栄東中学校 入試対策
2023年度「栄東中学校の国語」
攻略のための学習方法
知識
「栄東の国語」では、「総合知識問題」が最重要攻略ポイントのひとつ。さあどうするか?
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ず「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。
「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。
また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。
そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。
入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。
これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。指定字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。
最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。
そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。
栄東では必ず直接出題されるし、「記述」にも不可欠だ。
日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ減点されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。
特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。
速読
大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で7000~8000字程度。解答時間は50分。
当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。
こうした手法によって、栄東定番の「紛らわしい選択肢設問」にも的確に対処できるようになる。
これらのコツは塾でも教えてくれるはずだ。教えてくれなければ、自分から聞いてみてほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
栄東に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。
そして、最終的に分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。
解法
前述したよう、栄東特有の「難問」に勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。
「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。
「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。
それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。
「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。
解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。
繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
記述
「栄東の記述対策」は前述の通りだが、その前に前提としてなすべきことがある。
それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。
いやがらずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。
「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。
では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。
40~50字程度で書いてみる(栄東の典型的な「記述」の練習にもなる)。
無論、内容は先生に確認してもらう。
「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。
書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。
だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。
「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
意識
いついかなる状況でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。
ただなんとなくと机に向かっていても無駄だ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。
そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。
「設問」を正しく理解しているか? 「条件」に合致しているか? 「細部」は大丈夫か? 「必要な要素」は満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。
50分という時間で解き進めていかなくてはならない栄東では、ひとつのミスが致命的になる。
入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2023年度「栄東中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「総合的知識問題」。小問なし(解答数8)。「空所補充の語句選択および漢字変換」。3分弱で終えたい。大問二も「総合的知識問題」。小問なし(解答数10)。「空所補充の語句判別選択肢」。2分半程度で解きたい。大問三は「説明文」、出典は杉山修一「ここまでわかった自然栽培――農薬と肥料を使わなくても育つしくみ」(文字数約3800字)。小問は全8問(解答数8)。「選択肢」、「抜き出し」(2問)、「漢字記入」(総合的知識問題)、「説明記述」(1問。「25字以内」指定)、「自由考察論述」(1問。「字数指定」なし、「90字ほど」の解答欄)。問題文は4分強で読み切り、設問を14~15分で解きたい。大問四は「小説」、出典は山本幸久「花屋さんが言うことには」(文字数約7800字)。小問は全10問(解答数14)。「選択肢」(「乱文整序」、「総合的知識問題」、「複数解答」あり)、「抜き出し」(1問)、「説明記述」(1問。「50~70字以内」指定)問題文は9分強で読み、設問を17分ほどで解きたい。
【大問1】「総合的知識問題」(空所補充の語句選択および漢字変換)
- 難度:やや難
- 時間配分:3分
「総合的知識問題」。「空所補充の語句選択および漢字変換」(全8問。8択)。示されている8つの文中の空所(1)~(8)に「当てはまる適切な言葉を『語群』から選び、漢字に直して」それぞれ答える。「語群」は、「シンモツ」・「レンメン」・「ショウシン」・「イチドウ」・「フソウオウ」・「シュウトク」・「ナマハンカ」・「キセン」だ。「語句の意味判別」と「漢字の書きとり」が同時に問われているハイブリッドな問題だ。本校の十八番であり、求められる「高度な語彙力」の一端を垣間見ることができる。難易度は例年並みだが、昨年度より解答数が増えており、その分厄介だ。だが、無論、「失点」は避けたい。「答え」を確認する。・「各国の代表が(1)に会する」⇒「イチドウ」=「一堂」⇒これは即座に判別できるはず。・「(2)な知識で対応するのは失礼だ」⇒「ナマハンカ」=「生半可」⇒これは馴染みが薄いか? 「十分でなく中途半端であること」だ。・「(3)物を交番に届ける」⇒「シュウトク」=「拾得」⇒これは「中学入試」の定番。ただ、「同音異義語」には要注意。・「(4)用にのしを付けてもらう」⇒「シンモツ」=「進物」⇒これは難しい。そもそも「のし」を知らないに違いない(祝儀や贈答品などの贈り物に添えられる飾りのことだ)⇒「進物」は「贈り物」の敬語表現。・「悲しい知らせを聞き(5)にたえない」⇒「ショウシン」=「傷心」⇒「文脈」を何とか読み取りたい。・「マラソン大会で(6)を制して先頭に立つ」⇒「キセン」=「機先」⇒「機先を制する」(=他より先に行って優位に立つ)、これは知らなくてはいけない。・「小学生には(7)な腕時計をしている」⇒「フソウオウ」=「不相応」⇒流石(さすが)に分かるはずだ。・「(8)と続く歴史」⇒「レンメン」=「連綿」⇒「連綿と続く」(=長く続いて絶えないさま)は「中学入試」でも頻出。さあ、どうだったか? ひとつでも曖昧(あいまい)な語句があった諸君は、「語彙力不足」を自覚せよ。
【大問2】「総合的知識問題」(空所補充の語句判別)
- 難度:標準
- 時間配分:2分
「総合的知識問題」。「空所補充の語句判別選択肢」(全10問。10択)。示されている例文中の空所( 1 )~( 10 )に「当てはまる適切な言葉」を「語群」から選びそれぞれ答える。「語群」は、(ア)「ぬれぎぬ」・(イ)「そばづえ」・(ウ)「るつぼ」・(エ)「ひとしきり」・(オ)「旗色」・(カ)「つまびらか」・(キ)「内弁慶」・(ク)「間断」・(ケ)「やぶさか」・(コ)「ぬけがら」。未知の「語句」もあるはず(2つ? 3つ?)。なかなかの曲者だ。特に厄介なものを確認しておく。・「事件の真相を( 1 )にする」=「答え」は(カ)の「つまびらか」⇒これは知らなくてはいけない⇒「詳らか」で「物事の細かいところまではっきりしているさま」のことだ。「彼の頼みなら協力するのに( 3 )でない」=「答え」は(ケ)の「やぶさか」⇒「物惜しみするさま。けちなさま」⇒「やぶさかではない」という用法が多い⇒これは昨年度も出題されている。「泣きつかれて( 4 )のようになる」=「答え」は(コ)の「ぬけがら」⇒もちろん「比喩表現」で「中身のなくなったあとのもの」だ⇒類推できるはず。「けんかの( 5 )を食う」=「答え」は(イ)の「そばづえ」⇒「自分と関係のないことのために被害を受けること。とばっちり」のことだ⇒知らなくても仕方がない。「五点も差がつき( 9 )が悪い」=「答え」は(オ)の「旗色」⇒「旗色が悪い」(=不利な状況にあること)という用法で知っているはずだ。「語群」の中でひとつでも知らない「語句」があった諸君は、確実に習得しておきたい。
