣は(イ)だと判別できなくてはいけない。ちなみに、｢平等院鳳凰堂｣は｢1053年｣で｢古今和歌集編さん｣は｢905年ごろ｣だ。尚、｢時期判別｣や｢年代整序｣では｢うろ覚えの年代｣で判別･整序するのではなく、｢流れ｣や｢キーワード｣を確認し、特定していくことが重要だ。
＜時間配分目安：30秒＞
[Ｂ-ｂ] ｢下線部についての事項記述設問｣。(Ｂ)の｢設問文｣中の下線部(ｂ)｢幕府の将軍や有力家臣たち｣について、｢室町幕府の将軍を補佐した役職は何と呼ばれたか｣を答える。｢将軍を補佐した役職｣といえば、｢鎌倉幕府｣の｢執権｣、｢江戸幕府｣の｢老中｣、では、｢室町幕府｣では？ 意外と抜け落ちてはいないか？ ｢答え｣は｢管領｣だ。｢歴史的事項｣では時代によって同じような内容でも呼び方が異なるものがある。正確に覚えておきたい。｢時代判別｣の大きな｢手がかり｣でもあるのだ。
＜時間配分目安：30秒弱＞
[Ｂ-ｃ] ｢下線部についての条件付き事項記述設問｣。(Ｂ)の｢設問文｣中の下線部(ｃ)｢庭づくりの文化｣について、｢石や砂を用いて自然の風景を再現した庭のことを何と呼ぶか｣を答える。｢条件｣は｢石庭以外の呼び方を答える｣こと。｢石庭｣としか覚えていない諸君にとっては酷な｢条件｣だろう。なかなかの｢深知り知識｣が求められている。｢答え｣は｢枯山水｣だ。｢室町時代｣の｢東山文化｣以降の作庭様式だ。覚えておこう。
＜時間配分目安：30秒弱＞
[Ｃ-ｂ] ｢下線部についての理由説明記述設問｣(｢字数指定｣なし､｢30字ほど｣の解答欄)。
(Ｃ)の｢設問文｣中の下線部(ｂ)｢(キリスト教を信仰する九州の３人の大名は、少年４人を使節として)ローマへ派遣しました｣について、｢派遣地がローマであったのはなぜか｣を説明する。｢天正遣欧使節｣のことだとすぐに判断できるはずだ。だが、なぜ｢ローマ｣なのか？ 即答できる諸君は相当の歴史通だ。｢大学入試レベル｣と言ってもよい。当然、｢キリスト教｣に関連するわけだが、｢ローマ｣といえば、現在では｢バチカン市国｣があって、そこに｢ローマ教皇｣がいることは常識的に知っているに違いない。｢ローマ教皇｣といえば、｢キリスト教｣の宗派｢カトリック教会｣のトップだ。あとは、｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢カトリック教会のトップであるローマ教皇に会う目的だったから｡｣(30字)といった｢答え｣だ。尚、何問にぶち当たったら、｢一般常識｣も含めてあらゆる｢知識｣を総動員せよ。
＜時間配分目安：１分半＞
[Ｅ-ｃ] ｢下線部についての時期判別選択肢設問｣(複数解答。４択)。
(Ｅ)の｢設問文｣中の下線部(ｃ)｢(岩倉具視を大使とする使節団は)２年後の1873年に帰国しました｣について、｢使節団が外国に滞在している間に行われたこと｣を｢２つ｣答える。｢使節団が外国に滞在していた｣のは｢1871～73年｣ということになる。そのことを意識して、各選択肢の｢キーワード｣から｢時期｣を特定してく。
(ア)｢沖縄県設置｣⇒｢1871年｣の｢廃藩置県｣ではないので要注意⇒｢琉球処分｣のことは習得済みのはず＝｢1879年｣だ。
(イ)｢徴兵令｣⇒必須定着年代＝｢1873年｣。
(ウ)｢内閣制度｣⇒これまた覚えていなくてはならない年代だ＝｢1885年｣。
(エ)｢地租改正｣⇒誰でも知っている年代＝｢1873年｣。
よって、｢答え｣は(イ)と(エ)になる。本問は比較的平易だったが、近接する年代には注意する必要がある。
＜時間配分目安：30秒＞
攻略のポイント
●例年、大半を占める｢基礎的問題｣を絶対に落とさないことが重要。ライバルは確実に得点してくる。したがって、失点は許されない状況だ。ただし、やはり本校らしい｢難問｣もあるのも事実(本年度も少数ではあるが、例外ではない)。しかも、30分で例年40前後の解答数で(本年度は45)、｢説明記述｣までもある。そうなると当然、｢戦術｣も必要だ。｢できそうにもない問題｣に時間を取られ｢できるはずの問題｣を逃してしまうということを防ぐために、瞬時に｢捨て問｣を判別し次の問題に立ち向かうこと。もし時間が余ったら、また戻ればいい。合格ラインは非公表だが、｢受験者平均得点率｣(昨年度までの過去14年間平均で65.5%)から判断すると70%(42点/60点満点)以上はめざしたい。全体の難易度から判断して、単純なミスさえ防げば｢基礎的知識｣で十分対応できる範囲だ。
●｢統計資料｣｢地図｣などの｢読み取り問題｣が毎年出題されている。解く際には、｢資料｣に示された｢項目｣｢数字｣といった｢要素｣と｢自分の知識｣を多角的に結びつけて考えることが必要になる。そのためにも、過去問演習を通じて(｢解説｣を読みながら)、どのような｢要素｣を組み合わせて考えていけばいいのかを繰り返し確認し、自分でも｢多角的思考｣ができるように練習しておきたい。
●｢説明記述｣の攻略ポイントは、短時間で簡潔にまとめられるように練習を繰り返すことだ。そして、｢社会の記述｣で重要なのが、必ず｢社会科用語｣を使うということ。たとえ｢内容｣は同じだとしても、的確な｢用語｣を用いていなければ得点にはならない。また、｢必要な要素｣は絶対に外さないこと。
●尚、昨年度に引き続き出題された｢新たな大学入試制度｣を意識した｢考察論述｣、当然、来年度以降に向けても十分な準備が必要なことは言うまでもない。
志望校への最短距離を
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インタビュー＝学力が伸びる子と伸び悩む子の特徴とは
リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。