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麻布中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「麻布中学校の理科」
攻略のための学習方法

麻布中理科の満点は40点、長めの解説・データ・資料をもとに答える問題が中心である。基本知識を身につけることは当然。理科のみならず、他教科の知識を必要とする出題も見られる。

麻布中理科攻略のために必要なことは、日頃からの貪欲な知識の吸収があげられる。テキストに書かれてある知識だけでなく、ニュースで取り上げられる科学的な情報、身のまわりの自然や科学に興味を持つ姿勢が求められる。さらに言うと、それらの情報に対して自分なりの意見や考えを持ち、それをまとめるくらいの姿勢が欲しい。

問題の形式はあるテーマについてのリード文・データ・資料などを基にした設問に答えていくものが中心。そのテーマがユニークな点が1つの特徴でもあるが、持っている知識と提示されている情報に従って考えれば解答可能なものが中心である。

対策としては、知識が固まった秋以降に同タイプの問題演習に時間をかけることが必要である。過去問はもちろんだが、家庭教師に相談したうえで問題の選択を行うこともお薦めしたい。問題演習に際しては、時間も意識しながら取り組んで欲しい。

各分野の学習方法は以下の通り。

 

<分野毎の学習法>

生物分野 本年度は動物の体温と感覚神経についての出題であった。ユニークな内容で問題の読み取りがポイントとなる内容であった。近年では、新型コロナウイルス等の感染症と免疫について・植物の種子の運ばれ方・ニホンウナギ・動物の生殖活動・ヤンバルクイナなどがテーマとして取り上げられている。いずれも高度な知識を求めるものではなく、書かれてある情報を読み取りながらそれをヒントにして解答していくタイプの問題が中心である。この分野の学習方法としてまずは、テキストに書かれてある基本知識を早い段階で身につけることと合わせて、日頃から生物に関わるニュースや情報に興味の眼を向けて欲しい。また、問題演習としては、一問一答形式の問題だけでなく、記述問題を含む総合的な問題演習に時間をかけたい。

地学分野 本年度は天体の運動に関する出題で、ややレベルの高い内容も含まれていた。ここ数年では、金星と土星の見え方・タイタン・月の動きなど天体に関する出題が多く、それ以外では、氷期と日本人の祖先、岩石の風化等がテーマとして取り上げられている。この分野においても、細かい高度な知識を問う問題よりも、与えられた情報に基づいて解き進める力が要求されている。天体・気象・地層・岩石等の基本的知識は夏までに完全に身につけた上で、その知識を運用する演習に力を入れて欲しい。今後は、地震や火山、集中豪雨、日食や月食などがテーマとして取り上げられる可能性がある。天体や気象に関するニュースにも注意を怠らないで欲しい。

物理分野 本年は大問3でスピーカー・マイク・コンデンサに関する出題が、大問4の中では熱量計算に関わる出題が見られた。近年では、風の力のはたらき、光、電気、ものの運動、などに関する出題が見られた。この分野においても、書かれてあるテーマを読みながら解き進めていくタイプの出題が中心である。

この分野の学習方法としてまずは、力のつり合い、電気、光、音などの基本知識や性質は確実に理解すること。力のつり合いの計算問題も大切であるが、電気や光の性質の出題の可能性がかなり高いと考えて学習して欲しい。また、電気や光に関連する機器、発電など我々の暮らしと関連する内容についての出題も考えられる。日頃から科学に興味を持つことが大切である。

化学分野 今年度は大問4の中で各種栄養のなかの分子のつながりに関して出題された。熱量の計算問題と合わせてかなり難度の高い出題であった。近年では、和食と発酵について、ものの溶け方と拡散、お菓子やコーヒーについて等の出題が見られた。食品と化学とを結びつけて考える問題等ユニークな出題が多い。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質等基本知識は確実に身につけること。その上で、実験を通して考えさせる問題や記述を含む総合問題の演習に時間をかけて欲しい。過去問や同タイプの問題を家庭教師等に選択してもらい取り組んで欲しい。

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2023年度「麻布中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は4題、小問数は30題程度で40点満点。試験時間は50分で例年通りであった。適語を答える問題、記号選択問題、計算問題、記述問題と出題形式はバラエティーに富んでいる。問題量がやや多く、問題文の読み取りや記述問題・計算問題にかかる時間を考えると、50分というテスト時間は決して長くない。過去問や同タイプの問題演習は時間を意識して取り組んで欲しい。

【大問1】動物の体温・感覚神経

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

問1 水が蒸発する時に熱を奪う現象を選択する問題。

問2 記述問題。問題文中の「脳は熱に弱い」がヒント。脳や内臓など人間にとって重要な器官の温度を下げる上で利点がある。

問3 空欄に適語を埋める問題。問題文の中の「高温・辛み・痛みのどの刺激を受けても区別せず」がヒント。カプサイシンの辛さと高温の情報が混同して脳に伝わる。

問4 問題文中の「高温・辛味・痛みの刺激が2種類、3種類と重なると、脳に伝わる刺激がより大きくなる」がヒント。辛さは変えられないので、冷たい水を飲むなど高温の刺激を減らすことを考えればよい。

問5 33℃で反応するようになると、体温よりも低いので、刺激を常に脳に送り続ける。このとき、熱さだけでなく、辛み・痛みも感じることになる。

問6 マウスを使った実験結果の考察問題だが、易問。

問7 実際には暖まっているのだが、メントールの影響で冷たいと感じ、汗があまり出ないので、湯冷めしにくい。

動物の体温と感覚神経に関する出題。あまりテキストや問題集では見かけない問題だけに、問題文の読み取り力が大きなポイントとなる。書かれてある内容を理解し、流れに乗って答えていけば、それほどの難問ではない。本年度の大問4題の中では最も得点を伸ばしやすかったと言える。

