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学習院中等科 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「学習院中等科の国語」
攻略のための学習方法

問題構成

大問2つに小説の読解と論説文の読解、そこに漢字の書き取りが含まれるという形が定型となっている。接続詞や四字熟語など、ことばの知識も数問織り交ぜられている。文量は9000~10000字程度。総解答数は30~35問ほど。設問は選択肢・書き抜き・穴埋め・記述など。記述問題は計6問ほど出されている。

長文読解

素材文は受験生の年齢を考慮した理解しやすい内容のものが多い。漢字に読みが示されている場合もあり、難易度を適切に設定している印象である。それだけに、大事な質問は記述問題になっている場合が多い。

小説なら人物の心情や物語のあらすじ・テーマ、論説文なら要点や要旨などが記述問題で訊かれる。「この物語はどんな物語か。」「筆者の主張は何か」ということを40~80字程度でまとめる問題が毎年出されている。正解を自分のことばで書く必要があるので、確かな読解力が必要である。それぞれの文章の読解の基本をしっかり身に付けよう

・物語・小説

登場人物の整理――名前・人数・それぞれの性格・互いの関係などを確認する。登場人物の人数を訊く問題が出されることもある。祖父母や孫など人物が多くなると関係がわかりにくくなる場合もある。同じ気持でも性格が違えば行動も異なる。注意しよう。

場面分け――場面の変わり目に注意。時間・場所・人物の入出などで場面の変化をチェックする。それぞれがどんな場面なのかを考えておくと、あとで全体を見渡してテーマを考えるときに役立つ。場面の変わり目自体を訊く問題も見られる。

心情把握――人物の言動・表情・情景などから気持ちを考える。その際にはこれまでの人生経験や読書経験が役に立つ。人生経験はともかく、読書経験は自分の努力しだいで増やすことができる。多くの小説を読み、様々な登場人物に触れておくことが何よりの実力アップの手段となる。

テーマの把握――誰のどんなことを描いた話なのか。本校では「○○が××する物語」という形であらすじを訊かれることが多い。全体を短く的確にまとめる必要がある。

・説明文・論説文

段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落には内容を短くまとめて小見出しをつけておくと、段落のつながりや要旨を考える際に役立つ。

要点と細部の区別――段落で最も大事な1文には傍線などで目印をつけてしまう。それ以外の細部には要点の捕捉や言い換えなどが含まれる場合が多い。書き抜きや記述問題で訊かれることが多いだろう。

要約と要旨――要旨をつなげて要約を作る。そのなかで筆者のもっとも言いたいことが要旨・結論である。本校では記述問題でまさに要旨が訊かれるので、説明的文章を読むときには要旨を70~80字程度でまとめる練習をしておこう。

大事なことは記述問題で訊かれるという本校の特徴を踏まえて、心情や要旨を言葉で書いてまとめる練習を重ねることが重要である。

漢字・ことばの知識

漢字の書き取りが15~16問出題されている。特別な難問ではないので、標準~中級の漢字教材をしっかり仕上げておけば得点できる。ことばの知識も数問出されている。持っている教材をひととおりこなしておこう。

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2023年度「学習院中等科の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

素材文は小説が約6000字・論説的随筆文が約4000字の計10000字ほどで総解答数は31問。問題数は多くないので読むスピードが遅すぎなければ時間は足りるだろう。記述問題が長短合わせて計4問あるので、12~13分ほどはかかると見ておきたい。
漢字以外のことばの知識などは数問ほどと少ない。読解の正確さとスピードを意識して訓練しよう。