【大問3】「説明文の読解」(「自由考察論述」1問あり)
- 難度:標準
- 時間配分:20分
肥料と農薬は使わないが、耕起や除草は必要に応じて行なう「自然栽培」の本質は、「自律的栄養塩供給システムをつくる」ことで、肥料を与えなくても養分が供給されるようになる管理が必要になり、そのカギは「土壌微生物」だと説明している。本文では、「有機農業」の定義、理念、現状や、日本でなかなか広まらない理由などについて述べている。専門用語が多くあるが、「*注」を活用してなんとか内容を理解したい。本校としては「標準レベル」の難易度だ。いくつかの小問を検討しよう。
[問一] 「語句の空所補充抜き出し」(「10~15字以内」指定)。本文中の空所 Ⅰ に「当てはめるのに最も適切な言葉」を「本文中の Ⅰ より前」から「十字以上十五字以内」で抜き出して答える。「抜き出し」では、「抜き出し内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいく。先ずは空所前後を確認する。「(有機農業の定義には) Ⅰ 以上の意味が含まれている」となっている。つまり、「内容」は通常考えられている「有機農業の意味」だということが分かるはずだ。「抜き出し範囲」は「同一意味段落」(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠」「手がかり」がある)。ただし、本問では「同一意味段落」の一部が指定されている。丁寧に探していくと、前の形式段落の後半に「(『有機』という言葉は非常に幅広い概念であり)化学肥料と合成農薬の不使用という立場だけでは、『有機』の全体像をカバーできない」という部分がある。「化学肥料と合成農薬の不使用という立場」が「通常の有機農業の意味」だと理解できる。「内容」として合致している。空所にもあてはまる。よって、「答え」は「化学肥料と合成農薬の不使用」(13字)になる。尚、「抜き出し」では「候補」はひとつとは限らないので、必ず「抜き出し範囲」の全てを確認すること。
<時間配分目安:2分>
[問三] 「空所補充の漢字記述」(2箇所。それぞれ「漢字1字」指定。複数完全解答)。「総合的知識問題」。「文脈からの語句特定および記述」だ。本文中の空所 A ・ B に「当てはめるのに最も適切な言葉」をそれぞれ「漢字一字」で答える。空所部分は「 A 貨が B 貨を駆逐(くちく)するように……」、この時点で「〇貨が〇貨を駆逐する」であれば「悪貨が良貨を駆逐する」以外はないと判断できなくてはいけない。元来は「良貨は貯蔵されて悪貨だけが市場に流通してしまうことを表した言葉」だったが、転じて「悪いものほど世の中に流通し、良いものはなくなってしまう。悪がはびこると、善が滅びてしまう」といった意味で使用される。知らなかった諸君は猛省せよ。本校では、こうしたレベルの「語彙力」が求められているのだ。
<時間配分目安:1分弱>
[問四] 「換言説明選択肢」(5択)。傍線部(2)の「『使用できる資材』を認証基準に用いたことで、『有機』という言葉が持っていた多くの理念が有機JAS栽培では付属的な位置づけとなり、本来の『有機』と乖離(かいり)するケースもでてくる」とは「どういうことか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「換言説明」なので、「乖離するケース」の「原意」と結びつかない「換言」を「消去」する。各選択肢の「文末」と照合する(選択肢説明の「最重要要素」は「文末」に記されている)。(ア)「意味を持たなくなる場合」、(イ)「遠くなる場合」、(ウ)「多くなる可能性」、(エ)「認められない場合」、(オ)「離れていく可能性」。どうだろうか? 「ケース」なので「可能性」は無論「消去」。「乖離」については「注*6」に「そむき離れること。はなればなれになること」と説明されているので、「意味を持たなくなる」と「認められない」は「消去」で(イ)の「遠くなる」が残ると判別できなくてはいけない。念のために「同一意味段落」を確認する。他の部分の説明も特に誤っていないと分かる。よって、「答え」は(イ)になる。なんと「一発消去」だ。本校のように「選択肢説明」がやたら長い場合(本問では各「120字以上」もある)、まともに照合していたら混乱の極みで多くの時間も要してしまうので、「原意消去」は必須ツールだ。十分に活用できるように練習することが肝要。
<時間配分目安:1分>
