麻布中学校 入試対策
2024年度「麻布中学校の理科」
攻略のための学習方法
麻布中理科の満点は40点、長めの解説・データ・資料をもとに答える問題が中心である。基本知識を身につけることは当然。理科のみならず、他教科の知識を必要とする出題も見られる。
麻布中理科攻略のために必要なことは、日頃からの貪欲な知識の吸収があげられる。テキストに書かれてある知識だけでなく、ニュースで取り上げられる科学的な情報、身のまわりの自然や科学に興味を持つ姿勢が求められる。さらに言うと、それらの情報に対して自分なりの意見や考えを持ち、それをまとめるくらいの姿勢が欲しい。
問題の形式はあるテーマについてのリード文・データ・資料などを基にした設問に答えていくものが中心。そのテーマがユニークな点が1つの特徴でもあるが、持っている知識と提示されている情報に従って考えれば解答可能なものが中心である。
対策としては、知識が固まった秋以降に同タイプの問題演習に時間をかけることが必要である。過去問はもちろんだが、家庭教師に相談したうえで問題の選択を行うこともお薦めしたい。問題演習に際しては、時間も意識しながら取り組んで欲しい。
各分野の学習方法は以下の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度はバイオロギングと生物の生態について出題された。ユニークな内容であるが、問題文やデータの読み取りと理解がカギとなる内容であった。近年では、動物の体温と感覚神経、新型コロナウイルス等の感染症と免疫について、植物の種子の運ばれ方、ニホンウナギ、動物の生殖活動、ヤンバルクイナなどがテーマとして取り上げられている。いずれも高度な知識を求めるものではなく、あるテーマについて書かれてある情報を読み取りながらそれをヒントにして解答していくタイプの問題が中心である。この分野の学習方法としてまずは、テキストに書かれてある基本知識を早い段階で身につけることと合わせて、日頃から生物に関わるニュースや情報に興味の眼を向けて欲しい。また、問題演習としては、一問一答形式の問題だけでなく、記述問題を含む総合的な問題演習に時間をかけたい。
地学分野 本年度は地層と岩石がテーマであった。生物分野同様に、問題の読み取りと理解が大きなポイントとなる出題であった。ここ数年では、天体の運動、金星と土星の見え方、月の動きなど天体に関する出題が多く出題され、それ以外では、氷期と日本人の祖先、岩石の風化等がテーマとして取り上げられている。この分野においても、細かい高度な知識を問う問題よりも、与えられた情報に基づいて解き進める力が要求されている。天体・気象・地層・岩石等の基本的知識は夏までに完全に身につけた上で、その知識を運用する演習に力を入れて欲しい。今後は、地震や火山、集中豪雨、日食や月食などがテーマとして取り上げられる可能性がある。天体や気象に関するニュースにも注意を怠らないで欲しい。
物理分野 本年は電流計について出題された。昨年も電気に関して出題されている。ここ数年ではそれ以外に、熱量計算の計算、風の力のはたらき、光、電気、ものの運動、などに関する出題が見られた。この分野においても、書かれてあるテーマを読みながら解き進めていくタイプの出題が中心である。
この分野の学習方法としてまずは、力のつり合い、電気、光、音などの基本知識や性質は確実に理解すること。力のつり合いの計算問題も大切であるが、電気や光の性質の出題の可能性がかなり高いと考えて学習して欲しい。また、電気や光に関連する機器、発電など我々の暮らしと関連する内容についての出題も考えられる。日頃から科学に興味を持つことが大切である。
化学分野 今年度は物質の構造に関する出題で、レベルの高い問題が含まれていた。昨年も分子のつながりという本年と似たようなテーマで出題されている。近年それ以外では、和食と発酵について、ものの溶け方と拡散、お菓子やコーヒーについて等の出題が見られた。食品と化学とを結びつけて考える問題等ユニークな出題が多い。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質等基本知識は確実に身につけること。その上で、実験を通して考えさせる問題や記述を含む総合問題の演習に時間をかけて欲しい。過去問や同タイプの問題を家庭教師等に選択してもらい取り組んで欲しい。
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2024年度「麻布中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4、小問数は30程度で40点満点。試験時間は50分で例年通りであった。
適語を答える問題、記号選択問題、計算問題、記述問題と出題形式はバラエティーに富んでいる。問題量がやや多く、問題文や図の読み取り・記述問題・計算問題にかかる時間を考えると、50分というテスト時間は決して長くない。過去問や同タイプの問題演習は時間を意識して取り組んで欲しい。
【大問1】生物 バイオロギングと動物の生態
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 ペンギンは鳥類なので肺呼吸。エサを求めて水中にもぐるが、限られた時間しか潜水していられない。
問2 表に示されたデータの読み取り問題。体重が重いペンギンほど潜水深度が深く、潜水時間が長い。
問3 マンボウは魚類なのでエラ呼吸。問題文より、水深150m付近にエサが多い。
問4 問題文の読み取り問題。水深150m付近で30分ほどエサを食べていると体温が14℃まで下がる。水面近くまで浮上しても、体温が17℃まで上がるのに1時間かかる。
問5 問題文の「体の小さいマンボウでは、まわりの水温によって体温が早く変わります。」より、体の大きいマンボウほど水深150m付近にいる時間も水面付近にいる時間も長い。
問6 問5より、体の小さいマンボウほど水深150付近と水面近くを往復する回数が多くなる。
問7 バイオロギングで広範囲の測定を行うためには、群れを作らずに広い範囲で活動しているマンボウの方が適している。