【大問2】天体の運動

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

問1 と比べてyの角度が小さいので。左目で見た方が2つの棒が近くに見える。

問2 棒の位置が遠くなるほど、も小さくなり、その差がなくなってくる。

問3 物体の像を得る2地点間が広くなるほど、の差が大きくなり、遠くの物体

の奥行をつかみやすくなる。

問4 (1)18÷0.9 より、20年。

  (2)30度-60度-90度の直角三角形の3辺の比より、18÷2=9光年。 

  (3)AHABの距離の差の分だけ時間の差が生じる。(1)(2)の数値を用いて、20-9 より、11年。

  (4)問題文中の数値を用いて、9×1.7÷11 より、約1.4光年。

問5 z=30度になると、30度-60度-90度の直角三角形の3辺の比より、AHの距離は15.3光年でHBの距離は9光年。従って問4と同様に計算すると、9÷(20-15.3)より、約1.9光年。

問6 グラフを選択する問題。zの角度が0度では速さも0、30度では約1.9光年、60度では約1.4光年、90度では0.9光年。以上の数値を用いて選択すればよい。

 

天体の運動に関する出題。問3までは確実に正答したい。問4以降も問題の流れに従って計算すればよいのだが、ややレベルが高く迷うであろう問題が含まれている。

【大問3】スピーカー・マイク・コンデンサー

  • 難度:やや難
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

問1 乾電池から流れる電流は同じ方向に一定であるため、スピーカーの振動が起こらない。

問2 手回し発電機から流れる電流は波を打ったように変化するので、スピーカーから音が出たと考えられる。

問3 マイクの膜が振動⇒スピーカーに波のように変化する電流が流れる⇒スピーカーの膜が振動。

問4 A・B2つのコンデンサーの絵がヒント。容量の大きなコンデンサーは大きくなってしまう。

問5 実験結果より、金属板の間隔が狭いほど、ためることができる電気の量は増える。電気の流れは乾電池からコンデンサーとなる。

問6 「金属板の間隔をはなすと逆なことが起こる」より、電流の向きは充電しているときとは逆向きになり、スピーカーの膜は引っ込む。

問7 記述問題。図および各設問より、ダイナミックマイクはコイル・磁石を必要とするが、コンデンサーマイクは必要としない。

問8 記述問題。コンデンサーを充電するのに電源が必要となる。

 

マイク・スピーカー・コンデンサーに関する出題。電気に関する基本知識はもちろん必要だが、問題文や図の読み取り・理解をする力が大きな比重を占めるという麻布中らしい一題。

【大問4】栄養とエネルギー

  • 難度:
  • 時間配分:15分

問1 33k÷1kより、33℃上昇し53℃になる。

問2 問題文中の「ブドウ糖の分子と水の分子の1個あたりの重さの比は10:1」を利用。ブドウ糖分子2個が360gなので、水分子1個の重さは18g。18gの水分子が取れて麦芽糖の分子が生じるので、360-18 より、342g。

問3 669k×2より1338kcalの熱が生じ、さらに水分子が1個取れることにより、24kcalの熱をたくわえるので、合計1362kcal。問2より、生じた麦芽糖は342gなので、1362÷342 より、約3.98kcalとなる。

問4 グリセリンの分子3個(92g)と脂肪酸の分子が1個(852g)がつながり、水分子3個が取れるので、92+852-18×3 より、890g。

問5 406+2516×3+24×3 より、問4で生じた890gの油脂が持つ熱量は8026cal。従って、8026÷890 より、1gあたり9.02kcal。

問6 

 ア:問題文中の各成分1gあたりのエネルギーと表に示された210gあたりの各成分の重さを利用して計算すること。

 イ:食品の対部分を占め、エネルギーの計算に関係しないということから、水であると考えられる。

 ウ:水の占める割合が高く、タンパク質や脂質の割合も高いことから、選択肢の中では牛乳であると考えられる。

問7 記述問題。食塩は燃焼しないので、エネルギーの計算を考える必要がない。

問8 計算問題と記述問題。タンパク質・脂質・糖質について、問題文中の1gあたりのエネルギーと表の中の1食分あたりの重さを使ってエネルギーの合計を求めると432kcal。1食分あたりのエネルギーの合計437kcalからこれを引くと、5kcalで、これが食物繊維のエネルギーにあたる。表より、食物繊維は1食分あたり2.5gなので、5÷2.5より、食物繊維1gあたりのエネルギーは2g。食物繊維は人の体内で消化されにくく、エネルギーを得にくいことがわかる。

 

栄養とエネルギーに関する出題。計算量が多く、記述問題も含まれている。問題の意図を理解した上で解答を進めていくことができるか、判断力・計算力が求められる難度の高い一題である。

攻略のポイント

本校理科の入試問題は、与えられた資料・データ・解説文を理解し、それらを理解・活用して解答する問題が中心となっている。テキストで学習する程度の理科の基本知識は当然必要であり、知識があれば解答可能な問題も含まれるが、本校の理科では、その知識をどう活用するかが重要になる

麻布中学受験性の心構えとして、身のまわりの自然や科学的現象・ニュースで取り上げられる科学や自然に関する情報に興味の目を向け、知識の蓄積を図るという姿勢が求められる。

問題演習としては、過去問や長めの問題文やデータ・資料を読み取った上で答えるタイプの問題を中心に取り組んで欲しい。解答に際しては、なぜその答えなのかを常に考えることが大切である

また、国語・算数・社会と他教科の基本知識が必要となる問題も見られるが、これに関しては本校受験生であれば特別な対策は不要であろう。

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