[問八] 「条件付き自由考察論述」(「字数指定」なし、「90字ほど」の解答欄)。「あなたが農業を営む場合、有機栽培と慣行栽培のどちらを行うか」を論述する。「条件」は「本文をふまえ、理由とともに論述する」こと。尚、「有機栽培と慣行栽培のどちらを選んでも試験の点数に差はつきません」と付記されている。「自由論述」であり「あなたの場合」なので、無論、「有機栽培」と「慣行栽培」のどちらを選び、どのような「内容」にするかは自由。しかし、自由……、自由だからこそ、雲をつかむようで何も思い浮かばないかも知れない。ただ、「本文内容」は無論、「手がかり・ヒント」になる。「条件」に「本文をふまえ」とあるのだから尚更だ。「有機栽培」とは「化学的に合成された肥料と農薬を使用しない」というのが基本的立場であり、「慣行栽培」は「それに対立する栽培方法」だと本文で規定されており、前者についてより詳しく説明されている。その上で、最後には「日本のような高温・多湿の気候条件は、病気や害虫、雑草が発生しやすく、有機栽培の難易度は上がる」と指摘している。こうしたことを考慮して、どちらかを選択し、その「理由」を明確にして論じていきたい。本校では、「自由考察論述・記述」は必出だ。志望者は、「設問自体」や「条件」、そして、「本文内容」などを「手がかり・ヒント」にして、「考察」「感想」や「体験」「創作」を「100字前後」でまとめる練習を重ねておくことが必須だ。
<時間配分目安:5分>
【大問4】「小説の読解」(「乱文整序」あり)
- 難度:標準
- 時間配分:25分
- ★必答問題
「24歳、ブラック企業勤務」で身も心も疲れ果てていた「紀久子(きくこ)」が、深夜のファミレスで出会った女性の営む「川原崎花店」で働き始め、花を求めるお客さんそれぞれの事情に向き合いながら再生していく連作短編集の1篇。本文では、「紀久子」が花に縁のなさそうな「坊主頭の少年」から、友だちにあげる花を相談される様子が描かれている。内容は理解しやすい。実にバラエティーに富んだ設問内容の小問が並んでいるので、心して臨みたい。以下、いくつかの設問を確認する。
「24歳、ブラック企業勤務」で身も心も疲れ果てていた「紀久子(きくこ)」が、深夜のファミレスで出会った女性の営む「川原崎花店」で働き始め、花を求めるお客さんそれぞれの事情に向き合いながら再生していく連作短編集の1篇。本文では、「紀久子」が花に縁のなさそうな「坊主頭の少年」から、友だちにあげる花を相談される様子が描かれている。内容は理解しやすい。実にバラエティーに富んだ設問内容の小問が並んでいるので、心して臨みたい。以下、いくつかの設問を確認する。
[問一] 「空所補充のひらがな記述」(全2問。各「ひらがな3字」指定)。「総合的知識問題」。「慣用句」。波線部(a)「( )知れている」・(b)「途方に( )」について、(a)は「たいしたことはない」、(b)は「どうしてよいか分からなくて困った」という「慣用句」になるように、あてはまる「ひらがな三字」をそれぞれ答える。それぞれの意味であれば、(a)が「たかが知れている」、(b)は「途方に暮れ(く)る」という「慣用句」だとすぐに判断できなくてはいけない。あとは、「文脈」を考慮して「答え」を特定すればいい。よって、(a)=「たかが」、(b)=「くれた」(「途方に( )その表情」なので)となる。尚、本校では「慣用句」はもちろん、「故事成語」「ことわざ」「四字熟語」などについても完璧にする必要がある。
<時間配分目安:1分弱>
[問四] 「内容説明記述」(「10~15字以内」指定)。傍線部(2)「一昨日は私で、昨日は光代さんだったんだから、今日はキクちゃんだね」について、「これは何をすることを指しているか」を「十字以上十五字以内」で説明する。「同一場面」から「状況」を読み解いていきたい(「小説」では「同一場面の直前直後」に「手がかり・ヒント」がある)。直前直後から、傍線部は花店の経営者である「李多(りた)」・店員の「光代(みつよ)さん」、そして、「紀久子」の3人での会話の一部だとすぐに分かる。続いて、「紀久子」が「私になにをしろと」と問うと、「李多」が「あの子に花を売ったら、その同額の特別手当をだしてあげてもいいわ」と返し、「(あの子が)きたわよ」と「光代さん」がささやいている。「あの子」とは? さらに、「同一場面」をチェックすると、毎日のように来店している「坊主頭の少年」だと判明する。ということは、もう分かったはずだ。あとは、「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「来店した少年の応対をすること。」(15字)といった「答え」になる。「小説」では、いかに丁寧に「同一場面」を読み取るかがポイントになる。
<時間配分目安:2分>
[問七] 「換言説明選択肢」(5択)。傍線部(4)「千尋(ちひろ)の心配」について、「どういうことか」を答える。「原意消去」から試みたいが、流石(さすが)に傍線部だけでは無理だ。先ずは、「傍線部一文一部の法則」に「手がかり」を求めたい(「傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という読解の基本となる解法)。直前直後は「胡蝶蘭(こちょうらん)ではなかったにせよ、(千尋の心配は)的中したわけだ」となっている。前後の「状況」から、「来店した坊主頭の少年の応対をしている」のが店員の「千尋」だと判断できる。また、「胡蝶蘭」に関して「同一場面」を読み取ると、「花屋でいちばん高い花を渡せば文句あるまいと(少年が)胡蝶蘭を買いかねません」と他の店員が心配していたことが分かる。