【大問一】漢字の書き取り

  • 難度:標準
  • 時間配分:3分
  • ★必答問題

① 積(む)  ② 気象台  ③ 率(いる)  ④ 飼育  ⑤ 編集
⑥ 垂(れる)  ⑦ 蒸発  ⑧ 地層  ⑨ 俳句  ⑩ 対処

【大問二】小説の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:23分
  • ★必答問題

幼なじみのキンタを傷つける発言をしてまったことがきっかけとなって、主人公はそれまで意識していなかった自分の気持ちに気づく。

問一 【A】はクラスの皆に気づかれたくないので「そろそろ」、【D】は自分の気持ちを大げさな動きでごまかすように「ドスドス」が合う。

問二 傍線(1)直前の五行ほどに注目。その後悔の気持ちで無意識に力んでしまったのだろう。

問三 どんぐりの背比べ――どれも似たり寄ったりで差が無いこと。

問四 普段自信たっぷりのキンタのネガティブな発言を聞いて、自分の言葉がキンタを傷つけてしまったせいだと痛感し、責任を感じている。

問五 バスケの部活において涼万の才能を感じて自信をなくしかけていたところに、自分が傷つけてしまったキンタが自分より先んじて涼万に励まされ勇気を出した場面に遭遇し、何事においても涼万にかなわないような気になり、自分の情けなさを感じていると考えられる。

問六 数行後で、「バスケの練習をしているわけでもなく、合唱でひとつになりつつあるクラスの一員にもなれていない」と心中を吐露している。そんな自分が練習に聞き耳を立てていたと皆に知られたら情けなく恥ずかしいのである。

問七 問六でみたような心境になっているときにひとり呟く言葉は「俺、何やってんだろ。」であろう。

問八 主人公の謝罪の言葉を聞き、投げかけられたタオルの意味も察したであろうキンタは、もともとポジティブな性格の人物であるから、気にしていないよと言うように選択肢のように応じたはずである。

問九 主人公がキンタを傷つける発言をしたことが、物語の中心軸となっている。そこに涼万というライバルの存在が絡んできて、結果として主人公は「涼万に対する敗北感・嫉妬心」「キンタに対する恋心」という、それまではっきり意識していなかった気持ちに気づくことになったのである。

【大問三】随筆文の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:24分

「友達」についての筆者の考えが、体験や実例を交えながら語られている。

問一 「デジタル友達は友だちではない」と言っておきながらフェイスブックの「友達申請はだいたい承認している」のであるから、SNSについての筆者の考えと行動が矛盾している。

問二 その理由は「僕の煩悩」すなわち「ライブの告知手段」として「集客」につなげたいからだと自ら明かしている。

問三 膝を打つ――急に思いついた時や感心した時の動作。

問四 「エンターテイメント」という表現から、パーティに出て楽しいことの具体例を探す。筆者は人間に対する興味が強いので、「お互いに深々とお辞儀を~勝手に想像しては楽しんでいる」「取り巻いている人たちと~見ていろいろ想像する」など、人間観察を楽しんでいるようである。

問五 筆者の内的要因として、「対人関係のストライクゾーンがどんどん狭くなってくる」ことと「本当に気が合うなと思える人は少なくなっていきます」の二点を挙げている。

問六 本質を「するどく」えぐる。

問七 友達というのは偶然性、反利害性、超経済性という条件を備えた人間関係である。しかし、社会に出ると偶然性を満たす出会いは格段に減るし、仕事を通じて知り合う多くの人には利害性【C】や経済性【D】(順不同)がどうしても絡んできてしまうのである。

問八 人と人との出会いは不思議なもの(異なもの)で、理屈では表せないおもしろいもの(味なもの)である。もともとは男女の仲を表すことばとして用いられていた言葉である。

攻略のポイント

小説のあらすじやテーマ・論説文の要点や要旨などの重要点が記述問題で訊かれている。普段から自分の読んだ文章について、重要点を短くまとめる練習をしておこう。1行ほどの短文記述もあるので、そちらも対策して慣れておくこと。その他の選択肢問題や書き抜き問題は答えやすい問題が多い。読解力が適切にあれば得点できるだろう。
漢字の書き取りも15問ほど出される。全問正解で点を積み上げたうえで、読解問題でさらなる得点を目指そう。

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