慶應義塾中等部 入試対策
2023年度「慶應義塾中等部の理科」
攻略のための学習方法
まずは、受験テキストを使って、「物理、化学、生物、地学」の4分野について、重要語句の意味や関連情報、科学現象の原理を丁寧に理解しておきたい。
言葉を答えさせる問題はわずかしか出題されないものの、言葉を知らないと考えづらかったり、言葉を知っていた方が有利になったりする問題は出題されるから、ある程度の語句を覚える必要はある。
言葉を覚えるときは穴埋めの問題や一行問題を解いたり、お家の人にクイズ形式で出題してもらったりすると効率が良い。
言葉をある程度覚えたら、科学現象の原理を知る学習をして欲しい。
受験テキストで述べられている現象がなぜ成り立つのか、学習する都度その理由を考えるのが理想だ。その際、自分で納得するまで図鑑や本やインターネットで調べたり、人に聞いてみたり、自分で図を描いて考えたりすると良い。
この段階では受験テキストの8割程度の知識を身に着ければ良いだろう。
8割程度、言葉や原理について覚えられたら、引き続き受験テキストを使って、掲載されている演習問題を自力で解けるようになるまで繰り返し解きたい。
数値を使った計算問題には主軸が置かれていないため、計算問題さえ解ければ良いという考え方は本校入試には不向きだが、標準程度の計算問題であれば解けるようにしておきたい。
言葉や原理について、実験や観察結果を通じて問うような問題は数多く練習しておきたい。
本校では文を記述させる問題は出題されないが、現象の原理を問う問題への対応力を身に着けるために、記述タイプの問題に目を通すことが有効だ。
その際に答えを記述してもよいが、答えを口に出して模範解答と照らし合わせるという方法で学習すると良い。初めにテキスト学習をする段階では記憶する知識は8割程度でよいが、上述の問題演習を通じて受験テキストに記載されている知識記憶の精度を10割に近づけていきたい。
本校の入試は時間との戦いでもある。
一通り受験テキストの学習を終えたのであれば、本校の過去問または類する傾向・難度の過去問を解き、最低でも5回は時間内に合格点をとる経験を積むのが良いだろう。
過去問演習終了後には必ず模範解答・解説を良く読み、不足している知識を受験テキストなどで確認して欲しい。必要に応じて知識をまとめた表を作成したり、図解してみたりするとなお良い。
また、そのときに、要求される知識がどの程度の細かさであるのかを併せて確認し、以後の学習時の参考にすると良い。
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2023年度「慶應義塾中等部の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は去年より1題減って4題だった。生物、地学、化学、物理が各1題ずつであり、全体では計26問だった。また、適語回答が3問で他の23問は全て記号選択だった。時間は25分であるから1問にかけられる時間は約1分である。
【大問1】マツ・タケ・ウメ/生物
- 難度:標準
- 時間配分:8分
松竹梅に関する会話文を元に、それらに関する様々な知識を問う内容。一部、物理・化学分野に関わる問題も含まれていた。良く見聞きする身のまわりの生物について観察したり調べたりする習慣がある人にとって有利と思われる内容だ。
(1)~(5) マツについての問い。 (4)は問題だけ読むとマニアックな質問に思えるかもしれないが、会話文中にあるヒントを見つけられれば易しい。他はおおむね基本的な知識問題と言える。
(6)~(8) タケについての問い。前の5問よりやや難易度が高く感じたかもしれない。いずれも会話文の内容が手掛かりとなることに気づけると良い。
(9)~(11) ウメおよびパイナップルについての問い。ややマニアックな質問に見えるかもしれないが、これまで知り得た知識と本設問とを関連付けられた人は正解するだろう。身のまわりにある言葉を調べる経験が重要と思わされる問題だ。
【大問2】星/地学
- 難度:標準
- 時間配分:5分
夏の大三角について、星名、星座名、星の見え方・動き方に関する問題。この単元においては定番の内容と言える。後半の問題は根拠を明確にしながら解き進めたい。
(1)(2) 星名および星座名の問題。この2問は失点が許されないだろう。
(3) 東京で天頂付近に見えるときの各星座の配置についての問題。名前だけでなく図の様子も記憶しておきたい。
(4) 日周運動について理解している必要がある。
(5) 南半球での見え方についての問題。地球と星座の位置関係や方角などについて、図を描いて説明できる人にとっては容易だろう。
【大問3】固体と液体の反応/化学
- 難度:標準
- 時間配分:5分
固体と液体を混合させたときの反応の様子についての問い。こちらも、この分野における基本的な問題群と言えるだろう。
(1) 本問を通じ、グループの違いについて正しく整理しておきたい。
(2) 反応の名前や生成物の名前だけでなく、反応の様子を視覚的に理解している必要がある。
(3) 選択肢のそれぞれについて反応の様子を思い出せると良い。
【大問4】振り子/物理
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
振り子に関する基本的な問題。「○○と習ったから」という理由ではなく、与えられた表を根拠に解き進めることを心がけたい。これは理論上の値と実際の値とで多少の誤差があるためである。
(1) こちらに関しては習った内容と一致する。表の数値も見てそれが正しいことを確認しておくと良い。
(2)(3) ある数値より大きい・小さいはずという判断ができると良い。いずれもやはり表の数値が根拠である。
(4) 道のりと時間の関係について考えると良い。
(5) こちらは知識問題だろう。
(6)(7) この2問も表の数値と図を関連付けながら考えると良い。
攻略のポイント
ものの名称・性質や現象の原理に関する知識を問う問題が大半を占めるため、学んだ知識を正確に引き出すことが重要だ。そのためにも、問題文をよく読み、問われていることを正しく把握することを意識して取り組んで欲しい。また、知識が無かったり曖昧だったりしても、与えられた文章や図を手掛かりにすることで問題の答えにたどり着ける場合があるため、その点から考えても、落ち着いて問題文を読むことが重要だ。一問にかけられる時間が短いため、スピーディに処理していくこと、解きやすいものから解いていくことも心掛けたい。
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