さらに、傍線部の直後では「千尋」が「ぜんぶ一本ずつにしたって、けっこうな値段になるわよ。それでもいいの?」と「少年」に問うている。これらの内容で「消去」していきたい。各選択肢の「文末」と照合する。 (ア)「やたらにお金をかけてプレゼントを買ってしまうのではないかということ」、(イ)「全部買い占めてしまうのではないかということ」、(ウ)「写真や動画を確認する手間をかけてしまうこと」、(エ)「ほとんど処分してしまうこと」、(オ)「気づくかもしれないということ」。「花屋でいちばん高い花を渡せば」「けっこうな値段になるわよ」とあるのだから無論、(ア)以外は「消去」でいいと判別できるはずだ。「同一場面」から、他の部分の説明も特に誤ってはいないと分かる。したがって、「答え」は(ア)でいい。本問のように単純には「原意消去」ができない「選択肢設問」もあるということだ。
<時間配分目安:2分半>
[問十] 「条件付き内容説明記述」(「50~70字以内」指定)。傍線部(6)「ヒマワリだったら三本がちょうどいいわ。三本になさいな」について、「ここでの李多の考え」を「五十字以上七十字以内」で説明する。「条件」は「李多がそのように薦(すす)めた意図を明らかにしながら説明する」こと。「宇田川(うだがわ)」(=坊主頭の少年)がプレゼントとして買うことに決めた「ヒマワリ」の本数についての「李多の考え」だと、「同一場面」の直前直後から読み取れるに違いない。そして、「李多が薦めた意図」は「三本」の「ヒマワリ」に込められた「意味」と結びついているはずだ。その「意味」は何か? 「同一場面」を確認するが、そのことには一切触れられていない。別の場面を改めてチェックする他ない。すると、本文の最後の部分で説明されていることが分かる。「三本」の「ヒマワリ」の「花言葉」は「愛の告白」だと述べられている。ということは、「愛の告白」という「花言葉」を持つ「三本」の「ヒマワリ」をプレゼントすることで、相手に「宇田川」の好意が伝わって2人がうまくいけばいいと考えていると類推できる。こうした内容を整理して、「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「『愛の告白』という花言葉を持つ三本のヒマワリをプレゼントすることで、相手に宇田川の好意がしっかりと伝わって、二人がうまくいけばいいと考え。」(69字)といった「答え」だ。尚、本問のように「同一場面」に「手がかり・ヒント」がない場合は、「前後の場面」から読み取っていきたい。
<時間配分目安:3分>
※尚、[問五]は「会話のやりとり」の「乱文整序選択肢設問」だ。通常の「乱文整序」の「解法」とは別に、大きな「手がかり」がある。「会話」の間に「ト書き」がなければ、その「やりとり」は基本的に「2人」の「話者」によるものなので、「A」「B」「A」「B」「A」……、といった具合に「2人」の「セリフ」が交互に連なっていると考えればよい。
攻略のポイント
●本校の特徴のひとつである「紛らわしい選択肢設問」をどう攻略するか? 残念ながら「裏ワザ」はない。「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて、段階を踏んで「消去」するほかない。したがって、「基本的解法」を完全に習得して適切に応用できるようにしておくことが重要だ。特に、「原意消去」は完璧にマスターすること。それによって「得点力」も安定する。合格ラインは60%台半ば(過去9年間の「受験者平均得点率」は61.3%。本年度はやや低く59.4%。ちなみに、本年度、4教科合計の「3年間特待合格基準点」は72.0%)。「得点力の安定」は、近年難化が著しい「合格」への近道となる。
●「総合的知識問題」にはどう対処するか? 特に「落とし穴」となりそうなのが頻出の「文法問題」だ(本年度は未出だったが、油断禁物)。全分野から、細部にわたって出題される。塾での学習だけでは全く不十分なので、独自に完全習得し定着させること。3年前には「文学史」なども出題されたので、無論、「文法」以外も抜かりなく。尚、昨年度出題された「一般常識」は本年度未出だったが、来年度以降に向けて引き続き要注意だ。
●「説明記述対策」も肝要。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要な要素」を積み上げていく手法をマスターすること。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「指定字数」の幅が狭いので、細かな「字数調整」ができるようにもしておく必要がある。
●5年連続で新傾向の「自由考察論述・記述」の出題があった。「思考力・判断力・表現力」が徹底して重視されるようになった新たな大学入試制度を意識していることは間違いない。当然、来年度以降もこうした出題が予想されるので、入念な準備が求められる。
●試験時間は50分。問題文のボリュームは全体で7000~8000字程度(近年は増加傾向で、本年度は約11600字)。いかに速く読み取れるかが勝負だ。分速800字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。
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