バイオロギングとペンギンとマンボウの生態に関する出題。「バイオロギング」とは何か知らなかったとしても、問題文に説明があるので問題ない。問題文や提示されたデータの読み取りができれば解答可能な問題が中心であり、ここは確実に正答を重ねたい。
【大問2】化学 物質の構造
- 難度:難
- 時間配分:14分
問1 図より、●には●1つと○2つと⊗1つが結びつく。
問2 ○に結ぶつく粒は1つ、◎に結びつく粒は2つなので、○が両端になるように直線的に結びつけばよい。
問3 問題文に書かれてある内容の理解度がポイント。左側の●と結びついている○が3個、右側の●と結びついている○が2個、◎と結びついている○が1個。この順に強さは3:2:1となる。
問4 アは左右対称で、両端の●と結ぶつく○が6個、真ん中の●と結びつく○が2個となり、強さの比が3:1でこれが該当。イは3:2:3、ウは左右対称で1種類のみ、エは左右対称で3:2。
問5 条件に従って物質の構造を図で描く問題。●には4つの粒が結びつき、○と⊗に結びつく粒は1つだけであることがポイント。
問6 (1)問題文より物質B内の●と◎の重さの比は3:8なので、●だけで1.2g、◎だけで3.2g。物質A内の●だけの重さはB内の●だけの重さと同じはずなので、1.2g。物質A内の○だけの重さは、1.4-1.2より0.2gとなる。
(2)全体の重さの比÷1個あたりの重さの比=個数の比となるので、1.2÷12:0.2÷1 より、1:2。
(3)●と○が1:2で結びついた物質を図で描く問題。●には4つの粒が、○には1つの粒しか結びつかないので、●が輪を作るようにつながり、それぞれの●に○が2つずつつながるような図を描けばよい。輪を作る●は3個以上であれば何個でも可能。
中学以降で学習する分子構造に近い内容だが、6年生でも解答できるようにヒントが提示されている。とは言っても、レベルが高く、特に問6はレベル難。
【大問3】物理 電流計
- 難度:やや難
- 時間配分:13分
- ★必答問題
問1 電磁石を利用しているものを選択する問題。モーターとベルが該当。
問2 図を描く問題。乾電池・豆電球・電流計を直列につなぐこと。乾電池の+極側を電流計の+端子につなぎ、-端子は500mA端子を使用。
問3 500mA端子を利用しているので、290mAと読み取れる。
問4 実験結果より、金属線の長さの比が4:1のとき、流れる電流の比は1:4となるので、20÷(1+4)よりメーターには4mAの電流が流れる。また、メーターに30mA流れたとき、30×(1+4)より、電源装置から150mA流れたことになる。
問5 合計300mA流したとき、メーターに30mA流れれば、金属線eと金属線dには270mA流れる。このときの金属線d・金属線eの長さの合計と金属線cの長さの比は9:1。3A端子を使うと金属線cと金属線dが直列につながるので、金属線cと金属線dに流れる電流は30mA、金属線eに流れる電流は2970mAとなり、金属線c・金属線dの長さの合計と金属線cの長さの比は99:1。以上より比を揃えて整理すると、c・d・eの長さの比は90:9:1となる。
問6 電流の単位についての問い。マイクロとは100万分の意味。
問7 記述問題。問題文に書かれてある内容より、少量の水の流れを大きな水の流れに変えていると言える。
問8 記述問題。問7で記述した「少量の水の流れ」は電気回路においては小さい電流を意味する。この小さな電流を流すために電池が必要となる。
電流計に関する出題。問3までは易問。問5では-端子を変えた時の電流の経路の変化がポイント。問7と問8では、問題文に書かれてある内容の理解が大きなポイントとなる。電気回路についての基本的な理解は当然必要である。
【大問4】地学 地層と岩石
- 難度:やや難
- 時間配分:13分
問1 逆断層による地層のずれの様子を表した図を選択する問題。
問2 しゅう曲による地層の曲がり方を表した図を選択する問題。
問3 地層の傾きを調べるためのクリノメーターの文字盤の向きを選択する問題。
問4 岩石のかけらを削るためには、岩石の鉱物よりも固い粒子の研磨剤を使い、粒子の大きなものから小さなものへと順に使う。
問5 (1)2.54㎝の幅をy㎝の太さの糸x本で分割するので、網目の幅は、(2.54-x×y)÷x=2.54÷x-y となる。
(2)2.54÷100-0.11 より、小数第3位で四捨五入して0.14㎝となる。
問6 問題文中の「研磨すると、でこぼこによる効果を減らす」および「水の膜でおおうので、でこぼこによる効果を減らす」より、いずれも岩石の表面は黒っぽく見えるようになる。
問7 鏡の表面で冷やされることにより、水蒸気が液化して水滴になり、鏡がくもって見える。
問8 本文中の水アカについての説明文より、鏡についている水分をしっかりふき取ることにより予防できる。
問1~問3は地層について、問4以降は岩石の研磨を中心とした出題。クリノメーターや研磨剤など日頃の学習では取り上げられる機会がほとんどない内容がテーマとなっている。問題文の説明や図をもとに考える設問が多い麻布らしい出題。
攻略のポイント
本校理科の入試問題は、与えられた資料・データ・解説文を読み取り、それらを理解・活用して解答する問題が中心となっている。テキストで学習する程度の理科の基本知識は当然必要であり、知識があれば解答可能な問題も含まれるが、本校の理科では、その知識をどう活用するかが重要になる。
麻布中学受験性の心構えとして、身のまわりの自然や科学的現象・ニュースで取り上げられる科学や自然に関する情報に興味の目を向け、知識の蓄積を図るという姿勢が求められる。
問題演習としては、過去問や長めの問題文やデータ・資料を読み取った上で答えるタイプの問題を中心に取り組んで欲しい。解答に際しては、なぜその答えなのかを常に考えることが大切である。
また、国語・算数・社会と他教科の基本知識が必要となる問題も見られるが、これに関しては本校受験生であれば特別な対策は不要であろう。
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